2015年11月16日(月)
コーエーテクモゲームスから、11月19日に発売されるPS4/PS3/PS Vita用ソフト『ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~』。発売が間近に迫った本作のレビューをお届けします。
まず最初に、『アトリエ』シリーズについてもう一度おさらいしましょう。『アトリエ』シリーズは、アイテムを作り出す”錬金術”を軸に、主人公の成長を描く大人気RPGです。1997年に発売した『マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~』から、『ソフィーのアトリエ』で17作目と歴史の長いシリーズになりました。
定期的に世界観やキャラクターが一新されており、本作もまた、これまでとはまったく異なる世界観とキャラクターで展開する、新たなシリーズの始まりとなっています。これまでのシリーズファンも、新鮮な気持ちでプレイできるはずです!
『ソフィーのアトリエ』の舞台は、温かな雰囲気を持つ街のキルヘン・ベル。ここで錬金術のアトリエを営むソフィーは、ひょんなことから本の姿のプラフタと出会い、彼女の記憶を取り戻すため奔走することになります。その中で、多くの仲間たちとの出会いや、プラフタとの友情、そしてソフィーの成長が描かれていくのです。
ゲームの基本的な流れ自体は、従来の『アトリエ』シリーズと同様です。まずは採取地へ冒険に出て、魔物を倒しながら材料を集め、それを組み合わせて調合でアイテムを作っていきます。
そして特定の目標を達するごとに物語が進んでいくことになるのですが、本作で大きく変わったのは、その目標になるのが”アイテムのレシピを発想する”ということなのです!
アイテムの調合に必要なレシピは、1つ1つ発想する(閃く)ことで習得していくのですが、その条件は、誰かとの会話や、戦闘回数、特定のアイテムの調合など、とにかくさまざま。ゲームでできる行動のすべてにレシピ発想の可能性が存在しています。条件のヒントは、物語が進むごとにもらえるレシピ本に書かれていますので、それを参考にしながら、いろいろなアイテムを作っていきましょう。
さらにレシピの中には、プラフタの記憶に関係した重要アイテムがいくつかあり、それを発想することで物語が進んでいきます。このあたりの流れは、ゲーム序盤でチュートリアルとしてかなり丁寧に教えてくれるので、戸惑うことはないはずです。
▲メニューから“レシピ発想”でレシピを確認! レシピはフローチャートになっていますが、その順番に発想していく必要はありません。 |
▲条件を見て、できそうなところから埋めていきましょう。ちなみに鍵のマークが、プラフタが記憶を取り戻す重要なアイテムとなっています。 |
街中ではキャラクターたちとのイベントが続々と発生します。加えて、街の人の依頼をクリアしてお金を稼いだり、より遠い採取地へ行くためレベルを上げたり、さらなる強敵との戦いのために強力な武器やアイテムを作ったりと、とにかくできることが盛りだくさん! 序盤からガンガンイベントが起きるので、あちこち歩き回るのがとにかく楽しくなってきます。
そして、本作ではシリーズで初めて時間帯の概念があります。何か行動するごとに、朝、昼、夜と時間が経過。さらに天気まで変わります。それにより、キャラクターのいる場所や、採取地で採取できるアイテム、出現する魔物も変わるのです。
採取地に行こうとしたら、移動している間に夜になったり、アイテムを買おうと思ったらお店が閉まっていたりと、なかなかうまくいかないことも多いです。その分、今まで以上にリアルな錬金術生活を楽しめますし、時間の流れも計算して行動するのも、また1つの楽しさになっています。
▲街ではあちこちでキャラクターたちとのイベントが発生。時間の流れで人々のいる場所が変わることもあります。 |
本作では、錬金術システムも大きな魅力。調合釜の中にあるパネル(マス)に、さまざまな形をした材料(ピース)をはめ込んで調合を行います。パネルの形は使う調合釜や完成品ごとに異なり、材料については、同じ材料でも品質などで形が変化するので、毎回違ったパターンが楽しめます。釜によっては材料を回転することも可能なので、広がる楽しさはまさに無限大!
そしてパネルにはボーナスのあるマスがあり、そこにピースをはめると、各材料の効果値がアップします。これが大きくなるごとに、さまざまな効果が発現していきます。
また、調合レベルが上がると、これまでのシリーズと同様、材料が持っている特性を引き継げるようになります。セットした材料の横に新たなボーナスが発生したり、最終的にパネル上にあるピースの面積によるボーナスもあったりと、こだわろうとするとかなり奥の深い調合を楽しむことができます。
▲各材料のカテゴリ、サイズ、特性は事前にチェックできます。さらに、使用する調合釜によっても効果が変化。失敗することはないのですが、よい品質を求めると考えることは多いです! |
一見するとパズルのように見える錬金術ですが、パズルは苦手という人も安心してください! すでにセットされている材料に、重ねて別の材料をセットすることもできます。この場合、下の材料は消えてしまいますが、ピースがハマらなくて調合が完成しないという事態は起きません。簡単にアイテムを作る場合は、ほとんど頭を使わずとも調合自体はできるのです。
序盤はランクの低いアイテムでも十分戦闘で活躍できるので、ある程度材料が揃うまで、戦闘レベルを上げてなんとかするという対処法もありますよ! 戦闘、調合、どっちに比重を置いても楽しめる、そんな懐の深さも、このシリーズならではです。
調合に並び、『アトリエ』シリーズの大きな醍醐味となるのが戦闘です。世界観が一新されている本作の戦闘システムは、ターンの最初に全員のコマンドを入力していく“ロジカルターンバトル”。入力したコマンドによって行動順が変化するので、画面に表示される行動順番を見ながら、敵の行動を先読みしてコマンドを入力していく必要があるのです!
▲戦闘には最大4人が参加できます。また、仲間となる全員がアイテムを使えますが、キャラクターによって使えるアイテムが異なります。 |
▲画面左にあるのが行動順番を示すバーで、ターンが始まったら、上から順に行動します。コマンドを実行すると、その後どの順番になるかもわかります。 |
また、“スタンス”によるサポート行動も特徴的。キャラクターごとに攻撃か防御のスタンスを決めておくことで、自動的に味方をサポートする行動をとってくれます。スタンスが攻撃なら追撃したり、防御なら代わりに攻撃を受けたりといった具合。シリーズをプレイしてきた人は、アシストシステムの進化版と思っていただければわかりやすいです。
アイテムやスキルを使うとたまる“チェインリンク”ゲージに応じて、自動でサポートを行ってくれるので、操作もより簡単です。戦闘のテンポもよく、スピーディに展開するのもうれしい! また、同じスタンスのメンバーが複数いると、その行動も強力になっていくのもポイントです。
▲3人以上が同じスタンスで、チェインリンクゲージが300%までたまると、攻撃ならスペシャルアタック、防御ならスペシャルガードが自動発動します。 |
▲敵を倒すことで手に入る材料の他、宝箱が出ることもあり、そこから材料や防具を入手できます。 |
戦闘では、強力なアイテムを作るのはもちろん、スタンスでのサポートをうまく使い分けていくことが重要となります。戦闘前に杖で叩いて先制攻撃を行うと有利になるといった要素も健在です。
そして、シリーズのファンの多くが期待していると思われる、やり過ぎともいえる戦闘演出もますますパワーアップ! ある程度強力な技を覚える必要がありますが、ぜひその目で確かめてください。
基本的なゲームの流れがわかったところで、物語の序盤の展開を少しだけ紹介しましょう。
親友のモニカに“山師の薬”というアイテムの調合を頼まれるところからゲームは始まります。かけ出し錬金術士のソフィーは、そのために祖母の残した本を探すのですが、その本にレシピを覚え書きをすると、なんと本が話しだします!
これが、パートナーとなるプラフタとの出会い。この時まだ彼女は本の姿のまま。本なのにかなり上から目線ですが、それもそのはず、彼女はなんと500歳以上! さらに、どうやら読むための本ではなく書き込むための本であり、レシピを書き込むことで、記憶が戻るようです。
記憶がないのに錬金術の知識はあるというのは不思議な話ですが、何もできない新米のソフィーに錬金術を教えるかわりに、発想したレシピを書き込んで記憶を取り戻してもらうという、共存関係が生まれるのです。
しかしこのプラフタ、長く生きているわりには、ちょっとした冗談にへそを曲げてしまったりと、なんとも人間臭い! 本の姿というギャップがより一層かわいらしさ(!?)を強調しています。うーん、はやく人間の姿でのやり取りを見てみたい!
その後、調合の実践のため採取地へ向かうと、幼なじみのモニカとオスカーが仲間になってくれます。ここで初めての採取と戦闘を経験。街に戻って最初の調合を済ませてからは、基本的に行動は自由になります。
最初のレシピ本をもらえるので、レシピを発想して物語を進めたり、街で人々とのイベントを見たり、採取地へ向かい戦闘したり……進め方はプレイヤーの自由です。このあたりの自由度の高さは、シリーズならではですね。思うがままに、自分だけの流れで物語を紡いでいくことができるのです。
以上、基本的なポイントのみになりますが、『ソフィーのアトリエ』プレイレビューをお送りしました。とにかくバトルから錬金術まで、システムが大きく変わっており、本作では誰もが初心者とも言えます。
『アトリエ』シリーズ未経験の人は、まさに新たに始める絶好のタイミングとなっています。ぜひこの暖かくて優しい世界観と、どこまでもやり込める奥深いゲーム性を体験してみてください!
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※掲載されている画面写真はPS4版のものです。
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