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2016年2月6日(土)

PS4『戦場のヴァルキュリア』の感想は? CANVAS、BLiTZといった要素がPS4で蘇る

文:ophion

 セガゲームスより2月10日に発売されるPS4用ソフト『戦場のヴァルキュリア リマスター』のレビューを、ライターのophionがお届けします。

 2016年は『ヴァルキュリア』新生の年! 皆さんは『戦場のヴァルキュリア』をご存知でしょうか? 『戦場のヴァルキュリア』は2008年にPS3で発売、その後、海外での発売を重ね、累計100万本以上を売り上げた大ヒット作品です。

 そのシステムやシナリオの魅力はそのままに、グラフィックをPS4向けにグレードアップさせた『戦場のヴァルキュリア リマスター』が、2月10日についに発売。2016年冬にはPS4用ソフト『蒼き革命のヴァルキュリア』の発売も予定されており、今年は『ヴァルキュリア』シリーズにとって新たな動きのある年となりそうです。

『戦場のヴァルキュリア リマスター』

 そこで、この記事ではひと足先に『戦場のヴァルキュリア リマスター』をプレイした自分の視点から、本作の魅力を紹介します。

 ただ、自分はこれまでの『戦場のヴァルキュリア』シリーズはまったくの未プレイ。セルベリアやアリシアといったキャラクターは知っているのですが、これは『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION』に参戦しているためです(笑)。

 そんな初心者視点のレポートですが、PS3版『戦場のヴァルキュリア』をプレイ済みの人は懐かしさを感じつつ、お楽しみいただければと思います。記事内の写真を見て、そのグラフィックの進化やゲームそのものの魅力を実感していただければ幸いです。

●動画:『戦場のヴァルキュリア リマスター』プロモーションムービー

絵画や絵本のような独特のグラフィックがすごい!

 プレイを始めて最初に「おっ!?」と思ったのは、本作のグラフィック。これがなんとも言えず“淡い”んですよ。これまでいろいろなタイトルに触れてきて、グラフィックがキレイだと思ったことはあっても淡いと感じたのは初めて。

 しかも、画面の中央部には彩色が施されているのに対し、画面の端の方は線画だけなんですよ。それが動いているのがなんともいえず不思議な雰囲気。まるで誰かが描いたスケッチが動いているようでした。

『戦場のヴァルキュリア リマスター』
▲基本的に、すべてこの独特のビジュアルで描かれています。
『戦場のヴァルキュリア リマスター』
『戦場のヴァルキュリア リマスター』
▲こちらはオープニングムービーのワンシーン。「とあるゲームに感動してボクが描いた水彩画です」と言ったら知らない人はだませるかも(笑)。

 こんな映像のゲームが他にあっただろうかと思い出してみましたが、まるで心当たりはなし。それもそのはず、このグラフィック表現“CANVAS”は、『戦場のヴァルキュリア』シリーズのために作られたものだそうです。

 戦争を描いたタイトルだということは知っていたのですが、このビジュアルと牧歌的な雰囲気の町から物語が始まるということもあり「このタイトル、日常ものだっけ?」と、不思議な感覚に襲われましたね。

『戦場のヴァルキュリア リマスター』
▲遠い場所はボヤけているというよりにじんでいる。水彩画のような雰囲気が全編に見られます。

志願兵みんなが個性的過ぎ!

 そんな独特な雰囲気の本作は、架空の戦争を描いたタイトル。主人公・ウェルキンは、物語冒頭で故郷のブルールが戦禍に巻き込まれてしまったことにより、義勇軍の小隊長として帝国に立ち向かっていきます。

 小隊長ということは当然部下が必要。同じ想いを抱く志願兵から好きな人材を部下に選べるのですが、みんな個性が際立っています。いや、際立ち過ぎです!

 とは言っても、志願兵のなかに青いハリネズミがいるとか、「セガサターン、シロ!」と言い出す格闘家がいるとか、そういった際立ち方ではありません。ウェルキンを含め、本作のキャラクターには“ポテンシャル”というものが設定されており、それが志願兵の個性を際立たせているといった具合ですね。

 ポテンシャルとは、特定条件で発動するスキルのようなもの。草の上にいると防御力が上昇する“草原育ち”や、気の合う仲間が近くにいるとおしゃべりに夢中になって射撃能力がダウンする“おしゃべり”など、そのキャラクターの性格などが反映されています。

『戦場のヴァルキュリア リマスター』
▲ニルスは顔立ちも相まって、頼れる兄貴分的な雰囲気。
『戦場のヴァルキュリア リマスター』
▲コビィじいさん。身体は大切にな。

 そんなキャラクターの個性付けに一役かっているポテンシャルなのですが、なかにはぶっ飛んだ人もチラホラ。彼らのバックボーンを想像するのも楽しい要素の1つです。

『戦場のヴァルキュリア リマスター』
▲女好きで男嫌いな女性キャラ。その辺をもうちょっと詳しく!
『戦場のヴァルキュリア リマスター』
▲男好きのヤン・ウォーカー(男性)……あ、うん、そうなんだ。

 しかもこの志願兵、50人近くいるとのこと。対してウェルキンの小隊に組み込める人数は20人まで。見た目で選ぶか強そうな人を選ぶかで、非常に悩みましたね。最終的には初プレイということもあって、なんとなく強そうな人をチョイスしましたが……ちょっと若い女性が多かったのはご愛嬌ということで。

戦闘システムはシミュレーション+アクション!?

 志願兵を選んだらいよいよ本格的な戦闘がスタート! 正確には、故郷から逃げ延びるまでに戦闘が2回ほどあるのですが、それはいわゆるチュートリアル。ゲーム内の指示に従っていれば、敗北することはそうそうないかと思います。

 さて『戦場のヴァルキュリア リマスター』では、“BLiTZ(Battle of Live Tactical Zone systems)”という独特な戦闘システムが採用されています。

 まずは、味方とその索敵範囲内にいる敵だけが表示される“コマンドモード”で味方を選択。その後、選んだ味方の視点の“アクションモード”に移行し、実際に移動や攻撃を行うという流れです。ユニットの移動や攻撃部分がアクションになっているシミュレーションというのが、もっとも適した表現かもしれません。

『戦場のヴァルキュリア リマスター』
▲コマンドモードで動かしたい味方を選択。
『戦場のヴァルキュリア リマスター』
▲ユニット選択後は、そのキャラクターを中心にしたTPS風の画面に移行します。

 コマンドモードでおおまかな地形は把握できるのですが、どこからどこへ射線が通っているや、高低差があるなどはアクションモードに移行するまで判別が困難。たった2歩の差で敵を攻撃できないこともあれば、コマンドモードでは見えなかった1本の木に命を救われるなど、戦闘にアクション要素があるからこその緊張感がたまりません!

 さらに兵科によっては、敵に攻撃された時や敵が近くを通った時に自動で攻撃可能。自軍だけでなく、敵がどう動くかを予測してユニットの待機場所を決めていくのが楽しいですね。

 正直、斬新なシステムなので、慣れるまでは「このミッション、無理じゃない?」と思うこともあります。ですが、アクションモードがあることにより、個々の兵士が戦っている雰囲気が非常に強くなっていますし、それに伴ってキャラクターへの思い入れが沸いてきます。

 ちなみに、アクションモードではキャラクターが射撃準備に移行すると、一時的に時間が止まります。ですから、TPSのような素早く狙いを定める技術は必要ありませんので、アクションが苦手な人でも楽しめると思います。

明確な死亡が描かれる本物の戦争

 そんな『戦場のヴァルキュリア リマスター』ですが、忘れてはいけないのが戦争を描いていること。戦争ですから人は亡くなります。

 これはなにもイベントシーンに限ったことではなく、先述したバトルでも、HPが尽きて一定ターンが経過した味方は戦死します。戦闘不能でも気絶でもなく、力尽きたといったあいまいな表現でもありません。

 1人や2人死者が出たとしても、他の志願兵候補を入隊させれば隊は維持できますが、1度亡くなった人は帰ってきません。当たり前のことですよね。

 思えば志願兵が個性的なのは、この別れのつらさをより際立たせるためなのかもしれません。そう考えると、自分の作戦のせいで仲間と永遠の別れになりうるという点も含めて、本作の魅力なのかもしれませんね。

『戦場のヴァルキュリア リマスター』
▲仲間が力尽きても、一定ターン以内に味方が接触すれば衛生兵を呼んで救助可能。
『戦場のヴァルキュリア リマスター』
▲救助した仲間は、1ターン待てば復帰できます。

 ビジュアル、キャラクター、システム、どれも非常に魅力的な『戦場のヴァルキュリア リマスター』。以前からのファンだけでなく、『戦場のヴァルキュリア』シリーズをプレイしたことがない人にも、ぜひ触れて欲しいタイトルです。

 弱小義勇軍が、ひとつ、またひとつと障害を乗り越えて大国に挑んでいく様には、強いカタルシスを感じます。本当はシナリオについても語りたいのですが、ネタバレになってしまうので、ここでは伏せておきます。ぜひ、自分の目で架空のヨーロッパで起きた戦争の行く末を見届けてみてください。

(C)SEGA

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