2015年11月27日(金)

おかえり。ぼくらの好きなRPG。『クロノ・トリガー』のATBとの再会【いけにえと雪のセツナ情報&コラム】

文:ライターM

『いけにえと雪のセツナ』

 “とりもどそう。ボクたちのRPG”をスローガンとして、スクウェア・エニックスが2016年2月18日に発売するPS4/PS Vita用RPG『いけにえと雪のセツナ』。

 本作はスクウェア・エニックスが設立した日本発のRPG専門スタジオ“Tokyo RPG Factory”の第1弾タイトル。純国産RPGが隆盛を極めた1990年代。今でも記憶に残る当時のRPGのプレイフィールを追及し、“記憶に残る物語”、“記憶に残るゲーム体験を”の理念のもとに開発が進められています。

 そんなRPGファンの注目を集める本作の最新情報とコラムをお届けします。本作のディレクターである橋本厚志さんの同席のもと、開発中のバージョンに触れる機会をいただけたため、簡単なインプレッションも合わせてレポートしていきます。

 なお、今回プレイしたのは、ゲームバランスなどを調整しつつ鋭意開発中のバージョンとのこと。プレイ自体、作品の雰囲気をつかむ程度にとどまったため、システム&仕様の詳細については割愛させていただきます。

ライターズコラム:王道JRPGの魅力が息づく白銀の世界

 初めて遊んだRPGが『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』だったという人にとって、『クロノ・トリガー』という作品の登場はかなり衝撃的だったのではないでしょうか?

 特に、バトル中にフィールドを動き回る敵や仲間との連携を軸にした戦闘など、目新しい体験を提供してくれました。そんな名作の遺伝子を色濃く受け継ぎ、記憶に残るゲームを目指して開発されているのが『いけにえと雪のセツナ』です。

『いけにえと雪のセツナ』

 オープンワールド形式で主観VRにも耐えうるようなゲームが珍しくない昨今、当時を知らない世代にとっては今ひとつピンとこないかもしれません。

 もし、当時のRPGのことが気になったら、周年連載という企画で掲載された『クロノ・トリガー』のコラムもご一読ください。

 さて、いざ触れてみると、どこか懐かしさを感じる、非常にそつのない作品ということが第一印象でした。もちろん、懐かしさというのは画面構成など見た目のお話。

 それこそ、キャラクターの陰影や揺らめく水面、雪深い道を歩くとじわっと刻まれていく足跡など、グラフィックの描き込みに関してはJRPG全盛期の作品とは比べるべくもなくクオリティが高いです。

『いけにえと雪のセツナ』

 でも、それでいて見下ろし型の2DRPGのような画面構成は、どこかノスタルジックな感覚を呼び起こします。仲間キャラクターが後ろから付いて来て、バトルは“たたかう”や“魔法”を選択するコマンドバトルで……なんと言いますか、かつてのRPGを遊んできた自分としては、説明書ナシでも問題なく遊べる安心さを感じちゃいました。

 フィールドや町の中に隠しアイテムが用意されていたり、お店のカウンターの裏を回るような抜け道の先に宝箱があったりするところなんか、思わず「これこれ」と心の中でつぶやいてしまうくらい、かつてのRPGの文法というか、お約束だったものですからね。懐かしい!

 初めて遊ぶのに、なんだか「おかえり」と言いたくなっちゃう不思議な感覚。フル3Dで斬新なシステムが詰まったRPGも好きですが、自分がそもそもRPGを好きになったきっかけって、こういうRPGだったんですよね。

 そんな“かつて大好きだったRPG”を今の時代に遊べることって、ちょっとうれしい気がします。

●気になるバトルの感触は?

 ワールドマップを探索しながら一歩ダンジョンマップへと足を踏み入れると、シンボルエンカウント方式のバトルが待っていました。

 ちなみに、ダンジョンの様子は俯瞰視点(斜め見下ろし)で高低差もあり、仲間を引き連れてぞろぞろと歩く様子もJRPGのお約束ですよね。

 バトルはスクウェア・エニックスというよりも、スーパーファミコン時代のスクウェアのお家芸とでも言うべきアクティブタイムバトル。本作では『クロノ・トリガー』のATB2.0がベースとなっていて、バトルフィールドでキャラが動き回りつつアクションを行い、ATBゲージがたまると行動可能になるというおなじみのシステムです。

『いけにえと雪のセツナ』

 コマンド選択で攻撃を実行するとキャラクターがちょこまかと動き回って敵にアタック。通常攻撃や技・魔法には攻撃範囲が設定されているので、うまく戦えば一撃で複数の敵を巻き込むことも可能。このあたりは、まさに『クロノ・トリガー』で位置関係が重要になったことにも通じています。

 余談ですが、橋本さんによると『クロノ・トリガー』とは違い、本作では通常攻撃にも攻撃範囲を設定しているところがポイントとのこと。うまく敵を誘い出せば、通常攻撃でも複数攻撃ができるので、気持ちよく戦えるとのことでした。

 さておき、本作では、象徴的な“刹那システム”が用意されています。これは、仲間の攻撃モーションを見て、タイミングよくボタンを押すと発動する追撃のようなもので、専用ゲージの数だけ好みのタイミングで使えます。

『いけにえと雪のセツナ』

 格闘ゲームのコマンドほどシビアではないので、いったんタイミングを覚えてしまえばこっちのもの……などと乱発していたらあっという間にゲージ切れ。魔法など攻撃方法によってボタンを押すタイミングも変わるため、便利すぎる連打ゲームにはならないようです。

 橋本さんによると、かつてのRPGを再現するだけでは当時のRPGを遊べばいいだけになってしまうので、本作ならではの新しい要素もきちんと用意したかったとのこと。そういった試みはいくつか用意されているようですが、この“刹那システム”はその代表例とのことです。

 そんな刹那システムのゲージは攻撃や被ダメージなどさまざまな要因でたまります。ただ、バトルが終わるとゲージ自体はリセットされてしまうため、温存してボス戦で一気になどという戦い方はできない模様。

 逆に考えると、ザコとはつねに全力で戦えるということ。必然的に刹那システムを利用する機会は多くなり、非常に重要なシステムと言えるでしょう。

 効果は攻撃&防御、能力補助など多岐にわたり、好みに応じてカスタマイズ可能とのこと。同じ技を連続で使ったり、HPを回復したりと、なかなか便利な効果も用意されています。

 個人的には刹那システム=追撃システムだと早合点していましたが、敵の攻撃に合わせて防御ができるケースもあり、なかなか白熱したバトルを楽しめました。攻撃を伸ばすか、防御とのバランスを取るか。特に強大なボス戦では、どんな戦法にするべきか頭を悩まされそうな予感がしました。

『いけにえと雪のセツナ』

 どうやったらカスタマイズできるのか? どんなバリエーションが用意されているか? などなど、妄想は止まりませんが、手ごわいボスに対して試行錯誤で挑む楽しさも期待できそうです。

 さて、取材の最後に、橋本さんにATBならではの苦労話を聞いてみたところ、やはりアクションゲーム張りのキャラクターの動きの豊富さなどが大変とのことでした。そのあたりの制御の負担を減らすために、アクションゲームのように当たり判定を作って開発を進めているものの、それはそれで調整が大変になっているそうな。

 その甲斐があってか、今回の取材プレイではバトル演出の違和感はありませんでした。ザコ敵なのに巨大なサイズの敵も多く、見ごたえがあるバトルになっていたと思います。

 2016年2月18日の発売に向けて開発は佳境の時期を迎えつつあるようですが、早く実際のゲームバランスでも遊んでみたいですね。個人的には、レベルアップした時にしっかりと成長を感じられたり、新しい町についたら新しい武器を買いそろえることが大事になったりするような、そんなバランスだとうれしいです!

『いけにえと雪のセツナ』最新情報

 新たに公開されたのは、2人の登場キャラクターとバトルシステムの詳細について。特に“刹那システム”は、本作ならではのユニークなシステムとなっています

『いけにえと雪のセツナ』

 物語の目的が“ヒロインのセツナをいけにえにするために護送すること”=ある意味でヒロインの死が約束されてしまっているという悲しいストーリーにも注目が集まっていますが、ゲーム部分がしっかりと作られているところにも注目してもらえればと思います!

▼『いけにえと雪のセツナ』ストーリー

 その島には、古来より伝わる習わしがあった。

 十年に一度いけにえを捧げ、魔物被害を抑制する。このいけにえの儀式により、かろうじて島の平穏は保たれてきた。

 ところが、次の儀式の年を待たずして、魔物被害が急増し始めたのだ。

 事態を重く見た島の人々は、例外ではあるものの再度いけにえを捧げることで魔物たちを鎮めようと考えた。

 いけにえの名は“セツナ”。極めて高い魔力を持つ十八歳の少女。

 いけにえの儀式が行われる“最果ての地”へ、“セツナ”は護送隊とともに旅立ってゆく――。

●登場キャラクター

◆クオン

『いけにえと雪のセツナ』

 セツナが“いけにえ”となる以前、村を訪れた謎多き旅人。今では護送隊を代表する戦士として、村人の厚い信頼を得て、セツナからは姉のように慕われています。

 この旅に対する思いは誰よりも強く、絶対に失敗できないという責任と使命感から、寡黙で何を考えているかわからない主人公にはきつく当たることもしばしば。

『いけにえと雪のセツナ』

◆ヨミ

『いけにえと雪のセツナ』

 かつて“いけにえ”の旅の護衛をし、成功させた老練の剣士。普段は必要以上に陽気にふるまっていることもあり、村のみんなからは腑抜けになったと思われています。

 護送隊では、かつての経験を生かし、みんなにアドバイスをするなど世話好きな一面も見せます。彼もまたクオンと同じようにセツナの安全を第一に考え、陰日向となり付き従います。

『いけにえと雪のセツナ』

●『クロノ・トリガー』のATB2.0を踏襲しつつ、“セツナ”の名を冠するバトルシステムも搭載

◆アクティブタイムバトル

 スクウェアRPGの特徴であったアクティブタイムバトル(ATB)。本作では『クロノ・トリガー』のATB2.0をベースに、新たにバトルシステムを設計。コマンド選択式ながらも緊張感あふれるバトルを堪能できます。

『いけにえと雪のセツナ』
『いけにえと雪のセツナ』
▲ATBゲージがたまると行動可能に。
『いけにえと雪のセツナ』
『いけにえと雪のセツナ』
『いけにえと雪のセツナ』
▲ATBゲージがたまったキャラクターが複数いる場合、行動順は任意に指定可能。

 敵とキャラクターの位置関係によっては、範囲ダメージを与えたり、飛び道具の軌跡上にいる敵にもダメージを与えたりできます。行動入力のタイミングを工夫することで、より有利に戦えます。

『いけにえと雪のセツナ』
『いけにえと雪のセツナ』
▲敵同士が近付いたタイミングを見計らって攻撃すれば同時にダメージを与えられます。
『いけにえと雪のセツナ』
『いけにえと雪のセツナ』
▲遠隔技や飛び道具なら同じ軌跡上に敵が重なるタイミングで貫通ダメージが発生。

◆刹那システム

 刹那システムとは、バトル中にタイミングよくボタン入力を行うことで追加ダメージを与えたり、技の効果を拡張できたりするシステムです。

 ATBゲージの横にある円形のゲージに注目。この刹那ゲージは“行動をした際”、“ATBがMAX状態での時間経過”などで蓄積します。

『いけにえと雪のセツナ』
『いけにえと雪のセツナ』
▲敵の攻撃を受け、刹那ゲージが蓄積。
『いけにえと雪のセツナ』
『いけにえと雪のセツナ』
『いけにえと雪のセツナ』
▲技の発動時にタイミングよくボタンを入力。敵に追加ダメージを与えられます。

 通常攻撃時に発動させれば追加ダメージが発生しますが、刹那システムを発動させる技によっては、さまざまな効果が得られます。

『いけにえと雪のセツナ』
▲使用した技を再度繰り出す“連続再生”が発動。
『いけにえと雪のセツナ』
▲追加でHPを回復する“追加HP回復”が発動。

データ

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