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2016年2月22日(月)

『ARIA』のヒーリング系リズムゲームについて声優陣に聞いてみた(灯里、アイ、アリシア、アリア社長編)

文:金子 光晴

 HarvesTから好評配信中のiOS/Android用ヒーリング系リズムゲーム『ARIA~AQUA RITMO~』。その出演声優9名にインタビューを行いました。

『ARIA~AQUA RITMO~』

 アニメ『ARIA』といえば、第1期放送から10周年を迎え、2015年には劇場版も公開された大人気作。シリーズ初の音ゲー化を記念して、声優さんの作品に対する熱い思いをたっぷりと語っていただきました。

 今回は“ARIAカンパニー編”として、灯里役の葉月絵理乃さん、アイ役の水橋かおりさん、アリシア役の大原さやかさん、アリア社長役の西村ちなみさんへのインタビューをお届けします。

水無灯里役
葉月絵理乃さんへのインタビュー

『ARIA~AQUA RITMO~』
▲水無灯里。個人経営の水先案内店・ARIAカンパニーを切り盛りする、プリマ・ウンディーネ。天真爛漫な笑顔は周りの人を自然と惹きつける。アイの入社に伴って、後進の育成にも奮闘中。
『ARIA~AQUA RITMO~』
▲葉月絵理乃さん。

――『ARIA』がリズムゲームになると聞いた時の率直なご感想は?

 10年前にはスマホもアプリゲームもなかったので、今この時代に『ARIA』が再結成して時代の流れに乗れたことがすごくうれしいです。

――ご自身が演じているキャラクター、灯里の魅力を教えてください。

 灯里は天真爛漫な子ではあるのですけど、素敵なこととか幸せなこととか、うれしいこと、楽しいことを見つける天才なんです。彼女の目を通して日常を見ていると、見ているこっちまで幸せになるような、そんなところを持っている女の子だと思います。

 登場人物みんな優しくて温かい人たちばかりなんですけど、そんな人たちも灯里と出会って見え方が変わったりしているので、影響力がすごいんじゃないかなと思いますね。

――ご自身と灯里の共通点は?

 のんびりしているところと、トロいのと、ドジなのと……(笑)。灯里の時間の流れは、ほぼ私と一緒です。急ぐことはないです。

 最初は自分自身では似ているという感じはそんなにしていなかったんです。周りから似ていると言われるようになって、何を考えているかわからない……でもきっと何かしら考えているんだろう(笑)、というところが同じなのかなと思うようになりました。

――今回の収録で印象深いセリフを教えてください。

 セリフひとつというよりも、灯里がユーザーの子に話しかけるセリフが、全体的にARIAカンパニーの社内にいて、周りに海の景色があって……という空間の中で会話をしているというのがすごく伝わってくる感じでした。

 ARIAカンパニーとネオ・ヴェネツィアの情景を感じていただけるのではないかと思います。ゴンドラ練習というのが灯里たちにとっては当たり前の日常なので、それを共有できるというのがこのゲームの魅力だと思うので、そんなところもアニメと共通する感じで楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。

――『ARIA』にはたくさんの名曲がありますが、特に印象深い楽曲は?

 曲は全部好きなので「全部」と言うしかないんですけど、あえて言うなら自分の曲を(笑)。妹尾武さんに書いていただいた『Smile Again』と、OVAのエンディングで使われた『明日、夕暮れまで』の2曲をアニメの中で歌わせていただいたんですけど、これは私が歌っているからというよりも、ただ大好きなので……。その曲をゲームで使ってくださったら、こんなにうれしいことはありません。

――収録した当時のことって覚えていますか?

 『Smile Again』はちょっと昔の温かい感じのメロディなので、ディレクターさんから松田聖子さんの夏の曲のイメージと言われました。たぶん、曲を作っている妹尾さんもそれぐらいの世代だと思うんですけど、ちょっと80年代ぐらいのレトロな雰囲気でというディレクションをいただいて歌いました。

 『明日、夕暮れまで』は、あくまで私、葉月絵理乃が歌っているということではあったんですけど、「歌詞を一度、灯里のセリフとして読んでください」と言われて、一度読んで灯里とネオ・ヴェネツィアを私の中に取り込んでから歌いました。それで歌ったら、あんなに素晴らしい曲になったんです。

 そういう意味でも楽しかったし、思い出に残っていますね。それと実際にヴェネツィアに行かせていただいてからレコーディングしたので、ヴェネツィアを感じながら歌ってほしいという意図もあったみたいです。

――やはり曲を聴くとその時のことを思い出されますか?

 そうですね。音楽って聴いた時の情景がそのまま記憶に残るものだと思うんですけど、今回ゲームに過去の曲が使われることで、みんなにとってもその当時の記憶が蘇ってくるんじゃないかなと思います。

――ゲームのコンセプトは“癒し”ですが、ご自身が癒されるのはどんな時ですか?

 癒されに行こうと思っているわけじゃないんですが、海と山、緑の多いところにはよく行きます。見に行って、ぼーっとする時間を作るというのをよくしていますね。

――読者へのメッセージをお願いします。

 『ARIA』は本当に素敵な音楽がいっぱいそろっているので、もちろん『ARIA』を好きでいてくださる方は聴き返してくださったりしているとは思うんですけど、そういう方たちも改めて遊びながら聴いていただけると思います。

 そして『ARIA』を知らなかった方も、音楽から入っていただいて、もし『ARIA』の曲を気に入っていただけたら、それがきっかけで『ARIA』のアニメも観てくれたらうれしいなと思います。

――ありがとうございました。ここへ来て『ARIA』のゲームが出るということで、楽しみにしている読者の方も多いと思います。

 BD-BOXの発売が6月まであって、それに伴ってラジオやイベントなどいろいろな展開が待っています。まだまだ『ARIA』は終わりませんので、ぜひお付き合いください。

愛野アイ役
水橋かおりさんへのインタビュー

『ARIA~AQUA RITMO~』
▲愛野アイ。ARIAカンパニー所属の新米ウンディーネ。シングル(半人前)の身でありながら、先輩である灯里のサポートをてきぱきとこなすしっかり者。
『ARIA~AQUA RITMO~』
▲水橋かおりさん。

――『ARIA』がリズムゲームになると聞いた時の率直なご感想は?

 リズムゲームって、ダダダダダって押すのが多いじゃないですか。「えっ、どうなるの?」って。純粋にどう表現するのかが最初は謎でしたね。『ARIA』にはテンポの早い曲がないので、早回しにするのかなとか(笑)。でも、企画書をいただいて、これならリズムゲームが苦手な私でも大丈夫かなって思いました。

――ご自身が演じているキャラクター、アイの魅力を教えてください。

 アイちゃんを最初のシリーズから知っている人は、随分大きくなったなと思うんじゃないでしょうか。あんまりないじゃないですか、作品中で成長して大きくなるキャラクターって。見た目だけじゃなくて、中身もだいぶ変わってきているので、そういうところを見ていくとおもしろいかなと思います。

 でも、いい意味で普通ですよ。引っ込み思案だったり、人見知りだったりするような子どもらしいところから、ちょっとずつ元気になっていくようなところがいいですね。それに、素直なんでしょうね。ものすごいいろんな人の影響を受けているので。

――ご自身とアイの共通点はありますか?

 よく聞かれる質問なんですけど、自分に似ているキャラクターってやったことがないんです。アニメに出てくるキャラクターで自分に似ているのって、男の子のキャラクターばっかりで、女の子で自分に似ている人って全然いないんですよね。ムリヤリ共通点を探すとすると、女子だというところと声ぐらいで(笑)。

――大原さやかさんも同じようなことをおっしゃっていました。

 いやいや、貴方はそっくりですよ(笑)。私はあえて言うなら、影響を受けやすいということかなあ。本質的には素直なのかもしれないですが、興味を持ったことにすぐ影響を受けるというか。灯里ちゃんは自分があるという感じがするんですけど、アイちゃんはまだ人から影響を受ける時期なんでしょうね。私は未だに影響を受ける時期ですけど(笑)。

――今回の収録で印象深いセリフを教えてください。

 収録が終わるとセリフって抜けちゃうんですよね……。でも、それは案外いいことなのかもなと思うようになりました。

 この前、映画の特典を録っている時に葉月さんが、「灯里ちゃんをやっていて自分が何をどうしていたのか覚えていない時があった。自分の心がそこにいなかった。OAを観たら純粋に灯里ちゃんだけがいた」という話をされていまして。ああ、そうそう、わかるな……って。自分成分が全然混じっていないから覚えてない、ってことあるよねって。

 覚えてないってことに負い目みたいなものがあったんですが、葉月さんの言葉でそういうのもありなんだなと考えられるようになりました。

――へぇー、思わぬ深いお話を……。

 ということで、セリフを確認しますね(笑)。(台本を確認して)……そうそう、さらっと「プリマ・ウンディーネになれましたー」って言うセリフがあるんですよ。いつの間に試験を受けたのかっていう(笑)。だからちょっと戸惑い気味な感じでやってみました。感動よりも若干コミカル寄りであるという。

 あとは、みんなのお誕生日を祝ったのが新鮮でした。当たり前なんだけど、みんなお誕生日があるんだなって(笑)。でも、お誕生日の日にちってどうやって決めているんだろう。地球と同じ暦なのかなとか。でも考えだすとキリがないのでやめておきます(笑)。

――『ARIA』にはたくさんの名曲がありますが、特に印象深い楽曲は?

 本当は全部印象深いんですけど……オープニングはいつ聴いても泣きますね。でも、アニメの曲をゲームに持ってくるって珍しいですよね。普通は変えちゃうことが多いんですけど。

 やっぱりアニメの曲に思い入れがあるので、通してくれた方ありがとうございましたと言いたいです。それに、このゲームを機に『ARIA』の音楽をぜひ聴いてほしいですね。今はiTunesとかいろんな方法で買えると思うので(笑)。

――ゲームのコンセプトは“癒し”ですが、ご自身が癒されるのはどんな時ですか?

  うーん、肉体は疲れるんですけど、寝ても癒されないですし……。昔は寝たら癒されたんですけど、最近はおいしいものを食べても癒されぬ……。

 あっ、思いついた時に突然旅に出ると癒されますよ。何も計画とかしないで、「そうだ、○○へ行こう」という感じで(笑)。「この電車に乗ったらどこへ行く?」って思い立って、いきなり試すんです。緊張するから、のんびりはしないですけど、そういう非日常的な状況に身を置くと、余計なことをごちゃごちゃ考えていられなくなります。

――――最後に読者へのメッセージをお願いします。

 『ARIA』のように10年経っても展開があるコンテンツってなかなかないので、この機会を逃さずに乗ったほうがいいと思います。私はブームが過ぎてから乗ることが多くて、「ああ、あんなこともこんなこともやっていたんだ、うわあああ」ってなるので、早めに乗ってみるといいかなと。そうすると、さらに10年続いたりするんですよ。

 『ARIA』って実はSFで、入口がいろいろあるんです。私の最初の入り口は火星でした。「テラフォーミングをした火星が舞台」というのに引き込まれて、買うという(笑)。他にもヴェネツィアが好きな人とか、普通にキャラクターがかわいいとか、社長がゆるキャラとか。もちろんこのゲームもきっかけにはちょうどいいと思います。どこか気に入った入口があったら、『ARIA』の世界に入ってみてください。たぶん、出られなくなると思います。

アリシア・フローレンス役
大原さやかさんへのインタビュー

『ARIA~AQUA RITMO~』
▲アリシア・フローレンス。“水の3大妖精”と称えられたトップ・ウンディーネの1人。ARIAカンパニーの経営権を灯里に譲ってからは、ゴンドラ教会の常任理事として働いている。
『ARIA~AQUA RITMO~』
▲大原さやかさん。

――『ARIA』がリズムゲームになると聞いた時の率直な感想をお聞かせください。

 正直に言って、一番「ない」と思っていました。いろんなジャンルがある中でリズムゲームになるというのが。プリマを育てる育成ゲームとか、恋愛ゲームもありえるかもしれないですけど、リズムゲームはロックとか太鼓とかのイメージなので、『ARIA』がどうやってリズムゲームになるのかっていうのが意外でしたね。

 『ARIA』はあの世界観の中にあの音楽があるから、『ARIA』の世界の風が吹くと思うんです。その音楽にファンの人がゲームで参加できるというのは、すごく画期的だと思いました。私も楽しみです。

――――ご自身が演じているキャラクター、アリシアの魅力を教えてください。

 誰もが憧れる理想のウンディーネというのがまず素晴らしい点だと思うんですけど、完璧そうに見えて、普通の女の子ならではの悩みも見え隠れするんですよね。雲の上の人に思われがちですけど、実は身近な存在で……すごく素敵なんだけど、スターではないなという感じがします。その距離感が私はすごく好きです。

 ……ホント、ひと言では言い表せないですね。灯里ちゃんと離れたくなくてずっと昇格試験を引き延ばしていたっていうのも、そんな心情があったんだって思うだけで愛おしくなるじゃないですか。そんな葛藤も含めて、丸ごと愛にあふれた人だなって思います。

 でも、意外なところで通販オタクだったりして、かわいいところもあるんですよ。もし“ネオ・アマゾン”とかあったらすごく買っていそう(笑)。

――ご自身とアリシアさんの共通点は?

 ええー。かろうじて人間で女性です(笑)。以前、 えりしー(葉月絵理乃さん)とちなちな(西村ちなみさん)がやっていたラジオで似たようなことを聞かれたんですけど、「似てないのはフィッシュボーン(髪型)ぐらいかな」って言ったら、えりしーに「似ているのは声ぐらいだよ」と言われて、「おいっ!」って。ぐうの音も出ない(笑)。実際、おこがましくて共通点なんて言えないです。

 でも、アリシアとアテナちゃんと晃ちゃんの関係性というのは、すごく自分とシンクロするところがありますね。何年もお仕事していると後輩が増えてきて、同世代の人と共演することって減ってくるんですよ。現場で自分が一番年上になったりとか。

 そうすると、あの時いつも一緒にいた友だちと、会いたいのに会えなくなってくるんです。そういう、会いたくてもなかなか会えないという描写が本編の中でもあって、それは私だけじゃなくてみんなすごく共感していましたね。だから一緒にいられる時間がすごく大切なんだよねっていうのが、自分の中でも感じるところでもあるんです。

――では、今回の劇場版で再開できたというのはまさにそんな気持ちだったわけですね。

 もう、すごくうれしくて。タイムマシンに乗ったようでしたね。収録も10年前と同じスタジオだったんですよ。みんな当時と同じ席に座って、休憩の時に誰かがお茶を淹れてくれて……当時の空気が、そのまま戻ってきた感じがしました。

 「あのころは楽しかったね」じゃなくて、「あのころも楽しかったよね」というアリシアさんのセリフがあったんですけど、まさにそれが当てはまると思いました。こんな素敵な作品に関わることができて、しかもこうやって再会することができて、同じメンバーがそろって。ちゃんとアテナちゃんもいたんです。本当に奇跡だなって思いました。

 今回の劇場版で、ちょっとだけモブ(役名のない役)で入った若い男の子が、私たちが涙したり、うれしいねって言ったりしているのを見て、「(作品の歴史を)重ねるってこういうことなんですね」ってポツリと言ってくれたんです。当時を知らない方に、そういう空気を感じていただけたのがすごくうれしかったですね。私たちって、作品や役は選べないじゃないですか。だからこそ、こんな作品に出会ったことへの感謝がみんなにあるんですよね。

――今回の収録で印象深いセリフを教えてください。

 「3人でいられる時間をうんと楽しみましょう」というセリフがあって、アリシアさんとアテナちゃんと晃ちゃんのお話なんですけど、このひと言に込められているものは大きいなと思います。

 何でもそうだと思うんですけど、このインタビューも一期一会だし、私たちが作品やキャラクターに出会うのも一期一会だし、「流していいことなんてひとつもない」ということを気付かせてくれるのが『ARIA』という作品なんですよね。

 しかも、それがまったく教訓めいてないんですよ。「そんな素敵な言葉、もう出てこないでしょ」と思うんだけど、次から次へと名言が出てきて、それが全部心に響くんですよね。

――『ARIA』にはたくさんの名曲がありますが、特に印象深い楽曲は?

 ええーっ、選べなーい! まず牧野由依ちゃんの歌声を聴くとみんな泣いちゃうし、アテナさんの歌声もダメだし……。1曲じゃなくてもいいですか? じゃあ、まず『ウンディーネ』。そして『横顔』、『バルカローレ』……キリがないですね(笑)。あとは劇場版のキモとなる曲だった『ルーミス エテルネ』も外せないと思います。

 このゲーム、出るのはうれしいんですけど、音楽に聴き入っちゃって操作するのを忘れそうなんですよね(笑)。

――ゲームのコンセプトは“癒し”ですが、ご自身が癒されるのはどんな時ですか?

 チョコレートが大好きなんですけど、『キットカット ショコラトリー』というのにハマっています。ちょっとワンランク上のキットカットで、デパ地下とかでしか売ってないんですけど、家に帰ったら『ショコラトリー』があるというのが癒しですね。

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

 10年間『ARIA』を応援してくださったみなさん、待っていてくださってありがとうございます。今回、『ARIA』を初めて知ったという方、初めまして。作品というのは時間が経っても、その人が見始めた時が一番新しいと思っているので、10年前の作品と思わずに、ぜひアクアの世界に足を踏み入れていただければ、必ずあなたをトリコにすること間違いなしです。

 曲から興味を持っていただくというのもアリだと思うので、ぜひ気軽に遊んでみてください。『ARIA』のファンの方は、「あのシーンが出てくるな」っていうことを思い浮かべながら遊んでいただけたらうれしいです。よろしくお願いいたします。

アリア・ポコテン役
西村ちなみさんへのインタビュー

『ARIA~AQUA RITMO~』
▲アリア・ポコテン。ARIAカンパニーを創立当初から見守り続けてきたアクア猫であり、アリア社長の呼び名で親しまれている。人語をしゃべることはできないが、知能は人間並み。とても食いしん坊で、甘いものには目がない。
『ARIA~AQUA RITMO~』
▲西村ちなみさん。

――――『ARIA』がリズムゲームになると聞いた時の率直なご感想は?

 “リズムゲーム”と言うものがどういうものかよくわからなくて……。大原さやかちゃんに「音楽に合わせてスマホをタップするゲームじゃない?」と説明されたんですけど、「はー、そうなんだぁ……」ってな感じでした(笑)。「なんでARIAの音楽でそれなんだろうね?」っていうのが第一印象でした。

――ご自身が演じているキャラクター、アリア社長の魅力を教えてください。

 こずこず(※原作者の天野こずえさん)が描く素敵な世界観の中に、あのもちもちぽんぽんの社長がいるのがすごくうれしくて、社長がしゃべるとみんなが笑ってしまうようなほっとできる感じがいいのかなって思っています。

 アフレコ中もしゃべるとみんながすごく笑ってくれるんですよ。スタジオの雰囲気もなごむので、うれしかったですね。私も調子に乗ってどんどんしゃべるようになっていって、みんな社長の言葉が聞き取れるようになってきたんですよ(笑)。

――アニメでは台本にないセリフを言ったりすることって多かったんですか?

 私はこういう限られたワードでしゃべるキャラクターを演じることが結構多くて、そういう時に気をつけているのは、「ぷいにゅー」と言う台詞だったら、ただ「ぷいにゅー」と鳴くんじゃなくて、喋ると言う事を意識して演じてます。

 「ぷいにゅー」の中に伝えたい思いが絶対にあるので、台本の台詞の横に日本語での意味も書くようにしています。「灯里どこー?」とか「○○を食べたいー」とか。前後のセリフや社長の表情を見て、社長の考えてる事をイメージしながら演じるようにしています。

――今回の収録で印象深いセリフを教えてください……と言われてもアリア社長は難しいかもしれませんが(笑)。

 そうですよね(笑)。でも、今回は台本にセリフの意図を書いてくれていて、その中に「お誕生日おめでとう」というセリフがあったので、ぜひそれを探してみてほしいですね。

――『ARIA』にはたくさんの名曲がありますが、特に印象深い楽曲は?

 『ARIA』の曲はホントに大好きでいつも聴いているんですけど、その中でもちょっとテイストが違って大好きなのが『逆漕ぎクイーン』です。そんなにたくさんのシーンで使われる曲ではないんですけど、使われたところが印象深くて……。灯里が逆漕ぎしている颯爽とした姿が浮かぶので、私はあの曲がすごく好きです。

――ゲームのコンセプトは“癒し”ですが、ご自身が癒されるのはどんな時ですか?

 夜は子どもたちと一緒に過ごしていて、忙殺されることが多いんですけど、仕事に出ている時とか、子どもたちから離れている昼間の自分の時間がすごく愛おしく感じるようになりました。もちろん子どもたちとカオスのように過ごす時間も楽しいんですけど(笑)。

――最初のアニメから10年ということで、ご自身の中でもいろいろ変化はありましたか?

 上の子が生まれたのが、『ARIA』が始まった年だったんです。だからアニメの最初のころは子育てが大変で、思い出がものすごくありますね。ちょうど1歳の誕生日に『ARIA』のNATURALのアフレコがあったんです。あんまり誕生日のことをみんなに言ってなくて、あわてて帰ったんですけど、それを監督がどこかで聞いていたらしく……。

 そうしたら翌週の収録前に河井英里さんやみなさんが早めに集まって、歌を録ってくれて、それをアフレコの前に聴かせてくれたというサプライズがあったんです。今でも上の子の誕生日の時にその時の歌を流すんです。みんなの「ハッピーバースデー」が入った歌を……。そういう思い出があって、子どもたちも『ARIA』を観てくれているんです。だから本当に『ARIA』と一緒に育っている感じですね。

 自分がやっていた作品を子どもたちが観てくれて、上の子は晃さんがすごく好きだったりします。「優しいだけじゃダメだと思うんだよね」なんて言ったりして(笑)。お母さんも晃さん大好きだよって(笑)。自分が大好きな作品を子どもたちも好きになってくれるというのはすごくうれしいですね。

――10年間も作品が続いていくってすごいことですね。

 本当にそうですよね! 今回映画になって、いざ劇場ですごい数の人を目の当たりにした時に、これだけ時間が流れていて、たくさんの作品も生まれているのに、ずーっと『ARIA』を愛してくれているということがうれしくてたまらなくて、『ARIA』が大好きなのは私たちやスタッフさんだけじゃないんだ。こんなに待っていてくれた人たちがいるんだって。

 包み込む空気が温かくて、私たちがしゃべるだけで泣いてくれる人がいるっていうのが……、「ありがとうございます」っていう感じでした。宝物です。

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

 『ARIA』がアニメになった時に私たちはお声をかけていただいて、たまたま役とご縁があっただけで、たまたま演じ手の側になったわけですけど、演者であっても観る側であっても、『ARIA』が好きという気持ちに変わりはないと思っています。

 『ARIA』って本当にいろんな奇跡で成り立っている素敵な作品で、私たちがこうして出会ったのも、みなさんとつながることができたのも奇跡だと思います。この先も、離れてはまた『ARIA』でつながって……ということができたらすごくいいですね。

 まだ『ARIA』を知らないという方も、これをきっかけに一緒につながれたらすごくうれしいです。これからもずっと、みなさんの心の中に『ARIA』を置いてくださいませ。

『ARIA~AQUA RITMO~』とは?

 『ARIA~AQUA RITMO~』は、新作アニメ『ARIA The AVVENIRE』が9月26日から劇場上映される人気作『ARIA』を題材にしたリズムゲーム。プレイヤーは、新米の水先案内人(ウンディーネ)となり、ネオ・ヴェネツィアの街で出会う仲間とともに、最高のプリマ・ウンディーネを目指すことになる。

 『ARIA』の世界観を楽しめるストーリーイベントはアニメ脚本に参加した藤咲あゆなさんが担当し、PASSATO(パッサート/過去)、PRESENTE(プレセンテ/現在)、AVVENIRE(アヴェニーレ/未来)という3つの時間軸の物語が展開。また、キャラクターボイスはアニメと同様の声優陣により新規撮り下ろしとなっている。

『ARIA~AQUA RITMO~』
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『ARIA~AQUA RITMO~』

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