『ペルソナ』シリーズコンポーザー目黒将司氏インタビュー。“PERSONA LIVEHOUSE TOUR 2015”をレポート

文：ミゲル

　アトラスは、『ペルソナ』シリーズの楽曲をフィーチャーしたライブツアー“PERSONA LIVEHOUSE TOUR 2015”を実施。本記事では、9月9日の大阪・BIGCAT、9月10日の名古屋・NAGOYA CLUB QUATTROに続いて行われた、9月24日東京・Zepp Tokyoの最終公演の模様をお届けする。

▲左から、Izumiさん、Satch-Aさん、平田志穂子さん、川村ゆみさん、Lotus Juiceさん、DJ WAKAさん。

　小雨のパラつく中集まったファンは、Zepp Tokyoのキャパシティから察するに3,000人に近い。本公演は、多くの観覧希望者の声によって北は北海道から南は九州まで、全国28カ所の映画館にてライブビューイングも実施されていた。

ハードな歌声とゆる～いトークのギャップが魅力

　本ライブは、平田志穂子さんとLotus Juice（ロータス ジュース）さんによる『Dance!』と『Backside Of The TV（Lotus Juice Remix）』に続き、川村ゆみさんと平田さんによる『MAZE OF LIFE』で幕を開けた。もちろんステージ後方では、すっかりお馴染みとなったDJ WAKAさんがサポートする。

　『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト（P4D）』、『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス（PQ）』といったナンバリング関連作品の楽曲からスタートしたセットリストからは、『ペルソナ』シリーズとともに多様化する楽曲とライブの姿を感じ取れるはずだ。

　オープニングトークは、「（歌っている途中に）ズボンが下がりました」という川村さんの報告から始まるまさかの展開に。壇上の平田さんは、「オープニングでズボンを直す人なんている!?」と笑い、“ペルソナライブ”ならではの自由かつアットホームな雰囲気が早くも会場を包んでいた。

ライブを重ねるごとに進化する出演者のパフォーマンス

　オープニングの終わり、ペルソナライブではすっかりお約束となった「ゆみさんかわいい～！」というコールが客席から投げかけられた。それにすっかり照れながら始まった次幕では、川村さんによる『Burn My Dread』と、Lotus Juiceさんを交えた『Mass Destruction』といった『ペルソナ3（P3）』の人気曲をアグレッシブに披露。

　続くLotus Juiceさんによる『Laser Beaｍ』では、タイトル通りレーザーを駆使したスタイリッシュな演出に高揚感が高まる中、同氏の“煽り”によって客席から大きな掛け声が飛んだ。平田さんも、Lotus Juiceさんに負けじと『Break Out Of...』をパワフルに歌い上げる。

　ワイルドな楽曲でヒートアップした後のMCでは、Lotus Juiceさんが『P4D』の追加楽曲『霧（ATLUS Konishi Remix）』を高難易度“ALL NIGHT”で高評価“BRILLIANT”を2回も獲得できたことを報告！　平田さんも、同作を繰り返しプレイするうちにどんどん上手になっているという。

　平田さんは『P4D』の“効能”として、“目がよくなる”こと、“目ざとくなる（？）”ことを挙げた。平田さんは、スーパーでの買い物中に「ぶなしめじ58円……！　さっきのお店よりも安い!!」といった気付きのような、生活に密着した効果を『P4D』をやり込んだことで得られたのだとか!?

ライブハウスで映える！　『P4D』のリミックス曲を連発

　そんな『P4D』は、豪華アーティスト陣はもちろん、アトラスのサウンドチームによる多彩なリミックス楽曲が大きな魅力だ。原曲に新しい魅力が追加された『P4D』関連楽曲が、DJ WAKAさんによるテンポ感あるサウンドコントロールで『Pursuing My True Self（ATLUS Kozuka Remix）』、『Heartbeat,Heartbreak（Cloudy Step Mix）』、『Signs Of Love（Funky HOME Mix）』、『Shadow World（ATLUS Kozuka Remix）』と続けて繰り出され、平田さんがアップテンポに歌い上げる。

　ライブでは初披露となる多くの楽曲は、CDやゲーム内で耳にするのとではまた違った、ライブならではのグルーヴ感で味付けされていた。

▲スタイリッシュなダンスで舞台を盛り上げる、Sachi-AさんとIzumiさんの2人のダンサーにも注目！

　2月に開催されたライブイベント“PERSONA SUPER LIVE 2015 ～in 日本武道館 ‐NIGHT OF THE PHANTOM‐”では、マリー風の衣装を身に着けていた平田さん。その際に何かが弾けて（コスプレ風衣装を身に着ける楽しさに目覚めて？）しまったとのことで、今回のライブでもキャラクター風のかわいらしい衣装を着用していた。

　自らスタイリストにオーダーしたというその衣装は、『P4D』作中に登場するアイドルグループ・かなみんキッチンのメンバーをイメージしたものだという。スタイリストの計らいによるアレンジが、平田さんの持つふわふわとしたイメージにぴったりでチャーミング！

▲平田さんいわく、「右島すもも＋真下かなみ＝かなもちゃん」とのこと。一方の川村さんは、それを「（NHK番組『ざわざわ森のがんこちゃん』の）がんこちゃんみたい」と表現。なんとも言い得て妙だ（笑）。

※ちなみに筆者は最初、「（『Gu-Guガンモ』の）ガンモちゃんみたい」と聞こえて、確かに……と納得してしまったなど……。

遠くまで通る平田さんの歌声が、『P4D』の名曲を彩る

　Lotus Juiceさんも川村さんも好きだという『NOW I KNOW』を平田さんがしっとりと歌い上げるところから、次のステージが開幕した。続いて披露した『カリステギア』では、客席からの温かい手拍子が会場を包む。『P4D』のストーリーと相まって、その歌声に感情を揺さぶられた人も多かったはずだ。

　しっとりした空気から一転し、平田さんが元気いっぱいに『Time To Make History』を歌うと、サイリウムを壇上に向かって振り続ける観客の手が止まらない！　そのアッパーな流れの中、川村さんも『Best Friends』を熱唱した。

DJ WAKAさんのプレイはペルソナサウンドの新しい形を打ち出す

　今回のライブで筆者が個人的に大きく心を奪われたのが、DJ WAKAさんのDJプレイ。『P4D』の発売直前ニコニコ生放送で楽しめた同氏のロングセットは、まだファンの記憶に新しいはずだ。今回は、『Castle』→『Long Way』→『Electronica In Velvet Room（“P4D”ver.）』→『霧（ATLUS Konishi Remix）』と、約5分の中で4曲を披露した。

　時間は短いながらもその中には、華麗なスクラッチはもちろん、ていねいで効果的なエフェクト、BPMの大きな変動を感じさせない大胆かつ自然なつなぎなどなど……、これでもかというほど“カッコイイ”が多く詰め込まれていた。何より、ライブステージながらにクラブイベントに参加しているような、“一粒で二度おいしい”体験を味わえた点がうれしいところ！　これは、オールスタンディングで人の密集したこの会場ならではの規模感が生きていたようにも思う。

　上記のインストメドレーからそのまま、DJ WAKAさんはLotus Juiceさんと川村さんが歌う『Light in Starless Sky』につなげた。2人は、『P4』で主人公たちが通う八十神高校の制服にお色直しをして登場！　なぜ劇場版『P3』第三章のテーマを歌うのに『P4』の制服なのかというと、純粋に「着たかったから」とのこと（笑）。

　Lotus Juiceさんに対し、同氏の好きなキャラクター「『P4』の千枝のコスプレをして！」という客席からの声もありつつ、MCでの話題は“コスプレ風ステージ衣装”へと移った。Lotus Juiceさんは、『P3』なら自身のキャラクター性的に順平風のアレンジを着てみたいという。Lotus Juiceさんは風花の絶妙な声マネを交えつつ、川村さんに風花風衣装をプッシュ。いつの間にかお馴染みになったこの声マネは、毎回会場の笑いを誘う。

　そんなタイトルへの愛情に満ちたトークやファンとの掛け合いは、タイトルに長く関わる出演者ならではの“ペルソナライブ”の大きな魅力だ。

東京公演で本ツアー初披露のPSP版『ペルソナ』の楽曲も！

　川村さんが歌ったPSP版『ペルソナ』のOP曲『Dream of Butterfly』は、大阪公演、名古屋公演では披露しなかったという特別曲。イントロが流れた時点で、客席からは大きな歓声が沸き起こっていた。

　ラスト2曲と告げ、「次のライブもできるようにがんばりたい」という意気込みと感謝を熱のこもった声で語った川村さん。そんな思いを乗せた『Today』は、ファンの胸に響く何かがあったはずだ。

　平田さん、Lotus Juiceさんら本ライブの出演者が一堂に会し、眩しいライトがステージを照らす中、『Reach Out To The Truth（Dancing on PERSONA STAGE）』でライブはいよいよクライマックスを迎えた。出演者全員が客席をけん引するパフォーマンスも明るく、ファンたちからのレスポンスもこの日一番大きなものになっていた。

客席もステージも一緒に、ジュネスのダンス！

　本編終了後も、鳴り止まないアンコールの声と手拍子で出演者はすぐさまステージに舞い戻った。Lotus Juiceさんによる「とてもクールな曲を……」との紹介でかかったのは、なんと歌入りの『ジュネスのテーマ』。踊りながら歌い上げた川村さんの歌声は、いつものパワフルさとはまた一味違い、やわらかくてなんともかわいらしい。

　『P4』作中に登場する大型量販店“ジュネス”をモチーフとした本楽曲。間奏では、そんな“ジュネス”に関連するコミカルなセリフが流れ、ファンの心をつかんでいる。『P4D』の発売直前生放送などではステージオリジナルのセリフが考えられていたため、今回も期待が高まっていた。

　本ライブでは、Lotus Juiceさんによる「ゆみザウルスさんはどこから来たんですか？」という問いに、ゆみさんが「ジュネスからだよ」と答えたり、「平田ちゃんのそのすごいかわいい衣装、どこで買ったの？」という問いに、平田さんが「もちろんジュネスよ」と答えたり。

　最後はLotus Juiceさんが「皆の愛は、どこから来たの？」と客席に呼び掛けると、ファンは大きな声で「ジュネスー！」と笑顔いっぱいにステージへ返答。会場が一体になって「エヴリディ ヤングライフ！　ジュ・ネ・ス♪」のフレーズを合唱するシーンもあり、アンコール1曲目は大きな盛り上がりを見せていた。

▲平田さんも川村さんもLotus Juiceさんも、皆で一緒に「ジュ・ネ・ス♪」のダンス！

　続いて、Lotus Juiceさんのクールなラップも、川村さんのたくましい歌声も、平田さんの透き通った美声も楽しめるスペシャルミックス『Light the Fire Up in the Night“KAGEJIKAN”＆“MAYONAKA”』を全員で一気にアッパーに。さらに、『changing me』を川村さんと平田さんによるツインボーカルがしっとりと歌い上げると、ファンに思い思いの感情を残し、約2時間のステージの幕が閉じた。

　なお本ライブのBlu-ray Discの発売が、12月30日に予定されているとのこと。ライブビューイングが行われた映画館や会場に足を運べなかった人はもちろん、このライブの熱気をもう一度感じたいファンはチェックしてみては？　詳細は続報を待とう。

【セットリスト】
01.『Dance!』（『P4D』）
02.『Backside Of The TV（Lotus Juice Remix）』（『P4D』）
03.『MAZE OF LIFE』（『PQ』）
04.『Burn My Dread』（『P3』）
05.『Mass Destruction』（『P3』）
06.『Laser Beaｍ』（『PQ』）
07.『Break Out Of...』（『ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド（P4U2）』）
08.『Pursuing My True Self（ATLUS Kozuka Remix）』（『P4D』）
09.『Heartbeat,Heartbreak（Cloudy Step Mix）』（『P4D』）
10.『Signs Of Love（Funky HOME Mix）』（『P4D』）
11.『Shadow World（ATLUS Kozuka Remix）』（『P4D』）
12.『NOW I KNOW』（『P4U』）
13.『カリステギア』（『P4D』）
14.『Time To Make History』（『P4G』）
15.『Best Friends』（『ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ（P4U）』）
16.インストメドレー
　『Castle』（『P4』）→『Long Way』（『P4』）→『Electronica In Velvet Room（“P4D”ver.）』（『P4D』）→『霧（ATLUS Konishi Remix）』（『P4D』）
17.『Light in Starless Sky』（劇場版『P3』第三章）
18.『Dream of Butterfly』（PSP版『ペルソナ』）
19.『Today』（『P4U2』）
20.『Reach Out To The Truth（Dancing on PERSONA STAGE）』（『P4D』）

～アンコール～
『ジュネスのテーマ』（『P4D』）
『Light the Fire Up in the Night“KAGEJIKAN”＆“MAYONAKA”』（『PQ』）
『changing me』（『PQ』）

目黒さんからメッセージが到着！

　客席からライブの模様をファンと一緒に見ていた、アトラスのサウンドコンポーザー・目黒将司さん。終演後にお話しをうかがうことができた。目黒さんからみた本ライブの注目ポイントや今後のペルソナミュージックの展開など、要チェックだ。

――今日のライブをご覧になっての、率直なご感想をいただけますか？

目黒将司（以下、敬称略）：「ああすればよかった」、「こうすればよかった」と考えてしまいがちで、自分の曲をずっと聴くのはあまり得意ではないのですが（笑）。しかし今回、ライブでは初披露となるものが多かった『P4D』の曲は、やはりライブハウスで映えますね。

――このファンと出演者の距離の近い規模感にフィットするんでしょうか。出演者の皆さんはいかがでしたか？

目黒：正直、DJ WAKAさんのプレイは一番グッと来ました。かっこよかったですよねぇ……。

　Lotus Juiceさんも川村さんも常に素晴らしいのですが、今日は特別、平田さんの歌声がすごくよかったと感じました。

　もちろん2人のダンサーさんによるパフォーマンスも素晴らしかったですよね。特に『Shadow World（ATLUS Kozuka Remix）』の椅子を使ったダンスは、締まって見えてかっこよかったです。

――先日東京ゲームショウ2015のステージで、『ペルソナ5（P5）』のオープニングテーマを担当される歌手Lynさんが紹介されましたが、今後のライブの展開にも何か影響はありますか？

目黒：そうですね。今後もライブが続いたら、ぜひ参加していただきたいなと思います。今回のライブを見ている時にも、「もしこの中にLynさん入ったら」ということは考えていました。

　お待たせしてしまって本当に申し訳ないのですが、『P5』も一緒に何かできたらと考えると、僕自身もすごく楽しみなんです。

――その時はぜひ、目黒さんのステージに立つ姿も拝見したいです。

目黒：もちろん。僕もその時は、（前に立つのは恥ずかしいので）ステージの後ろのほうで演奏させてもらえたらと思います（笑）。

――ファンに向けて最後に一言いただけますか？

目黒：今回は、ツアーという形で東名阪のライブハウスを回らせていただきました。今まで東京になかなか来れなかった皆さんにも、これで『ペルソナ』シリーズの雰囲気を伝えられてよかったと思っています。

　今後も機会がありましたらぜひ、ツアーとして全国を回ってみたいですし、大きなホールでドーンとバンドスタイルでのライブも実施したいです。

　それには皆さんのお力にすべてがかかっていますので、どうぞ今後とも『ペルソナ』シリーズをよろしくお願いいたします。

――ありがとうございました！

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　新作『P5』はもちろん、詳細の気になる“ペルソナ20周年フェス”プロジェクトなど、まだまだ今後も目が離せない『ペルソナ』シリーズ。長く愛され続けているシリーズであると同時に、常に革新的な要素を提示し続けているコンテンツなだけに、ユーザーからの期待も高まる。

　昔からのファンはもちろん、最近新しくファンになった人も、今後の展開を一緒に、楽しみに待とう。

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