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2015年10月2日(金)

『World of Tanks BLITZ』インタビュー。PC版では通らないような企画もどんどんやります

文:田中尚道

 サービスインから1年3か月、順調にユーザーを増やしているiOS/Android用アプリゲーム『World of Tanks BLITZ』(以下BLITZ)。2016年に向けてさまざまな施策を検討中だという本作について、ソーシャルゲームならではの展開などをウォーゲーミングアジア プロデューサー コチョール・オザン氏に語っていただいた。

『WoT BLITZ』
▲10数年は日本にいるので日本語がペラペラなコチョール・オザン氏。

モバイルという特性を生かして

――『BLITZ』のサービスインから1年3カ月が経過しましたが、現在どれくらいのユーザーがいるのでしょうか?

 おかげさまで全世界で2500万ユーザーがプレイしていまして、その中でも日本のユーザーはかなり多いです。アジア地域で見ると、日本はトップのプレイヤー数です。課金ベースで見ると世界3位。アジアでは30から40%くらいが日本のユーザーです。

――キスリー氏に日本のプレミアム戦車と年内に日本戦車ツリーが実装されるとうかがいました。この他に日本向けの施策はどのようなものがあるのでしょう?

 ゲームショウに合わせて日本の3式戦車チヌ改(Shinobi)をプレミアム戦車として実装いたしました。実際にあるチヌ改の見た目を忍者風にしたものですが、これが日本ツリー実装の第一歩としてのリリースです。そしてゲームショウのステージでも発表しましたが、日本戦車ツリーを12月中に実装します。

――日本戦車のツリーはPC版の初期と同じですよね。

 そうですね。現在、PC版では重戦車のツリーがありますが、それ以外の初期ツリーと同じです。これに2両のプレミアム戦車を考えています。PCでは最初にアジアのツリーとして中国があったのですが、『BLITZ』では、日本のプレイヤーに好評をいただいているので、恩返しの意味も込めまして日本戦車を先に実装します。

 この他に“Rise of Continents”というイベントを近日行いますが、これはWargaming始まって以来の試みで、リージョン同士が競い合うものです。競うのはアジア、アメリカ、ヨーロッパ、ロシアの各リージョン。どのように競うかと言うと、同じサーバーで戦い合うわけではなく、KPI(Key Performance Indicator)という目標を設定して、直近3カ月間のアベレージを見て、それがどれくらい上手くできたかでポイントをつけてランキング化するものです。

『WoT BLITZ』
▲4週間かけてリージョン同士が競い合う“RISE OF CONTINETS”。リージョンという大きなくくりでのイベントは『BLITZ』が初となる。

 そのための特設サイトも作りまして、ここにすべて書いてあります。リアルの商品もあり、一番成績のいいプレイヤーさんには、グローバルスポンサーであるゼンハイザーさんのヘッドセット一式が商品となります。

 この他に4週間の成績を見て豪華なプレゼントを用意しております。これは参加されたプレイヤーすべてにプレゼントするものです。参加の条件は100バトル以上かつ20日以上のプレイをすることですが、自分のリージョンが優勝すればプレミアムアカウント2週間をプレゼントします。

 KPIは毎日確認できる仕組みになっていて、前日の成績を確認できますから、リージョンを優勝に導くには多くのプレイをしていただく必要がありますが、それ以上に条件を考慮する戦略が必要になってきます。ですから、アジアリージョンの司令官である私がフォーラムやSNSなどで指示や情報を提供していきます。

 さらにアジアだけですが、バックアップスポンサーもついているんです。弊社とよくコラボレーションしているブランドですが、日本人のためにスポンサーになって、さらに賞品の提供をしてくれています。9月24日に発表予定ですので、楽しみにお待ちください。

 このイベントですが、各リージョンのプロデューサー同士がお互いに牽制しあっていて、それぞれどういうことをするのか、まったく共有していないんですよ(笑)。お互いに勝つ気満々で競い合っている状態ですね。これはコンセプトとしておもしろい試みだと思っていて、今までPC版の『WoT』ではやったことのないことでも『BLITZ』だからこそできると思っています。

●“RISE OF CONTENTS”プロモーション動画

 『BLITZ』のチームはもともとモバイルメーカーから来ているスタッフで構成されているので、モバイルに合う企画はみんながやりたがってます。目標としては『BLITZ』にアイデンティティを持たせてあげたい。PC版とは全く違う方向性に行きたいと考えています。実装されたShinobi戦車もそのひとつです。こういう戦車、PC版ではありえないですよね。

――そうですね。PC版は史実にあったもののみを実装すると伺ってます。

 今回はいかにもアメリカな派手な戦車も実装してますし、デザイン化されたモバイル向けのコンテンツをどんどん出していきたいですね。10月にはお化けが出る時期ですから、おもしろい戦車をリリースします。これもPC版では絶対にありえない戦車ですよ。

――それはパンプキン的な感じなのでしょうか?

 その程度だと、普通に予想できちゃうじゃないですか(笑)。おそらくみなさんが思いつかないものになると思います。そして、入手方法もこれまでと異なってまして、完全に無課金でも入手可能です。『BLITZ』では、こうしたまったく違うコンセプトで戦車を増やそうと思っています。

 あと、PC版で実装している重要な要素に最近だと“クラン”が増えましたが、クランウォーズも2016年には『BLITZ』に実装します。その他はeスポーツ的な要素ですね。リクエストが多いのでモバイルeスポーツに挑戦したいです。昨年から弊社のキスリーが「モバイルeスポーツ!」と言っていますしね。ですから2016年にはオリジナルのものと、PC版の代表的な機能を実装していきます。

ソーシャルな関係性を強化する

――キスリー氏がPC版もeスポーツとして展開していくとおっしゃってましたが、全社挙げてeスポーツ方面に向かわれるのでしょうか?

 私が望んでいるのはバリバリのeスポーツではないんです。私はみんなで集まって外で気軽に『BLITZ』を遊んでほしいんです。集まってその場でマッチングさせる機能が『BLITZ』に実装されていないのが本当に残念なのですが……。

 この機能が実装されたら、そのために自分のプライベートルームを作って遊んでほしい。モバイルゲームはソーシャルですから、集まったとしても同じ戦闘に出られるかわからない現在のシステムはちょっと残念ですね。ですから、来年はそういったシステムを実装します。

 実装後はコミュニティアクティビティを強化して、ゲーム大会を開くなどをして徐々にeスポーツに近づきたいと思っています。また、アジアだけの取り組みですが、プレイヤーが自分たちで大会を開催したければ、登録フォームに記載していただくと我々がサポートするということを“BLITZ Action”という名称でやっています。

 このサポートで何が得られるのかというと、ポータルにその大会の情報を掲載したり、告知のお手伝いをしたり、こちらから賞品を提供したり、さらに必要であればコミュニティスタッフを派遣したりということです。

『WoT BLITZ』
▲“BLITZ Action”は、よりソーシャルな展開を模索する『BLITZ』ならではの施策。レギュレーションの確認や大会の開催の申し込みなどはフォーラムから行うことができる。

 ゲーム内でコミュニティ対戦機能がないので、それが実装されるまでの間はみんなでコミュニティを作ってくださいというのが、こちらからお願いしたいことになります。BLITZ Actionはまだ始まったばかりのサービスですが、皆さんが使ってくだされば、来年の大会がもうちょっと楽になるかなと思っています。

――日本人はシャイなので、敵味方すべて知っている人でプレイしたいと思っている方もいると思うんです。そういうプレイにも対応できるのでしょうか。

 そうですね。でも、例えばショップの前ですれ違い通信したりして、そこで友達になっているということもあると思うんですよ。Wargamingはおもしろい会社で、『BLITZ』でもアクティブなプレイヤーの社員が多いんです。それにPC版が未プレイで、『BLITZ』からという人も結構います。そういう人が柱になって、こういったことにどんどん挑戦してほしいなと思います。

 他社でも同じようなシステムのゲームがありますが、メーカーのサポートがあるタイトルはほぼありません。しかし、我々はそこをサポートします。今でもコミュニティコンバットや小隊を組んだり、弊社スタッフとプレイしたりするユーザーも多いですし、こういったコミュニティはアジアで特にたくさんやってます。

 それにこれもすごく重要なことですが、まごいちさんというプレイヤーがYouTubeにプレイ動画を上げてくれています。この方に『BLITZ』をレビューしていただいたり、戦車の解説をしていただいたりしています。我々は、こういったユーザーのために開発中のバージョンを一足先にプレイしてもらうなど、とても近い関係性でやり取りをしています。私がスカイプで直接連絡を取ることがあるくらいです。もちろん、そういった場合はNDA(秘密保持契約)を結んでもらっていますけどね。

 そういうやり取りの中で、おもしろいコンテンツだったり、プレイヤーさんとの触れ合いを強化していきたいと思っています。ユーザーさんと近い運営というのを目指していて、それはPC版の運営とは一線を画するところですね。

ビッグなコラボ―レションも計画中

――なるほど。ちなみにいろいろなコラボレーションも計画中と伺いましたが、どのようなことをお考えですか?

 1つはグローバルで展開するものですが、日本のパートナーです。

――それは作品とでしょうか?

 (苦笑)。2カ月後くらいですね、11月に発表します。

――年内に実装されるものでしょうか?

 そうですね。このコラボは発表してすぐに実装します。これもPC版ではできないことですね。ちなみに、他リージョンのモバイルのプロデューサーに話をしたら、興味を持ってもらえたので、このコラボはグローバルで展開されることになりました。でも、同じことをPC版のプロデューサーに話してもあまり興味がなかったようで……。ですからPCでは実装しません。本当にすごいコラボレーションですよ。

――その他、2016年はどのようなことをやろうとお考えですか?

 いろいろありますが、ゲームの機能を増やそうと思っています。いつも考えているんですが“改善”と“大きな機能の追加”、“コンテンツ(マップなど)の追加”を同時に走らせるのは簡単なことではないので、徐々にやっていきます。

 改善は、ユーザーさんから「チャットの機能を増やしてほしい」などの要望もいただいていますし、マッチメイキングだったり、そういった部分は近々にやります。あとは、PCで実装されている代表的なものを『BLITZ』でも実装する。

 さらにおもしろいコラボや、PCでは絶対にできないことを必ずやるということですね。まだ実装できるかわかりませんが、他にも大きなコラボを考えています。それは日本のもので、誰でも知っているような……。開発チームで意見を募ってOKが出れば、その会社と話し合って実現したら嬉しいですね。

――それはいつごろの予定でしょう?

 来年の今ぐらいでしょうか。来年のゲームショウで発表するか、リリースするかですね。

――誰でも知っているとおっしゃってましたが、それはゲーマーに限らず日本人なら誰でも知っているということでしょうか?

 おそらくそうだと思います。私はこのコラボもグローバルで展開したいと思っていますが、これはさすがに先方の企業との条件次第になると思います。

――なるほど『BLITZ』ならではのものがこれからより一層増えていくということですよね。来年のゲームショウではPC版と『BLITZ』が全く違うゲームだと思われている可能性もあると。

 そうなるといいなと思っています。いまは『WoT』や『World of Warships』がメインですけど、いつか逆転するかもしれない。わからないですけどね(笑)。

■東京ゲームショウ2015 開催概要
【開催期間】
 ビジネスデイ……2015年9月17日~18日 各日10:00~17:00
 一般公開日……2015年9月19日~20日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込)
※小学生以下は無料

(C)2014-2015 Wargaming.net.

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