2015年9月19日(土)
インディー(意味のないあいさつ)! みなさん、こんにちは! 電撃PSのインディーゲーム担当ライター・まさんです。今年も、いよいよ東京ゲームショウの季節がやってまいりました。
9月17日から9月20日の4日間(17、18日はビジネスデイ)にかけて、千葉県の幕張メッセで開催されているTGS2015。ここでは、メジャーなゲームはもちろん、インディーゲームも多数出展されていて、まさに最新ゲームのお祭りといった刺激的なイベントが楽しめます。
というわけで、今回は一般日にインディーコーナーへ訪れるみなさんのために、個人的に気になった最新タイトルをピックアップ! 19日と20日の一般日を訪れる人は、ぜひ、ここで紹介するゲームを遊んでみてください。
まず最初は、今冬にSteamでの配信が決まった『BACK IN 1995』から紹介していきましょう。このゲームは、あえて1995年のポリゴン黎明期に出たゲーム風の作品に仕上げているという独特な作品です。粗いポリゴンにラジコン操作の不自由な操作性。凶悪な敵と戦いながら探索していくというプレイ感は、まさんに往年の次世代機戦争時代に出た作品といった感じ。
ドット絵ではなく、あえて3Dのレトロゲームという発想もスゴイですが、作り自体も徹底的にこだわってます。今回のバージョンでは、体力が減ってくるとメニュー画面のウインドウが徐々に赤くなって主人公の消耗度が見た目でわかったり、回復薬が追加されていたりと、90年代の雰囲気を再現しつつもいろいろな改良点が目につきました。
たとえ、回復薬があっても操作性と相まって難易度が高く、そういった意味でも90年代のアクションアドベンチャー臭がムンムン。うまく操作できなくて、壁に体をガリガリガリガリって押し付けながら歩いたり、ボコボコ殴られながら後退して死んだりするあの感覚ですよ。
3DOで『アローン・イン・ザ・ダーク』を遊んでいた世代や初代PSで『バイオハザード』を遊んでいた世代なら、懐かしさとともに「そういえば、こういうゲームって最近全然出てないな……」という不思議な気持ちになれると思います。まさに、夢で終わらせないって感じの作り込みに期待です。
韓国のQuattroGearが製作している美しいビジュアルの横スクロールアクション。東京インディーフェスでも出店されていたゲームですが、PS4とXbox oneで今冬に配信される予定とのことで、その時点よりも完成度が高くなっているように感じました。
白黒を基調にしたクラシックな雰囲気が心地よく、敵も味方も細部まで描かれたグラフィックが目をひくゲームです。アクションとしてもカクッと動く攻撃の感覚が非常に独特。製作者たちが“好き”なことが伝わってくる作り込みで、完成が楽しみな作品でした。
今回のTGSでイチオシだったのが、この作品。ディストピアな近未来のバーテンダーになり、バーに来る客に酒を出しつつ、軽妙洒脱な会話を楽しむゲームです。開発はベネズエラの方だそうですが、日本人ならクスッとくるネタも多く仕込まれていて、本当に海外製かと疑ってしまうほど。
海外では今冬にPCとPS Vita、iOSで配信。日本ではそれより数カ月遅れた2016年発売になるそうですが、TGSバージョンをプレイした限り、PLAYISMさんによる日本語訳も完璧なので期待して待てそうです。
ちなみに、自分は個人的にプロローグ版を購入していたのですが、そのバージョンよりも断然遊びやすくなっていました。レシピ検索から酒の名前や味を検索して作り方を参照し、お客の好みに合ったものを出していくシステムが楽しく、何よりもキャラクターが魅力的なんですよ。
たとえば、今回、登場する客のストリーミング=チャンは、重度のニコ生(っぽい劇中の動画サイト)の配信者。彼女が登場すると画面をニコ生風のコメントが走り、いろいろと危ない発現が飛び交います。視聴者に受けるために行動する彼女と、飛んでくるコメントの内容も皮肉で秀逸。彼女に楽しく酒を振る舞っているだけで、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
ちなみに、基本的には客の望んだお酒を出していくゲームですが、違う酒を出すことで物語が分岐していくようです。日本のユーザーにも間違いなく受け入れられるアニメ的なキャラクターに、ハードなSFの世界観。
▲“シュガー・ラッシュ”を作るチュートリアル。ここで“ピアノ・マン”を作るとチュートリアルがカットされて次の場面へ飛びます。このように、選んだ酒で分岐するシステムが特徴的です。 |
ギャグもありつつ、しっとりとした大人の雰囲気に満ちていて、個人的に発売されたら絶対買います!
▲ストリーミング=チャンかわいい! 口をとがらせる表情もあって、クルクル変わる表情と会話にシビれます。視聴者数を増やすためにすぐ脱ぎたがったり、プレミアム会員の宣伝を突然始めたりと、話すネタがいちいちヤバめ! 個性的なキャラクターばかりで、早くいろいろな客と会話したいです。 |
今回、インディーコーナーをめぐっていて気が付いたのが、東アジアの出展が多いこと。とくに韓国、中国、台湾などの方々が出展しているゲームは、見た目もノリも日本のゲームそのもので驚きました。
これは、同じアジアということで、似たようなゲーム文化に触れる機会が多いということなのかもしれませんね。そのなかでも、ひと際目立ったのがPCの『美好世界』です。
内容は、ザッピングで物語を読み進めていく形式のサウンドノベル。結末が不幸になってしまうキャラクターの手紙を読み進めて行き、文章を入れ替えることでその後の展開を改変。運命を変えていくというシステムになっています。
他人の手紙とも入れ替えることが可能で、複数の手紙を入れ替えていくことで物語が大きく変化していくのが特徴。失敗した場合のテキストもあり、何度もリトライできるのでいろいろ試したくなります。日本語版も遊べるのですが、翻訳が少し残念だったのは気になるところ。ですが、ゲームシステム自体が非常におもしろく、先が気になる作品でした。
リズムゲームとレースゲームが融合した気持ちよい作品。宇宙カブトムシ“Thumper”を操り、リズムに合わせてボタンを押すことでコーナーを曲がったり、スピードが上がったりするシンプルなゲーム性ですが、激しいサウンドと光を駆使した映像が非常に刺激的です。
ちなみに、今回はデベロッパーのMARC FLURYさんにお話をうかがうことができました。以下に掲載しておきますので、そちらも合わせてどうぞ。
──このゲームは普通のレースゲームとは異なり、音楽と光が重要なものとなっています。どのようなコンセプトで作られたのでしょうか?
このゲームの前にも『ハーモニクス』というリズムゲームを作っていたのですが、余計な物を排除した状態で操作感をみがきあげたシンプルな作品を仕上げたかったんですよ。ですから、まずはビートに合わせていくことと、シンプルにすることが一番最初のコンセプトでした。
──エンドレスで続くゲームのようにも見えますが、ステージには区切りがあるのでしょうか?
今回お見せできるデモは、1つのレベルにすぎません。レベルごとに16個のステージがあり、最後にあるボス戦をクリアすることで、その次のレベルに行くステージ構成になっています。レベル自体も全部で15レベルありますので、ボリュームはかなり多くなるのではないでしょうか?
──日本以外でも出展されていたようですが、海外での反応はどんな感じでしたか?
アメリカとヨーロッパはとがった物やユニークな物が好まれるマーケットだったので、彼らの間では良好でポジティブな反応が多かったです。日本はリズムゲーム自体がポピュラーなジャンルなので、この機会に自分たちのゲームをお客さんが楽しんでくれたらいいな、と考えています。
──発売日は具体的にどれくらいになりそうですか?
まだ決定的なことは言えませんが、2016年の上半期を狙っています。
──リズムゲームは静止画だと魅力が伝わりにくい作品ですが、動画配信などは考えていらっしゃいますか?
去年の2月にリリースしたトレーラーは、説明文を一切抜きにしてゲームのムードだけが伝わるようなものだったのですが、それが実際日本市場で通用するかどうかはわかっていませんし、トレーラー自体もアップデートしたいと考えています。
──現状だと操作自体はシンプルですが、複雑な組み合わせなども出てくるのでしょうか?
このデモでは、3つの操作が体験できます。まず、マーカーに合わせてタイミングよく押す基本操作。障害物があるところで押すと障害物を進んでいく“スライド”。もう1つがコーナーを曲がるような“ターン”です。
これ以外にも、ステージを進めて行くことによって操作は複雑になっていきます。たとえば、道が広くなって幅広く操作ができるようになったり、急降下をして、ものすごいスピードでまっすぐ進むような新しい操作が少しずつ増えていくような仕組みになっています。
──最後に、日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。
日本のリズムゲームは素晴らしいものが多く、それらにインスパイアされて自分たちはこのゲームを作りはじめました。オマージュ的な物を作るのではなく、新しい物を作るというコンセプトの中で、我々らしさを表現しています。日本の方にも気に入っていただけたら、非常に光栄です。
いかがだったでしょうか。一口にインディーゲームと言っても、まったく違う作品ばかりだったと思います。会場には、ほかにも大手のインティ・クリエイツや技術デモ的な出展などもあって見どころ満載。1日いても飽きませんよ!
▲学術研究的な変わったコーナーも。『Shadow Shooter』は、プロジェクトマッピングで360度の空間に映像を映し出して矢を撃てる作品です。位置情報と天候が反映されるコーナーや、タブレットとスマホで縦と横の空間を別々に映すコーナーなど、ちょっとワクワクする物も。 |
なお、インディーゲームコーナーは1-8ホール(受付があるほう)ではなく、その隣の国際展示場9-11ホールになっています。インディーゲームを遊びたい人は、間違いやすいので気を付けてくださいね。
■東京ゲームショウ2015 開催概要
【開催期間】
ビジネスデイ……2015年9月17日~18日 各日10:00~17:00
一般公開日……2015年9月19日~20日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込)
※小学生以下は無料