2016年5月2日(月)
スクウェア・エニックス×トライエースが贈るPS4/PS3用ソフト『スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-』。
今回は、キャラクターデザインを担当したあきまんさんを中心に、登場人物たちをデザインするにあたり、どのような手法や考え持って進められたのかをお届けしたいと思います。小林Pも知らなかった、あきまんさんだけの脳内設定が飛び出すなど、非常に貴重なお話をうかがえました!
【お話を聞かせてくださった方々】
・プロデューサー:小林秀一さん(写真左)
これまでに『SO』シリーズや『ヴァルキリープロファイル』などの宣伝プロデューサーを担当。本作ではプロデューサーとして、開発スタッフ全体を統括している。
・ディレクター:小川浩さん(写真右)
『スターオーシャン3 Till the End of Time』ではメインプランナーを務め、本作ではディレクションを担当。バトルをはじめ、全体の開発を指揮している。
・キャラクターデザイン:あきまんさん(写真中央)
メインキャラクターのデザインを担当したイラストレーター。代表作は『∀ガンダム』キャラクターデザインや『ガンダム Gのレコンギスタ』メカデザイン、『コードギアス』ナイトメアフレームデザイン原案など多数。
――まずは、今回のお仕事を引き受けられた経緯を聞かせてください。
あきまんさん(以下、あきまん):最初にお話が来た時は、ちょうど忙しかったのでお断りさせてもらったんですよ。その数カ月後に縁あって、改めてやりましょうということになりました。
『スターオーシャン』という名前は知っていたんですが、具体的にどういう内容なのかは知らなかったので、そういったところはプロデューサーの小林さんにお聞きして。
小林さんからは、“スクウェア・エニックスの過去タイトルの復活”というお話が出ていたので、特にオーダーにはなかったんですけど、僕の中ではそれもオーダーとして勝手に組み込まれていました。スクエニさんの『FF』、『DQ』といったラインナップの中に、すっぽりと収まるものにしたいと。
▲画像はPSP版『SO2』のもの。 |
――『スターオーシャン』ブランドを復活させる使命を託されたという感じですか。
あきまん:それって、単にキャラクターをデザインしてほしいという話を超えたカッコイイことなので、なんとなく頭の中にはありましたね。
小林秀一さん(以下、小林):僕の中で今作は、『スターオーシャン』の新しい1作目ぐらいのつもりなんです。再立ち上げの一発目ですから。
これは五反田さん(※)とかに裏をとったわけじゃないんですけど、『SO5』には『SO1』のオマージュが入っていると思うんです。1作目をオマージュしつつ、ちゃんと今風の、未来の『スターオーシャン』になっていると、僕は感じました。
※五反田義治:開発会社・トライエースの代表取締役にして、『SO』シリーズのシナリオや世界観設定をまとめる。シリーズの生みの親として、本作でもシナリオを作成するなど、深くかかわっている。
――そんな中で、あきまんさんにキャラクターデザインをオファーされた理由は?
小林:今までの『スターオーシャン』では、キャラクターデザインとモデリングをトライエースがやって、パブリシティ用のイラストを外部の方に描いてもらう形だったんです。でもグラフィックがどんどんリアル志向になると、イラストとCGモデルとの乖離が激しくなってしまうという問題が出てきます。
なので今回は、最初にデザイナーさんに描いてもらったキャラクターを、CGモデルで再現するところから始めようと。その場合、ゲームで動かした時に映えるキャラクターを描ける方にお願いしたいと思いました。
そういう観点から候補を探していたら、開発側からあきまんさんのお名前が出てきたんです。僕がリストアップした中にもあきまんさんは入っていたのですが、お忙しい方なので難しいかなと。
こちらとしてもあきまんさんのスケジュールがわからないので、最初はふんわりとした感じでお願いしてみたら、先ほどあきまんさんも言われたように、お断りされてしまって。
そこで次はガチでいこうと。スケジュールや予算も含めたすべてをこちらから提示して、ガチであきまんさんにお願いしてみて、それでも断られたら、最後にもう1回だけお願いしてみようと。いわゆる、“三顧の礼”まではしようと思っていました。
あきまん:3回はスゴいなぁ(笑)。
小林:3回お願いしてみてダメだったら、以前と同じように開発側でデザインしようと思っていました。そうしたら、2回目であきまんさんに興味を持っていただけたので、良かったです。
あきまん:もともとRPGはすごくやりたいもののひとつだったので、スケジュールさえ合えば、やるつもりでいましたから。
僕はもともとアクションゲームの開発がメインだったので、文芸が入り交じったゲームというものに妙な気持ちがあるんです。最初は反抗心もあったんですけどね。デモが長すぎたらゲームじゃないんじゃないかとか、ドラマみたいなものはゲームから見れば古い表現だとか。
でも、『∀ガンダム』で文芸の専門家であるサンライズの人たちと一緒に作業した時に、その考え方が逆に狭かったというのがよくわかりました。文芸的なものというのは、それこそ『源氏物語』の頃からずっと、第一線でみんなを喜ばせてきたわけですから。
だから、そうした文芸的なものとゲームルールがあいまって構築されている、RPGの制作をとにかく体験してみたかったんです。それにお話を聞いて調べてみたら、トライエースさんというのはすごく先進的なことに挑戦する開発会社さんらしいとわかってきて、ひょっとしてスゴいことになるんじゃないの、と思うようになりました。
――具体的なデザインについてですが、キャラクターのお話を伺う前に、パッケージイラストについてお聞かせください。
あきまん:過去の『スターオーシャン』のパッケージはタイトルだけの場合が多いのに、『SO5』は絵がつくと聞いて、緊張が走りましたね。
小林さんからは、“フィデルが強い主人公なので、まずフィデルが大きくいて、その周囲にほかのキャラがモブチックにいる構図にしてほしい”と。そういった構図に合致するのは映画のポスターだったので、ハリウッド映画のポスターの構図を参考にしました。
小林:海外では、主人公が前に出てほしいという声が強いんですよ。その点でこのパッケージイラストは、ヒーローが真ん中に大きくいるのでわかりやすいと。しかもあきまんさんの絵ということで、北米や欧州のパッケージもこの絵を使わせてくれって、向こうから言われましたね。
あきまん:ただ、ちょっとフィデルの顔はデカすぎたかなって(笑)。もうちょっと後ろに引いても、先に挙げた構図の条件には合ったかなと。
――ヴィクトルとミキの目線が外れているのが気になるのですが、これは何か意図があるのでしょうか?
あきまん:僕も最初は、全員がこっちを向いていたほうがいいかなと思ったんです。ところが実際にその形で描いてみると、なんていうか“見られている感”がハンパなくて。そこで、あえて目線を外した人もいれようと。だから何か明確なルールがあるわけではなくて、あくまで感覚的なものですね。
――まずは主人公のフィデルについてお聞きします。年齢が23歳と高めなので、あまり幼くなりすぎないように意識されたのでしょうか?
あきまん:いちばん最初に描いたラフでは幼かったんですよ、ペンが走るままに描いたので。できることなら女の子にモテるような絵が描きたいなぁと思っていたんです(笑)。『コードギアス』のCLAMPさんみたいに描けばモテるかなと。
でも実際にはそんなモテる絵は描けないので、ラフから肉付けしていくうちに、だんだんと頭身が上がっていったんです。結果的にゲームでは、ちょうどいい感じになってますけど。ゲームのポリゴンモデルはかなりイケメンになっているので、あれを見た時にはホッとしました。
あと小林さんから、フィデルは“強いキャラクター”だと説明されました。強いというのは戦闘力だけじゃなくて、気持ちが強いキャラクターだと聞かされており、戦隊物のレッドよりはブルーみたいな感じで、標準的なイケメンよりはもう少しクールにしたかったのです。
イケメンが純真な目をしているっていうのが、僕はあんまり好きじゃないんですよ。会社でも新人の目がキラキラしていると、逆に頼りない感じがするじゃないですか。もうちょっと目が淀んでいる人のほうが、プレッシャーで潰れたりはしないだろうと(笑)。
――生々しいお話ですけど、よくわかります(笑)。服装のディテールに関しては?
あきまん:カバンは冒険感を出すための記号として入れました。実際には、これぐらいのサイズのカバンで旅はできないと思うんですけど、記号としてあるだけでもぜんぜん違うんじゃないかと。
コスチュームに関しては、コートにすると横から見た場合にラインが美しくない気がしたんです。陣羽織の要素を入れることによって、腰に剣をつり下げることもできるようにもなるし、ちょうどいいんじゃないかと思いました。
――左腕だけに籠手のようなものがあるのは何故ですか?
あきまん:左腕で相手の攻撃を受けると、相手の剣をつかむみたいな特殊なギミックがある盾だという、僕が勝手に考えた設定です。カウンターのプロみたいな設定を勝手に考えていて。本当にカウンター技を使うのなら、相手の攻撃を避ければいいんですけど(笑)。
小林:じつは、その盾のギミックを展開するようにしようかって、小川さんと相談したことがあるんです。ただ、キャラクター同士が接触すると不具合が起きそうだったので、見送ったんですよ。
あきまん:あっ、そうなんですか。こちらとしてはあくまで、デザインするための勢いみたいなもので考えただけなので、なんだか申し訳ないです。
――あきまんさんがキャラクターをデザインする際には、3Dになった時のことを意識されているのでしょうか?
あきまん:考えますね。というより僕の場合は、ゲームシステムに組み込まれた時に何が問題になるかを考えて、それを排除していく方向からやっていきます。
具体的に言うと、このゲームではシームレス戦闘で7人が一斉に戦うということだったので、戦闘が始まった時にどこに誰がいるのか、なんとなくわかるようにしたほうがいいんじゃないかと。そのためには、キャラクターを色分けしないといけないと思ったんです。
▲確かにこのように何となく立っているような画面でも、誰がどれなのかしっかり認識できます。 |
普通にカッコイイものを描こうとすると、どうしても黒がメインになっていくと思うんですが、スクウェア・エニックスのラインの中で商品を送り出す時に、みんなが黒というのはないだろうと。キャラを並べた時にある程度、色がにぎやかになるようにしたかった。
そうするとリリアが1人だけ小さいので、いちばん目立つ黄色にしなきゃいけないと思ったんです。リリアを黄色にするためには、他の人たちをどういう配色にするかということで、7人全員の配色を決めていきました。
あきまん:ミキは開発のほうでもともと作られていたキャラクターがあったので、記号的にはそれと同じにしつつ、僕の気分に合わせてもらった感じですね。
小林:ミキは、開発の最初期にシームレスなバトルシステムのプレゼン用に新規で作ったキャラの1人です。前作(『SO4』)と比べてファンタジー寄りなラインにしたいということで急遽実装したものですね。女性キャラのほうが表現に幅があるので、今作での基準を検討したんです。
あきまん:すでにでき上がっていたキャラクターは白とピンクが基調になっていたんですけど、白が強いと聖なるもののイメージが強すぎるんじゃないかと思って、僕としてはこういった感じにしました。あとは横から見た時にパンチラが見えるように、隙間を……(笑)。
小林:白いとお姫様っぽく見えてしまって、確かに村娘っぽくはなかったんですよね。
あきまん:この人は田舎の村で唯一、流行のバッグを持っているみたいなイメージですね(笑)。田舎の村でかなり進んだファッションをしているんだって、僕の中でなんとなく考えたんです。
完全にリアルなデザイン、完全に現実につながったデザインというのは今のところは不可能で、カバンにしても何にしても、今のところは記号でしかないんです。それでも、この人が着ているものでこの人自体を表すわけですから、そこに存在している感覚というのを僕なりに考えて。
ポケットがいっぱいあるのは、女性の服には収納するところがぜんぜんないので、こういうものがあったほうがいいんじゃないかと。これも完全なリアルではなくて、リアルっぽい記号を貼り付けただけなんですけど。本当にこのミキは、いまだに悩んでますね。
小川浩さん(以下、小川):開発現場のほうも、ミキのCGモデル作成には悩んでいましたね。あきまん先生のデザインとは別のところで、シェーディングとか色の作り方とか、そういった面での悩みですけど。
あきまん:やっぱりヒロインのデザインは、ハードルが高いですから。でも最新のPVで、ミキがリリアをかばっているのを見た時に、“お前もまだ子どもなんだから”っていう気持ちになったんです。そういったところで実際にゲームをやってみれば、ミキの性格についての正解がわかるのではっていう期待がありますね。
あきまん:ヴィクトルはカッコイイキャラクターということで、あんまりおかしなことはしないようにしようと(笑)。
髪の毛は金髪で長髪というラフがあったので、それにそのまま従いました。ちょっとだけ変えたのは、普通の長髪だったのを、後ろで縛っている形にしたところですね。ローマ帝国が崩壊した後のゲルマン民族の一部がやっているような髪型にしたかったんです。
――赤と黒に金が入ったヴィクトルの服装ですが、デザインの際に気を付けた点はありますか?
あきまん:鎧を着ていないと聞いたので、最初の頃は服っぽくしていたんですけど、だんだんと物足りなくなってきて。銀色じゃなければ鎧には見えないんじゃないかと思って、どんどんとパーツを足していった結果、思いっきり鎧っぽくなってしまいました。
特殊部隊の隊員なので、普通に考えたら黒だと思うんですよ。でも先ほど言ったように全員のキャラを色分けしたので、黒一色になるのを回避するために黒と赤にしました。
ポリゴンモデルができてくると、キラキラしたりツヤツヤしたりする素材感が、思った以上に綺麗に出ることがわかったので、いろんなキャラクターに金色の部分や銀色の部分を足していくようになったんです。ヴィクトルも特殊部隊の隊員というよりは、特殊部隊の役を演じている宝塚の人みたいな感じで、どんどんと派手になっていきましたね(笑)。
――鎧ではないとのことですが、どのような素材になっているのでしょう?
あきまん:普通の服の素材の上に、入れられるところは金属のプレートを入れている感じですね。腕は完全に甲冑なんですけど、足のほうはどこまでが甲冑でどこまでが服なのか、よくわからないですね。シルエット的には、あくまで服っぽく見えるという感じにしたかったので。
小川:日本の甲冑の具足みたいな感じかもしれないですね。
あきまん:あぁ、それでも大丈夫ですね。とにかくヴィクトルは、たくさんいろんなものをつけちゃったのでデッサンが大変になって、いざこれを描けと言われると、毎回つらい気持ちになるという(笑)。そういうキャラですが、自分では気に入っています。特にポリゴンモデルは美しいので、かなり気に入っていますね。
あきまん:ラフを描いている時にこの衣装のバッテンを思いついて、“これはもしかして発明なのでは!?”と思いながら描いていたら、あっという間に形になったので、ほとんど苦労していない感じですね。苦労していないゆえに、“なんか足りなかったんじゃないの”っていう気分になるんですけど。
帽子の横にあるチャックを開くと、四次元ポケットみたいになっていて、中に物を入れることができるとか、例によって適当に考えています。最初は宝石をジャラジャラつけようかなとも考えていたんですが、僕がちゃんと描く前に素晴らしいポリゴンモデルが上がってきたので、今では僕のほうがそれを真似して描いています。
『無敵鋼人ダイターン3』というアニメにコロスという女性キャラがいて、その人のモードっぽい髪型やファッションを富野監督がもう一回復活させたいということで、『∀ガンダム』の時にディアナ様を描いたんです。
ところが現実でも、そういった人間っぽくないメイクをやっている方がいて。ちょっと前だと、きゃりーぱみゅぱみゅさんとか、GARNiDELiAのメイリアさんとか。そういったメイクの流れを再現したくて、フィオーレのメイクに取り入れています。
小川:帽子でよく見えないですけど、後ろの羽根もけっこう変わった形をしているんですよね。
あきまん:後ろの羽根は、マントを記号化したものなんです。本当はマントをやりたいんだけど、ゲームだとポリゴンなどの問題で、絶対におかしなことになるっていう先入観がありました。
記号として後ろに何かほしいけど、お尻とかが隠れるのも嫌なので、羽根という落としどころにしたんですね。それで羽根が変形して、身体がピタッと収納されて、バットマンみたいになればいいなと。
小林:そんなことを考えていたんですか!(笑)
――あきまんさんのイラストといえば、女性キャラのヒップラインが印象的なのですが、フィオーレのこのポージングもそのあたりを意識されているのですか?
あきまん:僕としては、どうやったらみんながたまらない気持ちになるかということしか考えてないですね(笑)。これよりもむしろ、素立ちに近い感じでくねらせたほうが、よりおもしろいポーズになったんじゃないかと思ったりもしています。
とにかくフィオーレは、デザインした段階で安心してしまって、その後のフォローが足りなかったかなって感じですね、僕的には。もっともっと描き込んで、一個一個のバッテンが立体的に見えるようなところまでやればよかったと思っています。
あきまん:主人公たちが初めて会った時に、“この人についていくと明らかにヤバい気がする”、っていう少しミステリアスな感じになればいいなと思ったんです。
衣装に関しては、ファンタジーっぽい感じを出したかったんです。魔法使いがいるなら僧侶もいるだろう、武闘家もいるだろうっていう、『DQ』的な気分で決めました(笑)。エマーソンのキャラクターは僧侶とまったく関係ないんですけど、職業の組み合わせ的に僧侶しか空いてなかったので(笑)。
僕は最初、ボウガンを二丁拳銃のように使うと勘違いしていて、二丁拳銃を構えた時に袖がヒラヒラしているとカッコイイんじゃないかと思って、着物みたいな感じにしたんです。実際は二丁拳銃じゃなかったんですが。あと、長さがぜんぜん足りないんですが、腰のところに矢が入れられたらいいなと。
でも、足の甲冑はぜんぜんファンタジーっぽくないですよね。なんでこうなっているんだろう?
小林:あきまんさんに“このキャラの近接攻撃はどうなるんですか?”って聞かれたので、“蹴りです”って答えたら、こうなったんじゃないですか。
あきまん:ヤバいですね、ぜんぜん覚えていませんでしたよ。ちゃんと意味があってよかったです(笑)。あと、エマーソンは背中にカバンを背負っているんですが、最初はそこに旗が立っていて“薬売り”って書こうと思っていたんです。でも“カッコ悪いからやめてくれ”って。
小川:旗はちょっと……(笑)。カバンには今でも絵が描かれていますよね。
あきまん:ナイスなお姫様が薬の広告のモデルになっているというイメージで描きました。このカバンの中に頭痛に効く頓服薬が入っているという、僕の勝手な設定ですね。
――アンヌはエマーソンと一緒に旅をしているという設定ですね。
あきまん:格闘キャラというのは決定していたので、格闘キャラといえば回転するだろうと勝手に考えました。回転した時に布じゃなくて、腰から下がっている長方形の枕的なものがフワッと広がったら初めてじゃね? と思って。別にそんな初めてのことをしなくてもいいんですけど、なんとなくそうしてしまいました。
エマーソンの時も言いましたが、「私たちを仲間に入れてくれませんか」って言われた時に、“めっちゃ仲間にしたくない”と思われるような感じにしたかったんです。
ただアンヌは美人なので、普通に登場しても怪しい感じにはならないだろうと。なので、とりあえず口元を隠せば、怪しい雰囲気が出ると思ってそうしました。
色的には朱色やオレンジにしたかったんですけど、オレンジって個人的にあんまり好きじゃないんですよ。そこでいろんな色を混ぜて、結果的にオレンジっぽくなればいいのかなと。でもそれは“シンプル・イズ・ベスト”という自分の信条に反するので、その信条を自分の中で破壊してデザインしました。
――腕の甲冑も独特ですよね。手首を起点に花びらのようなパーツがあります。
あきまん:袖のギミックは、キョンシーの服の袖みたいなラインになっています。それを単純にやってしまうとチープになってしまうと思ったので、金属でギミック化したかったんです。成功しているかどうかは自分ではわからないですけど、ここに半分金属が入れば、メカ的におもしろいと思ったので。
▲手首を起点に袖のようになっているがわかるでしょうか? |
あとはやっぱり、パイスラッシュですね(笑)。肩と腰のパーツを外すとすごくエロくなるので、ないほうがよかったかなって思っています。
小川:CGモデルのパーツ的には外せますよ。
あきまん:それはスゴい(笑)。とはいえ、現状でも人気があるのでよかったなと。
小林:アンヌはゲームをプレイされるとすごく人気が出るキャラだと思うんですよ。
あきまん:僕はアンヌのポリゴンモデルが動いているだけでやられましたね。下まつげがすごく綺麗にハマっていて。
あきまん:最初に言ったように、この子を黄色にしないことには、僕が安心して眠れないっていう気分がありました。
――なぜリリアが黄色なのでしょうか?
あきまん:単純に面積がいちばん小さいので、何色で動いているのがいちばんいいかと考えた時に、いちばん目立つ黄色であるべきだと。
あと、本来はそんなことを気にせずにやるべきだったとも思うんですけど、リリアに関しては少しでもセクシャルな要素が見えると、僕の中で危険信号が働いてしまって。
とにかくそういった要素をできるだけ排除したかったんですけど、それでいてかわいいと言ってもらえなくてはいけないので難しかった。幸いなことに、開発の方からはかわいいと言ってもらえたので、すごく助かりましたね。
小川:これはあきまん先生にも小林さんにもお伝えしていなかったんですけど、五反田のほうもまさしくその点を気にしていたんです。リリアはあくまで子どもとして保護する対象であって、決してヒロインのポジションにしてはいけないと。そういう話が実際に出ていたので、そこはあきまん先生と合致したんだろうと思います。
あきまん:なるほど。そのお話を聞いて、すごく納得がいきました。
小林:あきまんさんの設定で、この服はミキが着せてやったものだっていうのを見た時に、ミキとリリアの間でお母さんと子どもみたいな関係性が見えたんですね。
あきまん:モチーフとしては、チェコの民族衣装の人形を見ながら描いたんですけど。もちろん、いろいろと違うところもありますが。
――7人のメインキャラのデザイン以外に、シリーズのファンにはおなじみのウェルチのイラストも描かれていますが、こちらはいかでしょう?
あきまん:ウェルチはもともと開発の人が考えたものを描いただけなので、一生懸命かわいく描こうとがんばった感じですね。でも、ツインテールはいいですよね。
小林:以前よりもちょっと若くなった気がしますね。
あきまん:僕的にはハナちゃんも、かわいく描けたと思っています。
小林:ハナは、足まで描いた絵がありましたよね。
あきまん:足まで描いてから、下半身を消しました。
――なんで消してしまったんですか(笑)。
あきまん:小林さんからプロモーション用にNPCはバストアップでよいので、フィデルの親父(ダリル)も描けって言われていたんですが、結果的に間に合わなくて。それなのにハナを、プロモーションでは使わない下半身まで描いているのはマズいじゃないですか。
だからハナの下半身を消したんですけど、小林さんが来た時につい“ハナの下半身まで描いた絵もありますよ”って自慢してしまったんですよ(笑)。
――それは自爆ですから、仕方ないですよね(笑)。
あきまん:あとは、ゲーム内のフェイス画がうまく描けなくて。簡単かなと思っていたら、けっこうそこでつまずいた思い出がありますね。フェイス画はアニメ調にしたほうが良かったのかな、とか。
小林:今の絵のほうがいいですよ。リッチな感じがしますし。
あきまん:フェイス画が動くとは思っていなかったので、ゲームで動いているのを見た時は驚きました。一応は動いても大丈夫なように、切り替えてチェックしていたんですが、まさかこんな使い方はしないだろうと思っていたので(笑)。
▲回復時には画面下のフェイス画の表情が変わります。 |
小川:最終的に修正されましたけど、フィデルの邪悪な表情がけっこう好きだったんですよ。
あきまん:回復された時のフィデルの表情が、ちょっとヘンなふうに気持ちよくなっていて(笑)。小林さんが何回も“この顔は邪悪です”って言っていたので、よっぽど邪悪なんだろうなって。
――では最後に、『SO5』を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします。
あきまん:僕自身はまだこのシリーズを遊んだことがないので、僕から“楽しみにしてください”って言うのは不自然ですよね。もし、これから初めて『スターオーシャン』をやるという人がいたら、僕と一緒にデビューしましょう!
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