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2015年12月25日(金)

海風や若竹などの駆逐艦を使うコツは? 深い知識も身に付く海戦入門講座12月号【WoWS特集】

文:田中尚道

 皆さん、楽しい『World of Warships』ライフを満喫していますでしょうか?

 いよいよ2015年も大詰め。年内最後の『WoWS』特集では、小型・快速・必殺の魚雷装備と、使いこなせば戦局を変えられる力を持つ反面、圧倒的なうたれ弱さで使い方がちょっと難しい駆逐艦について書いていきたいと思います。

『World of Warships』

 戦場に出れば、隠蔽(いんぺい)率の高さからなかなか発見されませんが、見つかると高い攻撃力が災いして真っ先に狙われます。

 そうならないためにはどうすればいいのか? 今回はTier IVまでの日米駆逐艦の解説と立ち回りをレクチャーしましょう。破壊力の高い魚雷の魅力を覚えたら、ヤミツキになること間違いなし!

 この講座では、いずれも比較的すぐに操艦できるようになる艦船を紹介しています。ここでしっかりと駆逐艦の特徴をつかんでおけば、その先にも必ず生かせるはずなので、艦長初心者の皆さんはじっくりと読んで海戦に臨んでください!

知っておきたい『WoWS』における駆逐艦の特徴

 もともと駆逐艦は、小型の砲艦や水雷艇を駆逐するための艦として作られました。

 後に魚雷を積むようになり、艦隊に随伴して大型艦を攻撃するようになります。つまり自分より格下の艇には火砲で、自分より格上の艦には魚雷で攻撃するのです。

 小型軽装甲ではありますが、反面非常に足が速く、敵の大型艦に肉薄して水雷攻撃を行うことに向いていたので、艦隊を編成するにあたり重要な位置を占めるようになります。

 また、汎用性が高く、潜水艦に対する爆雷攻撃や、日本軍では輸送任務に就いたりしています。

・攻撃の特性について知っておこう

 ロンドン海軍軍縮条約に定められた主砲は5.1インチ(12.9cm)以下となっていて艦砲としてはとても非力。代わりに攻撃力の高い魚雷を標準装備しています。

 ゲームでもそれはやはり同じ。艦砲は小口径なので、装填や照準が早く、手数で勝負できます。魚雷は強力な攻撃力が魅力ですが弾速が遅く、射程が短く、さらに装填に時間がかかります。とても使いどころが難しいのです。

 魚雷は基本的に艦の側面方向にしか射撃が行えません。高速で移動する敵には艦砲を、大きくて鈍重な敵には魚雷を叩き込むと考えるといいでしょう。また消耗品ですが、敵の視界を遮る煙幕を張ることもできます。

 いずれにしても前線で主力になって戦うより、機を見て奇襲をかける遊軍としての役割が求められる艦種ということです。

 何よりも覚えておきたいのは致命的なまでの撃たれ弱さ。見つかったらとっとと逃げましょう。

『World of Warships』
▲雷撃の際には暗礁に注意してください。射線上にあると魚雷がここに邪魔されて敵に届きません。

 さて、ゲームにおける駆逐艦の役割についてはわかってもらえたかと思います。それでは、ゲームに登場する各艦の特長を見てみましょう!

日本の駆逐艦たち

 艦隊決戦を主眼として設計されたため、他の国の駆逐艦に比べると大型で航洋能力も高いのが特徴です。速度も速く、日本のみが開発に成功した酸素魚雷との組み合わせは非常に強力でした。命名の法則は気象、植物などです。


Tier II 海風(Umikaze)

『World of Warships』

魚雷戦メインの駆逐艦

 イギリスのトライバル型駆逐艦を基に1909年に起工、11年に竣工した日本初の1000トン級駆逐艦です。当時の駆逐艦が400トンくらいだったところにいきなり1000トンの駆逐艦ですから、かなり大型でした。これはモデルになったイギリスのトライバル級も同様です。

 日本初の外洋型駆逐艦で、初の蒸気タービン搭載駆逐艦でもあります。速力35ノットと、モデルになったトライバル級より優秀。

 姉妹艦の山風と2艦で第十六駆逐隊を編成し、第一次大戦時南洋群島方面に進出しましたが、その後掃海艇に艦種が変更になり1936年に除籍されました。

・海風の戦い方は……

『World of Warships』

 海風の魚雷。改装前だと5kmと砲撃の射程より短く使い勝手も微妙。まずは何より魚雷のアップデートを行いましょう。

『World of Warships』

 魚雷は射撃から着弾まで時間がかかるので、「射撃後回避行動をとって……」とやっていると着弾を観測できません。ちょっと残念ですが仕方ありません。

 主砲の120mm砲は、直進性が悪く大きく山なりに飛んでいきます。装填時間も10秒と遅め。さらには砲の旋回も橋立より遅い、射程も6.7kmとかなり短め……と、いろいろ使い勝手がよくありません。砲での撃ち合いはかなり苦手です。

 では弱い艦なのかといえばそんなことはありません。海風の真骨頂は砲撃にありません。実は、今回紹介する艦の中でもっとも長射程の魚雷を搭載しているのが海風なのです

 改装前は射程5kmだった射程が、改装によって8kmまで伸びます。砲より長い魚雷の射程で、駆逐艦の基本運動である“魚雷を撃って逃げる”の練習にもってこいです。

 ちなみに、海風が投入されるあたりの戦場では巡洋艦以上の艦の動きが鈍いため、結構な確率で魚雷が当たってくれます。大物喰らいのハンターとして活躍できる素養十分なのです!


Tier III 若竹(Wakatake)

『World of Warships』

HPの低さを速力でカバー

 1922年に竣工した二等駆逐艦。備砲は12cm単装砲3基、53cm連装魚雷発射管2基、4門。最高速は35.5ノット。

 戦間期に建造されましたが、太平洋戦争時には優秀な後継艦が建造されていたため、太平洋戦争中は主に船団護衛任務に就いています。

 1944年3月30日パラオ大空襲で、航空機の攻撃により撃沈。被弾からわずか15秒という早さでした。

・若竹の戦い方は……

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 とにかく群れて攻撃することがポイント。味方の雷撃に便乗して、魚雷をエリア内にとにかくぶち込みます。すると回頭に時間のかかる巡洋艦以上の艦は非常に身動きがとりづらくなるのです。

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 船足が速いので、砲撃から走って逃げられることもありますが、捕まるとその装甲の薄さから致命傷をうけることもしばしば。彼我の距離を読み誤らないように注意!

 海風より魚雷の威力と弾速が向上したものの、射程と装填速度は劣っています。火器管制装置は9.4kmまで伸びましたが、砲の装填速度は海風よりも遅いと、これまた砲撃に向きません。

 ちなみに艦の隠蔽率は、砲撃すると減りますが魚雷攻撃の場合は影響がありません。とりあえず主砲は護身用と割り切って、7kmから6kmの範囲内、レンジギリギリから魚雷を撃つのが得策です。

 なお、若竹は駆逐艦同士の戦いはとても苦手。なにせ砲の装填が遅いし、魚雷はほぼ当たりませんからね。この点も覚えておきましょう。


Tier IV 磯風(Isokaze)

『World of Warships』

海風の正統進化型にして天龍型のモデルになった駆逐艦

 1917年に竣工した一等駆逐艦。Tier IIIの若竹より艦齢が古いですが、向こうは二等駆逐艦です。Tier IIの海風型を拡大したもので、45cm魚雷などはその名残です。

 武装は12cm単装砲4基、45cm連装魚雷発射管3基6門。最高速は34ノット。1935年に除籍されています。余談ですが、天龍型軽巡洋艦は本艦を拡大して3500トン級にしたものです。

・磯風の戦い方は……

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 『WoWS』は、なるべく火力艦が集まって集中砲火で敵をけずっていくのがセオリーなのですが、そのセオリーに対抗するにはアウトレンジからの雷撃が有効。敵が群れているところに魚雷を放てばどれか一発くらいは当たってくれたりしますしね。

『World of Warships』

 敵艦から射撃された場合は、被弾面積を小さくするため、射撃されている方向に艦首または艦尾を向けます。艦尾を向ければ全速力で逃げられますから、艦尾のほうがオススメ。

 駆逐艦は隠蔽性が高いため6kmほど離れると相手から見えなくなるので蛇行しながら距離を稼ぎましょう。撃ち返したいところですが、艦砲を撃つと隠蔽率が低下してしまうので注意してください。

 Tier IIの駆逐艦海風の後継艦だけあって、魚雷は威力と速力が上がっています。雷速(魚雷のスピード)は命中精度にダイレクトに影響しますから、かなり当てやすくなっていると言えるでしょう。ただし射程が7kmと短くなっている点に注意。艦砲は海風と同等です。

 また、魚雷発射管も3基になってより攻撃密度が上げられるのも命中率の点から大きなメリットです。艦速は若竹から若干落ちましたが、誤差の範囲程度。HPは海風と同じレベルなので、被弾即撃沈ということはないかと。

 艦砲の装填は遅め。撃ち合いに向きません。旋回速度と射程は悪くないのですが護身用か最後の一撃用と割り切りましょう。

 磯風を運用するあたりから空母が登場してきます。単艦同士ならむしろやりやすい相手ではありますが、分厚い航空部隊を差し向けられると回避が間に合わないことも。くれぐれも油断しないように!

アメリカの駆逐艦たち

 日本ほど艦隊決戦にこだわらなかったアメリカは駆逐艦の武装もスタンダード。艦の命名法則はアメリカ海軍の功労者の名前から。


Tier II Sampson(サンプソン)

『World of Warships』

両舷装備の魚雷が最大の強み

 1916年に就役したアメリカの1000トン級駆逐艦です。就役時期が第一次大戦期間中なので第一次大戦に従軍しています。

 4インチ(10cm)単装砲を主砲として4基、また21インチ(53cm)魚雷発射管12基と重武装でしたが、最高速は29.5ノットと駆逐艦としてはやや遅めでした。

 姉妹艦の中では4番艦のアレンのみが第二次大戦に就役しています。また変わった経歴として、3番艦のデイビスが第一次大戦後沿岸警備隊に転籍して、禁酒法の取り締まりを行うラム・パトロール艦になっています。

・Sampsonの戦い方は……

 前提としてアメリカ艦は、日本の駆逐艦とは異なる戦い方が必要になります。というのも、アメリカ艦の魚雷はなかなか射程が伸びないのです。その代わり、艦砲の装填が日本の駆逐艦より早く射程も長いのが特徴です。

 駆逐艦の隠蔽率は大体6kmほどですが、魚雷の射程が4.5kmと隠れられる範囲より短いので、アウトレンジから見つからないように撃つことができません。

 ですので艦砲でけん制しつつ接近して魚雷を撃って転進するヒットアンドアウェイが向いています。また、本艦は両舷に魚雷発射管を持っているため、向きを変えてやれば連続発射が可能な点もメリット。

 魚雷の装填も他の駆逐艦より早いのですが、所詮は駆逐艦。両舷一斉射でやめておかないとアッという間に火だるまにされてしまいます。

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 砲の旋回性能が優秀なため、速力を活かせれば駆逐艦との撃ち合いも何とかなります。とはいえ、同じTier IIの海風に比べると艦速で圧倒しているワケでないところが痛しかゆしですが……。そこは艦長としての工夫の見せどころ!

『World of Warships』

 肉薄すれば駆逐艦にだって魚雷を当てられます。艦砲でけん制しつつ乱戦時に魚雷を放てば、駆逐艦くらいなら木っ端みじんです。


Tier III Wickes(ウィックス)

『World of Warships』

速度が上がったSampsonの発展型

 サンプソン級の後継であるコードウェル級をプロトタイプとして量産したウィックス級は、なんと111隻の同型艦が建造されています。

 速度は35ノットを堅持せよとのお達しがあったようで、武装より速度が重視されています。

 それでも竣工時は4インチ砲4基、21インチ3連装魚雷発射管4基12門と重武装でしたが、最後は主砲も魚雷も外して対空、対潜装備に特化しています。

 ここら辺の割り切りのよさがいかにもアメリカ艦です。1917年に竣工し、1918年より就役。第二次大戦のころには旧式艦になっていましたが、同盟国にレンドリース艦として供与されました。

 残った艦もアメリカ海軍で雑役任務に就き、全艦1947年までに解体されています。

・Wickesの戦い方は……

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 火災を起こせるかがとても重要! 速射性の高い艦砲で榴弾を叩きこめると火災の発生率が上がります。空母は甲板で火災が起きると艦載機の発着艦ができなくなりますので、狙っていきましょう。

 威力の大きな魚雷も搭載していますので、空母キラーとしての素養をすべて持っています

『World of Warships』

 機敏な動きは、マップの捜索にも生かせます。空母が出現するようになると足の速さがとても重要になります。空母は大概マップの端に隠れていますから、そこをあぶり出したら必殺の雷撃を叩き込むのです。

 サンプソンの純粋発展型なので、戦い方はサンプソンとそう変わりません。特徴だった両舷の魚雷ももちろん健在。

 サンプソン型からの発展は、艦速の大幅に早くなり、雷装も片舷に連装2基だった魚雷発射管が3連装になったことで発射数が1.5倍になりました。

 さらに後期型魚雷は威力も1.5倍なので、雷撃の威力がかなり高くなりました。艦砲は敵を沈めるには力不足ですが、火災を起こさせるには十分な性能になっています。ただ、HPはサンプソンよりも若干低くなっている点に注意です。


Tier IV Clemson(クレムゾン)

『World of Warships』

VIVA! 連装砲!!

 上で紹介したウィックス級の後継艦です。こちらはウィックス級をさらに上回る161隻が計画され、152隻が完工しています。

 1918年より竣工し、1919年より就役開始。ウィックス級と期間が被っていて、同時に300隻近くの駆逐艦を建造していたのかと思うと、アメリカ驚異の工業力を実感させられますね。

 最高速度35.5ノットでウィックス級同等。就役時の武装は、4インチ単装砲4基、21インチ3連装魚雷発射管4基12門ですが、やはり後期になると3インチ単装砲6基と21インチ3連装魚雷発射管2基6門、爆雷投下軌条2基と兵装が変わっています。

 同型艦うちの1隻であるスチュアートは日本軍に鹵獲されますが、戦後に再接収されて標的艦として処分されました。他の同型艦も1946年には全艦除籍されています。

・Clemsonの戦い方は……

 この間も砲撃が強みです。艦体を改装すると積めるようになる102mm/50Mk14砲は、スペック的にはMk12と変わっていないように見えますが……さりげなく連装砲になっているんですね。これで一気に威力は倍です。

『World of Warships』

 サンプソン級から順当に進化してきた駆逐艦ですが、本艦もその流れの上にあり、102mm砲も両舷の魚雷発射管もこれまでと同じ。

 ウィックス級同様に両舷に3連装魚雷発射管2基ずつ積んでいるので、片舷6本の魚雷を発射できます。後期型なら雷撃の威力も2割ほど増し、射程も5.5kmに伸びています。とはいえ、駆逐艦の隠蔽性より相変わらず短いのですが……。

 最初に言ったように、本艦最大の特徴は火砲の連装化。駆逐艦相手の撃ち合いで負けることはありません。

 格上には魚雷、同格には主砲で戦うというオールラウンドな戦いができるようになる汎用性を手に入れました。速度も申し分なし! 伊達に152隻も作られてないわけですね。

教えて! wargamingさん

 筆者が『WoWS』プレイしてみて気になった点を、本作を手掛けているwargamingさんに伺ってみました。まずは前回の答えから。

Q:イギリス艦はいつ実装されますか? ドレッドノートを使ってみたいのです。

A:現在計画中です。まだ詳細なスケジュールはお伝えできません。

Q:日本のTierVIIIに愛宕がありますが、高雄は実装されないのでしょうか? また、姉妹艦はプレミアムで登場する可能性があるとのことでしたが、次の予定は?

A:そこはナイショです(苦笑)

 とのことでした。ドレッドノートについては現在計画が動いているとのことで、ゲーム内で見られる日が待ち遠しいですね! 次回はこんな質問にお答えいただこうと思います。

Q:利根の実装はいつごろを予定していますか?

(C)Wargaming.net

データ

▼『World of Warships(ワールド オブ ウォーシップス)』
■運営:ウォーゲーミングジャパン株式会社
■対応機種:Windows
■ジャンル:SLG
■サービス開始日:2015年9月17日
■料金:ゲーム内課金あり

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