2015年9月19日(土)

PS Vita版『YU-NO』レビュー。刷新されつつ、基本的なシステムは踏襲されている【TGS2015】

文:電撃オンライン

 1996年PCで発売されたSFアドベンチャーゲーム『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO(YU-NO)』がリメイクされPS4/PS Vitaで2016年2月18日に発売となる。

『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』

 東京ゲームショウ2015のセガゲームスブースでは本日試遊が解禁となった。往年の名作がどのように進化したのか、PS Vita版のレビューをお届けする。

基本的なシステムは踏襲されている

そもそもがアドベンチャーゲームであることから、画面内のカーソルの移動などは、十字ボタンとアナログスティックの両対応。R1ボタンでスキップ、○ボタンが決定、×ボタンキャンセル、△ボタンがバックログとここら辺のインターフェイスは昨今のADVでおなじみのもの(TGS2015版ではバックログは未実装)。

『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』
▲試遊版では未実装だったが、タッチスクリーンに対応させる予定もあるらしい。

 本作のキモであったオート分岐マッピングシステムはもちろん搭載されているが、それにともなったシナリオの大きな変更は行わないとのことだ。

 BGMはにぎやかな会場のためちゃんと確認できてていないのだが、おそらくセガサターン版と同様PCMである。往年のファンには懐かしいが、新規のファンには少々音色が淋しく感じられるかもしれない。

 その代わりと言ってはなんだが、キャラクターはフルボイスで、収録音声も十分なデータ容量が確保されているらしく、ノイズなどなくクリアであった。

『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』
▲グラフィックと音声部分の刷新以外は元の作品通りのようだ。

グラフィックも大幅に向上し、没入感も上がった

 そもそもPC-98版は16色CGであり、CD-ROM版と同時にフロッピー版もリリースされていたという時代背景から、グラフィックが向上しているのは言うまでもない。

 セガサターン版でグラフィックが一新されたが、そのサターン版と比べても当時がブラウン管モニタであったことを鑑みれば、色にじみもなく高精細でクリアな画像になっている。

 特に背景の描きこみはしっかりなされており、原作の雰囲気を残しながら、グラフィックの情報が増えたのはうれしいことだ。

『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』
▲キャラクターデザインはアニメーター長岡康史氏から『アルトネリコ』などで知られる凪良氏になった。また、背景の精細さはかなりのもの。PS4版のグラフィックも早く見てみたいものだ。

●オープニングは佐々木恵梨さんが担当

 試遊は、ひと通りの宝玉シナリオを見てオープニングが流れたところで終了となるが、このオープニングを歌うのが『プラスティック・メモリーズ』のオープニング『Ring of Fortune』でデビューしたシンガーソングライター佐々木恵梨さん。

 『プラスティック・メモリーズ』のセンチメンタルな作品世界と見事にリンクする彼女の歌声は、やはり『YU-NO』の世界観ともキレイに合致する。

『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』
▲サターン版でもアニメーションしていたが、なんというか隔世の感である。

20年の時を越えて……

 今回の『YU-NO』のリメイクで何が感慨深いかといえば、当時コンシューマ機ではセガサターンでしか発売されなかったものがSCEハードで遊べるようになったということだ。

 当時プレイステーション専門誌に身を置いていたが、読者の移植要望が特に強い作品であったことを今でもよく覚えている。20年の時を経てあの時のファンの願いが叶ったことがうれしくもあり、ぜひ往年のファンに改めて遊んでほしいと思う。

 そして新規のファンには、残念ながら2011年にこの世を去った菅野ひろゆき氏の遺した、色あせない物語を新たに体験してもらいたい。

■東京ゲームショウ2015 開催概要
【開催期間】
 ビジネスデイ……2015年9月17日~18日 各日10:00~17:00
 一般公開日……2015年9月19日~20日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込)
※小学生以下は無料

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