2015年12月16日(水)
『イグジストアーカイヴ』を発売直前レビュー!! 世界観とストーリー、キャラクターの魅力に迫る
スパイク・チュンソフトから12月17日に発売を控える『イグジストアーカイヴ』。本作をプレイしたレビューを2回にわたり掲載していきます。今回は、キャラクターとストーリーについてお届けしていきます。
このソフトは、スパイク・チュンソフトとトライエースがタッグを組んで贈る、正統派のSFファンタジーRPGです。独特なシステムも満載で、いわゆるダンジョンRPGとしてのゲーム性もバッチリよくできているのですが、今回個人的にとくにお伝えしたいのは、その世界観とストーリー、そしてキャラクターたち。これがあまりにも素晴らしいので、ここではまことに勝手ながら、ストーリー&キャラクターに絞ってレビューしていきたいと思います。
同様のことは電撃PlayStation本誌でも少し語ったのですが、ちょっと語りきれなかった部分もあるので、ここでこのような機会をいただくことになりました。
まずはその大きな魅力であるストーリーを解説!
さて、本作のストーリーですが、ゲームでは、いきなり事故が起こって主人公カナタが死ぬ場面から始まります。そして転送された異世界で、同じように死んで転送された11人の仲間と出会うのです。カナタを含めてこの12人、じつは邪神ヤマトガの魂が12分割され封印されており、その邪神の復活を察知した女神アマツメにより、この世界に強制転送されていたのです。
プロトレクサと呼ばれるその世界は、死んだ魂が生まれ変わるための、いわゆる転生機関。しかし主人公たちは厳密には死んでいるわけではないので、転生もできないまま捕らわれてしまうのです。そこで、主人公たちの転送で力を使い果たしたアマツメの力を取り戻すため、彼女のエネルギーでもある存在結晶を集めることになるのです。
そもそもカナタたちがここにきた事件の元凶は女神アマツメなのに、その女神のために働かないとならない主人公たち。一方、主人公の右腕に宿った邪神ヤマトガの魂は、普通に主人公たちに話しかけ、しかも冒険のアドバイスまでくれるという、何が何やらよくわからない状況で、世界の探索が始まります。
▲主人公の九条遼(CV: 逢坂良太)。その言動はライトノベルの主人公そのもの。意外に簡単に自分の境遇を受け入れ、前向きに行動するのも、話が早くて助かります。 |
そのストーリーからわかるように、右手に宿った邪神だったり、女神と邪神との戦いだったりと、SFファンタジーとしては珍しくない設定がてんこ盛り。いわゆるライトノベル系のストーリーが好きな人なら、確実にハマれる、王道要素でできているんです。
それも、何から何まで高いレベルのクオリティで王道なので、本当に清々しさすら感じます。使い古された、手垢のついた設定なんていって斬って捨てるのは簡単ですが、ちょっと待ってください。多分に主観は入っていますが、その使い古された王道も、「本気で作ればここまでおもしろくなるんだ」、「だから王道なんだ」ということを再確認させてくれる内容となっているのです。
▲とくに難しい用語もなく、展開はとてもわかりやすいです。右手の邪神ヤマトガさんがいろいろ教えてくれるのも嬉しい。 |
キャラクターたちと過ごす日常こそ醍醐味
なぜそれだけ魅力があるのかというと、この作品の物語は、SFでもなく、ファンタジーでもなく、12人に及ぶひと癖もふた癖もあるキャラクターたちが織りなす、青春群像劇だからなのです。SFだのファンタジーだのはあくまでもスパイスであり、基本は人間と人間が織りなす泥臭い人間関係の物語です。
そして同時に、異世界のサバイバルストーリーにもなっています。突然異世界に転送され、頼る人もいない、そこがどこかもわからない状況で、仲間と協力し、ときに喧嘩しながら生きていくことになるのです。
本作では、世界のどこか(おそらく女神アマツメの近く)に拠点をつくり、若い男女12人で共同生活をしています。そこには、戦いや探索だけではない、人間同士の“日常”があるんです。
本作では、いろんな形でこの日常を見せてくれます。まずはシステムにもなっている存在結晶。これを手に入れると、各キャラクターの過去や背景が想い出という形で語られます。さらに、キャラクター同士の感情度が高くなると、そのキャラクターたちとのサブイベントが発生。ちょっとした会話程度のものも多いですが、これがキャラクターたちの掘り下げをより深くしてくれています。
そしてもう1つ個人的に注目して欲しいのが、クエスト後の報告画面です。パーティに入れなかったキャラクターは、クエストの間に何をしていたかの報告が行われるのです。○○を散歩していたとか、誰々と会話していたとか……。他愛もないものばかりですが、共同生活を送る仲間の“日常”が強く出ていて、個人的には大好きです。
と、こんな感じでキャラクターたちの日常と同時に、右手に宿った邪神が話しかけてくる、非日常的な冒険を繰り広げるわけです。なんだかワクワクしませんか? 昔右手と会話をしてたとか、そういう黒歴史の1つや2つあるでしょう。とにかくキャラクターを見て、ちょっとでもピンとくる人がいたらぜひお試しください。
もう1つ、先ほどちらっと書きましたが、本作では感情度というシステムを搭載しています。一緒にクエストや戦闘を繰り返すと上がり、クエストに失敗するなどで下がります。これでお互いの人間関係を、ある程度プレイヤーがコントロールできるのです。もちろん、一定の感情度があると発生するイベントなどもあるので、ただの自己満足では終わりません。こだわる人はとことんこだわりたいポイントです!!
もう1人の主人公!? ヤマトガの魅力
本作を語るうえで避けては通れないのが、主人公の右腕に宿った邪神、ヤマトガさんです。この人、一応邪神らしく「クックック」と笑いながらも、いろいろと主人公たちにアドバイスをくれます。状況にあわせた解説を真面目にしたかと思えば、たまにギャグを差し込んだり、ボケたりつっこんだりと、まさに旅のムードメーカー。
ときに無視するとすねたりもする、実に人間味あふれる邪神なのです。これを子安さんが渋い声で演じているのだからたまりません。しかも戦闘中は基本彼がしゃべってます。叫んでます。とにかく出ずっぱりで、その存在感たるや、並のキャラクターには負けてません。一応、悪役なんですが、これは確実に人気が出ると思います。
▲ヤマトガさん。なんだかんだで頼りになる奴。意外にクールなアマツメさんとどっちか味方かわからなくなるときも。 |
さてさて、語り尽くせない感はありますが、といったところでキャラクターレビューを終えようと思います。システムとバトルに関してはその方面のプロに任せているので、こちらもお楽しみに!
最後に本作の基本はサバイバル作品の王道に乗っ取って、初めて会って否応なく協力することになった仲間が、だんだん過去の話をするようになり、その人となりがわかっていくという展開になっています。ゲームのボリュームも凄まじいので、物足りないこともないはずです。
(C)Spike Chunsoft Co., Ltd. All Rights Reserved. Developed by tri-Ace Inc.
データ