2015年9月26日(土)
カプコンが2016年初頭に発売するPS4/PC『バイオハザード アンブレラコア』の開発者インタビューを掲載する。
本作は、濃厚な対戦シューティングとして開発された新作タイトル。“ウィルス感染者”である、ゾンビの存在を始めとする『バイオハザード』世界ならではの要素をゲーム性に取り込みつつも、シューターとして挑戦しているタイトルだ。
お話を伺ったのは、シリーズプロデューサーの川田将央さんとプロデューサーのバンス・ジェームズさん。新プロジェクトとしてさまざまな要素を詰め込んだ本作についてのバトルの要素や戦闘スタイル、世界観についてお聞きしている。
●川田将央さん(写真左)
数々の『バイオハザード』シリーズを統括するシリーズプロデューサー。最新作は、これまでにないエピソディック配信に挑戦した『バイオハザード リベレーションズ2』。
●バンス・ジェームズさん(写真右)
『バイオハザード リベレーションズ2』でアシスタントプロデューサーを務め、本作ではプロモーションのプロデューサーを担当。達者な日本語を生かして『デイリーバイオハザードTV』にも出演した。
なお、インタビュー中は敬称略。
――まずは、本作におけるお2人の立ち位置を教えていただけますか?
川田:大雑把にくくると私は開発のプロデューサーで、バンスがプロモーションのプロデューサーです。ただ、プロモーション担当と言いつつもバンスはバリバリに開発業務もやっていますけどね(笑)。
――本作の開発がスタートした経緯を教えてください。
川田:過去にも『バイオハザード』の世界観でSTGを開発したことがありましたが、本作では逆にSTGに『バイオ』の要素を取り入れたタイトルとして開発を行っています。STGの経験者であれば『バイオ』が未経験でも楽しんでもらえるゲームとして調整も行っています。
シリーズユーザーが驚かれるような要素もあります。顕著な例としては、例えば“ゾンビが襲ってこない”という今までではありないシチュエーションを用意しました。本当にギリギリまで近づいても襲ってこないので、普段じっくり見ることのできないゾンビをしっかり見ることができますね。もちろんそんなことをしていると、対戦相手からあっさり倒されるわけですが……。
川田:また、今回はヒーローが存在せず、登場するのはプレイヤーの分身であるアバター的なキャラクターだけというのも斬新じゃないでしょうか。
――タイトルから『バイオハザード オペレーション・ラクーンシティ』のような方向を連想していたのですが?
川田:『オペレーション・ラクーンシティ』は本来の時間軸にない、ユニークなストーリー展開がウリのTPS(サードパーソンシューティング)でしたが、本作『アンブレラコア』は、もっとSTGに特化して作り込みを行っています。シューター好きな人間が純粋に楽しめるタイトルとして企画しています。
――作るに際して意識したことやコンセプトを教えてください。
川田:仲間とチームを組んで対戦するという、ゲームとして本質の部分がすごく楽しいゲームに仕上げることです。純粋に“対戦”という部分を重視しているため、本作ではただ広いだけのマップは登場しません。敵との遭遇率を考えれば、むしろ狭いマップの方が中身も濃くなるだろうし、マップ構成を把握できればそれは戦略に繋げられる……と対戦プレイにとってのメリットが増えるわけです。
実は本作の開発スタッフもかなりハマっている“サバイバルゲーム”のおもしろさをかなり意識して制作しています。サバゲーが得意な人だと、本作への順応性はさらに高いかもしれませんね。
――サバイバルゲームですか?
川田:企画を構成しているスタッフがコアなサバゲーユーザーで、今回の狭い空間での人間対人間の状況を組み立てる際に、サバゲーのゲームスタイルを本作にうまく落とし込むことを特に重視していました。だからかえってサバゲーを普段から楽しんでいる人の方が、本作ではすんなりと入り込めるかもしれません。
――ストーリーをあえてそぎ落とすことで、これまでの作品とはかなり異なる方向性にしていると思うのですが、この方向性を選んだ経緯は?
バンス:『バイオ』シリーズは『4』を転機に、TPS的なゲームシステムにシフトしていきました。シリーズとしてTPSのノウハウが蓄積されていく中で、今までとは違ったアプローチでおもしろいものを作るにはどうしたらいいのか、ということを模索していました。
ただ、普通のオリジナル作品を作るよりも、『バイオハザード』の世界観を生かして、その世界観ならではの盛り上がりを持った作品にしようとして生まれたのが『バイオハザード アンブレラコア』です。
――ゾンビとの駆け引きも世界観の1つとして考えられたのですか?
バンス:ゾンビジャマーを使った攻防は、『バイオ』の血統である本作ならではの要素ですからね。たくさんの要素を盛り込むうちに、ストーリーを切り捨てることになりましたが、その決断は正解だったと思います 。
――ターゲットとしているのは、『バイオハザード』のファン? それともシューターとして新たなファンを狙っているのか、お答えください。
川田:もちろん、どちらのゲームファンにも遊んでほしいのですが、我々としては当然「おもしろいSTGを生み出す」という意気込みで制作していますのでまずはシューターファンに遊んでいただきたいですかね。ハイテンポな近接戦闘は他にないユニークなポイントですし、アナログカバーの操作感は戦闘の臨場感を引き上げる要素に仕上がっていると思います。
――具体的にはどういうところでしょう?
川田:スピード感でしょうか。対戦がスタートしてすぐに戦闘が白熱するように、まずレベルデザインがされています。一瞬一瞬の緊張感ばかり存分に楽しめるような贅沢な作りになっているわけです。
例えば現実世界で特殊部隊が突入する時などは、失敗しないように事前準備にすごく時間をかけるわけですが、実際の作戦行動は一瞬で終わらせます。
『アンブレラコア』はプレイヤーがおもしろいと思える部分だけ抽出した作りになっていて、1ラウンド2~3分で決着がつくテンポ感が楽しいのです。このテンポ感は集中力が必要なSTGにおいて、大きなプラスになっているはずです。
川田:あとは、プレイヤー同士の駆け引きの奥深さにも力を入れています。個人レベルでの武器相性や姿勢変化による駆け引きにはじまって、「前回は右から行ってやられたから、次は逆から攻めよう」とか、「バラバラに動くと危険だから、最初は一緒に進もう」とか、チームレベルでも短時間決戦だからこそ、たくさんの駆け引きを試すことも可能だと思うんですよ。
そうして対戦を繰り返すことで、AIではない人間相手の対戦だということが明確に感じられると思うんですよ。そういったプレイヤー同士がさまざまな駆け引きを感じられるゲーム性を目指しています。
――シリーズの設定としては、いつごろを描いているのでしょうか?
川田:現代と同じく2015年ごろで、『バイオハザード』シリーズの時系列として最新のものになります。今後『バイオハザード』シリーズが出るとしたら、本作から地続きのものになるでしょうね。
――となると、タイトルのロゴが気になってきます。シリーズでもおなじみの“とあるロゴ”ですが、これは何を意味するのでしょうか?
川田:え? これまでにこのロゴ、出てきていましたっけ?
――いやいやいや、とぼけないでくださいよ。本作のタイトルにも出てきているアンブレラ社のロゴですよね? すでにアンブレラ社は崩壊しているはずですが……まだ存在していたのでしょうか?
バンス:アハハハハハ、ナイスな質問ですね……確かにアンブレラ社はなくなっています。
川田:なくなっている会社のロゴをあえて使っていることを記憶にとどめておいていただければ(笑)。本作ではシナリオモードのようなものは用意していませんが、そのぶん設定はかなり凝っていますから、『バイオ』ファンにも楽しんでもらえると思います。きっとゲームを進めていく中で「なるほど……」と感じていただける部分があるのではないかと思います。
――タイトルの話になったのでお聞きしておきたいのですが、英語のスペルだと“CORPS”……コープと読めるのですが、こちらで“コア”と読むのでしょうか?
バンス:ネイティブの発音だと、“コーア”、日本語でコアとなります。軍の隊を示していますね。本作のタイトル『アンブレラコア』を日本語に訳すると、そんな設定はゲーム中にはないんですが、アンブレラ傘下にある部隊という意味です。
川田:日本人だと一般的に“CORPS”をコープスと読み、“会社”と解釈しちゃうのですが……。この世界はアンブレラが引き起こした事故、事件からいろいろな事件を起こして、バイオテロが頻繁に発生する世界になっています。
つまりアンブレラがあの事件を起こしてから、いろいろな部隊が生み出され、ややこしい世界情勢になっていることを踏まえての『アンブレラコア』というわけです。
――よろしければ、世界観についてもう少し詳細に教えていただけますか?
川田:この世界では、アンブレラの研究所跡地やバイオテロにあった場所が封鎖地域として、立入禁止になっているのですが、そんな場所だからこそまだ見ぬ治療薬やウィルスのサンプルになる”感染者”がいるかもしれない。そんな危険だけど貴重なサンプルを非合法な手段を使ってでも手に入れようと企む企業があり、彼らに雇われて封鎖地域に現れるアウトローな傭兵がいるわけです。
プレイヤーはそんな傭兵の1人として、封鎖地区内で敵対企業の傭兵と戦うというのが、おおまかな設定になります。もちろんこの作品もバイオハザード正史の1つなので、これまでの作品とも、これからの作品とも地続きの世界で構成されています。
――倒された後に復活する“リスポーン”がないゲーム性にした理由はなんでしょう? 従来の対戦と比較して、どのようなメリットやデメリットが生まれることになると考えていますか?
川田:ゲームモードにもよりますが、テンポ感と緊張感を重視したためです。何度でも戦闘に参加できるリスポーンはテンポ重視の『アンブレラコア』ではあまり意味がないですし、当然緊張感も高まりますからね。
バンス:敵に倒されてしまった場合、リスポーンできないと悔しいと思うのですが、だからこそ勝利の喜びも大きいともいえます。悔しいからこそ、しっかり戦略を立てて、チームメイトと協力しながら進んでいくことを意識するようになると思いますしね。
川田:緊張感を維持して、生き残ることを意識する……このようにコンセプトを見ていただくと『バイオハザード』らしい作品になっていると感じていただけるのではないでしょうか。
本作のジャンルを“サバイバルシューター”としたら『バイオハザード』らしくはなるのですが、このゲームらしくならないと思ったため、“コンペティティブシューター”と銘打たせていただきました。
バンス:ドアやトラップがマップ内にあったと思うのですが、ドアを開けたり窓を破壊したりという状況は次のラウンドに引き継ぎます。そのために、「今回はドアを開けてやられたけど、あそこは近道だからあえてもう一度狙おう」と、作戦に使えます。この要素は、マップが広かったり1ラウンドが長かったりしたら、生きてこない要素だと思います。
――最大でどれくらいの人数戦うことになるのでしょうか?
川田:現在調整中のため、変更される可能性があるのですが、制作を進めている中では3VS3という規模がマッチングしやすく敵とも遭遇しやすいという意味で、遊びやすい規模だと考えています。
バンス:マップのスケールもいくつか大小がありますが、高低差のあるマップや、ガラスを破壊して近道したりという構成があるため、他のシューターとは遊んだ感じがかなり違うんじゃないでしょうか。
上のフロアにいる敵の気配を感じながら戦略を考えるというのは、なかなか新鮮ですよ。レベルデザインはかなり凝っていて、つねに背後を気にしないといけない絶妙な仕上がりになっています。
――銃と近接武器でかなり戦い方が違うと感じました。近接武器のバイルがかなり強そうだと感じたのですが、いかがですか?
川田:バイルは威力が強いですね。一撃で敵を倒すことが可能です。ただし、距離をとって戦えるぶん、ハンドガンが有利な場合もあります。
さらに距離をとれるのであれば、破壊力を楽しめるショットガンや連射が頼もしいサブマシンガンが有利になります。ただし距離をとった戦いをしていると、背後から敵がバイルを持って一気に襲いかかってくることもあるわけです。
つまり今回強く意識していることは、“これをやったら最強”なスタイルではなく、相関関係のあるバランス調整が重要だということです。
――お2人が気にいっている武器はどれでしょうか?
川田:マシンガン系が好きですね。状況を選ばずに使いやすいので。
バンス:僕はショットガンです。他のゲームだと、ハンドガンはあまり使われないのですが、このゲームは敵が近くにいることが多いうえに、ハンドガンを選んでいる時には盾になるベイトガードが使えるので、有効な場面は多いです。
ただ、距離を取られるとマシンガンやショットガンの方が有利。ショットガンは盾を持てないのですが、好きですね。
――ベイトガードを使ったゾンビシールドの操作は、簡単なのでしょうか?
川田:はい、ゾンビに腕につけているベイトガードを噛ませることで、シールドになります。ほら、警察犬の訓練などで犯人確保のために腕を噛ませる訓練があるじゃないですか。あんな感じです。
バンス:ゾンビシールドには他にもメリットがあります。普段のゾンビは数発撃たないと倒せません。ただ、ゾンビにベイトガードをかませてゾンビシールドにした状態だと、ヘッドショットとなりハンドガン一発で倒せるのです。
――ちなみに、ゾンビ以外にも感染者のようなポジションの敵はいるんでしょうか?
川田:……そちらは今後の情報にご期待ください!
――え? 出ないんですか? 例えばハンターやタイラントなどのB.O.W.(有機生命体兵器)や、マジニやジュアヴォなどは……
川田:ぜひご期待ください!! 今日はこれ以上、どんなに聞かれてもこれしか言えません(笑)。
――なるほど。ちなみにゾンビ以外のクリーチャーにもゾンビジャマーの電磁波は効くのでしょうか?
川田:このゾンビジャマーは強烈な電磁波を発します。装備している人体にも影響があるほどで、そのために防電磁波ヘルメットを付けているのです。そのため、もしゾンビ以外の感染者が出てきたとしても、有効なのではないでしょうか。
――いただいた資料では“ウィルス感染者”となっているのは、ゾンビ以外のマジニやジュアヴォを含めたカテゴライズになっているからでしょうか?
川田:厳密には、『バイオハザード』に登場するゾンビは、すべからく“感染者”と呼ばれていますね。ただ個人的な感想となりますが、“感染者”というとt-ウィルス感染者を指すことが多いのではないでしょうか。
▲ゾンビジャマーを破壊されると、感染者に襲われる。相手のゾンビジャマーを壊すことができれば、有利になりそうだ。 |
――“ゾンビアイゼン”はどのようにして生まれたのでしょうか?
川田:デザインのイメージは見たまま山登りに使うバイルです。とても強い武器ですが、ゾンビの頭蓋の破壊だけでなく、本来の用途として高低差を乗り越える道具としても使えます。
バンス:実はゾンビジャマー以外の装備は、すべて1つで複数の役割を兼ねています。ゾンビバイルは近接攻撃と高低差の移動、ベイトガードは噛みつきを防ぐ以外にも銃撃を防ぐ。そしてゾンビアイゼンは頭蓋の破壊と高低差の移動。
危険区域に乗り込むので、最小限の装備でいろいろな機能を搭載したいだろうということで、合理性を求めた装備の設定にしています。リアルなミリタリー性を出したくて、これらを考えました。
――R2ボタン、L2ボタンの押し具合によって、アクションが変化する“アナログカバー”について、こちらが生まれた経緯を教えてください。
川田:リアリティを求めた結果です。隠れながら撃つほうが有利な場合もあれば、大きく身を乗り出して積極的に攻撃したい瞬間もあるわけで、そこは0か1かではなく自分で任意に操作できたほうが楽しいと思うんですよ。操作には慣れが必要かもしれませんが、扱い方はシンプルなのですぐ慣れると思います。
バンス:『アンブレラコア』の基本操作はわかりやすいため、入りやすいです。そのうえで、少し慣れが必要な操作方法を用意しておくことで、プレイヤーのモチベーションになるのではないかと思います。
川田:アナログキーの押し加減での使い分けなので、使用するキー自体は増やしていません。最初は難しく感じられるかもしれませんが、チャレンジ甲斐のあるものになっていると思います。“コンペティティブ”という面で重要な要素なので、ぜひ使いこなしてください。
――対戦では、複数メンバーで行動することが、どの程度有効なのでしょうか?
川田:開発メンバーのすごくうまい人を見ていると、1人でサクサクやっているようなイメージですね。「アイツが向こうに行ったから俺はこっちに行く!」ということを、阿吽の呼吸でやっているような感じです。
――映像の中では1人がシャッターを開けている間に、もう1人が突入する場面も見られましたが。
川田:1プレイが短いので何度もモチベーションをもってステージにトライできる。結果としてさまざまな戦法が生まれ、個性的な戦い方ができるのではないかと思います。
チームワークという意味では、もちろんヘッドセットにも対応する予定なので、もっとシンプルに楽しく仲間と戦略を練ることも可能だと思います。
――初心者が上級者にマッチしてすぐに倒されてしまうと、モチベーションが下がってしまうと思うのですが、レべリングによる区分けはあるのでしょうか?
川田:マッチングについては現在検討中で、レべリングによる区分けはぜひ導入したいと思っています。
ただ、さまざまな駆け引きで遊べるのが本作のウリなわけで、うまい人が武器を固定して戦っているところに、初心者が横からバイルで倒してしまうということだってあるわけです。
――武器でハンドガン、ショットガン、マシンガンを確認できましたが、その他にもあるのでしょうか?
川田:ショットガンやサブマシンガンという区分の中に多数の武器種があるのですが、アサルトライフルやスナイパーライフルのような長射程の銃はあえて採用していません。本作では接近戦が主なので、そのおもしろさを考えた時、必要ないと判断しました。
バンス:例えば人質をとっての立てこもり事件が発生して、特殊部隊が突入する時には、扱いが難しいアサルトライフルではなく、取り回しに優れたサブマシンガンを使うことが多い。そんなリアルミリタリーを反映しているという一面もあります。
――これまでのシリーズに登場してきた武器が出るのでしょうか?
川田:サムライエッジというシリーズで人気の銃を入れています。……他にも出てくるのか? その他の情報は続報にご期待ください。
――今回、キャラクターを造形するにあたって、フォトスキャンシステムを採用されているとお聞きしました。
川田:ゲームに登場するような装備に近いものを着てもらい、それをフォトスキャンスタジオで撮影します。そうすると、数日でモデルのベースができ上がるというイメージです。
バンス:ただし取り込んだままではゲームには使えないので、そこからデザイナーがアレンジを加えて、ゲーム内に採用します。ゲーム内の描画方法に最新の物理演算を採用しているので、取り込んだものにゲーム中で光を当てたり、色を変えたりできます。
以前であれば、暗い所で銃を持っているシーンを出したい場合、銃を塗り直す必要があったのですが、そういった作業も必要なくなります。
――具体的にどれくらいの作業工程を減らせるのでしょうか?
川田:数字で表すのは難しいのですが、これまで行っていたかなりの作業工程を圧縮できます。浮いた時間をよりクリエイティブな作業に振り向けられるので、とても助かっていますね。同じ開発期間の中で、よりクオリティを高めるための手法です。
――『アンブレラコア』から始まり、今後はその他のタイトルでも採用されていくのでしょうか?
川田:フォトリアル的なタイトルであれば、ますます使われていくと思います。
――作り方という意味では、本作でUnity 5が採用されていることに驚きました。御社のゲームエンジンとしては、MT Framework(フレームワーク)が有名ですが、今回は使われていないのですね。
川田:『バイオハザード リベレーションズ2』ではMT Frameworkを使っていましたが、本作ではUnity 5を採用しました。
実はアセット周りを制作するうえで使いやすいので、事前にゲームの中身を検証する“グレーボックス”段階ではこれまでも同社のエンジンを使ったタイトルがありました。本作ではUnityエンジンが“5”に移行するタイミングにも合っていたため、検証だけでなく最終製品にもUnity 5を導入する運びとなりました。
――使われてみていかがですか?
川田:やはりすごく使いやすいツールだと思います。アセット販売も行われているので機能拡張も簡単ですし、『アンブレラコア』規模のタイトルでは相性がいいと思いました。
――現状の完成度はどれくらいでしょうか?
川田:ゲーム部分はいい感じで仕上がってきていると思いますが……ただ、今日プレイして驚いたのは、新規仕様の実装は終了して調整の段階に入っているはずなのですが……まだ新しい仕様が追加されていました。
バンス:アハハハハハ!
川田:本来あまり褒められた話ではないかもしれませんが、最後までおもしろいゲームプレイを提供しようという開発者の意地が感じられて少しうれしかったですね。
――『バイオハザード』シリーズタイトルということで、Webサービス“RESIDENT EVIL.NET”との連動も予定されているのでしょうか?
川田:“RE-NET”に関しても、ぜひ対応したいと思っています。対戦をメインにしたタイトルなので、いろいろおもしろいことができると思いますよ。
――eスポーツのように煮詰められた濃厚な対戦シューティングを目指しているということですが、ランキングや大会など、人が競う場所は考えられているのでしょうか?
川田:いろいろな展開ができれば、プレイしていただける人が増えたり、プレイしている人に喜んでいただけたりすると思いますので、プロモーションにかかわる人間と企画中です。近日中におもしろい展開を公開したいと思います。
――『バイオハザード』20周年ということで、本作も20周年記念タイトルに含まれるのでしょうか?
川田:正確にはまだプレシーズンというべき期間ではありますが、現在公開されている『バイオハザード0 HDリマスター』、『バイオハザード アンブレラコア』も含めていますよ。もちろん他にもさまざまなプロジェクトが進行中ですので、こちらもご期待くださいね。
――最後に読者に向けてのメッセージをお願いいたします。
バンス:『バイオハザード アンブレラコア』の大きな魅力としては、わかりやすい操作ですぐ遊べるという点です。他のシューター作品にはないサクサク感、爽快感がありますね。シューターになじみのない人でもすぐに成長を感じられる作りになっています。
さらに、新しいシステムも入れているので、シューターに慣れている方ほど、奥深く楽しんでいただける要素があります。ぜひ遊んでいただきたいです。
川田:本作はスピード感と駆け引きを最大限に楽しんでいただける、タイトルに仕上がっています。ぜひプレイしていただき、対戦に特化したユニークなシューター、『アンブレラコア』を味わっていただければ幸いです。
繰り返しになってしまいますが、20周年記念作品として他にもまだタイトルがあるので、ぜひご期待ください。
(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
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