2015年8月14日(金)
8月12日に発売された電撃PlayStation Vol.596。この号の『ファンタシースターオンライン2』の記事では、最新アップデート情報のほかに、開発者インタビューを掲載している。ここでは、そのインタビュー記事には収まり切らなかった部分をピックアップしてお届け!
▲インタビュー時間はいつもたっぷりいただくが、それでも時間が足りなくなるのが電撃警備保障スタイル。 |
──アークスキャラバンがひと段落しましたが、振り返ってみていかがでしたか?
酒井智史氏:イベント自体は感謝祭ほど大きな規模ではなかったのですが、今まで全然オフラインイベントがなかった地域だったこともあり、多くの方にとてもよろこんでもらえました。その土地のアークスのみなさんをつなげるというのが、アークスキャラバンの一番の目的でした。知り合いが増えたという人もいましたし、地方のユーザーさんの活性化という意味でもやってよかったと思います。
──その地元の方が多く集まったイベントという印象を受けました。
木村裕也氏:新潟や沖縄は地元の人が多かったですね。
菅沼裕氏:徳島はマチアソビの開催期間ということもあり、周囲の県から来た方も多かったです。
酒井:正確な数字はわかりませんが、徳島と仙台は他県からの方が多かった印象ですね。
木村:開催前、沖縄はどれくらいの方が来てくれるか本当に不安でしたよ。他県から来られる方のためにツアーも組んで、そちらで40人弱、当日の来場者数が約400人ですから現地だけで350人以上の方に来ていただけました。ほとんどが沖縄の方で、こういったイベントに参加するのは初めてという方ばかりでしたね。
菅沼:ツアーの参加者は、歴代のシリーズファンからEP3で始めた人まで幅広かったですね。
──EP3から始めた人はどういうきっかけが多いのでしょうか?
木村:お友だちから勧められて始めたという人が多いです。やっぱり口コミって強いですね。そういう意味でも、こういったイベントは大事な要素の1つだと思います。
▲広島、仙台、徳島、新潟、沖縄で開催されたリアルイベント“アークスキャラバン”。地方ユーザーの活性化を目的の1つに掲げたイベントで、会場には多くの地元アークスが集った。写真は広島会場の様子。 |
──アークス広報隊の放送が始まりましたが、アークス候補生よりも人数が増えてどんなところが変わりましたか?
酒井:候補生と違っておもしろいのは、それぞれ見ている層が違うんですよ。齋藤夢愛さん(月曜担当)と清水あいりさん(木曜担当)はわりと初心者向けなんですが、それぞれに個性があって、イジリたい人は夢愛さん。あいりさんはお父さん的な目線で見守る。
なすなかにしさん(火曜担当)はおもしろいことが好きな人が集まって、あの2人よりもおもしろいことを言ってやるぜというタイプの人が多くて、長谷川唯さん(金曜担当)はガチな人、一緒に楽しみたい人が見ている傾向です。
──それは狙いどおりでしたか?
酒井:候補生のときはみんなで応援しようというコンセプトでしたが、むしろ今回は好き嫌いがあっていい、分かれてほしいという意図がありました。ユーザーの嗜好にもいろいろありますから、それぞれの楽しみ方を見つけてほしい、そういう意味ではうまく分かれてくれたと思います。
──今でこそそれぞれ個性を発揮していますが、DFガールズが候補生として始めたときは全員初心者というスタンスでしたね。
酒井:そうですね。それぞれが個性を発揮して、それがユーザーさんにも受け入れられて、結果として企画が終わったあともDFガールズとして残すことができました。やはり、3人が『PSO2』というゲームを好きになってくれたことが力になったと思います。
──『PSO2』はそういった運に恵まれているところもありますね。
酒井:どうなんですかね。だいたい地雷を踏んで首の皮一枚でつながっている状況なので、そこをもっとうまく潜り抜けて地雷を踏まずにいけたらいいんですけど、挑戦することが『ファンタシースター』の命題でもありますから。
菅沼:地雷のパイオニアですね。
一同:(笑)。
▲『PSO2』の魅力を伝えるDFガールズ&アークス広報隊。それぞれの個性を生かした放送が、アークスたちの『PSO2』欲を満たしていく。放送がきっかけでゲームがプレイしたくなった人も多いはずだ。 |
──2種類の期間限定クエストのうち、どちらのほうが人気ですか?
菅沼:“境界を貫く双角の凶鳥”のほうが受注率は高いですね。転送式では時間帯によってマルチプレイが成立しづらいのではないかと危惧しましたが、難度やドロップのバランスがちょうどよかったことがうまくいった理由だと思います。
──バランスというのは難しいものですね。
菅沼:今回の常設クエストでは、バッヂの存在も大きな要因になっています。ここでしか入手できないという独自性を持たせることで、そのクエストに行くきっかけになりますから。難度XHの緊急クエストに、それぞれ違う★12武器をエリアドロップとして設定したのも同じ理由からです。
──常設クエストで配信されたガル・グリフォンは今後、ほかのクエストでも出てきますか?
菅沼:現在は“ビーチウォーズ3!”で登場しますが、今後も何かしらの形で出すと思います。ただ、常設クエストのように確実に戦えるとは限りません。常設のガル・グリフォンはLv.75で、緊急はLv.80ですから、ドロップ率自体は緊急のほうがいいんですけど、レベル差のぶんだけ緊急のほうが強くなっています。
木村:緊急クエストだと、つねにプレイヤーが12人そろった状態で戦えるわけではありませんし、そういう意味でも“境界を貫く双角の凶鳥”が一番戦いやすいクエストでしょうね。
──ダークファルス連戦の“来襲せし虚なる深遠の躯”も好評ですね。
菅沼:正直言って、あんなに人気が出るとは思っていませんでした。
木村:じつは、3周年後半に緊急でも何かほしいなと思いまして、菅沼に相談したんです。
菅沼:配信を間に合わせるには残り少ない時期に言われて、これはもうボス連戦しかないと思って作ってみたら、意外とやりごたえのあるものになりました。
木村:あまりおいしくしてもダメなので、1シップにつき1回という制限を入れたのですが、不満が出るんじゃないかなと心配もしました。
菅沼:突貫工事だったのですが、評判がよくて安心しました。以前から続けているプレイヤーさんはダークファルスと戦う機会も多かったのですが、最近始めた人は予告緊急の数も減っているのでダークファルス産の武器を入手できる機会が少なかったと思います。★10~12はかなり出やすくしていますし、ダークファルス産の武器は同レアリティのなかでも少し強いので、この機会に手に入れてもらえればいいですね。
▲期間限定で配信されていた“来襲せし虚なる深遠の躯”。★13武器が手に入る、いきなりDF本体と戦えるなどの理由で、予告限定での配信ながらかなりのにぎわいを見せていた。 |
──WEB連動イベントですが、いつもよりも早いペースでの達成でしたが、これは想定どおりでしたか?
木村:後半のクエストはとくに受注率が高くて、前半と同じペースでいくだろうと考えていたのですが予想を外してしまいました。
酒井:今回は達成が早すぎて、もっと報酬をくれって意見がけっこうありましたよ。
──WEBで公開されているアークス報告書ですが、ご覧になっての感想をお願いします。
木村:種族比率は昨年と比較して大きな変化はありません。クラスはかなり平均化されたと思います。
菅沼:WEBで公開しているものはLv.1~75までの全キャラクターのデータですが、Lv.70以上のコアユーザーに絞ったデータでは全クラス10%~15%以内で、使用者のバランスとしてはさらに均等化しています。
──クラス分布の均等化は、やはりバランス調整の影響が大きいのでしょうか?
木村:そうですね。オンラインゲームでは、公平感が重要だと思っています。
菅沼:このクラスじゃなきゃ成り立たないというようなバランスにならないように気を付けています。
──アークスキャラバンでもバランスに関しての要望はありましたか?
酒井:みんな自分のクラスが一番強くなってほしいという感じですね。
木村:ファイターの調整はかなり評判がよくて、ユーザーさんにお礼を言われることが多かったですね。それと同時にこのクラスのこの武器も調整してほしいという要望も多くいただきました。
菅沼:ファイターの調整を見て、それで期待して意見を伝えようと思われた方が多いんじゃないのかなって気がします。
▲『PSO2』3周年記念イベント“MAXIMUM ATTACK”の特設サイトでは、アークス調査報告書をはじめ、さまざまなコンテンツを展開中。未見の人は、今すぐチェック! |
──初心者に向けてゲーム側ができる施策は考えていますか?
木村:具体的には決まってはいませんが、そういった方に向けて学んでいただく機会を用意しなければダメなのかなとは思っています。それがゲーム内になるか、ゲーム外になるかはわかりません。
酒井:WEBで初心者向けのクラス解説をやろうという意見もあるんですけど、そういった記事は本当に必要な人にはなかなか届かないんですよ。
菅沼:この知識を得ようと、意識的に動かないといけないですからね。うまくならなくてもかまわないと言う考え方を否定せず、ゲームをプレイしていくなかで自然に“知識”と“技術”が身に着いていけるような形が理想だと思います。『PSO2』の規模では、今までゲームに触れたことのないユーザーさんもいるので、そういった方へのサポートが足りないとは認識しています。
酒井:スマートフォンのゲームでは、懇切ていねいに説明してくれるものが多いので、そういったところは見習っていかなければいけませんね。
菅沼:逆に説明をしすぎても攻略の楽しみを奪ってしまう場合もありますので、どこまで説明するかをいろいろ考えています。
酒井:また、それとは別にプレイマナーの啓蒙も考えています。円熟期に入ったオンラインゲームでは、ベテランプレイヤーが初心者やライトプレイヤーの排斥やプレイスタイルの押し付けをしてしまうことが往々にして起きるのですが、そういう行いがライトなプレイヤーを減らし、結果的にゲーム自体を衰退させてしまう、ということがほかのゲームでも何度となく繰り返されています。
『PSO2』のアークスのみなさんは優しい方が多いと思いますが、『PSO2』はそうならないよう、初心者やライトなプレイヤーが入りやすいゲームであり続けてほしいのです。誰もが最初は初心者なのですし、みんなプレイスタイルはそれぞれですから、ベテランの方がうまくサポートしてあげてほしいです。
ボクらもどうすればお互いにいがみ合わず、もっと自然に仲よくプレイできるのか、そして初心者が自然にうまくなっていくサポート方法も考えなければいけないと思っています。
木村:みんなが仲よくできるのが一番ですね。
──一部の武器の第二潜在能力解放に『フォトンブースター』というアイテムを用意したのはどのような理由からですか? また、通常の第二潜在能力との差別化はありますか?
菅沼:特別な方法で潜在能力を解放できる武器というアイデアもおもしろいのではないかと。基本的にはレアリティの高いものが多いのですが、一部には赤の武器シリーズなど、レアリティがそこまで高くない入手しやすい武器も対応します。
木村:チャレンジクエストの第1弾の報酬ですでにイデアル武器を入手した人も多いと思うので、違う方向性で何か新しいものを用意してあげたいという意図もあります。
──最新で発表されたのはアークシステムワークスさんとのコラボですが、こちらはどのような経緯で決まったのでしょうか?
木村:アンケートのなかで上位に入っていたことと、セガとの付き合いもある会社というのもあり、こちらからお願いしました。どうせならインパクトを持たせたいと考え、2タイトル連続で配信することにしました。
▲思いやりを忘れないことが大事!(写真はパルチザン。重い槍!) |
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