2015年12月14日(月)
12月12日(土)に開催された電撃PlayStation編集部主催のプレミアムイベント。その最後のステージではSCEワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏と『GRAVITY DAZE』を手がける外山圭一郎氏を迎えたトークショウが行われた。
▲吉田修平氏(左)と外山圭一郎氏(右)。 |
トークショウでは“2016年のPS4とPS VR”をテーマに、今年開催されたゲームイベントなどの模様を振り返りつつ進められた。
まずは“SCEのお菓子おじさん”という自己紹介を行った吉田氏。ゲームプレイ中にオススメのお菓子についてのトークに花を咲かせつつ、もう1人のゲスト・外山氏を迎えるという、吉田氏のペースでトークショウは進行していった。
第1テーマである2016のPS4タイトルについては、吉田氏は「来年はスゴイですよ。タイトル数が多くて紹介するだけでも大変」と胸を張る。2015年はE3、東京ゲームショウプレスカンファレンス、パリゲームウィーク、PlayStation Experienceなど、世界各地のゲームイベントに出演し、最新作を紹介し続けてきた吉田氏。各イベントを担当する人物も異なるため、どのイベントでどのタイトルを発表するか、といった判断も難しかったという。
一方、欧米のイベントに出演したことが初めてだったので緊張したけど、楽しかったと語った外山氏。ただ、発表するには責任があるため、体験版のビルドとはいえそれなりのものを作らなければならないというプレッシャーもあるという。体験版のビルドを作るために、正式版の発売が遅れてしまっては元も子もないので、発表を見送ったイベントもあったとのこと。
吉田氏も、各イベントの担当は「いろいろなタイトルを発表したい」と言ってくれるが、それを優先しすぎると進行が遅れてしまうのが難しいところと説明。しかし、ゲームを作っているスタッフの励みにもなるため、できるだけ情報は出していきたいと語った。
先日アメリカで行われたPS Experienceで『二ノ国II』『エースコンバット7』『Rez Infinite』『FINAL FANTASY VII REMAKE(ファイナルファンタジーVII リメイク)』といった日本のゲームの情報が目立ったことについて、吉田氏なりの解釈としてPS4の普及により海外で日本タイトルの注目度が上がってきていると分析。日本向けのタイトルであっても、PS4で製作することで海外である程度売り上げが期待できるようになり、その売り上げが日本向けのタイトルを作る大きな原動力になっているようだ。
外山氏は“PS4になったことでゲームユーザーの世界もグローバルになった”と実感。シンガポールやメキシコなどで行われたイベントでは、そこまで露出していない自分でも歓迎してくれたことがうれしかった、と思い出を語ってくれた。
●『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』
●『ダークソウルIII』
●『ペルソナ5』
●『仁王』
●『ファイナルファンタジーXV』
●『New みんなのGOLF』
●『人喰いの大鷲トリコ』
●『Horizon Zero Dawn』
●『GRAVITY DAZE 2』
●『Dreams』
●『グランツーリスモ SPORT』
来年のタイトルに話が進むと、「どの作品も楽しみ」と期待を膨らませる吉田氏。オープンフィールドとなった『New みんなのGOLF』ではシリーズ初となるチーム戦が実装予定。最初から9コースが読み込まれており、一定時間にチーム同士がコースでの打数を競うというルールで、誰がどのコースを挑むかといった駆け引きが生まれているとのこと。ほかにも、カートレースや釣りなど、普段はゴルフコースでやると怒られることもできるのが楽しいところ、と吉田氏。
物語重視の『人喰いの大鷲トリコ』はネタバレに気をつかったという。実際のプレイ以外の紹介方法として考えたのが“インタラクティブトリコセンサー”。これ以上のネタバレを避けるための策だったが、主人公とトリコの関係性がわかったと、ユーザーからの反響も大きかったようだ。
『Horizon Zero Dawn』は吉田氏が個人的に期待しているタイトル。『KILLZONE』を手がけたGuerrilla Gamesが製作するオープンワールドのハンティングアクションで、主人公の女の子が弓と矢で巨大ロボットを倒すという、一風変わったアクションが楽しめるようだ。
「これだけのラインナップに『GRAVITY DAZE 2』入れてもらえるのが光栄」と語ったのは外山氏。ただ、これだけのタイトルを手がけているとスタッフの取り合いも激しく、吉田氏を含めて飲み屋で激論を交わしたことも少なくないとのこと。
『Dreams』は『リトルビッグプラネット』のMedia Moleculeが作っている作品。キャラクターから背景、音楽などなんでも作れるのが特徴で、世界中のユーザーが作ったものがシェアされていく。吉田氏は、各イベントでほかのゲームのクリエイターさんを招き、そのキャラクターを作ってもらうといった企画で本作のスゴさを伝えていきたいと、意気込みを語ってくれた。
PS4でついに発売される『グランツーリスモ スポーツ』は、世界中で流行しているeスポーツに一石を投じるタイトルになりそう、と語る吉田氏。年間チャンピオンとして、F1のレーサー同様に、ゲームで優秀な成績を残した人が表彰されるという内容に、現実とVRの境目がなくなっていることにも注目しているようだ。
来年発売予定のPS VRについて話が進むと「この仕事は楽しくてしかたがない」と、吉田氏は語る。VRに関して、これまでは技術がついてこなかったが、ようやく誰でも使えるようになってきており、来年は“VR元年”になるかもと予想。今後は、スマホを使うようにVRを利用する世界が来るかもしれない、その第一歩がゲームユーザーになると思う、と期待に夢を膨らませていた。
各タイトルの話について一番先に話題となったのは『バイオハザード』チームが作った『KITCHEN』。VRという逃げることができない空間で襲い来る恐怖に、目をつぶることを忘れるぐらい怖かったと、電撃PS編集長・西岡を含めてその演出に期待していた。
『Rez Infinite』は本来あったVR的なコンセプトを実現したタイトル。デモ用のスーツはゲームに対応したバイブレーションが発生するなど、イベントごとにビックリするような仕掛けが施されており、今後の展開にも注目とのこと。
通常のゲームをVRにするのは大変なのか、という質問が出ると、吉田氏は「体系が違うためVR用のチューニングをする必要がある」と返答。その例外がレースゲームで、首の動きだけでコーナーの様子をうかがうなど、実際に運転しているような体験ができるようだ。また、コントローラ操作時と比べて、そのリアルさゆえにブレーキを踏むタイミングが早くなるといったこともあると述べていた。
『ロンドンハイスト』はプレイヤーがギャングとなって銃撃戦などが展開。PS Moveを使い、銃を撃ったりマガジンを変えたりなど直感的な操作が楽しめる。その直感的な操作から、プレイが終わった後にゲーム内のテーブルにPS Moveを置こうとして落としてしまうほど、ゲームへの没入感も高いとのこと。
『The PLAYROOM VR』はカメラを使って遊ぶタイトル。PS VRを装着するのは1人だけだが、TVを見ている人は別の映像でプレイができる。代表的なのが『Monster Escape』で、VR操作側がモンスター、ほかのプレイヤーが小さいロボットとなって逃げるパーティゲームも開発が進められている。
VRについて来年の抱負を尋ねると、初代PSが発売される前と同じ高揚感を感じていると吉田氏。3Dのゲームが家庭用に普及されて、『バイオハザード』や『FF7』などの名作が生まれた。これからPS VRでどのような作品が生まれるのか楽しみと、語ってくれた。
インディーゲームについての話が出ると「インディーゲームは小さい規模でインパクトのあるタイトルが出てきている」と吉田氏。続けて、現在はユニティなどのゲームエンジンの普及により、若い人でも少人数でユニークな作品がカンタンに作れるようになってきている。日本でもmoppin(もっぴん)氏開発の『Downwell』などのタイトルが世界で注目されるなど、ここ2、3年のインディーゲームの発展はすさまじいと語った。
海外では大手から離れ、独立した熟練のプログラマーが温めていたアイディア1つで勝負している人が多いとのこと。インディーゲームはこれまでにないジャンルがばかりで、多彩なゲームが多いのが魅力の1つ。日本でも稲船敬二さんや五十嵐孝司さんらがキックスターターでプロジェクトを開始しており、若手のプログラマーたちとしのぎを削っている。これからもPSハードで日本語版のインディーゲームをたくさんリリースしてもっと普及させていく、と吉田氏は語った。
外山氏の息子もUnityでゲームを作っているという話が出ると、将来は『GRAVITY DAZE』を共同制作で? と話を振られる一幕も。外山氏自身も温めているアイディアがあるという。また、年金をもらえる年齢になればもっとゲームが作りやすくなっていると思うので、そのときになったらインディーゲームを作ってみたいと語っていた。
PS4のハードの今後について尋ねると吉田氏は、今のゲーム機はほとんどのユーザーがネットワークにつながっている。デジタルでゲームを買ったり、他のユーザーと遊んだりという環境なので、ゲーム機は進化させるという考え方でいる。システムソフトウェアの機能でどんどん追加してきているという。
最近ではネットワーク上にコミュニティを作ってユーザー同士が情報を共有できるシステムが追加されるなど、PS4はこれからもドンドン進化させていくハード。ユーザーからの意見も取り入れ、使えば使うほど楽しく、便利になっていくので来年にも期待してほしいと語ってくれた。
また、最近ではSNSでユーザーの意見を直接聞けることがありがたい。こういう機能が欲しいだとか、ここが少し問題があるということを教えてくれるので、より良くしていける。毎日ユーザーから来た意見を関係各所に送っているという。
『GRAVITY DAZE』も当初海外ではダウンロード専用タイトルになる予定だったが、限定的ではあるがパッケージ版も販売されることになった経緯について、外山氏もSNSでのユーザーからの意見がきっかけだったことを語った。
今後の展望について外山氏は、PS・PS2の頃はみんなが同じようなパッケージ感のものを作っていたのが、今は最初に何を作ろうかと考えるときに、すごく多様化していると述べた。また、PlayStation Nowなどのクラウドサービスは新しい切り口が出てくると思うと述べ、今はPS4のゲームだからリビングでテレビの前でというだけでなく、出かけ先などでもいろんな形でゲームとつながることを考えていかないと、という話をよくしているとのこと。
最後に吉田氏は、今年一番ハマったお菓子に、独特な触感が楽しめるグミ“コロロ”をあげ、なごやかムードでステージを締めくくった。
(C)2015 Sony Computer Entertainment Inc.
Development for the PS4 version by Bluepoint Games, Inc.
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