2015年11月2日(月)
フランスのパリにて開催された“Paris Games Week”。会場で『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』プロデューサーの齊藤陽介氏と、ディレクターのヨコオタロウ氏にインタビューをすることができた。
▲ヨコオタロウ氏(左)と齊藤陽介氏(右)。ハロウィンということで、実験兵器7号を模したカボチャも。 |
タイトルの由来や前作とのつながりなど、気になる点について質問した。
──現在の開発状況はいかがでしょうか。
齊藤:全体のボリュームを考えるとまだまだなんですが、アクションゲームとしての遊びの部分の根幹は固まってきています。いわゆるRPG的なところはこれから積みあげていく段階です。
ヨコオ:僕はもうアクション部分は完成でいいと思ってる んですが、プラチナゲームズさんがまだまだ、とこだわってくれてるんですよ。
──タイトルを『ニーア オートマタ』に決定した経緯を教えてください。
齊藤:アンドロイドがたくさん出てくるので、元々は“アンドロイズ”にする予定でした。しかし商標的に難しく、いくつかアイデアを出そうという話に。そのなかで、ヨコオさんから挙がってきた“オートマタ”が1番世界観に合っていました。これも商標的な問題はあったのですが、『ニーア オートマタ』という1つの作品として商標が取れそうだったので、これでいこうと。
──ほかにはどんな候補がありましたか?
齊藤:ヨコオさんが挙げていたものだと、“オートマタ”の前に何か付けて、“~オートマタ”にしたい、みたいなね。
ヨコオ:“オートマタ”が使えなかったときのために、“エクスオートマタ”とか、“EXオートマタ”とか。
齊藤:私は“レクイエム”を挙げたりしました。
ヨコオ:造語をけっこう提案したんですが、海外の人に音の感じを聞いてみるとよくなかったりするんですよ。“アンドロイド”から取って“ロイズ”を造語にしようとしたら、どうやら下着っていう意味があるらしくて、世界観に合わなかったんですね。ほかにも“ドール”って入れようとしたら、それは小さい女の子が遊ぶものだから、合わないって言われたり。
齊藤:“マリオネット”っていう案もありましたね。
ヨコオ:僕は氷室京介さんを思い出すんで、保留にしました。
齊藤:“アイアンメイデン”など、しぼりこむ前はたくさんの案が挙がっていたのですが、最終的にはヨコオさんが“オートマタ”を推したので、決まりました。
──ヨコオさんが“オートマタ”を推した理由は?
ヨコオ:設定的な意味合いだと、機械だとか、操られるものとかいろいろあります。でも一番はやっぱり単語の語感というか、距離感が自分のなかでちょうどよかったからです。あんまり難しいと読めないですし、簡単すぎてもおもしろくないと思うので、バランスはいいんじゃないかなと。
──今回のメインテーマは?
齊藤:ハッピーエンドです!
ヨコオ:テーマっていうのはいつも基本的にないんですけど、エンディングはハッピーエンドになります。したい、じゃなくてなります!
齊藤:キーワードはE3のときにヨコオさんに考えてもらった“人形・人・機械”。この3つがどう絡んでくるのかは、物語のなかで体感してみてください。
──そのキーワードは、ふと思いついたりするものなんですか?
ヨコオ:ストーリーの全般にわたって出てくるキーワードをかいつまんだ感じですね。
──制作にあたって一番最初に考えるのはなんですか?
ヨコオ:一番最初に出てくるのは予算です(笑)。それがないと何も始まりません。
齊藤:予算を出すために、ヨコオさんにベースとなる企画を出してもらっていて。そのときにはまだ“オートマタ”っていうのは決まっていなかったんですが、“アンドロイド”や“機械生命体”というワードはもちろんありました。
──吉田明彦さんが手掛けるキャラクターの2Dイラストも公開されました。彼女が主人公なのでしょうか?
▲吉田明彦氏による自動歩兵人形“2B”(正式名称:ヨルハ二号B型)のイラスト。 |
齊藤:そうですね、何人かいる主人公のなかでの1人です。
──主人公格が何人かいると?
齊藤:“本当の主人公”という意味でいうと……2人?
ヨコオ:僕は3人かなーという感じです。
──女性的なシルエットをしていますが、“アンドロイド”にも性別という設定は今回あるのでしょうか。
齊藤:女性型……ですかね。
ヨコオ:秘密です。
齊藤:(笑)。また、そういうことを言うと、両性具有と言われたりしますよ。
ヨコオ:秘密です(笑)。
──女性型にした理由は?
ヨコオ:女の子が好きだからです。パワー系マッチョよりも女の子がいいですね。
──プレイヤーからの評判もよさそうです。
ヨコオ:それは好みですから、男性のほうがいいという人もいるでしょう。今回は女性の気分だったというだけで。
齊藤:私が吉田明彦さんに“コスプレ映えしそうな衣装を是非”と発注しました。太ももあたりがたぶん彼のこだわりの部分だと思いますよ。
──2Bはアンドロイドの部隊“ヨルハ”に所属するということですが、それ以外にも別の部隊があるのでしょうか?
齊藤:それは私も知りたい。
ヨコオ:“ヨルハ”以外の部隊もあるんですけど、ゲーム中には出てきません。部隊ではなくて“ヨルハ”以外のアンドロイドはいっぱい出てきます。
齊藤:“ヨルハ”ってのは部隊名で、部隊に所属しないアンドロイドも当然いる、ということです。
──そのアンドロイドたちにも性別があるんですか?
ヨコオ:性別は秘密なんですけど、形は男女両方います。
──アンドロイドたちは、それぞれアクションに関連するような特徴を持っていた りしますか?
ヨコオ:違うは違います。機能が。
──“ヨルハ”という部隊名の意味を教えてください。
ヨコオ:特にないです。漢字は決めてあるんですけど……“寄葉”って。
齊藤:そうなの?
ヨコオ:そうなんですよ。そうなんですが、別にそこから深い意味はありません。
──直感的に決まったと?
ヨコオ:いろいろ考えた結果なんですが、今となっては深い意味はないような気がします。
──そのときは、どんなことを考えていたんですか。
ヨコオ:キーワードで普通の単語を使うと、あとから商標に引っかかることがあるので嫌だなと。それで造語を考えないといけないことが多いので。そこから先はインスピレーションで、ふわっと考えます。
──物語の設定上では人類が月に逃亡しているようですが、地球は異星人と機械生命体が占領する形で定住しているのでしょうか?
ヨコオ:そうです。
──それを人類がアンドロイドを用いて奪還しようとしている?
ヨコオ:そうですね、奪還しようとしています。
──アンドロイド任せで、人間は参加しないんですか?
ヨコオ:しないですね。
──2Bのスクリーンショットでは刀や大剣の武器が確認できました。それぞれどんなアクションが用意されているのでしょう?
▲日本刀と大剣を持ち、敵と戦う2B。 |
ヨコオ:アクションに関してはプラチナゲームズさんに全部任せていて、その間僕はずっと寝てるので……。
齊藤:そんなことないでしょ(笑)。
ヨコオ:その質問はプラチナゲームズさんの田浦さんという人にメールで聞くのがいいと思います。田浦さんのメールアドレスを電撃さんの誌面とウェブに載せといてください。
一同:(笑)。
齊藤:ダメだよ(笑)。ものすごくスパムがくるよ。まだまだ未発表の武器がたくさんあるので楽しみしていてください。やっぱりアクションのプラチナゲームズですから、見ていて超かっこいいです。
──武器はまだまだ種類があるんですね。
齊藤:まだありますよ!
――何種類くらいあるんでしょうか。
ヨコオ:けっこうあります。
──スクリーンショットで、2Bのすぐ側にいる機械(ポッド)はしゃべるんですか?
▲本作のコンセプトアート。2Bの右側に浮遊しているのがポッドと呼ばれる機械。 |
ヨコオ:しゃべりますね。ただ、すごくシンプルな機械なんで、軽くしゃべる感じです。
──感情みたいなものは?
ヨコオ:基本的にはないです。
齊藤:システムメッセージ的なのをしゃべります。
ヨコオ:カーナビみたいなやつです。
──いろいろな機械生命体が明らかになっていますが、そのバリエーションはどれくらいですか?
齊藤:あんまりどれくらいって語れないような作り方をしていると思います。たとえばベースが同じでもパーツやカラー、テクスチャが変わったり、乗り物に乗ってたりだとか。かなりのバリエーションがありますね。
──1体大きい機械生命体が見受けられましたが、ボス級の敵になるのでしょうか。
齊藤:あれはまだまだですよ。あんなの小さいよねっていうぐらいでかいのも出てきます。
ヨコオ:大きめではありますが、あれはボスとかではないです。
齊藤:とてつもなくデカいのもいますのでそれも楽しみにしていてください。
──イノシシがスクリーンショットに映っていましたが、今回も乗れたりするのでしょうか。
齊藤:映ってたんだね、気がつかなかった。あ、小さいやつか。
ヨコオ:イノシシには乗れるようにしたいな、とプラチナゲームズの人が言ってました。なんか他人事みたいですけど(笑)。
齊藤:乗れるようにしますって言ってたよ。公開されたスクリーンショットのものかはわかりませんが。
ヨコオ:でも忙しくなったらわかんないですよ(笑)。
一同:(笑)。
──イノシシ以外にも動物はいますか?
齊藤:いますよ、シカ的なやつ。
ヨコオ:乗れるかどうかは知らないです。みんなイノシシに夢中だったんで。
齊藤:たぶんプラチナゲームズの技術力で、乗れるようになるんじゃない?
ヨコオ:そこは関係ないんじゃないですか?(笑)
──人と動物が共存できている世界なんですね。
ヨコオ:動物は普通にいます。人だけいない。
齊藤:人は我先にと逃げちゃいました。
──前作とのつながりはありますか?
ヨコオ:ストーリーのつながりはほとんどないですね。世界観とか舞台、状況設定は共有しているんですけれども。前作をやらないとわからないというのは避けたいので、極力つながらないようにしました。だから、前作を全然知らなくてもいいと思います。
齊藤:知ってる人が見ると、ニヤリとする登場キャラクターがいたり、イベントがある感じかな。
──同じ世界で、時代だけ違うとか?
ヨコオ:そうです。時代だけ違います。
──最後に、発売を楽しみにされている方へ向けて一言お願いします。
齊藤:前回のE3でヨコオさん、岡部さん、吉田さん、プラチナゲームズという座組みに皆さんビックリしていただいたようです。私は今だいたい月に1回ぐらいプラチナゲームズに行って打ち合わせをしてるんですけども、行くたびにどんどん良く仕上がってきています。
ヨコオさんは向こうにほぼ常駐して作業してもらっているんですが、ヨコオさんはわからないですけど、プラチナゲームズのみんなが一生懸命作ってくれているので、ぜひ楽しみに待っていていただきたいと思います。
ヨコオ:プラチナゲームズのスタッフは若くて優秀な方が多くて、とくにメインでやってる田浦さんはイケメンで若くて許しがたく、私はイライラしながら仕事しています(笑)。私はこれを一番みなさんにお伝えしたいです。
齊藤:うらやましいぐらい雰囲気良く作ってくれているので、こちらとしては安心できます。とても優秀なので“ヨコオワールド”をゲームとして実現できる良い環境にヨコオさんはいると思っています。
ヨコオ:プラチナさんの作品はいいゲームになるんで、僕の設定やストーリーはあまり期待せずにお待ちください。男子って期待されると萎えたりするじゃないですか。そういうの……ダメなんですよ。
齊藤:でもヨコオさんからもらったプロットを初めて見たとき、ものすごくハッピーエンドの内容だったので、逆にこんなにハッピーエンドでいいのかって聞き返すぐらい、いいお話になっています。そこは期待してもらいたいです。
▲和気あいあいとした空気で、とても良い雰囲気で制作が進んでいることがインタビューをしていても伝わってきた。 |
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