2015年10月9日(金)

『ウィッチャー3』の拡張DLC“無情なる心”をレビュー。プレイ時間は10時間じゃ済まない!?

文:hororo

 2015年5月21日に発売され、日本のユーザーからも高い評価を得たオープンワールドアクションRPG『ウィッチャー3 ワイルドハント』。発売後は、全16種類の無料DLCが継続的に配信されていました。

 そして、来たる10月13日には、大型DLC“無情なる心”が配信予定です。“無情なる心”はこれまでのDLCとは違い有料ですが、複数のクエストが追加される大型のDLCとなり、ゲラルトの新たな冒険を楽しむことができます。

 また、クエスト以外にも新アビリティや装備品、アイテムのカスタマイズやグウェントのカードなど、さまざまな要素が追加されています。今回は、一足早く“無情なる心”をプレイする機会に恵まれたので、そこから判明した新要素の数々を紹介していきましょう。

『ウィッチャー3 ワイルドハント』

■『ウィッチャー3 ワイルドハント』とは

 “ウィッチャー”と呼ばれる怪物退治を生業とする戦士・ゲラルトの冒険を体験する、オープンワールドアクションRPG。ほぼすべてのクエストには選択肢があり、それによって人々の反応や結果が変化していくのが最大の特徴。

 なかには、その後のクエストやエンディングを左右する選択もあり、プレイヤーごとの物語を楽しめる。また、ウィッチャーの超感覚を使って、常人では知覚できない痕跡を追ったり、錬金術で作り出した霊薬やオイルなどを適切に用いることで有利に立ち回ったりと、本作独自の魅力も多い。

適正難易度はストーリークリア直後! すぐに遊べるモードも!

 “無情なる心”で始まる一連のクエストは、32レベルが適正レベルとなっています。だいたい本編ストーリーをクリアしたくらいのレベルを想定しているようですね。もちろん、メインストーリーを終わらせていなくてもクエストを受けることは可能ですので、好きなタイミングで開始できます。

 なお、レベルが足りてないけどすぐに遊びたい! というプレイヤー向けに、“無情なる心”のコンテンツを独立させて遊べるモードもあります。この場合、自分のデータは使用できない代わりに、即座にレベル32の状態でスタートできます。最低限必要な装備やアイテムなどをすべて所持した状態で開始できるため、どうしても先に遊びたい場合はこちらを利用しましょう。

 ただしこちらのモードで始めた場合、メインストーリーは一切プレイできず、終了後のデータをメインのデータに持ち越せないなど、いくつかの制約があります。プレイする際はその点にご注意を。

 ちなみに“無情なる心”の開始クエストですが、DLCインストール後にゲームを起動すると即座にクエストリストに表示されるため、迷うことはありません!

『ウィッチャー3 ワイルドハント』
『ウィッチャー3 ワイルドハント』

強大な力に翻弄される2人の男。陰に見え隠れする鏡の商人の正体とは!?

 一連のクエストは、ある一件の依頼から始まります。依頼主はオルギエルド・フォン・エヴェレックと呼ばれる1人の貴族。ゲラルトは、彼からオクセンフルトの下水道にいる怪物退治を依頼されます。

 下水道を調査していたゲラルトは、そこである女性との再会を果たします。女性の名前はシャニ。シリーズファンはお気づきかもしれませんが、初代『ウィッチャー』に登場したヒロインの1人です。彼女は、レダニアの兵士といっしょに下水道の調査をしていたのこと。

『ウィッチャー3 ワイルドハント』
『ウィッチャー3 ワイルドハント』
『ウィッチャー3 ワイルドハント』

 そして、シャニといっしょに下水道の探索を再開したゲラルトは、怪物の正体が巨大なカエルということを突き止め、倒すことに成功します。しかし、ちょっとしたハプニングがありゲラルトは昏倒、意識を失ってしまうのでした。

 目を覚ましたゲラルトが見たものは、見知らぬ檻の中。そして船の上といった状況でした。さらに異国の言葉を話す兵士たち。彼らの言葉を理解する囚人によれば、ゲラルトは大きな罪を犯してしまったとのこと。話し合おうにも言葉が通じない状況で、ゲラルトは脱出すらままなりません。

 そんな状況のなか、1人の男がゲラルトの前に現れます。名前はゴウンター・オーディム。“鏡の達人”を名乗るその男は、なんとかつてホワイト・オーチャードの宿屋で出会った男でした。彼は、ゲラルトに「頼みを聞いてくれたらこの状況から助けてやる」と話を持ちかけます。

 にっちもさっちもいかない状況のため、怪しさを感じつつもオーディムと契約するゲラルト。するとゲラルトの顔に、痛みとともに刻印が刻まれてしまいます。契約を完遂するまで刻印は消えることがないと告げ、姿を消すオーディム。その直後、ゲラルトを乗せた船は嵐に巻き込まれてしまうのでした。

『ウィッチャー3 ワイルドハント』
『ウィッチャー3 ワイルドハント』

 船が難破したことで、無事脱出を果たしたゲラルトは指定された合流場所へ赴き、オーディムの手伝いを始めることになります。その内容は、オルギエルドの3つの願いを叶えること。

 オーディムいわく、オルギエルドは、過去にオーディムと取引をしたもののその負債の返済を拒んでおり、それを実行するためにはオルギエルドの3つの願いを叶えることが必要とのこと。ゲラルトはオーディムに得体のしれない力を感じつつも、ともにオルギエルドのもとへ向かうことになります。

 再び出会ったゲラルトとオルギエルド。オーディムとともに、彼の3つの願いを聞きだそうとしますが、判明したのは2つのみ。最後の1つは、その2つを達成できなければ教えないとキッパリと拒絶されてしまいます。オーディムとオルギエルドのただならぬ関係や、渦巻く人知を越えた力を感じつつも、まずは2つの願いを叶えるためにゲラルトは旅立ちます。

――オルギエルドの願い(1)
“家を手に入れるため、屋敷へ侵入するメンバーを集めることに!”

 「マクシミリアン・ボルソディの家を持ってこい」というオルギエルド。そもそも家をどうやって運ぶのかを考えているうちに、怪しい男に声をかけられます。男はボルソディ家の競売場への侵入を企んでいるようで、その仲間を集めているとのこと。男に協力することに決めたゲラルトは、潜入に適したメンバーを集めるため、仲間集めを開始。

 高所を登り潜入路を確保する人員、金庫を破るための人員など、役割ごとに候補者を選んでいきます。それぞれの候補者の実力は確かですが、ただでは仲間にならないくせもの揃い。メンバーを集めて銀行強盗を企てる、映画のようなストーリーを味わえます。

『ウィッチャー3 ワイルドハント』
『ウィッチャー3 ワイルドハント』

――オルギエルドの願い(2)
“ゲラルトに軟派な幽霊が憑依!? 今世紀最大にチャラいゲラルトは必見!!”

 オルギエルドから言い渡された願いの1つは、弟のヴロジミールを最高に楽しませること。簡単な願いかと思いきや、なんと弟はすでに他界しているという事実に、ゲラルトは頭を悩ませます。

 オーディムに渡された死者の魂を呼び出す道具を使い、ヴロジミールとの対話に成功しますが、当のヴロジミールが望んだのはシャニが招かれている結婚式パーティーへの出席。ゲラルトに乗り移ったヴロジミールは、シャニやほかの女性を口説いたりウィッチャーの真似事をしたりと好き放題。歯の浮くようなセリフを次々と口にするゲラルトを見られるのは、このクエストだけ!(笑)

『ウィッチャー3 ワイルドハント』
『ウィッチャー3 ワイルドハント』

 このように、それぞれのクエストが本編では味わえない個性的な内容となっており、やりごたえはバツグン! この2つの願いをクリアすることで聞き出せる3つめの願いとは……この先は、ぜひ自分でプレイして確かめてみてください!

新しく追加された、装備を強化する要素“付呪”に注目!

 クエストだけでなく、システム面でも追加要素が入っているのが“無情なる心”の特徴。とくに、装備品に特殊な効果を付与する“付呪”というシステムが目を引きます。付呪は“無情なる心”で新登場となる“ルーン細工師”に頼むことで行なうことができますが、それにはルーン細工師の頼みを聞いて、彼の仕事道具をそろえなければなりません。仕事道具がそろうにつれ、より強力な付呪ができるようになっていくようです。

『ウィッチャー3 ワイルドハント』

 なお、付呪を行うには装備のソケットが3つ必要です。これまで存在していたルーンや刻印は、1つにつき1ソケットが必要でしたが、付呪は1つの効果をつけるのに3つのソケットを使う点に注意しましょう。必要ソケット数が多いぶん、ルーンや刻印では得られない特殊な効果を得ることができます。

 では、ソケットが2つ以下の装備には付呪は不可能なのかというと、そんなことはありません。ルーン細工師は装備にソケットを追加することができるため、事実上はどんな装備でも付呪を行うことが可能です。

『ウィッチャー3 ワイルドハント』

■付呪で得られる効果の例

保持:鎧職人の作業台と砥石のボーナスが切れなくなる
ピエロギ:食事による体力の自然回復が100%上昇するが、すべての食べ物がピエロギの味になる
慰め:アドレナリンが最大になると、アドレナリンが減少する代わりに体力と気力の自然回復が加速し、中毒度が早く減少する

 すべての食事がピエロギの味になるなど、ゲーム的には別に関係ないですが、ちょっと笑える副作用が書いてあるのがまた魅力的ですね。ピエロギは、開発会社のあるポーランドの伝統料理のひとつです。

 新たなアビリティや装備も追加されています。とくに装備はユニークなものや、シリーズの過去作をプレイ済みだと「おっ?」と思うものまで、さまざま。また、固有名詞を持つ武器は、手に入れるタイミングによっては無用のものとなってしまいがちだったため、ほかの武器は持ちえない特殊な効果を持つなど、エキスパンション・パックには本編とは一味違う武器や防具が取りそろえられています。

 正確には“無情なる心”での追加要素ではないですが、アップデートでショートカットに登録できる霊薬/アイテムの数が倍になります。使用頻度が高い霊薬を4種類まで登録できるようになるため、戦闘中に頻繁にメニューを開く必要がなくなるのは便利ですね。


 以上、ざっくりですが“無情なる心”のレビューをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか? 当然ながら本編同様、ボイスもすべて吹き替え。10時間以上のゲームプレイを提供と謳われていますが、触ってみた感じではサイドクエストなど追加要素をすべて楽しもうとすると、15~20時間は遊べそうです。

 ちなみに、10月12日までに予約購入すると、15%OFFの割引価格(1,003円+税)で購入可能かつ、“ゲラルト&イェネファーのカスタムテーマ”が付いてきます。この内容がこのお値段で買えるのはかなりお買い得だと思いますし、何よりチャラいゲラルトのクエストがすごくおもしろい!

 来年春にはさらにボリュームのあるDLCが配信される予定なので、こちらの購入も考えている方はエキスパンション・パスでの購入もオススメです!

『ウィッチャー3 ワイルドハント』

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