2015年10月14日(水)
今から艦長を目指す人に読んでほしい! 『World of Warships』ロングレビュー【WoWS特集】
今年は1945年の太平洋戦争終結から70年ということや、フィリピン近海海底で日本海軍最後の戦艦、武蔵が発見されたことなどがホットイシューとなりました。
そんな状況下で9月17日にいよいよ『World of Warships』(以下『WoWS』)の正式サービスが開始されました。オープンβテストから遊んできたライターがじっくりレビューしていきたいと思います。
「以前から興味はあったけどちょっと敷居が……」なんて考えていた人も、この記事を読んで本作の魅力を知ってもらえれば幸いです。
オンライン海戦ストラテジー『World of Warships』とは……?
電撃オンラインでも何度か記事にしていますが、「『World of Warships』ってなに?」という人に改めて説明を。本作は、『World of Tanks(WoT)』で知られるウォーゲーミングが開発した“オンライン海戦ストラテジー”です。
舞台となるのは、歴史上もっとも魅惑的で、もっとも騒がしかったであろう20世紀の海。プレイヤーは、そんな海をゆく艦長の1人として、オンラインで待つ艦長たちと究極の海戦を楽しむことができるのです。
ゲームはさまざまな戦略・戦術の可能性をプレイヤーに提供してくれます。島影から不意をついて繰り出す奇襲や側面攻撃、あるいは突然の邂逅から生じる近接砲戦など、すべてのプレイヤーは、無数の戦術の中から自分だけのスタイルを確立することができます。
もちろんアクション要素はありますが、操作はそんなに難しいと感じませんでした。軍艦を動かして、魚雷を撃ったり砲撃すること自体は、よっぽどアクションが苦手だという人でもなければ、簡単にできるようになると思います。
ただし“動かす、撃つ”は楽勝でも“どう動かして、いかに魚雷や砲撃を敵に当てるのか”がめちゃめちゃ難しく、そして楽しい部分となっています。この記事では、本作でどんな戦いが楽しめるのかを見ていきたいと思います。
▲移動に必要なのはW、S、A、Dの4キーのみ。攻撃もマウスの左クリックで行える簡略化された設計になっています。 |
▲ソ連軍ツリーは現在プレムアムのみです。陸軍国なので仕方がない? |
本作では艦の挙動にボーナスが付加される艦長の乗艦や、ランダム戦の選択などといった要素がプレイヤーのランクで開放されるようになっています。低ランクのプレイヤーは、まず操艦に慣れてからさまざまなシステムを学べるようにとの配慮です。
もしもあなたが『WoT』をプレイしていて慣れている方だと違和感を覚えることもあるかもしれませんが、ここでは海での流儀を覚えるためと思っていただければ。初心者の方にとっては、最初からすべてを把握するのは難しいので、だんだん覚えていくといいのではないかと思います。
迫力ある12vs12の艦隊戦が楽しめる!
戦闘はNPCを相手にユーザーがチームを組んで戦うco-op戦と、12vs12の有人戦であるランダム戦が用意されています。
ゲーム開始当初はco-op戦しか選べず、経験値を貯めてランクアップすることでランダム戦が開放されます。大型艦になればなるだけ実際の同型艦の数は減っていくものですが、ゲームでは問題なく参加できますのでご安心を。
勝利条件は2つ。“海域の制圧”もしくは“敵艦船の全滅”になります。ここら辺はスムーズに理解できるかと思います。
▲敵に対して正面を向いてしまうと艦首砲しか攻撃に使えません。敵に対して横を向けば後部砲も攻撃に参加できるので、攻撃力が増す反面、敵から撃たれた際に被攻撃面が増えるため被害も受けやすくなります。 |
艦船ならではの挙動のクセ
多くの方が艦船を操作したことがないかと思いますが、水の抵抗があるため加速するまでに時間がかかり、同様に停止も瞬時に行えません。クルマのように前進後退、停止が任意――というか、操作から挙動反映までのラグをあまり感じない乗り物――に慣れていると、ココにまずギャップを感じることでしょう。
また、面舵(右方向への転進)、取舵(左方向への転進)もかなりの大回りになります。『WoWS』の前進はエンジンの出力調整を行い速度をコントロールします。
▲FULL、3/4、1/2、1/4と前進4段階、後進もできますが、完全に前進が止らないと後ろに進みません。 |
▲射撃に夢中になっていると、味方艦との衝突の危険も。艦(シップ)は急に止まれない! |
このため、非常にもっさりした感じを受けるかもしれませんが、船の挙動はクルマをはじめとした陸上の動きと違いますからこれは当たりまえ。
また、戦車が静止して砲撃することを前提にしているのに対して、艦船は逆にお互い移動しながら射撃することが前提になっています。もちろん静止して撃つこともできますが、砲撃管制が優秀なので移動しながらでも高確率で命中します。
ただし、お互いに移動していますので、着弾の未来位置を予想して射撃を行う偏差射撃が必要になります。
▲遠距離ほど当てづらくなりますが、着弾地点を敵艦船が横切ればおおむね当たる仕様になっているようです。搭載している火器管制装置の距離以上に敵が離れていると当たらないと考えた方がいいでしょう。 |
▲敵から射撃されたら、蛇行する、速度を変えるなどすれば回避できることもあります。ただし、かわし切れるかといえば……。 |
▲おそらく散布界(※弾がどれぐらいばらけるか)が各砲に設定されていると思いますが、低Tierだと差は実感できませんでした。 |
・一撃必殺の魚雷
軍艦は艦が大きくなるほど大きな砲を積め、対艦攻撃力が上がりますが、小型艦でも積める強力な対艦兵器があります。それが魚雷(魚形水雷)です。
自走式の無誘導爆雷で、質量兵器の艦砲よりも攻撃力が高いのが魅力ですが、速度が遅く当てづらいというデメリットもあります。確実に命中させるには高速で敵艦に近づき、逃げられない距離から斉射する、敵の未来位置を確実に予測してそこに撃ち込むといった使い方をする必要があります。
しかし、魚雷を搭載しているのが駆逐艦や軽装甲の巡洋艦なので、敵に近接する場合は近づくまでに集中砲火を受けて沈められる可能性があり、遠距離だと確実な未来予測が難しいという難点があります。
また、発射管が横にしか向かないので側面の敵しか攻撃できません。鈍足艦や機関停止して動けない敵に対して使うのが効果的ですね。特に装甲が厚い戦艦を相手にする場合は、小型艦の艦砲では効果的なダメージが見込めないうえに、重装甲艦は船足が遅いので魚雷を回避しづらいという点から、おのずと魚雷戦になる傾向にあるのではないかと。
▲魚雷にも射程があり、射程を越えると消滅します。また、敵味方の区別をしてくれるわけではないので、射線を味方艦が横切れば当然味方に当たります。 |
・なるべく固まって動いたほうがいい
プレイしてみて気付いたコツのひとつです。海戦の場合、待ち伏せするには障害物がそう多くなく、機敏な機動も取りづらく、単艦で行動するとすぐに集中砲火を受けてしまいます。
すべての艦が同じ方向に動くことを推奨するわけではありませんが、なるべく固まって動いたほうが敵の艦に攻撃を集中させやすく、そうすることで迅速な敵艦撃破を狙え、被害を少なくできます。
海は開けている場所が多く、多くの艦が攻撃に参加できるという点も地上戦とは異なる部分です。進行している際に敵の艦隊と遭遇したら、敵艦の射線の間に島を挟むといいでしょう。ただし艦砲は曲射してきますから、島から離れていると島を越えた砲弾が当たることもあります。かといって島に近づきすぎると座礁の恐れもあるわけで……。ここら辺のさじ加減がなかなか難しいのです。
▲単艦で前に出てしまうとあっという間に集中砲火で沈められます。 |
・中盤Tierから航空母艦が登場する
『WoWS』ではTier4から“航空母艦”――いわゆる空母が登場します。空母の最大の特徴は艦自身に砲撃力がないものの、艦から切り離された強力な航空攻撃が可能ということです。
航空機は索敵にも使えますので、直接視認しなくても敵艦の位置を把握できるメリットもあります。史実でも補助艦艇としての扱いだった航空母艦が、太平洋戦争における真珠湾攻撃でハワイに停泊するアメリカ太平洋艦隊の戦艦群を壊滅させるなど、大きな戦果を挙げています。
もちろん艦砲や艦載魚雷による攻撃も強力だし有効ではあるのですが、戦場はより三次元的な思考を必要とし、艦船の役割もそれにより変わっていきます。巡洋艦は戦艦に準ずる艦砲攻撃力で砲撃戦の準主役でしたが、空母の出現で艦隊を敵航空兵力から防御するという役割も担うようになります。
また、駆逐艦も雷撃力よりも防空に注力されるようになりますし、戦艦も余裕のある艦体に大量の対空兵器を搭載するようになるのです。……と、このように海で活躍する艦の移り変わりを考えながらプレイするのも結構楽しいですよ。
▲日本軍Tier4に登場する鳳翔は航空母艦として設計された艦としては世界で最初に竣工(完成)しました。 |
また、『WoT』の時もそうでしたが、“第二次大戦で採用された戦術が再現できる”点は、ミリタリーファンにとってとてもうれしい部分です。
前弩級艦から弩級艦へと発展していく中で、艦砲の規格を統一し、目標に対する砲の命中精度を高め、砲の口径を大きくすることで攻撃力を上げていく。重装甲を施し、あらゆる火砲の攻撃から生存するという大艦巨砲の時代から、航空機が主役となる海軍の過渡期を体験できるのがうれしい点でした。
結構語ってしまいましたが、もちろんミリタリーの知識がなくてもシンプルな操作で本格的な艦隊戦が楽しめる敷居の低さも忘れてはならない大きな魅力です。“free to win”がスローガンになっているウォーゲーミングのタイトルですが、一番すごいのは“simple to win”なのではないかと、『WoWS』で改めて実感した次第です。
▲敵艦と自艦の距離が離れる反航戦では、攻撃が当たらなくなるということや、同方向に向かって攻撃し合う同航戦だとお互いノーガードで撃ち合うことなどを実感できるのが実に楽しい。 |
『World of Tanks』プレイヤーや軍艦を動かしてみた感想は……?
記事の最後に、『WoT』をプレイしていた立場からこのゲームについてコメントしてみたいと思います。
簡略された操作系、無課金で勝利を目指せる“free to win”といった部分はもちろん、“Tier(ティア)”と呼ばれる軍艦のランク分けも同社がリリースしている『World of Tanks(WoT)』をプレイしていたユーザーならば、すぐに馴染めるものでしょう。
▲『WoT』では別の車種に進化する場合、基本は次のTierの車両が開発できましたが、『WoWS』では、同Tierの別艦種を開発する形になります。 |
基本的には兵器は、時代とともに発展進化していきます。わかりやすく言うと、Tierはその艦艇が活躍した時代をアバウトに表し、さらには強さのカテゴリとして見ることができるわけです(ゲーム的にはこちらがメインの役割と言えそうですが)。
▲『WoT』では開発が終った艦で得た経験値はフリー経験値にできたので、そのつもりで出撃したら……。本作ではランク3からその機能が使えるようになるらしく、1,000点ほど経験値が浮いています。 |
本作では、第二次大戦前の艦(前弩級艦)から始まって、大戦終結時までの艦を10種のランクに分類し、Tierの移り変わりとともに歴史の変遷も感じることができます。しばらくは、戦車内の窮屈さに疲れたら海へ、海で戦っているうちに陸が恋しくなったら戦車へ……といった生活が楽しめそうです。
(C)Wargaming.net
データ
- ▼『World of Warships(ワールド オブ ウォーシップス)』
- ■運営:ウォーゲーミングジャパン
- ■対応機種:Windows
- ■ジャンル:SLG
- ■サービス開始日:2015年9月17日
- ■料金:ゲーム内課金あり