2015年11月7日(土)
【電撃PS】インディーを手掛ける4人が語らう“INDIE★STAR”コラムまとめ読み【BitSummit Awards編】
現在、電撃PlayStationにて連載中のコラム“INDIE★STAR”。インディーにかかわる制作者たち4人が集まり、インディーへかけるアツい想いを語っていくコラムだ。
ここでは、電撃PlayStation 596号、597号で掲載されたコラムをまとめて掲載。7月11日と12日の2日間、京都で行われた日本最大規模のインディーゲームの祭典『BitSummit 2015』にて“The BitSummit Awards!”を受賞した方々の声を中心にお届けしていきます。
“INDIE★STAR”を企てる者たち
▲伊藤雅哉(いとうまさや):有限会社キュー・ゲームス プロデューサー。『PixelJunk』シリーズや『The Tomorrow Children(トゥモローチルドレン)』『Nom Nom Galaxy』を担当。 | ▲村上雅彦(むらかみまさひこ):株式会社VITEI リードアーティスト。アメリカの芸大を卒業後、フリーのゲームアーティストへ。2009年にVITEIに参加。2014年『Modern Zombie Taxi Driver』でBitSummit大賞を受賞。 |
▲安浪宗彦(やすなみむねひこ):株式会社アクセスゲームズ プロデューサー。フリーのゲームプランナーを経てアクセスゲームズに参画。『D4:Dark Dreams Don’t Die』の立ち上げをキッカケにクラスチェンジ。 | ▲堀川和良(ほりかわかずよし):株式会社オーツー リードプランナー。テーブルトークRPGやボードゲームを愛するゲームプランナー兼シナリオライター。『peakvox』というレーベルで、オリジナル作品開発にも携わる。 |
“The BitSummit Awards!”受賞者の声をお届け! 前編【596号掲載】
夏真っ盛り! 株式会社アクセスゲームズの安浪です。みなさん、しっかり水分と栄養補給をしてくださいね。
さて、真夏のインディーゲームの祭典、BitSummitから早くも1カ月が過ぎました。たくさん反響をいただいております。ありがとうございます。関係各位一同、やりきりました! 最終日感動のフィナーレを飾ったThe BitSummit Awards! 受賞者の声を今回と次回、2回に分けてお届けします。
■VERMILION GATE AWARD/朱色賞 <大賞>
『La-Murana2』NIGORO 楢村匠さん
・受賞の感想
どういった評価で大賞なのかわからないですし、今年いっぱいは制作し続けるだけで宣伝や売り込みを行わないので特に変わることはありません。
・インディーというものについてどう思うか?
定義も実態も変わってしまっているので只の制作体制の違いでしかないです。我々は状況や業界が変わろうとも自分達だけのオリジナル作品を作り続けるだけです。
・これからの日本のインディーゲームシーンについて
また細分化していくような気がします。大事なことは評価されたものは見合った成功を手に入れることができ、ゲームファンは自分の好みに合うゲームを見つけやすくなるという、制作物の流通のあたりまえのことがもっと形になるきっかけになればと思います。
■VISUAL EXCELLENCE AWARD/ビジュアル・デザイン最優秀賞
『Vane』Friend & Foe Matt Smithさん
・受賞の感想
もちろん感謝ですが、受賞で変わることはやる気が出ることかな。ゲームがまだまだ初期段階で受賞が出来るのはものすごく感動した。現在の方向が当たっているとの確認にもなります。
・インディーというものについてどう思うか?
すべてが自分の責任になること。大変ですが、判断と決定は自分だけのものになりますので、成功した場合にも失敗した場合にも、すごく純粋な学びになるかと思います。大変だけど、間違いなく楽しいです。
・これからの日本のインディーゲームシーンについて
楽しみです。だんだん完成度や狙っているゲーム性が進化している気がします。古いものそのままを繰り返すだけではなくて、新しい考えと意味が含まれているゲームを作れば、日本のインディーゲームシーンはちゃんと生き延びると思います。
■EXCELLENCE IN SOUND DESIGN AWARD/サウンド・デザイン最優秀賞
『まかいピクニック』Route24 西 健一さん
・受賞の感想
サウンドの安達さん、エレキコミックさん、関係者のセンスを評価して頂けたと思っているのでとても嬉しかったです。スマホはサウンドオフで遊ぶ人が多いのでそこはあまり力を入れなくていいという考え方も多いみたいですが、踏ん張ってよかったです。
・インディーというものについてどう思うか?
大資本をバックにトレンドを解析しまくった作り方では出てこない、突拍子もないものとかキテレツなものが出てくるのが面白いです。インディーから次のトレンドの芽が出たりするようになれればいいなと思って制作しています。
・これからの日本のインディーゲームシーンについて
せっかくの面白い発想だったりテクニカルな技術があっても日本のマーケットだけの広がりでは狭くて弱いです。積極的に世界と繋がることが大事。世界のマーケットを意識している人がインディーシーンにも多くなってきているので、これからどんどん盛り上がるのではないでしょうか。
いかがでしょうか。授賞式の様子思い出すなあ。胸いっぱい。さあ、また1年、ゲームを作ろう。来年もきっと京都で会えるよね。それではみなさん、よい夏を!(次回に続く)
“The BitSummit Awards!”受賞者の声をお届け! 後編【597号掲載】
夏休みも残りわずか! 思いっきり遊びましたか? タイムマシーンがあれば「宿題さっさと片付けへんと気分よく遊べへんで!」と昔の自分にきつく言い聞かせたい株式会社アクセスゲームズの安浪です。今回は前回に引き続き、真夏のインディーゲームの祭典BitSummitで感動のフィナーレを飾ったThe BitSummit Awards! 受賞者の声をお届けします。
■MOBIUS STRIP PRIZE FOR INNOVATIONAWARD/革新メビウスの帯賞
『GENSO』AstralGate 日比野翔史さん
・受賞の感想
BitSummit 2014を見て「僕もここに、開発者として立ちたい」と思った僕にとっては、この受賞は非常に喜ばしく光栄なことでした。僕は基本的に引きこもりですが、自分をアピールすることに関する勇気をいただいた気がします。
・インディーというものについてどう思うか?
インディー(小規模開発)が活発になっていくなかで、僕のような、スキルの無い個人開発者がどう戦うべきかと常々考えますが、作品が私的でアーティスティックな傾向をもつようになることは、1ゲーマーとしては歓迎しています。
・これからの日本のインディーゲームシーンについて
BitSummitが「柱」として存続し続けることが、これからの日本のインディーシーンにとって重要なことの1つではないかと思います。
■BITSUMMIT AWARD/ビットサミット賞
『ヒーラーは二度死ぬ』Pon Pon Games 浜野哲志さん
・受賞の感想
イベント名そのものを冠した、いわばインディー・オブ・インディーとも言うべき賞をいただきまして、インディー冥利に尽き大変嬉しく思います。
・インディーというものについてどう思うか?
作家性の高いゲームが多いのが魅力的だと感じています。またSNSやイベント等で作者の方とコミュニケーションを取れるのも楽しみの1つです。
・これからの日本のインディーゲームシーンについて
ゲーム機向けゲーム制作のハードルが年々下がりつつあります。長い歴史のある日本的なフリーPCゲーム/同人ゲームの文化が、今こそゲーム専用機の世界に新しい風を吹き込むのではないでしょうか。
■INTERNATIONAL AWARD / インターナショナル賞
『Assault Android Cactus』Witch Beam Sanatana Mishraさん、Tim Dawsonさん
・日本のインディーシーンについてどう思うか?
もともと興味があり、洞窟物語や東方プロジェクトからは、とても大きな影響を受けています。今回参加して、日本インディーの幅の広さ、将来の可能性を再認識する事ができました。規模の小さなゲームの中にもとても面白く研ぎ澄まされたゲーム性や、こだわり抜いたスタイルのグラフィックがあるように感じられました。同人シーンや日本が昔から持っているクラシックゲームのスピリットの中から出てきているのかもしれませんね。(Tim)
・受賞の感想
私たちにとって、日本という場所はアーケードゲームと開発者の聖地です。 沢山のアイディアやインスピレーションの宝が隠されている洞窟のような場所。そんな場所で賞をいただいたという事は、私たちに沢山の自信をくれました。ゲームの難易度が高すぎるかと心配していましたがBitSummitで遊んでくれた方々は、かなり上手でした。彼らの様なプレイヤー向けになにか特別なチャレンジを考えないといけないなと感じました。(Sanatana)
・また次回も参加したいと思いますか?
BitSummitは楽しかったし、京都も大好きです。また参加したいと思います!(Tim)
いかがでしょうか。やっぱり授賞式の様子を思い出すなあ。さあ、打ち上げやろう。仕事をやりきった後、同志と飲むビールののどごしは格別なんだぜ。これがあるからゲームの仕事は止められない。それではみなさん、また次回!
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