2016年2月16日(火)
『いけにえと雪のセツナ』を物語のネタバレなしで評価。小まめなセーブや収集要素が大事な古きよきRPG
“とりもどそう。ボクたちのRPG”をスローガンとして、スクウェア・エニックスが2月18日に発売するPS4/PS Vita用RPG『いけにえと雪のセツナ』。発売日まであと2日と迫ってきました。
昔、ゲームが発売されるたびにワクワクしていた気持ちを思い出しながら、今回は、3DのFPSよりも断然RPGが好きという記事担当のライターMが、ストーリーのネタバレなしでプレイレビューをお届けします。
▼『いけにえと雪のセツナ』ストーリー
その島には、古来より伝わる習わしがあった。
十年に一度いけにえを捧げ、魔物の被害を抑制する。このいけにえの儀式により、島の平穏は保たれてきた。
ところが、次の儀式の年を待たずして、魔物の被害が急増し始めたのだ。
事態を重く見た島の人々は、例外であるものの再度いけにえを捧げることで魔物たちを鎮めようと考えた。
いけにえの名は“セツナ”。極めて高い魔力を持つ18歳の少女。いけにえの儀式が行われる“最果ての地”へ“セツナ”は護衛隊とともに旅立ってゆく――。
思わず暖炉にダイブしたくなる極寒の世界
当時は、新しいゲームが発売されるたびにどんな世界が待っているのかワクワクしたものです。そして、そんな時代のRPGの気風を持った本作が発売されるということで、珍しく忘れていた気持ちを思い出しました。
今回はストーリー的な部分は一切触れずということで、まずは見た目から。本作はどこまで行っても雪と氷に閉ざされた極寒の世界が舞台となっていて、その世界観は細部まで徹底されています。
雪深く覆われた大地は、キャラの移動に合わせて轍のように足跡が刻まれて、徐々に降り積もる雪にかき消されていきます。町や村では、ときおり“バサッ”と音がして、木々に降り積もった雪が地面に落ちるという仕掛けまで用意されていました。
たまたま真夜中にヘッドフォンをつけてプレイしていたのですが、忘れたころに「バサッ」とやられるので、ちょっと心臓に悪いです(笑)。
BGMはこれまでにも紹介したとおり、全編通してピアノ曲がメインとなっています。バトル以外は柔らかく静かな曲調で、雪の表現とあいまって、画面越しに体感温度が下がる気持ち。セツナとともに護衛隊として雪原を歩いているような没入感を味わうことができました。
途中、ホワイトアウトする勢いの猛吹雪もあったりしますが、マップが見えなくなるような意地の悪い仕掛けはないのでご安心を。
敵の強さなど、バトルで気になるポイントは?
全体的な印象は、強すぎず弱すぎず。ボスもただダメージが大きくなるとかではなく、戦い方を工夫しないと手こずるタイプの難易度調整がなされているのが好感触。
しかも、物語を進めるうえで往復が必要になるダンジョンには、ほとんどの場合ショートカットできる抜け道が用意されているのも地味にうれしいポイントです。おかげで、むやみにバトルを強要されることもなければ、意識的なレベリングをすることもなく、かなりサクサクと進めました。
ただ、このサクサク感に気をよくしすぎてちょっとした失敗を……。とにかく先々の展開が気になる物語だったため、つい駆け足気味に進めてしまい、気がつけばほとんど初期装備という有様です。しかも、本作最大の特徴でもある法石すらろくに入手していなかっため、とあるボス戦で大ピンチ!
本作ではボスはもちろん、ザコでも“魔法がほぼ無効”とか“物理がほぼ無効”といった具合に厄介な特徴を持つ敵が出現します。たまたま物理攻撃メインで進めていたところに立ちはだかったのが、ほぼ完ぺきな物理耐性を持つボスキャラでした。
セーブもボスの直前のみと油断しまくったプレイで、数歩進めばバトルへと突入。街へ戻ってショップに立ち寄ることもままならない場所だったため、頼りない装備のまま手持ちのエーテルやらポーションを使いまくって無理矢理窮地を乗り越えるという、ゲーマーにあるまじき残念な失敗をやらかしました。
ボス戦で冷や汗をかきたくない人は、手に入れた素材を忘れずに売って法石と装備を整えておきましょう。ダンジョンに入る前や、村を出た直後など、節目となるポイントでのこまめなセーブもお忘れなく。
▲昨今のゲームは大体がオートセーブですが、小まめなセーブの大切さを思い出させてくれました。 |
また余談ですが、“明らかに通常のザコとは色味が違う手強いザコ”なども、節目ごとに用意されています。仲間から「死にたくなければ手を出さないように」とクギを刺されるのですが、遊び半分で手を出すと……本気で死ねます!
各エリアのボスと比べても、その強さは圧倒的なので、やり込み要素ととらえるのが無難です(まあ、筆者の場合は仲間の忠告を忘れてうっかり、しかもダンジョンの出口あたりに潜んでいたヤツに挑んで瞬殺されたわけですが……)。
▲色味の違うザコもそうですが、ボス戦も油断はできません! |
●そもそもバトルシステムのATBってなんだ?
ATB(アクティブタイムバトル)とは、スーパーファミコン時代の旧スクウェアのお家芸とでも言うべきシステム。
本作では『クロノ・トリガー』のATB2.0がベースとなっていて、バトルフィールドでキャラが動き回りつつアクションを行い、ATBゲージがたまると行動可能になるというおなじみのものです。
開発の橋本さんによれば、『クロノ・トリガー』とは違い、本作では通常攻撃にも攻撃範囲を設定しているところがポイントとのこと。うまく敵を誘い出せば、通常攻撃でも複数攻撃ができるので、気持ちよく戦えました! ただ戦闘しているだけでも、昔のRPGの雰囲気を楽しめましたね。
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お好みのキャラで固めるのもいいのですが……
自分が好きなキャラクターでパーティを編成するのがRPGの1つのだいご味ではあるのですが、あまりに物理に偏ったり、魔法に偏ったりするとなかなか苦戦するかもしれません(笑)。
刹那システムを使いこなせば攻撃と回復を同時に行えたりもするので、かなりパーティ編成の自由度は高いといえますが、せっかくなら、いろいろなキャラクターを使いながら冒険を進めるのもよいのではないでしょうか? そして、自分の分身である主人公と物語でカギを握るであろうセツナを軽くご紹介しておきます。
●主人公
護衛隊の1人として旅に同行する、腕利きの傭兵。ある任務で島におもむいた時にセツナと運命的な出会いを果たし、死地へと向かう彼女を命をかけて護りぬくという、天命を授かることになります。
▲物理攻撃寄りで、魔法も使えるクセのない万能タイプです。なんとなく主人公系って物理攻撃寄りのアタッカーの印象がありますが、ちゃんと魔法でも戦えます。しかも、攻撃だけでなく、回復や補助魔法まで使えるというのがポイント。 |
●セツナ
最果ての地へと旅する少女。素直で純粋な性格をしており、自分より護衛隊の心配をするお人よし。島の人々のために自身の命を捧げることにためらいはなく、使命を果たすための強い信念を持っています。
▲魔法防御&回復寄りのキャラです。武器は投げて使う円月輪系で、遠距離の敵に攻撃できます。正直、セツナ自身は魔法系キャラなので物理攻撃の威力はイマイチですが、直線の敵に対して貫通するように攻撃できるので、複数の敵を巻き込みやすいメリットがあります。 |
あとは、新しい町や村に着いたら、装備は全員分新調しておくのがオススメ。また、法石もしっかりとセットして、キャラごとに使いやすい連携を見つけておくことも忘れずに!
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刹那システムや法石、法器など、本作ならではの要素は?
法石は『FFVII』に登場したマテリアに近い仕組みのため、使い方自体に戸惑うことはありません。
ただ1点、法石の入手プロセスを勘違いしていたため、最初のうちは“この素材、手放してもいいのかな?”などと足踏みをしてしまいました。法石を手に入れる手順は……
【1】魔導商会の人に素材を売却
【2】各法石ごとに材料となる素材を全種類売却すると、リストから選択可能になる
【3】リストから欲しい法石と個数を選ぶだけ
という、深夜の通販もビックリな簡単3ステップ。筆者個人としては【1】を“売却”ではなく“納品”と誤解していたため、売却でお金をもらってしまったら、肝心の法石はもらえなくなるのでは……などと、早とちり。
実際には素材と引き換えにお金と法石が手に入るという、一粒で二度おいしいシステムだったわけです。よもや、こんなところで人としての器の小ささを思い知らされようとは……。
こうしてさまざまな法石が増えていくと、今度は法石をセットする法器選びで迷いまくりです。ただセットできる数が違うだけではなく、法石の強化にも紐づいているのです。
戦闘中に“昇華”が発生すると、法石の効果が強化されて、さまざまな形で“成長”します。“消費MPダウン”など、成長の内容は法石をセットした法器によって異なります。
昇華自体、確実に狙えるものではありませんが、ある程度狙って発生させることも可能なので、法石強化の魅力に気がつくと、これまでの戦闘スタイルもガラッと変わるかも!?
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最後に、物語の魅力についても書きたいところですが、こればかりはプレイしてからのお楽しみ。目新しさや派手さによい意味で距離を置いた、細部まで丁寧に作り込まれた素敵な作品です。世界を守るべく、みずからいけにえとなった少女の旅の結末は、ぜひとも自分の目で見届けてください。
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