2015年12月25日(金)
コーエーテクモゲームス(ガスト長野開発部)の『ソフィーのアトリエ(以下ソフィー)』と、BlazeGamesのスマホ用リアルタイムストラテジー『リトル ノア』。錬金術をテーマにした両作品だが、このたびスペシャルコラボが実現。両タイトルとも配信は12月24日からスタートしており、まさに“クリスマスプレゼント”とも言うべきステキな内容となっている。
そこでここでは『ソフィー』のディレクターである岡村佳人氏と、『リトル ノア』プロデューサー岡田佑次氏の対談を掲載。コラボの経緯やその注目ポイントをお聞きした。(※インタビューは12月10日に実施)
▲岡村佳人氏(写真左)。コーエーテクモゲームス ガスト長野開発部所属。『ロロナのアトリエ』以降、シリーズのディレクターを務めている。岡田佑次氏(写真右)。BlazeGames代表取締役社長。これまでモバイルを中心に活躍し、独立後の第1作として『リトル ノア』をプロデュース。 |
『ソフィーのアトリエ』はコーエーテクモゲームスのガスト長野開発部が贈る、人気RPGシリーズの最新作。主人公のソフィーは記憶喪失な本のプラフタと出会い、彼女の記憶を取り戻すために奮闘していく。キャラクターデザインにはNOCO氏、ゆーげん氏の2人を起用。今回のコラボでは、『リトル ノア』の主人公・ノアの白魔術師の衣装が登場。
▲純白の衣装がまぶしい白魔術師の衣装。従来のソフィーの衣装にはない色合いが、また新鮮でもある。 |
『リトル ノア』はBlazeGames開発による、スマホ用のリアルタイムストラテジーゲーム。プレイヤーは、ノアと呼ばれる錬金術師の少女と一緒に、彼女が召喚するキャラクターたちを育てつつ、多くのライバルたちとマナやゴールドなどの資源を奪い合う。アートディレクターに吉田明彦氏、サウンドコンポーザーに崎元仁氏を迎え、その完成された世界観も話題になっている。
今回のコラボでは、ソフィーの衣装と、ソフィーを模したユニットが入手できるクエスト“デキる錬金術士を求めて”が配信中。なお、期間は2015年12月24日(木)15:00~2016年1月12日(火) 14:29まで。
▲育成に必要なマナがほかのSSRの半分で、初心者にも使いやすいキャラクター。射程の長い範囲攻撃で、遠方からの施設攻撃に向いている。 |
――思いがけないコラボで驚いたファンも多いと思いますが、まずはその経緯を教えてください。
岡村氏(以下、敬称略):じつは私たちのほうから急遽というか、いきなりご相談をさせていただいたんですよ。事前におつきあいはまったくなくて、コラボが決まってからも何度もやり取りしていましたが、直接お会いしたのは今日が初めてという(笑)。
コラボのきっかけは、今回の『ソフィーのアトリエ』は、スタートした時点から何かコラボをしてみたいと思っていたんです。それでちょうどリリースされていた『リトル ノア』に、僕がガッツリハマりまして……。同じ錬金術をテーマにしているということで、これはおもしろいのではないかと思って、お声がけさせていただいたのが最初ですね。
岡田氏(以下、敬称略):じつは最初にご相談をいただいたのが、ウェブの相談窓口からだったんです(笑)。基本、相談窓口は私が全部見ていますので、話は早かったですね。ただ、最初は『リトル ノア』のリリースが近く、かなりドタバタしていてコラボのタイミングではなかったんです。ようやく運営も落ち着いたところで「もう一度お話させていただけませんか?」ということになりました。アートディレクターを手掛ける吉田明彦さんにもご相談したら、「いいじゃない」と。
岡村:ありがたいです、本当に。
――タイミングというのも、たしかに大事ですよね。では、このコラボの狙いは最初から明確にあったのでしょうか?
岡村:コラボ自体は、お互いのタイトルのことを多くの人に知ってもらいたいというのが一番大きいです。それにやはり錬金術を扱っているので、親和性が高いですし、世界観のイメージ的にもよい形でコラボできるんじゃないかと思いました。ですので、お話を持っていったときは、何をするのかは深く考えていなかったです(笑)。
岡田:どういったことをコラボするのかは、話が具体的になってきたあたりから決め始めた感じでしたね。
岡村:今回は『ソフィーのアトリエ』で白魔術師ノアのコスチュームを作らせていただいて、これが非常にいい衣装になったと思います。すごくよかったですね。
――白魔術師ノアの衣装を選ばれた理由は?
岡村:キャラクターモデルを作る場合、単純に衣装だけを切り替えるというのは難しいので、まずは登場キャラクターからモデルにできるのは誰かという点を調査しました。そのなかで白魔術師ノアが一番適しているかなということで、選ばせていただきました。
岡田:最初は私どものキャラクターが『アトリエ』シリーズの世界観に合うのかは不安でしたが、結果的にはかなり順応させていただいてるなと感じましたね。
岡村:違和感もありませんし、これまでにない色調なので、ファンの方にも楽しんでもらえるんじゃないかと思います。ちょうど最初のDLCを展開するタイミングでの配信ですので、ぜひ追加コンテンツをノアのコスチュームで遊んでいただけたらうれしいですね。
――逆に『リトル ノア』側では、どのような要素が入るのでしょうか?
岡田:はい、まず今回コラボするのは、ソフィーの衣装と、あとソフィー自体をキャラクターとして登場させるというコラボを用意しています。
岡村:じつはこのコラボ用にストーリーをご用意していただきまして、それを読ませていただいたらすごくいい感じに『リトル ノア』の世界観に落とし込んでいただいていて、本当にありがたいです。
――コラボ用のストーリーがあるのは贅沢ですね!
岡田:『リトル ノア』という作品は、基本的にすべてのキャラクターをノアが造っている(召喚)という設定なんです。ですので“ノアが気に入ったとある絵本の世界のキャラクターを彼女が作っちゃいました”という形です。
岡村:『ソフィーのアトリエ』のなかに、ソフィーたちをモデルにした本ができるというイベントがあるので、じつはこっそりリンクしているんですよ。
岡田:今回はその設定をうまく利用させていただきました。『リトル ノア』でもそうですが、錬金術はある意味何でもありだし、うまく盛り込めるんじゃないかなと(笑)。
岡村:まさしくその通りだと思います(笑)。
岡田:ノアは駆け出しの錬金術師なので、衣装は“デキる錬金術士に彼女があこがれて作った”という設定です。
岡村:衣装については、ソフィーの衣装が変わった後のバージョンで作っていただきました。キャラクターと同じようにかわいくアレンジされていて、すごくいい感じです。
――デザインは吉田さんが手掛けているのですか?
岡田:吉田さんには監修をしていただきました。あと『リトル ノア』のキャラクターは、男性、女性と素体は同じで、それにパーツを付け加えてカタチ作ります。今回は女性の素体にソフィーの衣装を着せる形で調整していきました。ぜひその完成度にも期待してほしいです。
――コラボをしてみてわかったお互いのタイトルの感想や、気になるところがあればお聞きしたいです。
岡村:その前に、1プレイヤーとしては『リトル ノア』でのソフィーの性能が気になっています。
岡田:岡村さんの今のプレイはどんな感じですか?
岡村:今、ようやくレベル50くらいになったところです。通勤時間を中心にプレイしていますが、なかなか(笑)。
岡田:ありがとうございます(笑)。ソフィーの性能は直前まで悩んだんですけど、できればコラボで興味を持っていただいた初心者の方がゲットして、すぐ主戦力になるような形にしようと考えています。一方で上級者のプレイのバランスには影響しないよう、調整を心がけています。
――岡村さんはすっかりファン目線ですね(笑)。
岡村:ええ。本当にありがたいです。僕は『リトル ノア』はスマホゲームなのにガチャの要素がなくて、キャラクターのバックボーンやお話が丁寧に作られているので、この世界をもっといろいろな方に知ってもらいたいというのが1ユーザーとしての希望です。ただ、キャラクターがよく動いて特徴があるのですが、攻めているときにじっくり見ている暇がないので、ぜひじっくり見られるようなシステムもあるといいなと。
――単なる要望になってませんか?(笑)
岡村:それぐらい楽しませていただいています(笑)。
――でも、たしかにいろいろな楽しみ方が1つのゲームのなかにあって、それがうまく絡み合っているという意味では、『アトリエ』シリーズに通じるのかもしれませんね。
岡田:私の場合は、最初の『マリーのアトリエ(Ver.1.3)』をセガサターンでプレイしていました。当時いろんなRPGをプレイしてましたが、女の子が主人公というのは、最初色物かと思ってたら、かなりガチなRPGで、すごくおもしろかったことを覚えています。近年ではいろんなイラストレーターさんを起用されて、ほかにはないしっかりしたビジュアルと世界観を持ったRPGの1つだと思っています。『リトル ノア』でも世界観を統一していくことを大事にしているので、そういった部分でも共感できますね。
――では今後、衣装やキャラクター以外で何かやってみたいコラボなどはありますか?
岡村:今回のコラボでお互いにどこまでできるのかを確認できましたし、世界観を大切にして開発されているのを感じましたので、そこに合う形で納得していただくのであれば、今後も協力させていただければと思います。でも、まずは今回の反響を見てというところでしょうか。
岡田:私としてはコンソール(家庭用ゲーム)とモバイル(スマホ用ゲーム)のコラボができたことがうれしかったです。じっくりとプレイされるコンソールのプレイヤーの方が、もし『リトル ノア』に興味を持っていただいたら、すごく相性はいいのではと思っております。
――たしかに今回のコラボを見ても、『リトル ノア』の世界にすごくマッチしています。
岡田:そうですね、こちらでキャラクターを作らせていただく場合、3Dモデルで『リトル ノア』としてアレンジされた形で出させてくださいとお願いさせていただいてます。世界観が崩れてしまうことが一番の懸念ですので、そこは一番気を付けています。
――となると『アトリエ』以外にもコラボを企画される場合は、作品の世界観がうまくマッチするかが判断基準の1つになりそうですか?
岡田:マッチするかどうかについては、マッチさせようと思えばなんとかできることが、今回コラボさせていただいてわかりました(笑)。重要なのはやはりお互いの世界観がしっかりしているかどうかだと思います。そうしないと、どの世界観に焦点を当ててコラボを進めればいいかわかりませんし、私たちとしてはそこを大事にしていきたいところではあります。
――コンソールとモバイルのクリエイターとして、それぞれの魅力とは何だと思いますか?
岡村:じつは、モバイルのゲームも作ってみたいんですよ(笑)。元々MMOが作りたくてこの業界に入ってきたので、そのあたりも作ってみたいなと思っているんです。コンソールの魅力としては、1つの物語として終わりのある作品を提供できる点かなと思います。やはりRPGだとストーリーが重要になってきますし、そのあとの作品で広がっていく可能性はありますが、1つの作品として終わりを迎える安心感が魅力かなと思います。
岡田:モバイルの場合は、ストーリーはミッションという形でいつまでも続けられますし、何よりユーザーさんの反応を逐次見ながら対応できるのが魅力ですね。
岡村:それいいですよね、うらやましいです(笑)。
岡田:時には意見を取り入れたり、逆にみんなが思ってることとまったく違ったことをやって驚きを与えたりもできますし。ユーザーさんとのやりとりは変化があり、おもしろいです。『リトル ノア』の場合、月1くらいでニコ生をやっていて、そこでバージョンアップの説明をします。ユーザーさんがすごく反応を返してくれますので、それを見つつ軌道修正をすることもあります。やはりリアクションがすぐに返ってくるのは、開発者としてはおもしろいですね。
岡村:パッケージはスパンがすごく長くなってしまうので、モバイルのスピード感覚にはあこがれるといいますか、気になりますね。ただ、とても大変そうでもあります(笑)。
岡田:そうですね、そこは大変というか……。いつ休んだらいいんだろう、というのはあります(笑)。一度サービスが始まったら止められませんから。
――今回直接お会いするのは初ということですが、お話ししてみてお互いのクリエーターとしての印象はどうでしたか?
岡村:コラボが決まってからインタビューとか拝見させていただいて、吉田さんや崎元さんという業界的にも大先輩にあたる方々と一緒にお仕事されていて、うらやましいと感じつつも、立場的に大変そうだなと感じていました。
岡田:私もプレイ動画とか拝見させていただいておりまして(笑)。ディレクターご自身がプレイ動画の説明をされている姿を見てすごいと思いました。コンソールは、作りきって売るので、その後修正することが難しいのでそういうものを作りきれる責任者ってすごいなとあこがれます。もちろんモバイルでも、最初にしっかりしたものを出さないといけないんですが、運営で調整していくことも重要ですので。
――それでは最後に、それぞれのファンに向けて、メッセージをお願いします。
岡村:今回ゲームの方向性は違ってはいますが、世界観とキャラクターを大切にしている部分は“アトリエ”シリーズとも共感できる部分もありますし、錬金術という共通の要素もあります。それぞれのユーザーさんに、この機会にお互いのタイトルを触っていただいて、それで何か感じるところがあれば、またお互いのタイトルを楽しんでいただければと思います。
岡田:私たちとしても『ソフィーのアトリエ』という世界観をお借りできたことを、すごく誇りに思っています。コンソールのユーザーさんにアプローチできる、すごくいい機会だと思っております。
また、コンソールとスマホでこういうコラボができるのは、ゲーム業界にいる者としてはすごいうれしいですね。あと、ソフィーに関しては吉田さんにも監修いただいて、すごくかわいくでき上がっていますので、期間限定ではありますが、ぜひゲットしていただければと思います。
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