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2016年8月9日(火)

『デモンズゲート』の歌姫・黒木渚さんにインタビュー。帝都には幼く残酷な神が座す

文:キャプテン住谷

 Donutsより8月配信予定のiOS/Android用伝奇SRPG『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』。本作のOP/EDテーマ曲を歌うシンガーソングライター・黒木渚さんへのインタビューを掲載する。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

 本作は、昭和10年の戦前の帝都が舞台の伝奇シミュレーションRPG。作中では、人外の力を持つ“怪人”により引き起こされる、数々の奇怪な事変を追うことで物語が進行する。

 プレイヤーは、“魔じん(※じんは神の下に人)”を使役する審神者(さにわ)の1人・喪神風魔(もがみふうま)として怪人と対峙し、事変の謎を究明していく。

 戦闘はパネル型フィールドで展開し、緻密な頭脳戦や3Dで描写される魔神の演出が楽しめる。また、街並みやファッションなど、当時の空気感によって彩られた世界観設定にも注目だ。

●動画:『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』OP〈原点怪奇〉

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』
『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

 このたびは、本作のオープニング曲『原点怪奇』とエンディング曲『懺悔録』を歌う黒木さんに、それぞれの曲に込めた想いなどをうかがった。

 なお、アプリゲームとしては珍しいエンディングテーマを採用したのは、「数章進めるとエンディングが流れる、アニメのような構成をしたい」という開発陣の強いこだわりがあったらしい。そんな思いから作られた『懺悔録』には、エンディングに対する黒木さんのこだわりも秘められていた――。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』
▲シンガーソングライターの黒木渚さん。

黒木渚さんプロフィール

 独特の文学的歌詞で女性の強さや心理を生々しく歌い上げる、孤高のミュージシャン。宮崎県出身。

 2010年12月にバンド“黒木渚”を結成。デビューシングル『あたしの心臓あげる』で各方面で話題となり、iTunesが選ぶ“ブレイクが期待できるアーティスト”に選出されるなど目覚ましい活躍を見せるが、2013年12月をもって解散。

 2014年からはソロ活動をスタートし、2nd Full Album『自由律』がオリコンチャート初登場10位にランクイン。独特の文学的歌詞が評価され、小説家としても脚光を浴びるなど多くのファンを魅了し続けている。

葛藤を抱きながら生きているという“人間臭さ”を込めた

――まず、黒木さんと『デモンズゲート』との出会いはどのようなものだったのでしょうか?

 新しいアプリを開発中で、それにオープニングとエンディングをつけるということで、声をかけていただきました。

 それから作品の資料を読んだり、ゲームのストーリーや舞台についてもお話をお聞きしたりして。制作陣の方々が以前に手がけられた作品の世界観も参考にしました。

――オファーを受けた時の率直な感想を教えてください。

 正直、「すごくオイシイお題がきた!」というワクワク感がありました(笑)。というのも、やっぱり悪魔とかダークサイドのものって興味をそそられるんですよね。サブカルチャーとかオカルトとか。

 普段の音楽活動では発揮しづらいけど、私の曲調にぴったり合う世界観ですし、それに引き出しに蓄えがあるジャンルでした。

――曲作りについての具体的なオーダーなどはありましたか?

 イメージの簡単な説明や要望はありましたが、基本的には予想で作っています。例えば、悪魔がテーマになっているのでメジャーなコードは使わず、邪悪な音階で作っていきたいな、とか。

 普段あまりゲームやアニメの音楽を聴いたことはなかったので、これを機に研究しました。「サビはドラムが食っているんだな」とか、作り方の特徴がわかりましたね。

――初めてのゲームタイアップ曲ということで、特別に意識されたことはありますか?

 ゼロから曲の物語を作っていた今までと違って、すでに存在する世界に寄り添って制作するということで、やっぱり曲の作り方は全然違うものになりました。

 オープニングとエンディングって、作品の世界観をより素敵に彩るためのものだと思うので、ダイジェスト版みたいなイメージですね。

 帝都っていう都市の風景や、そこに流れてる空気感も歌に込められればいいな、と思いながら作りました。

――『原点怪奇』『懺悔録』ともにゲームの特徴を的確に表現していると感じました。

 悪魔と戦うことに対して、きれいごとで済ませたくないと思いました。「正義は勝つ! 勧善懲悪!」みたいな感じではなくて、悪には悪の正義があり、皆ちょっとした葛藤を抱きながら生きているという“人間臭さ”を込めたかったんです。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

『原点怪奇』のポイントは“重いパンチをまず腹に入れる”こと

――『原点怪奇』というタイトルはどんな意図でつけられたのでしょうか?

 “怪奇”という言葉が使いたかったんです。この漢字にすることで興味を持ってもらえると思ったし、“原点回帰”っていう既存の言葉に対して、造語で新しいアプローチをしてみたかったという思いもありました。

――西洋的なワードと日本的で古風なワードの入り混じった歌詞が印象的でした。この辺りは、ゲームの世界観を意識された感じでしょうか。

 ゲームの時代設定もありますし、人と悪魔が交錯するというテーマも意識しました。悪魔って、乱れてる人や気が弱い人を選んで搾取してくると思うんです。時代背景とかその街が不安定だから人の心も乱れて、そこに悪魔が取り憑く……。私が悪魔だったらそうすると思うんですよ(笑)。

 だから舶来品とかを取り入れて、それまでの日本文化が新しく変わり淘汰し合うというカオス感はあるかもしれないですね。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』
▲本作の時代設定は昭和10年。大正時代から昭和初期にかけての独特な雰囲気が再現されている。

――昭和初期のイメージはどういったものから取り入れられたのでしょうか?

 もともとレトロなものが好きなんです。古典や俳句も好きなので、ある程度は自分の中に養分として持っていました。洋服の人も和服の人もいて、新しい食べ物や乗り物がある街並み、みたいなところは漫画の影響もあったりします。

 あとは当時を知っているおばあちゃんから、子どものころに聞かされたお話ですね。当時の人の価値観は今とは全然違っていたので、差別や偏見がエグかったみたいです。

――当時を生きた人から話を聞いた経験が、歌詞のリアリティとなって表れている気がします。他に曲のポイントはありますか?

 「恨み 裏切り 裏返し 奪われていく」というフレーズです。重いパンチをまず腹に入れておいてから歌を聴かせる(笑)。“ルサンチマン”がこのゲームの大きなテーマなので、それを冒頭にもってきて、サビでも強く歌ったり。

 フレーズの覚えやすさや聴いた時の心地よさを重視しつつ、意味としてきちんと通るものにしています。雰囲気を伝える手法の1つとして、歌詞にはこだわりたかったですね。

曲中で“懺悔”している人物とは――

――エンディングテーマの『懺悔録』では、歌詞の中から1人の人物像が見えました。これは、作中に登場する誰かの視点に立った歌なのでしょうか?

 それはですね、この世界を作った人の視点――つまり、神様みたいな存在です。帝都の創造主というか。悪魔を配置したりして、俯瞰で我々の生活を見ている存在の視点で作っています。

――「作中の世界に神がいるなら、こんなことを言うだろう」という歌なのですね。

 普通のゲームはクリアしたら世界が救われてめでたしめでたし、みたいな感じじゃないですか。それは嫌だったんです(笑)。

 私はバッドエンドやサッドエンドが大好きなタイプなので、ちょっとゾクッとするエンディングが欲しいなっていう願望があって。平和に終わったように見えても、実は思いも寄らないところから我々を操ってる存在がいることに気がつく、というイメージです。

 「果たしてその平和は本当かな?」みたいな(笑)。神にとっては特に理由のない暇つぶしだったんだって言われたら、一番怖いじゃないですか。「こんなに頑張って戦ったのに」って。

 神がいるとしたら、おもしろいことや刺激に飢えてる存在だと思うんです。暇つぶしのためにこんな世界を作って、それに振り回される人間たちを上から見ていてクスクス笑うような。無邪気なんだけど、とても残酷で。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

――確かに、きちんとした神様なら悪魔を野放しにしておかないですよね。

 そういうことです(笑)。だから、不均衡を予定調和に組み込んで作るという、すごく超越したところにいるなって。

――お話を聞く限りでは、神は目的である暇つぶしに成功していますよね。それなのになぜ、『懺悔録』というタイトルなんでしょうか?

 自分が振り回した人間たちに向かって謝っているんです。と言っても、「ごめんなさい……」ではなく、「ごめんね(笑)」という感じです。「全部知っててやったんだよね。申し訳なーい」みたいな(笑)。

――その方が生々しさが増して、ゾクッとしますね。3拍子のリズムになっているのは何か理由があるんでしょうか?

 個人的に3拍子がすごい好きで、とっておきの曲には3拍子を使いたいんです(笑)。ダークな雰囲気が引き立つ感じがありますし、4拍子よりも不安定なところが好きです。

――今回の曲はとっておきなんですね。ところで、『原点怪奇/懺悔録』のジャケットに描かれているのってやっぱり……?

 山王機関のマークですね。日枝神社の二葉葵をあしらっていて、喪神風魔が着ている服のボタンにも同じマークが入っているんです。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』
▲『原点怪奇/懺悔録』のジャケット。山王機関は陸軍の特務機関であるため、陸軍のシンボルである五芒星が盛り込まれているそうです。

――最後に1つだけゲームについての質問を。黒木さんから見て、気になるキャラクターはいますか?

 キャラクターではなく魔じんなんですけど、(手元の資料を指差しながら)このキャラ、ネコマタです。私、元々妖怪がすごい好きで。『デモンズゲート』だとこうなるんだなって。とてもセクシーですよね(笑)。

 ゲームがリリースされてからは、しばらく魔じんの気持ちになってプレイすると思います。楽しみですね。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』
▲長生きした猫が化けるという、本作スタッフの代表作でもおなじみのネコマタ。非常に人間らしいデザインになっている。

――読者へ向けてメッセージをお願いします。

 ぜひオープニング・エンディング込みでプレイして、存分にハマっていただければと思います!

黒木渚さん直筆サイン入りポスターを3名にプレゼント

 インタビューに応えていただいた黒木渚さんの直筆サイン入りポスターを、抽選で3名にプレゼントします。ご希望の方は下記の応募フォームに必要事項を記入してご応募ください。締め切りは8月16日23:59です。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

※応募はPC、スマートフォン、タブレット端末からお願いします。フィーチャーフォンには対応しておりません。

黒木渚さん TOPICS

●ONEMAN TOUR winter 2016 - 17(仮)開催決定

<公演予定>

2016.11.19(土)名古屋ダイアモンドホール
開場17:00/開演18:00 前売¥3,800-

12.3(土)福岡スカラエスパシオ
開場17:00/開演18:00 前売¥3,800-

12.9(金)仙台darwin
開場18:30/開演19:00 前売¥3,800-

12.17(土)札幌cube garden
開場17:00/開演18:00 前売¥3,800-

2017.1.6(金)大阪BIGCAT
開場18:30/開演19:30 前売¥3,800-

1.22(日) 東京 昭和女子大学 人見記念講堂
開場16:30/開演17:30 前売¥5,500-

●動画:黒木渚『ふざけんな世界、ふざけろよ』(Live at 国際フォーラムホールC 2016.6.3)

●黒木渚モバイルファンクラブサイトOPEN!

 黒木渚さんのモバイルファンクラブサイトがオープン! 有料会員登録をすると、動画・音声ストリーミング・壁紙など、さまざまな会員限定サービスが楽しめます。

<コンテンツ内容>

ナギチャレンジ/渚のあいうえお/週刊朗読歌集/スタッフブログ など。

 詳しくは黒木渚オフィシャルサイトをチェック!

※画面は開発中のものです
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