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2016年1月30日(土)

新武将のような気持ちで幸村と政宗を開発! 『戦国BASARA 真田幸村伝』タイトルに込められた意味とは!?

文:kbj

 カプコンから2016年夏に発売予定のPS4/PS3用ソフト『戦国BASARA 真田幸村伝』。本作を手がける開発者へのインタビューを掲載する。

『戦国BASARA 真田幸村伝』

 『戦国BASARA 真田幸村伝』は、『戦国BASARA』シリーズ第1作で描かれた真田幸村と伊達政宗のライバル関係を軸に、シリーズ初の長編ドラマで真田幸村の生涯に迫るもの。独自の史観で描かれた武将像はそのままに、これまでのシリーズとは異なり、より史実に近しい世界で物語が進むのが特徴だ。

 本作に語っていただいたのは、小林裕幸シリーズプロデューサーと野中大三プロデューサー。新たに産声を上げた『真田幸村伝』の設定やシステム、登場人物など、さまざまなことを聞いているので、ぜひご覧いただきたい。なお、インタビュー中は敬称略。

『戦国BASARA 真田幸村伝』
▲左が野中プロデューサーで、右が小林シリーズプロデューサー。

●小林裕幸シリーズプロデューサー

 『戦国BASARA』の生みの親。他にも『バイオハザード』や『デビルメイクライ』シリーズにも、プロデューサーとしてかかわる。

●野中大三プロデューサー

 本作『真田幸村伝』から、新たにプロデューサーとして参加。これまでには『ガイストクラッシャー』シリーズに携わっている。

改めて幸村を主役にしてシリーズの原点に戻る

――本作から、野中大三プロデューサーと田中俊宏ディレクターが加わりました。『戦国BASARA』といえば、小林裕幸プロデューサーと山本真ディレクターのイメージが強いと思いますが、2人が追加した理由を教えてください。

小林:今までとは違うことをしたいと思い、プロデューサーに野中を立てました。そして、山本の仕事量が多くなってきたので、ディレクターに田中が入っています。

 もちろん、全武将のデザインやストーリー考案をはじめ、ゲームの設計に山本もかかわっています。本編部分を田中にまかせつつ、山本は監修作業を担当する形です。

野中:以前から小林の下で仕事をしていたので、『戦国BASARA』の展開についていろいろと見ていました。情報について追いかけつつ、遊んでいるので知識として足りていないことはないと思われます。これまでキャラクターゲームを作ることが多かったので、そこを生かして開発していきたいですね。

――最新作は幸村が主役ですが、メイン武将が1人なのは初めてですね。

『戦国BASARA 真田幸村伝』

小林:タイトルをつける時に悩みました(笑)。1人の武将に焦点を当てた長編ストーリーという意味を込めて『烈伝』シリーズという名称が誕生しました。

――『烈伝』シリーズの主役を真田幸村に決定した理由は?

小林:『3』で描いた“関ヶ原の戦い”のように、わかりやすい戦国の歴史をクローズアップしようということになり、“大坂の陣”に白刃の矢が立ちました。

野中:2015年は大坂 夏の陣から400年ということもあり、幸村を主役にした物語を、ガッツリ描きたいと思ったのもあります。

小林:それに『戦国BASARA』は伊達政宗と真田幸村の2大主役から始まり、2015年で10周年を迎えました。原点に立ち戻るという意味も含め、『烈伝』シリーズでは幸村を主役にしました。

 ロゴからもそれが伝わるように、ずっとシリーズのロゴの背景に使用してきた伊達の家紋を外して真田家の六文銭としました。『真田幸村伝』を機に、これまで以上に幸村を盛り上げたいです。

『戦国BASARA 真田幸村伝』

――『5』にするという選択肢はなかったのでしょうか?

小林:ナンバリングタイトルにしてしまうと、1人の武将に焦点をあてた長編ストーリーは実現不可能でした。

野中:チャレンジしたいけれどできなかったことを、うまく線でつないだものが『烈伝』シリーズです。『戦国BASARA』にはたくさんの武将が登場しますが、全武将が主役になれる魅力を持っています。そうなると1人だけを主役にして長編を書くことは、なかなかできません。

 “大坂の陣”に目を向けると関連武将は少なくないのですが、中心人物に幸村がいます。彼の生涯を描くことで1人の武将に焦点を当てた長編も、大坂の陣を深く掘りげることも可能になるということで実現するに至りました。

『戦国BASARA 真田幸村伝』

小林:幸村の生涯を描くにあたり、兄の信之と父の昌幸も登場させます。真田家の兄弟と親子の絆にも注目していただけたらうれしいです。基本的には史実に沿った物語になりますので、歴史の資料で想像しながら新情報をお待ちください。

野中:史実に沿う物語なので、武将の関係性もこれまでのシリーズとは一部異なります。『戦国BASARA』の中では同じ場所に生きていても、史実では接点がない武将の場合、今回は関係を改めています。

『戦国BASARA 真田幸村伝』

小林:『4皇』のように完全にIFの世界観ではないので、史実上で絡んでいない武将は出しにくいのです……。『烈伝』シリーズでは、史実にウソをついてまで出すのはイヤだったので、泣く泣く登場をあきらめた武将もいます。

――信之と昌幸は、史実に沿ったような武将デザインになるのでしょうか? これまでのシリーズ通り、『戦国BASARA』らしい武将にしあがるのでしょうか?

小林:ただ単に一般武将と同じような武将として出しても意味がないので、新武将としてしっかりと作っています。そこは期待してください。

――『戦国BASARA』で幸村と関係が深い登場人物には、架空の人物として猿飛佐助もいますが……。

小林:第一報ではまだ秘密です。『戦国BASARA』シリーズでは他にも信玄と幸村のやり取りもおなじみですが、あの関係は完全にIFになっています。『真田幸村伝』ではお兄さんとお父さんが出てくるので、信玄の立ち位置がこれまでと変わってきます。

 そういった意味でも、本作は今までとは違う世界観になっているので、新しい設定が生まれています。

成長にしたがって変化する衣装と武器

――新しい設定というのは、登場武将の個性にも影響が?

『戦国BASARA 真田幸村伝』

小林:主人公の幸村やライバルの政宗をはじめ、武将の個性はこれまでの『戦国BASARA』と変えていません。関係性が変わる武将はいますが、個性や声優さんは変更になりませんので安心してください。

 公開中のPVに登場する幸村は、ラストバトル“大坂 夏の陣”に向かう姿です。本作の幸村はどんどん成長していき、映像でお見せしているかつてない幸村になります。

――成長していくにつれて、衣装や技も変化するのでしょうか?

野中:主役の幸村がどんどん成長していく姿を描きたかったので、見た目や武器が少しずつ派手になっていくと思ってください。幸村はもともと炎がモチーフの武将なので、強いイメージを前面に出しました。そして本作では、さらにゴージャス感を出したくてモチーフとして、不死鳥をプラスしています。

『戦国BASARA 真田幸村伝』

小林:飛び跳ねるアクションが多くなっているので、イメージにピッタリはまっていますよ!

野中:物語的には、幸村らしい熱血話もあればシリアスもあるのでお楽しみに!!

『戦国BASARA 真田幸村伝』

小林:一方の政宗は、史実で白装束になって十字架を背負うというエピソードがあるのでそこをイメージしています。西洋風の鎧にガラッとアレンジしていますよ。

野中:本作ではつねに六爪状態で戦います。幸村と同じくアクションをガラッと変えているので、新しい六爪アクションが楽しめると思います。

小林:プレイヤー武将として生まれて、幸村と政宗は10年経ちます。衣装やアクションもすこしずつ変えていますが、基本性能はそのまま。誰でも使いやすいベーシックなものを用意しているため、『4皇』の足利義輝や千利休のように、ぶっとんだ強さにはなっていません。

 ずっと初期型だった2人のアクションを、いつか変えたいとずっと思っていました。いままでのように、継ぎ足しの武将ではなく、まったくの新武将として思っていただければ幸いです。

――技の性能やつながりも違う?

小林:見た目だけでなく、アクションも変わっているので、新武将としてさわっていただけます。なお、本作の政宗は幸村のライバルとして登場します。幸村の物語の中で、要所要所で政宗が操作できるようになっています。

――バトルシステム部分で、新しくなっている点はありますか?

『戦国BASARA 真田幸村伝』 『戦国BASARA 真田幸村伝』

小林:新作ゲームということで、新しいシステムを取り入れています。今後発表していきますので、ご期待ください。

野中:長編ストーリーを楽しんでもらいたいというのが第一にありますが、繰り返しプレイする際の新要素もあります。

『戦国BASARA 真田幸村伝』

小林:話は1本ですが何度も遊んでいただきたいので、スミズミまで『戦国BASARA』らしさを盛り込んでいます。まだ詳しくは言えませんが、ステージ自体の作りが過去作とは違い、クリアする条件が毎回ステージごとに異なります。

野中:ただ、難易度はこれまでと変わりません。従来どおり気軽にプレイできて爽快感を味わえることに加えて、本作では重厚な物語も体験できるようになりました。難易度を高くすることも可能なので、歯ごたえがあるバトルをやりたい人は難易度をガッツリ上げて遊んでみてください。

 また、これまでも大坂城は登場していますが、本作ではクライマックスのステージになるので完全新ステージになっています。

『戦国BASARA 真田幸村伝』

小林:外装も『戦国BASARA』らしく派手な感じになりました。ちなみに史実で大坂 夏の陣のころの徳川家康はおじいちゃんですが、本作で歳はとりません(笑)。これまでにシリーズに登場した武将たちは従来のイメージどおりだと思ってください。

野中:武将たちが強くなっているという点ではユーザーの予想を上回りたいのですが、設定自体を変える必要はないと思うので武将たちの年齢はそのままです。

あえて変えたところと変えていないところとは!?

――ところで『烈伝』シリーズとうたっていますが、今後は幸村以外の展開も?

『戦国BASARA 真田幸村伝』

野中:主役になれる武将がたくさんいるので、いずれできたら……と思っています。“シリーズ”としたのは、そんな願いも込めています。もし自由に作れるとしたら、ザビーを作ってみたいです! 本多忠勝とかもおもしろそうですよね。

小林:僕は鶴姫かお市ですね。お市の場合、最後がちょっと悲しい感じになりそうですが、やってみたいです。大反対を受けたら続けられないシリーズだと思うので、ちょっと怖いなとも思いつつ、皆さんの感想が楽しみです。初の試みなのでとてもドキドキしています。

――本作でもっとも注目してほしいところは?

小林:途中でもお話しましたが、この2人を新武将として見てほしいですね。

『戦国BASARA 真田幸村伝』

野中:小林が先ほど言っていたように、本作には新武将がいます。ここ数年のタイトルだと、新武将にスポットが当たっていたのですが、『BASARA』の看板は政宗と幸村。この2人をリニューアルして再提案していくのが本作のポイントです。しっかり2人をプッシュしていくのでチェックしてほしいです。

小林:ナンバリングやハードが変わるタイミングは新規ユーザーに遊んでいただく機会なんですね。そうなった際、前に出ている武将が同じだとマンネリ感が出てしまう。例えば『3』であれば、関ヶ原の戦いにスポットを当て、家康と三成にスポットを当てました。

 そのような意気込みで10年やってきたのですが、改めて幸村と政宗をやり直すのは大事なことだと思います。新武将はいるのですが、『1』に戻ったような気持ちでこの2人から始めたいという想いがあります。

――シリーズを10年続けてきたからこそ変えたもの、逆に変えていないものはありますか?

小林:変えていないところはゲーム性ですね。多数の敵が出てきて、それを倒す爽快感は変えていません。新しいシステムは入れていますが、ベースは同じです。

『戦国BASARA 真田幸村伝』 『戦国BASARA 真田幸村伝』

野中:一番違うのは、武将を絞ったところ。そして、メイン武将の性能とデザインです。10年間変えなかったところをまっさきに変えました。むしろ変えていこう、離れようというのがこの2武将です。ゲームのクライマックスに出てくるにもかかわらず、初報でお届けしているのはそれが理由です。

小林:やはり幸村に絞ったところが一番変えたところでしょうね。なぜならば、一番人気の『政宗伝』は作っていませんからね。

『戦国BASARA 真田幸村伝』 『戦国BASARA 真田幸村伝』

野中:ただ、政宗は主役でないがゆえに、幸村以上にデザインやアクションを変えています。もし『政宗伝』であれば、白いデザインにはしていませんでした。試行錯誤していろいろと変えているので、どうなっているか、期待してください。

――10年シリーズを展開してきて、もっとも予期していなかったことはなんですか?

小林:そもそも10年続くとは思っていませんでしたね(笑)。地方にここまでいくことは思っていませんでしたし、これだけ多くの市長さんとお会いすることは思っていませんでした。

 あとはファンの方とふれあったり、ファン向けのイベントをここまでやったりするのはまったく想像していませんでした。他のタイトルと比べてもそこは特徴的ですね。

――1月には舞台、3月に10周年記念イベントなどがありますが、他にも関連情報がありましたら教えてください。

小林:10周年企画と並行して、ゲームが発売される夏までいろいろとやっていきたいです。続報をお待ちください。

――それでは最後に、読者へメッセージをお願いします。

『戦国BASARA 真田幸村伝』

野中:新たに『烈伝』シリーズが幕開けとなりました。幸村にスポットを当てて、なるべく彼の史実に沿ったリアルでドラマチックなお話になるよう意識して描いています。皆さんが感動するような体験や、物語を提供できると思いますので楽しみにお待ちください。

小林:皆さんの応援のおかげで『戦国BASARA』は10年間やってこれました。本シリーズは政宗や幸村が軸となって始まり、彼らと一緒に歩んできました。支え続けてくれた2人をいつか新しくしたいと思っていたのですが、こうして『真田幸村伝』をきっかけに実現することができました。

 最新作は、10年間付き合ってくださった方に対する感謝の気持ちを込めて作っています。『戦国BASARA』をまだ遊んだことがない方も多いと思いますので『真田幸村伝』をきっかけに参戦していただけたらうれしいです。アクションやキャラクター、そして戦国武将が活躍する世界観が好きな方に遊んでもらいたいです。

 『戦国BASARA』は、これからも新しい展開を提供していきたいと思っていますのでご期待ください。

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