2015年10月31日(土)

もはや実車。180度スクリーンや可動シートを搭載した体感マシン『リアルドライブ』にBNEの本気を見た!

文:Z佐藤

 10月29日~11月8日にかけて、東京ビッグサイトで開催中の日本最大の自動車ショー“第44回 東京モーターショー2015”。バンダイナムコエンターテインメントが初協賛した本イベントに、全国導入に先駆けてスポーツ走行体感マシン『リアルドライブ』が初出展されました。

『リアルドライブ』

 本記事では、ゲームの概要と実際にプレイして判明した本作の魅力をレポート! 加えて、本作のプロデューサーである前田和宏氏へのインタビューもお届けします。ゲームのコンセプトや作品に込められた想いなどを語っていただいたので、そちらもお見逃しなく!

『リアルドライブ』

かつてないほどの臨場感で「また走りたい」、「次はもっとうまく走りたい」という感覚に!

 『リアルドライブ』は、前面180度の視界をカバーするドーム型スクリーンや運転に合わせて可動するシート、サウンドスピーカーシステム、6速シフトと3ペダル(アクセル・ブレーキ・クラッチ)を搭載し、実車さながらの挙動や疾走感を堪能できるスポーツ走行体感マシンです。

『リアルドライブ』

 シートに座ってまず驚いたのが、ドーム型スクリーンで真横の視界までもがしっかりとカバーされているということ。シートに座った瞬間に、自分がまるでサーキット場にいるかのような気分になりました。

『リアルドライブ』
▲眼前いっぱいにサーキットの光景が広がります!

 イグニッションスタートボタンを押すとゲームがスタート。まず始めにマシンを選択します。今回出展されたバージョンでは、ロードスター[マツダ]、シビックタイプR[ホンダ]、トヨタ86[トヨタ]から好きなマシンを選択できました。

『リアルドライブ』
▲ナビゲーターの赤城美月がゲームの進行をサポートしてくれます。

 コースは“鈴鹿サーキット東コース”に決定されていましたが、正式稼働時にはマシンやコースの種類が大幅に増えるとのこと。

 走行時にはアクセルを踏むとシートが後ろへ、ブレーキを踏むと前へ、さらにカーブを曲がる際には右・左に傾くなどカンペキなまでにシンクロして動くので、ゲームであることを忘れるほどの感覚が味わえました。

 さらに真横の視界もカバーされているので、前方から横方向へと流れていく景色、前方にあるカーブの様子や先行車の詰まり具合なども確認でき、かつてないスピード感と臨場感を満喫。サーキットの空気感をここまで体感できるゲームは他になかったように思います!

 この感覚は、ぜひみなさんにも体験していただきたいですね。なお、稼働時期やプレイ料金などの詳細は、決まり次第随時発表される予定とのことです。今から稼働までが、本当に待ち遠しい!

かつてスポーツカーに乗っていた人たちに、車の楽しさをもう1度お伝えしたい

『リアルドライブ』
▲『リアルドライブ』プロデューサー・前田和宏氏。他にも『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE』シリーズのプロデューサーとしても活躍しています。

──『リアルドライブ』のコンセプトを教えてください。

 まずターゲット層ですが、30代半ばから40代の大人の男性を意識して開発しました。スポーツカー全盛の時代に、トヨタのスープラや日産のシルビア、マツダのRX-7といった車に実際に乗っていた方たちですね。

 そうした方々も現在は家族を持ってミニバンに乗るなど、自分の好きな車に乗りたくても乗れなくなっていると思うんです。ですので、そうした方たちに車の楽しさをもう1度お伝えしたい、と考え『リアルドライブ』を作ろうと決心しました。

──前田さんは『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE』シリーズを世に送り出しましたが、こちらのタイトルと差別化を図るうえで配慮したポイントなどはありますか?

 車が好きな人たちって“自分自身が実際に乗っていた”という経験則がありますよね。車を実際に運転していた方たちが思い描いているような、リアリティある車を再現することを目指しました。

 『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE』シリーズは、ゲームとしてはよくできているけれど、リアルとは少し離れているかなと思ったのです。

 ですので今回は、かつて車に乗っていた人たちが満足できるものにするべく、先に挙げたタイトルよりもシミュレーター寄りの作りにしてあります。

 ただ、シミュレーター色の強いドライブゲームは世の中にいくつも存在しますが、作品によってはまっすぐ走ることさえ苦労したりもしますよね。それはしっかりと数値演算をした結果だと思うのですが、それもリアルとは少しかけ離れていると思うんです。

 よって、完全なリアルというよりは“私たちが車を動かした時に感じられるリアル”というものを意識して作っています。

──そういったリアルを表現するにあたって、システム部分ではどのような工夫をされていますか?

 最近のドライブシミュレーションゲームでは、路面にガイドラインが表示されていたり、ブレーキのポイントなどを教えてくれたりしますよね。それらはなぜあるのかというとタイムアタックのためで、コースを走るための答えになっているんです。

 それを表示してしまうと、その答えにどれだけ近づけるかという、別の遊びになってしまいます。結局のところ、車というのは乗って動かして楽しむものですので、あえてそういったガイドを表示せず、本当に危険な減速ポイントにだけガイドを表示する形にしました。

 それすらも最低限のガイドでしかありませんので、減速してから加速するタイミングなどは表示されません。鈴鹿サーキットのベストラインを知りたければ、ウェブに動画がたくさんアップされていますのでそれを観ればいいワケです。

 それこそまさに実写と一緒で、知りたければ調べていただくだとか、そういったことも車の楽しさだと思うんですよ。速くなりたいという欲求に対し、自分で答えを見つけていくのも楽しいじゃないですか。

 それをシステム側でナビゲートしてしまうとプレイヤーの自由や楽しみを奪うことになりますので、サーキットを速く走るゲーム、1位になるゲームという切り口ではなく、走ることや車に乗ることそのものの楽しさ、ということを思い出していただけるような作りにしました。

『リアルドライブ』
▲ブースでは走行中のプレイヤーの様子を表示。私自身、夢中になってマシンを操作していました。

──今回はマシン3台から選択できましたが、今後、どういった方向性で車種を増やしていく予定でしょうか? コースについても気になるところです。

 やはり30代40代の方たちが乗りたいと思う車を増やしていきたいですね。そのあたりを中心に、今回のショーに出展されているような最新の車も準備できればと。その2本柱で考えているところです。

 コースに関しては、今回の出展では鈴鹿サーキットの東コースを体験していただきましたが西コースもちゃんと作っていますので、最終的にはフルコースで走れるようになります。

 その他、筑波サーキットをはじめ他のコースも用意してあります。こちらも実在のコースを1/1スケールで忠実に再現しているので、実際に走っている感覚を楽しめるのではないかと思います。

──最大プレイ人数は何人でしょうか? また通信プレイは可能ですか?

 1つの店舗につき最大4台まで連結できます。離れた場所にいるプレイヤーと通信対戦するというのではなく、4人で同じレースに参加するといったイメージになりますね。

 通信対戦をできるようにしてしまうと勝負がメインになってしまい、車好きのプレイヤーが集まってもコミュニケーションがなくなってしまいます。そこは切り分けて、ある程度の年齢層から上の人たちが走った後に、余韻を含めて楽しめるような形にできればと。

 ですのでアクション系のドライブコーナーの隣ではなく、もう少しゆったりと楽しんでいただけるよう、設置場所を含めて考えているところです。

『リアルドライブ』
▲このような筐体になるとのこと。全面覆われているので、周囲を気にすることなく運転に没頭できます。

──稼働がとても楽しみです! 最後に車を愛する皆さんにメッセージをお願いします。

 『リアルドライブ』では“思い出せ 走る喜びを”というキャッチフレーズを掲げています。それこそが私たちの願いですので、ぜひプレイしていただいて「そうそう、車って楽しかったよね」という感覚を思い出していただきたいです。

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