2015年9月11日(金)
セガゲームスより絶賛配信中のスマートフォン用アプリ『ケイオスドラゴン 混沌戦争』。9月12日に放送される『ケイオスドラゴン』TVアニメ“赤竜戦役”×スマホゲーム“混沌戦争”合同イベント 第3夜に先駆けて、本作に参加したクリエイター陣の合同インタビューを特集第10回としてお届けします。
■ニコニコ生放送特番概要
【名称】『ケイオスドラゴン』TVアニメ“赤竜戦役”×スマホゲーム“混沌戦争”合同イベント 第3夜
【開催日】2015年9月12日(土)
【開催時間】一挙放送:16時~ / トーク番組:20時~
【視聴ページ】http://live.nicovideo.jp/watch/lv233958126
【出演者】(敬称略)
・アニメ 井上麻里奈/照井春佳/愛美
・スマホ 山下大輝/赤羽根健治/富沢恵莉/川部有紀
『混沌戦争』は、TVアニメやボードゲームなど多彩なメディアミックス展開をする『ケイオスプロジェクト』の一環としてサービス中のiOS/Android用RPG。現在放送中のTVアニメ『ケイオスドラゴン 赤竜戦役』から10年後の世界を舞台に、記憶を失った少年が世界に蔓延した混沌(ケイオス)の謎を解く物語です。
電撃Appでは『混沌戦争』のゲーム内に登場する国家やキャラクターを考察する特集企画や、『混沌戦争』に出演された声優さんへのインタビューを掲載してきました。今回は、『混沌戦争』を制作するセガゲームスの秋山隆利プロデューサーと遠藤峻亮ディレクター、さらに『ケイオスドラゴン』プロジェクトの中心人物である星海社代表取締役副社長COO・太田克史氏、作家・三田誠氏の4名のインタビューをお届けします。
▲左から、『混沌戦争』ディレクターの遠藤峻亮氏、プロデューサーの秋山隆利氏、『ケイオスドラゴン 覇王春秋』制作総指揮の太田克史氏。 |
――まずは『レッドドラゴン』が『ケイオスドラゴン』というプロジェクトに生まれ変わった経緯からお聞かせください。
太田克史氏(以下、太田):『レッドドラゴン』の連載中、「次はどんなことをやるんですか!」と聞かれることが多々ありまして。そのたびに「TRPGリプレイとしては――まあレッドドラゴンではあえてRPFと名乗らせてもらっていますが――現時点でやれることはすべてやったから、これ以上のことはできない」と思っていたんですよ。
三田誠氏(以下、三田):できることはほとんど詰め込みましたからね。
――プレイヤー5人のためにフィギュアやジオラマを作ったり、中田譲治さんの音声を収録されたりしていましたよね。
太田:はい、そうです。「今後20年くらいは誰にも超えられないTRPGリプレイを作ろう」と意気込んだら、まず最初に自分が超えられなくなったという(笑)。でも沸々と「5人のためだけじゃなくて、たくさんの人に楽しんでもらう作品なら、ベクトルが違うしアリだな」という気になって。それで最初はプレイバイメール(ルールに従ってキャラクターや行動などを手紙に書いて送ると、その結果が文章などで返送されてくるタイプのゲーム)みたいなことをやろうかと三田さんと話していたんですよ。
三田:「三輪さん(三輪清宗氏。『レッドドラゴン』でシステムデザインを担当)が1年くらいフルパワーを出せば、5,000人くらいなら行けるんじゃ!」みたいな話をしましたね。いや~、やらなくてよかったですね(笑)。
太田:スタープレイヤー数人のボードゲームとプレイバイメールが連動するなど、『ケイオスドラゴン』のなんとなくの原型はその時からあったんですよ。
三田:「国家間戦争にしよう」みたいな話まではしていましたね。
太田:同じ頃にスマートフォン用のゲームを一生懸命遊ぶ時期があったんですよ。それまでは否定的だったんですが、実際に遊んだらスゲーおもしろくて!
一同:(笑)。
太田:数百万人が登録して、同時に数十万人が接続して同じゲームで遊ぶってすごいなと思って。「スマートフォン用のゲームと連動できたらすごいモノができそうだな」と、アイデアが浮かびました。その半年後くらいに、セガのキャスティング担当さんが前職の時にウチとちょっとしたつながりがあったので「セガに転職したのでご挨拶に行きます」と、上司の秋山さんと一緒に来てくださって。
秋山隆利氏(以下、秋山):弊社のタイトルと『レッドドラゴン』のコラボはできないでしょうかと相談に伺いました。
三田:太田さんに「コラボを申し込まれたので、『レッドドラゴン』の続編の話をしておきました!」と、話の入口と出口が合ってないようなことを言われたのは覚えています(笑)。
太田:その後、秋山さんから「検討させていただきます」とご連絡いただいて。そこから『ケイオスドラゴン』が徐々に動き始めました。
――秋山さんは『レッドドラゴン』のどこに惹かれてコラボを申し込まれたんですか?
秋山:そもそも、コンシューマゲームを作ってきたセガの技術を生かすため、スマートフォンでコンシューマゲーム的なものを作ろうとしていました。キャラクターや物語をフィーチャーしたゲームのコラボ先を探していたので、ストーリーに特化した作品とコラボするために手を尽くしていたんです。それで弊社のキャスティング担当に「『レッドドラゴン』はかなりおもしろいですよ」とすすめられて、ダメ元でお願いしてみようと軽いノリで伺いました。
遠藤峻亮氏(以下、遠藤):(笑)。
秋山:読んでみたら、確かに作家さんはたくさんいらっしゃって、みんなで集まってその場でいろいろなストーリーを考えられていたので、コラボができたらおもしろそうだなと。またコンテンツを作る人間にはTRPGやボードゲームをすごく好きな人たちが多いので、コラボが成立したら開発チーム的にもうれしいんじゃないか、という期待感もありました。で、話を持っていったら、当初とは別の話になっていたという(笑)。
一同:(笑)。
秋山:実際に話を聞いて、オンラインゲームのGMイベント的なものが開催できる仕組みを作れれば、太田さんのアイデアを実現できそうだと思いました。
――スマホゲームとボードゲームの連動に、さらにアニメも加わったことにはどのような経緯があったのでしょうか?
太田:最初は別ラインで動いていたんですよ。東宝の古澤さんという方が『レッドドラゴン』に惚れ込んでくださって、アニメにしましょうと。僕も「やりましょう!」と話していたんですが、これが頓挫の連続で……。話せば長くなるんですけど、三田さんが一杯引っ掛けたら5時間ぐらいとくとくと話してくれると思います(笑)。
三田:太田さんの心は最低でも4回は折れていますね。僕も2回くらい匙を投げましたが(笑)。
太田:いろいろあったんですが、秋山さんとのお話が地に足がついてきた頃、アニメもようやく突破口が見えたんです。それでこれは僕のよくないクセなんですけど「アニメとスマホゲームとボードゲームの3つを連動させたら、かつてないことができるんじゃないか?」と。ついつい、おてだまを増やしちゃうんですよね。
一同:(笑)。
太田:でもやっぱり、放送と通信と文芸の融合って誰もやっていなかったと思うので、実現したいなと。
三田:誰しも一度は思う夢ですよね。いつかやってみたいという。
太田:そうなんですよ。セガさんと東宝さんとウチが組んで新しいことをやれたら、コンテンツ産業に携わるクリエイターやプロデューサー、現場の方々に対して、新たなスタンダードを提示できるんじゃないかとも思ったりしたんです。それで秋山さんと古澤さんにお話を持っていきました。
――例えばどのようなお話ですか?
太田:例えばアニメを、深夜よりも少し早めの時間帯に放送して、アニメが始まったらスマホに「アニメが始まったよ!」と通知が来るとか。逆にアニメを見終わったら、ゲーム用のアイテムがもらえるとか。そこに三田さんたちが作る小説も入ってきて……と、そんなことを当時から熱っぽく話していましたね。それを古澤さんがおもしろく感じてくださって、3つのメディアを連動させることに決まりました。それがこんなに大変なこととは、当時は思いもしませんでしたが(笑)。
三田:「3つをうまく連動させるための世界観を考えてください」と、最初に話を振られたのって僕ですからね(笑)。
太田:そうなんですよ。アニメとゲームの時代を別にするなどの根幹となる部分は、三田さんに考えてもらったことが多いですね。
三田:最初の仕様書を作らされました。「小説家なのに、なぜプレゼン資料のような仕様書を作らされているんだろう?」って(笑)。
太田:そうでしたね。それで秋山さんたちにも最初から伝えていたことは「よくあるメディアミックスではなく、本格メディアミックスにしましょう」と。アニメのゲーム化や小説のアニメ化ではなく、本当の意味でのメディアミックス。それぞれのメディアが独立したメインタイトルであり、しかもそれらが三位一体の連動を行うという。
三田:3つともメインというのは大事なところですね。
――3つともメインということで、すべてにかかわられている三田さんや太田さん、小太刀右京さんやしまどりるさんなどはかなり大変ではないですか?
三田:もちろん大変です(笑)。
太田:そこは「太田さんのアシストがあるから大丈夫です!」って言ってくださいよ~。
一同:(笑)。
三田:太田さんじゃないと盛り上がらなかった企画なのは確かですが、トラブルを増やすのも太田さんなので……。
太田:本当にいつもすみません……。
三田:最初に作った仕様書には「3つはすべて同じ世界観で、なんとなくつながっている」ということを示すために、大枠の世界観を提示しました。「アニメの10年後がスマホゲームとボードゲーム」「竜の骸を奪い合っている」みたいな。この大枠さえ守ってもらえれば、セガさんならきっとやってくれるだろうと。またボードゲームでも、スタープレイヤーが何人になっても大丈夫だろうと。
そういうものを最初に作ったり、監修としてすべてをチェックしつつ、何か困ったことがあった時は大体、僕に話がきましたね。足りないシナリオを書くとか(笑)。小太刀さんの場合は、アニメのシリーズ構成と『混沌戦争』のメインシナリオを担当していたので、とにかく量が多くて大変そうでした。
太田:よく話すんですけど、『ケイオスドラゴン』のシナリオをプリントアウトしたらヒジの高さくらいまであるんですよ。
一同:(笑)。
三田:小太刀さんがしょっちゅう「三田さん、終わりません……」と言うので、「頑張ろう! そこはこうすればいいんじゃないかな?」とひたすらアイデア支援を続けていました。そしてしまどりるさんがとにかくイラストを描き続けるという(笑)。
太田:イラストをナンバリングしているんですけど、1,000枚は超えました! 2日で1枚仕上げてもらっていたときもあったなぁ。
遠藤:先週ラフが来て、今週完成版が届くみたいなことがよくありました。しまどりる先生は作業が本当に早いですね。
太田:ボードゲームのイラストをしまどりるさんと一緒に手がけてくださる予定の人気イラストレーター・なぎみそさんもしまどりるさんのことを褒めていましたよ。『混沌戦争』のメインビジュアルをお見せしたら「しまどりるさんはいいですね。普通はあれだけ締切がキツかったら、こんな塗りはしないですよ。もっと手を抜きます」って(笑)。
スケジュールを組んだ時に2日で1枚のハイペースだったので「さすがに僕も編集者の信念を曲げて、すべてにOKを出そう」と思ったんですが、『混沌戦争』のメインビジュアルは1回ボツにしました(笑)。……たぶんまぁいつか彼は、僕のことをすごく恨んで去っていくでしょう。
一同:(爆笑)。
遠藤:ラフが太田さんから送られてきて、メールの文面に「これは僕のほうで直しを入れます」と書いてありました。でもすぐに修正されたラフが送られてきましたから、本当に作業が早いなぁと。
三田:多くの人がかかわっているプロジェクトなので、ある程度遅れてしまうのは仕方ないと個人的には思っていて。だから僕はノベライズ版『ケイオスドラゴン』を先に複数冊分書き終えていて、遅れているところに入ってサポートしていました。
太田:大変だったと思いますが、三田さんと小太刀さんとしまどりるさんがすべての世界観の根幹部分を作ってくださっているので、3つのコンテンツにブレがないんだと思います。
三田:『混沌戦争』では、セガさんもかなり世界観を理解してくださって。背景やデザインなどから『ケイオスドラゴン』の世界を感じられるようになっています。マップを見るだけでも楽しかったですから。
太田:世界旅行している気分を味わえますよね。『ロードス島戦記』の小説を読んだり、コンプティーク誌上でロードス島の地図を見た時のようなワクワク感がありました。
秋山:それは提供していただいた世界観資料の情報量が多かったからできたことだと思いますね。骨子がよくできていたので、それを元にしていろいろと作りやすかったみたいです。
三田:世界観の資料が多すぎて、それがセガさんの負担になっていないか不安だったのですが、そう言ってもらえてホッとしました。
遠藤:各国の世界観がとにかく細かくて。普段食べている物なども設定があったので、それをテキストや背景に生かすこともできました。
秋山:アニメだと小説をどのように映像化するのかという側面が強いですが、ゲームではさまざまな場面があるので作中の生活を形にしないといけないんです。だから細かい設定も決めないといけないので、小太刀さんや三田さんにはムチャクチャなお願いをしたこともありました(笑)。
太田:小説に求められる類の設定と、ゲーム制作に必要な設定は違うので、そこは餅は餅屋でセガさんにお任せできてよかったです。セガネットワークスさん自体は若い会社なんですけど、やはりセガという血脈が流れている会社でしたから安心して任せることができました。アニメも“TOHO animation”というブランド自体は若いのですが、東宝さんはずっと映像を作られていますからこちらも餅は餅屋で。それぞれのメディアのプロが集まって進めているプロジェクトでしたね。
秋山:こういうのってケンカしちゃう場合もあると思うのですが、『ケイオスドラゴン』では互いを尊重し合っている印象を受けました。
三田:それは僕も感じました。
秋山:例えば『混沌戦争』なら、ストーリーを僕らが勝手に考えるわけにはいかないですから、原作を用意していただきましたし。逆にバトル部分などは僕らがこだわったほうがよいものができるだろうと思っていました。
太田:そこはもう、本当に僕らがどうこう言う部分ではなかったので、セガさんなら大丈夫だろうと。
秋山:そういう住み分けがうまくいきましたね。
三田:最初からある程度のビジョンが共有できたところがよかったと思います。
太田:あと、これは遠藤さんが赤字で消しちゃうかもしれませんが(笑)、3社が運命共同体なんですよ。お金の話になるんですけど、ゲームを作る委員会とアニメを作る委員会が、ほぼ同じ構成なんです。だからなおさら三位一体で一丸となって『ケイオスドラゴン』を盛り上げようと、それぞれを応援する雰囲気になりました。
秋山:3社でやることの強みは生かされていますね。ウチはまだまだ他社さんとうまくやることが得意じゃなかったりするので、そこは東宝さんに手伝っていただいたり。話題作りはグッドスマイルカンパニーさんだったり、アイデアの面では星海社さんに考えていただいたり。それぞれの強みを生かしてみんなで相乗りしている感じで、うまくいっていますね。
太田:実は、小太刀さんは最初はこの企画に懐疑的で、よくあるスマホゲームを超えられないんじゃないかと思っていたらしいんです。でもセガさんで、キャラクターが滑らかに動くLive2Dの技術を見せてもらったらテンションが一気に上がって「聞いていた話と全然違う! いい意味で! すごくやる気になりました!!」って(笑)。
秋山:Live2Dを入れるためにイチから作り直した部分もあって、かなり大変でしたけど入れてよかったなと。最終的には主要キャラはすべて動かす予定ですから。
太田:既存のスマホゲームのストーリーパートが“よくできた紙芝居”だとしたら、『ケイオスドラゴン』は少なくとも“よくできた人形劇”には確実になっています。武井さんが描かれたゲルバン一世なんて、動くとさらに迫力が増しますから!
秋山:「コンシューマの技術をどれだけスマホゲームに盛り込めるか?」というムチャをまずはシステム面でやってみて、今度はシナリオ面でムチャをお願いして。組み込んだあとにブラッシュアップしてさらにムチャをしてみようと。ムチャだらけでしたね。
――『ケイオスドラゴン』になったことで婁震戒から婁震華への変更など、いろいろと変わりましたがこれにはどのような理由があったのでしょうか。
三田:アニメを作る段階でかなり悩んだんですよ。例えば『レッドドラゴン』ではプレイヤーとキャラクターの相反を楽しむ部分があったのですが、それをアニメにするのって非常に難しくて。最初の頃は真面目に「アニメでもプレイヤーが出てきて、劇中劇というかアニメ中アニメのキャラクターを操っている」みたいな案も考えていました。
太田:ありとあらゆることを考えましたね。副音声でプレイヤーの発言を流そうかとか、選択肢が画面に出るようにしようかとか。ボツにした中にもおもしろいアイデアはいっぱいあったと思います。
三田:それである時『レッドドラゴン』で婁震戒を担当した虚淵玄さんから「アニメの婁震戒はなにかしら変えてほしい」と、お話があって。恐らく虚淵さん自身は「そのままだと自分に気を使って思い切れないだろうから、名前を一文字変えるなどしてもらえれば」というような意味合いで提案してくださったのだと思うんですが、それで僕らは困ってしまって。「名前を変えたら僕らの中ではパチモンになってしまうよね」と。
太田:それで諦めかけたんですが、三田さんから「女性に変えましょう」と提案されて。最初は「えぇーっ!」ってなりましたが(笑)。
三田:半端に変えるとどうしても偽物な感じが出てしまうんですが、前提になってる部分を大きく変えてしまえば、「婁震戒のエッセンスをもとに再構築したキャラクター」として受け入れてもらえるのではないかと。
太田:そこで1つのコンセプトが生まれて。『レッドドラゴン』はサイコロを振って行動の結果を決めていたわけですが、前提条件を決定するサイコロを振り直したものをアニメでやれば、新たなTRPG感が出るんじゃないかなと。『レッドドラゴン』で読者の方が一番おもしろがってくれていたのは、先が読めない展開でしたから。
だから『ひぐらしのなく頃に』のような、前提条件やダイス目がちょっと変わるだけで物語が大きく変化する、という部分をお見せするのが一番『レッドドラゴン』らしいのかなと。設定が変わっても、キャラクターの心根の部分は『レッドドラゴン』も『ケイオスドラゴン』も同じですから。
三田:どの前提条件を変えるのかは、1カ月くらい悩み倒しましたね。スアローを子どもにしたり、忌ブキを大人にしたり。
太田:しまどりるさんに「みんなのモチベーションが上がるから!」と謎のメインビジュアルを描かせたり。……まだお金払ってないんですけどね。
一同:(爆笑)。
――太田さんヒドイですね!
三田:あのイラスト使わなかったですね(笑)。
太田:1カ月くらい三田さんと悩んだ結果、「忌ブキにすごい能力を持たせて主人公にすると、アニメのシナリオにうまく落とし込めそうですね」という結論に至って。
三田:アニメオリジナルの“友だちを対価に××××能力”というアイデアが出た時に、これでアニメは大丈夫そうだなと。それでスマホゲームとボードゲームはその10年後という設定で世界観を作っていきましょうという流れになりました。
太田:だから虚淵さんの一言から、『ケイオスドラゴン』全体の設定が決まっていった部分はありますね。
――ボードゲーム『覇王春秋』にかかわるスタープレイヤーのオファーは、星海社さんが中心に行われたのでしょうか。
太田:そうですね。セガさんのご意見も伺いつつ、お声掛けさせていただきました。魅力的なメンバーになっていると思います。『レッドドラゴン』から引き続いている部分もあり、新しい部分もあり。
――どのような意図でキャスティングされたのでしょうか?
太田:いちファンとして「この人の作る国家を見てみたい!」と思った方にお願いしました。
秋山:時間はかなりかかりましたよね。
三田:最低でも8カ月はかかりました。
太田:時間はかかりましたが、最終的にはうまくハマってよかったなと。7つの国家も全然かぶってないユニークな国家ばかりですし。その辺は全然狙っていなかったので。
――そうなんですか! カワイイ国家がなかったのでPEACH-PIT先生にお願いしたみたいなことは……?
太田:そういう意図はまったくなかったですし、設定に関してこちらからお願いすることもなかったですね。本当に自由に自分の国家の設定を考えてもらいました。多少のムチャはシステム担当の三輪さんが何とかしてくれると思っていたので。
三田:小太刀さんが「クリエイターなら、一度は無責任に独裁者をしてみたいものですからね」とおもしろいことを言っていました(笑)。皆さんクリエイターなので自分の作品なら好き勝手にできるんですけど、でも物語に対して自分で責任を取らなきゃいけないのが結構大変で。今回は作ってしまったらあとは任せられるので、かなり自由に自分の国家を作れたのだと思います。
太田:あと、武井宏之さんのところへ行く時は緊張しましたね。
三田:でも一番すんなり受けていただけましたね。
太田:武井さんのスタジオって本当にすごくて、『アウトラン』の筐体が置いてあるんですよ。「セガだ!」と思って、これなら行けそうな気がするなと(笑)。
一同:(爆笑)。
太田:武井さんは本当に、男の子がそのまま大人になったような素敵な方でした。男の子の夢しかないような空間で漫画を描かれているんですよ。それで『ケイオスドラゴン』についてお話をしたら「やりましょう」と引き受けてくださって。スタープレイヤーさん同士でも「おもしろそうだからいかがですか?」と説得してくださる方もいらっしゃって、それはありがたかったです。第0回のテストプレイはもう終わっているので、そこで最初の顔合わせを行って、今はお互いに敵意を燃やしている頃だと思います(笑)。
三田:7つの国家の設定がそろった時には、かなりホッとしたのを覚えています。
太田:最初に三田さんと話をした時には「『キングダム』や『ゲーム・オブ・スローンズ』を目指しましょう」と言っていて。2作品ともちょうど7カ国で、それくらい国があるとドラマが生まれやすいよねと。弱い国があっても、そこを潰すと全体の均衡が崩れちゃうから、弱い国なりのロールプレイをすればおもしろくなる、みたいな話をしていました。
――7カ国の設定は、具体的にはどのように考えてもらったのでしょうか?
太田:「自由にやってください」としか言ってないですね。
三田:いやいや、書いてほしい項目をまとめたシートを僕が作りましたよ!
一同:(爆笑)。
三田:ゲームのパラメータがあってそれを規定の数値内で割り振ってもらったり、トップと要人の名前と設定、『混沌戦争』を作られている今井秋芳さんからの要望で国の固有武器についてなど、必要な項目をまとめたシートを僕が作りましたね。
太田:それをスタープレイヤーさんにピピッと送って「あとは自由にやってください」って(笑)。
三田:キャラクター5人と書いたのに、20人くらい作られた方もいましたね(笑)。その大雑把な設定をもらったあとに、作物や風土や気候などの細かい設定は小太刀さんとチーム・バレルロールの方で作ってもらいました。
太田:鋼屋さんもキャラクターが多かったですね。水滸伝みたいなものを目指されたようで。でも1つの国で108人はさすがに出せないだろうと思って途中で止めてもらいました(笑)。
遠藤:現場には毎週のようにたくさんの設定やシナリオやイラストが送られてきたので、「宝物がいっぱいだ!」という気持ちでした。スタープレイヤーさんの作品がドンピシャの世代の人間が多かったですから。
太田:遠藤さんや今井さんから「イラストをプリントアウトしたらみんながのぞいてきます」、「PCの壁紙にしています」といったセガさんの中で盛り上がっている話を聞けて、大変ありがたかったです。そういう話がイラストレーターさんの励みにもなったみたいで。
――『覇王春秋』のリプレイ連載は『レッドドラゴン』のようにWebで公開されるのでしょうか?
太田:そうですね。まずは第0夜と銘打ってテストプレイの模様を掲載する予定です。それを読めば、どんなゲームなのかある程度はわかってもらえると思います。
三田:理想は、第1夜の『覇王春秋』をやる時には、ユーザーの皆さんの応援具合によって各スタープレイヤーの条件が微妙に違うようにしたいですね。
秋山:まずはスタープレイヤーさんの『覇王春秋』リプレイをおもしろいと思ってもらって、次は実際にユーザーさんに『覇王春秋』で遊んでもらって。そこからさらにスタープレイヤーさんたちが『混沌戦争』内で「この資源を集めてきて!」みたいなメッセージを出せるようになると、もっとおもしろくなるだろうなと思っています。
遠藤:国家間戦争については、実装に向けて話し合いを繰り返しています。今まで見たことがないようなシステムになっていて、大変だと思いますがとてもおもしろそうです。
太田:三田さんもスタープレイヤーとして戦うわけですからね。負けられないですよね。
三田:スタープレイヤーの中では一番のスマホゲームファンですからね。
――『覇王春秋』は毎回勝者が決まるまでやるのでしょうか? それとも少しずつ進めていくのでしょうか?
三田:勝者は毎回決まるのですが、だからといって毎回どこかの国が滅ぶわけではないです。
太田:『覇王春秋』の戦争って侵略戦争じゃないんですよ。“War”ではなく“Battle”ですね。
三田:“竜骸”という貴重な資源のある土地が何箇所かあって、毎回その中の1つを7カ国が奪い合うんです。それを何度か行って、最終的にもっとも多くの土地を支配している人が優勝……みたいなイメージです。
太田:しかし『覇王春秋』は、実際になぜ戦争が起こるのかを学ぶには最適のボードゲームになっていますよ。最初はみんな和気藹々と遊んでいて、資源を少しずつ奪い合っているんですが、資源には限りがあるので、最終的には強引に奪うしかないみたいな(笑)。
三田:第0夜では僕がヒドイ目にあいましたからね(笑)。
太田:それぞれの国家が使うカードが大きく異なって戦略もガラッと変わるので、最低でも7回は飽きずに遊べると思います。
秋山:『覇王春秋』まで盛り上げたいですね。
三田:そうですね。スタープレイヤーのゲームがあって、それが『混沌戦争』に連動して、みんながなんとなく『覇王春秋』の内容がわかったタイミングに発売したいなと。
太田:『混沌戦争』内の各国家のシナリオは、端的に言えば各国家の紹介です。どんなキャラクターがいて、どんな問題を抱えているのだろうと。時系列としては『覇王春秋』の開戦前夜なので、最後まで読めば彼らがどんな思いで戦争をするのかがわかります。まずは皆さんが各国家のシナリオを読んで特徴を理解して、好きな国家を作ってもらったくらいで『覇王春秋』との連動を行う予定です。「作家さんのファンだからこの国」ではなく、シナリオを読んだ上でどこに味方するのかを考えておいてもらえるとうれしいですね。
秋山:知り合いと一緒に遊べるから、ある意味では『覇王春秋』が一番おもしろいでしょうね。
三田:『覇王春秋』は太田さんに最初に提案されたとおり、誰でもプレイできる遊びやすいものを目指しました。
太田:でも僕は最初に「誰でも乗れるプリウスを目指しましょう。F1のフェラーリはいろんな意味で心身を消耗するのでもういいです」って言ったのですが、今できあがっているのはプリウスをカリカリにチューンアップした感じで(笑)。
三田:この2年間でボードゲームのトレンドも変化して、長いゲームも許されるようになったので、そのトレンドに適応した結果ですね。
――7カ国もあると『混沌戦争』のシナリオのボリュームも凄そうですね。
太田:最初は「スマホRPGのメインシナリオくらいのボリュームが7つの国家それぞれのシナリオにあったらすごいぞ!」と単純に思っただけなんですけどね。
三田:誰が書くんだって話ですよ(笑)。
太田:子どもの頃から本が大好きなんですけど、終わるのがイヤで。インターネットが出てきた時に「読み物をずっと誰かが提供してくれるなんて夢のようだ!」と思ったくらいです。だから『混沌戦争』で7カ国あったら、とても遊びきれなくて素晴らしいなと。そこにさらにメインシナリオを追加したら8本分になると思って。
三田:メインシナリオが他の国の3倍になるということを、太田さんはまったく考えていなかったわけですが(笑)。
太田:その結果、シナリオがヒジの高さくらいまであるという(笑)。
遠藤:1つの国だけでもゲームが1本作れてしまうくらいのクリエイターさんたちが参加されているので、手前味噌ですがこんなオトクなゲームはないなと思いながら作っています。
太田:スタープレイヤーのファンでゲームを始めた人が、さまざまな国家のシナリオを読んで、別の方のファンにもなってくれたらうれしいですよね。武井さんのファンが大蘭國のシナリオを読んで「スゲーおもしれー! 黒扇妃ちゃん好き好き大好き超愛してる!」みたいな。
一同:(爆笑)。
秋山:国が7つもあって全体の整合性もとらなきゃいけないので本当に大変だと思いますが、その辺は今井さんがこだわってやってくれています。
三田:細かいところまで気にしてくださるんですよ。スマホゲームだとガチャでキャラクターがいつ手に入るのかわからないので、時系列は気にしないことも多いのですが、『ケイオスドラゴン』ではその辺りも今井さんがチェックして、可能な限り矛盾を減らすようにできています。
秋山:当初は「シナリオまで書いてもらうのは大変だと思うので、それはウチで書きましょうか」という話もあったのですが、皆さん自ら書きたいとおっしゃってくださって。ここまでシナリオにこだわるのって、やはりちゃんとしたRPGを作りたいからなんです。そう思った時に「これは今井さんにお願いするのがいいだろう」と。
――そもそも今井秋芳監督が『混沌戦争』の制作に参加されたことにはどのような経緯があったのでしょうか?
秋山:参加メンバー的に、世界観やシナリオはかなり深いものになるだろうと予想できたので、僕の知り合いの中で一番の適任者だった今井さんを誘いました。クリエイターの中では1、2を争うくらいシナリオにこだわっている人なので、全部お任せしたら、すごくこだわってくれるだろうと。今井さん自身も「ぜひ」ということで参加していただけました。それで実際に作業に入ったら案の定かなり大変で「今井さん倒れないでね」みたいな話も出るくらいで。でも現時点ではなんとかやりきってくれていますね。
――実際に今井監督とお仕事をされて「さすがだ!」と思ったのはどのような部分でしょうか?
遠藤:世界観に対するこだわりは本当にすごいです。丁寧ですし、細かい部分も見落とさないですし。
太田:今井さんからの報告で矛盾点が見つかって、シナリオを修正したことも何度もありましたからね。あとセガさんの人って皆さん“アッパー系”なんですが、今井さんはそれに輪をかけてアッパー系なんですよ。例えば主人公は装備品の過去の記憶を探れる能力を持っているのですが、それで10年前のアニメの世界のサイドストーリーを描こうという話になって。でもよく考えたら、それをやるには10年前のキャラの立ち絵を用意しないといけないんです。「このキャラクターは、1つのシナリオにしか登場しないのに立ち絵用意しないとダメなの?」みたいな(笑)。
三田:そうなんですよね(笑)。
太田:そういうイラストが何枚もあって、今井さんに送ったら「これだけあったら10年前のシーンだけでシナリオをたくさん作れますね!」ってうれしそうな返信があって。さすがに返事しなかったですよ(笑)。
一同:(爆笑)。
遠藤:今年の5月くらいに新しいキャラクターのイラストが10枚くらい増えて、急いで音声の収録などをしましたね。
太田:音声も「スマホゲームだったら一言二言でしょ?」ってみんな思っているでしょ? ……1人につき数十パターンもあるんですよ(笑)。
三田:全部監修しましたね。多かったなぁ(笑)。『混沌戦争』で初めて登場するキャラクターは脚本どうりで大丈夫なんですが、アニメにも登場しているキャラクターの場合は整合性をとらなきゃいけないですからね。
太田:必殺技だけでも3パターンもあるんですから! あるキャラクターの音声について「このキャラクターは、シナリオが進んでいくと死んじゃうんですけど……」と言ったら、「何があるかわからないからとにかく収録しておいたほうがいいんです。録りたいんです」って。それなら仕方ないなと(笑)。
でもよくよく考えたら『混沌戦争』の世界は時空が捻じ曲がる設定があるので、『赤竜戦役』で死ぬキャラクターでもパラレルワールドからやってきたみたいな感じで使えるから、音声収録は確かにしておいてよかったなとあとで納得しました。
秋山:たくさん収録した音声は、シナリオにハマっていましたね。だから何かするたびにキャラクターがひんぱんにしゃべります。サブキャラクターの音声も順次実装していきます。SEにもこだわっているので、やはり“世界観の体験”という部分には相当力が入っていますね。
太田:これは人形劇じゃなくて、もしかすると演劇までいくかもしれませんね。
遠藤:僕が一番ビックリしたのは、秋山さんと話している時に、秋山さんのスマホから「AP回復したよ!」って音声で通知が来たことです!
太田:しかもいろんなキャラクターの通知音声があるんですよ!
秋山:今後の展開がいろいろと考えられるので、それも含めて音声については録れるものは録ってしまおうと。ただ、作るのは大変なので、実装時期はまだ未定です。
――主人公が装備の記憶を読み取れるという設定は今井監督の発案でしょうか?
秋山:はい。ゲームとしてのおもしろさと、アニメとの連動を考えた時、過去にアプローチできる手段が欲しいねということになって。だから主人公が過去の記憶を読み取れるようになったのですが、それによって立ち絵やシナリオなど必要なものがたくさん増えました(笑)。
三田:いまさらですけど、3年前くらいにしておけば同じ立ち絵を使えたかもしれませんね。
太田:僕もゲームの開発にご協力するのは初めての経験で、シナリオを担当される方にも小説家の方がいらっしゃって。だから小説的に次々とモブキャラを出しちゃって「絵がないので……」と怒られたりもしました(笑)。いろいろと勉強になりましたね。
秋山:あれは想定外でしたね(笑)。
太田:装備については着せ替えの要素もあるんですけど、そこがとてもおもしろくなっていて。特殊効果の組み合わせを考えたり、カッコいいコーディネートを探したりと、さまざまな楽しみ方ができるんです。
それに『赤竜戦役』の1話を見ると忌ブキくんの頭巾がもらえましたよね。同じ時間帯にアニメを見た人たちが、そのままの流れでゲームを遊んで盛り上がれる仕組みにしたいなと。そういう意図があって、放送日やネットでの配信日はほとんど横並びになっています。この辺は東宝さんのパワーを感じましたね。少し早めの時間帯に放送されることも、見終わったあとに『混沌戦争』で遊んでもらうための配慮です。
三田:だからTOKYO MXだと22時30分から放送なんですね。
秋山:アニメの時間帯を早めることは、こちらからもお願いしたことでしたね。ちょうどアプリの稼働率が高い時間帯なんですよ。僕や今井さんの目標は『ケイオスドラゴン』の世界観を100%再現することなので、アニメを見た直後に「このキャラクターってどうなったんだろう?」と10年後が舞台の『混沌戦争』を遊んでもらいたくて。
太田:『赤竜戦役』は1話から全力疾走で、いろいろと大変なアニメになっているのでこちらもぜひ毎週見てもらいたいですね。忌ブキくんはどれだけつらく苦しい目にあってしまうのか……。
三田:何人生き残るのか、危機感を持ちながら見ていただきたいです(笑)。
太田:アニメを見ながらゲームをして「10年でこのキャラクターに何があったんだ!」といろいろと妄想してもらえるとおもしろいと思います。10年の間に死んでしまって出てこないキャラクターもいますからね……。
秋山:10年間ってちょうどいいですね。想像できそうなくらいで。
三田:そうなんですよ。そこを基準に考えました。
太田:10年あればビジュアルも変わりますからね。
三田:手間的にはビジュアルは変えたくないんですけど、変わるほうがおもしろいというジレンマですね。
太田:アニメとの連動でもらえる装備はいろいろとあるので、そこにも注目してもらいたいですね。
――『混沌戦争』はかなりのボリュームのようですが、コアなプレイヤーでもそう簡単には遊び尽くせないようになっているのでしょうか?
秋山:そもそもゲームのイベントやシステムが、すべてメインシナリオに紐付いて遊べるようしています。今回目指したことの1つは、運営のイベントをメインシナリオの一部として違和感なく遊べるようにすることなので。
太田:でも、『混沌戦争』のリリース前に秋山さんから「シナリオがすごくおもしろいから、駆け抜ける人は2週間くらいですべて終えてしまうかも」という言葉を聞いて絶望しましたよ。「去年の年末に死ぬ思いをしてシナリオをまとめたのに、たったの2週間か!」って(笑)。あの時は小太刀さんもヤバそうでした……。
三田:コアな人は本当にすごい勢いで遊びますからね。たとえシナリオがヒジの高さまであろうとも(笑)。
遠藤:先が気になるシナリオばかりなので「続きが読みたい!」と、どんどん遊んじゃうユーザーさんが多く、シナリオの追加を急ピッチで進めています。
――秋山さんと遠藤さんが『混沌戦争』を制作する上で『ケイオスドラゴン』らしさを出すために、特に力を入れた部分はどこでしょうか。
秋山:やはり世界観ですね。あとはキャラクターが本当に生きているように思えること。さらにプレイヤーがロールプレイしながら、成長したり嫌われたりなどいろいろな変化があって、結果的に自分がその世界で生きていると実感できるものを目指しました。それが客観的に何かで表現されていて、それを見ても「この世界で生きていたんだな」と思えるようなものを、ゲームの仕組みの中で表現したいなと。
ゲームシステムとしてはRPGなんですが、コンシューマゲームでは本来はそこまで細かく表現ができていたと思うので、それをスマホゲームの中に盛り込んで最大限やってみるというのがチャレンジでしたね。
遠藤:僕は元々、秋山の下でオンラインゲームを運営していました。その時にGMイベントとして、特定の場所にモンスターを大量に出現させるなど、いろいろなことをバンバンやっていた時期があって。
今回『ケイオスドラゴン』を作ることになって、秋山から「あの頃、GMイベントでやっていたようなことをスマホゲームでできたらおもしろいと思わない?」と言われて、その仕組みを今井さんと相談して作り上げました。
だからシナリオやシステムのおもしろさはもちろんですが、運営の部分でもおもしろさを表現していきたいと思っています。そのための仕組みもいろいろと用意してあるので、今後のイベントにはご期待ください。
太田:国家間戦争の仕組みや『覇王春秋』連動など、まだまだ詰めていかなきゃいけないことはあるんですけど、それらがうまくハマったら『混沌戦争』でなければできない体験を与えられると思います。
秋山:『混沌戦争』というか『ケイオスドラゴン』じゃないとできない体験ですよね。アニメとボードゲームがあるからこその、唯一無二の体験だと思います。
太田:アニメが続いている間に『混沌戦争』のシナリオも進んでいって、10年間の空白の歴史を考えるみたいなことも、普通はできないですからね。これから僕たちが想像もしていないような不備が出てくる可能性もありますけど、チャレンジした上での不備だったら、このプロジェクトなら仕方ないだろうと思っているんですよね。だから前のめりな失敗はしでかしちゃうと思うんですけど、お叱りをいただきつつ、許してもいただければなと、先に謝っておきます。
一同:(笑)。
三田:謝るの早いなー(笑)。
太田:うまくハマるところももちろん出てくると思います。アニメを見終わったあとに何万人かがアクセスして忌ブキの頭巾を手に入れて、同じタイミングでSNSに頭巾のスクショが上がったりして。それを見て「この世界で冒険しているのは自分だけじゃないんだ」とみんなに思ってもらえるというのは、MMORPGみたいな部分が少しありましたよね。『覇王春秋』とも何回かうまくハマってくれたらいいんですけど。あと、今回はセガのキャスティング担当さんのキャスティング能力が神懸かっていましたね。
秋山:声優さんのことよく知っているんですよ。
太田:イラストレーターさんに聞いたら「ちょうどイメージしていた人でした!」と答える方が何人もいて。
遠藤:スマホゲーム史上、最多の声優さんが参加されているかもしれないです。兼役もほとんどありませんし。
三田:僕はゲルバン一世の銀河万丈さんがメッチャうれしかったです。
遠藤:ゲルバン一世は銀河さんしかいないと、キャスティング担当も言っていました。
太田:シナリオを読み込んで、かなりこだわったキャスティングを考えてくれました。
秋山:いい意味で……いや悪い意味でのセガの人間ですね(笑)。
一同:(笑)。
三田:“セガらしさ”というのがインタビュー中で何度も出てきますね(笑)。
太田:なんでこの人たちはいつもこんなにアッパー系なんだろうって不思議に思いますからね(笑)。
――お話は尽きないのですが、最後に一言ずつ読者にメッセージをお願いします。
遠藤:『混沌戦争』は“ゲームらしさ”にこだわった作品です。コンシューマゲームが好きなコアなユーザーさんが遊んでも満足できるタイトルになっていますので、ぜひ一度プレイして「スマホでここまでできるようになったのか!」と思ってもらいたいです。
三田:元々はたった5人に向けて作られた『レッドドラゴン』というゲームが、今は40万DL達成という数字にまで膨れ上がりました。これからボードゲームの連載や、アニメの最終回に合わせてもっと増えていくと思います。これを読んでいる方も、『ケイオスドラゴン』の世界に足を踏み入れてほしいですね。
秋山:今思うと、たぶん太田さんがいなかったら実現しなかった企画だろうなと。そこにみんなが集まって、みんなでおもしろいことを追求した結果が『ケイオスドラゴン』なので、ぜひ参加してもらいたいなと思います。
太田:『ケイオスドラゴン』については時々、「夢みたいだな」と思うことがあるんですよ。東宝さんとセガさんという、イチ視聴者、イチゲーマーとしてファンだったところと、たくさんの才能と一緒に仕事ができているのが本当に夢みたいだなと。夢見心地みたいなところを現実に落とし込んでいかないといけないんですが、「夢みたいだな」という気持ちは大事にしようと。そうしないと心が持たない(笑)。
一同:(笑)。
太田:いろいろあるんですよ。でもやっぱり「夢みたいなことが実際にやれているんだから多少の苦労はまあいいか」と思いながら、プロジェクトを前に進めていければいいなと。あと真面目な話をすると、アニメを見たりスマホゲームで遊ぶ若い層の人たちに、『ケイオスドラゴン』というフィクションを通して現実世界の問題について考えてもらえると個人的にはうれしいですね。
(C)SEGA (C)STAR SEAS COMPANY /「ケイオスドラゴン混沌戦争」製作委員会
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