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2016年3月25日(金)

インディーゲームの祭典『BitSummit』の関係者に、『BitSummit 4th』は何がどう進化するのかを聞いてみた!

文:電撃PlayStation

 日本で行われるインディーゲームのイベントとしては最大級で、世界的な知名度のある『BitSummit』(ビットサミット)。その第4回目の開催となる『BitSummit 4th(フォース)』が2016年7月9日、10日に京都で開催されることが明らかにされたのは3月11日のこと。『BitSummit』関係者でQ-Gamesの伊藤雅哉氏に、今回の『BitSummit』はいったいどうなるのかを直接聞いてみた。

『BitSummit』

 伊藤氏は『BitSummit』を運営する日本インディペンデント・ゲーム協会(JIGA)のメンバーの1人だ。なおQ-Gamesは、3月13日に行われた“ゲームの電撃 感謝祭2016&電撃文庫 春の祭典2016&電撃コミック祭2016”(電撃祭)のPlayStationゾーンで、同社が開発中の『The Tomorrow Children(トゥモロー チルドレン)』を出展し、多くの来場者に好評を得ていた。

⇒『BitSummit 4th(フォース)』開催概要についてはこちら

『BitSummit』
『BitSummit』
『BitSummit』
▲昨年行われた『BitSummit』 2015の模様。国内、海外のインディータイトルが勢ぞろいして大いに盛り上がった。
『BitSummit』
▲『The Tomorrow Children (トゥモロー チルドレン)』(開発:Q-Games)の出展の視察に来た際の伊藤氏。

日本人が考える面白いものは、世界が振り向いてくれるパワーがある

――まずはフォースの意味を教えてください。これって……もしかして覚醒的な……?

 違います違います(焦)! これはフューチャー・オブ・アンダーグラウンド・レヴォリューションの略でFOUR。で、4回目なので4th(フォース)です(苦笑)。

――昨年は『BitSummit 2015』でしたよね?

 そうですね、普通に考えると『BitSummit 2016』なんですが、要は今回は年次にはしたくなかったんです。コアパーソンであるJames Mielke(ジェームズ・ミルキー氏。『BitSummit』主催者代表)が昨年から言っていたのですが、記憶として、『BitSummit』というずっと続いていくイベントがきっかけでヒットタイトルとかが出た場合に、年次のイベント名だとその年に流行ったものになってしまうじゃないかって。

 だから2016年のタイトルってことじゃなくて、4回目の『BitSummit』のイケてるタイトルとして覚えておいてほしいなという思いからこの名前になりました。『BitSummit』が10回とか20回とか続けられるかはわかりませんけれどもね。

――なんかちゃんとした理由なんですね。覚醒しそうでしょ? とか言うのかと思ってました。

 だから違いますって……。違うと信じてます……(苦笑)。実は 去年のロゴもMielkeが出してきた最初の案では表記が“3”だったんですよ。イベントで作った公式のTシャツのロゴはその名残りで“3”の文字が入ってます。去年からほんとは年次表記にしたくなかったと言ってて。なるほどそれならと、みんな納得して今回から“4”になりました。

――イベントに行った印象が毎回違うんですよね。進化しているというか。今回はどんなイベントになる予定ですか?

 前回もそうですが、基本の国内の面白そうなタイトルを世界に発信していくというコンセプトは変わりません。そのなかでも今回からは、ゲームというものだけにとらわれず、カッコいいオリジナルコンテンツを広く紹介したり取り上げれればと思ってます。今年は特に世界の流行の波としてVRはやはり意識していて、そうなるともうゲームだけではないなと思うんですね。

 あと注目しているのはAIです。VRもAIも海外と日本だと考え方が違う感じがするんですよね。効率を求めたり機能が優先されるのが海外の思考かと思うんですけど、そうじゃない日本ならではのオリジナリティがそこかしこに発揮できると思うんですよ。改めてそういうところにフォーカスを当てて盛り上げていきたいですね。

――ゲームじゃなくてもいいんですね?

 はい、良いと思います。ゲームという形にとらわれなくてもいいんです。出展の審査はもちろんありますが、オリジナリティーと面白さがあれば出展OKってことにさせていただくと思います。だから面白いクリエイターには注目してほしい。例えばVRというものを3D体験として試してみるのではなくて、その先のコンテンツが面白いことが大事だと思っています。日本人が考える面白いものは、世界が振り向いてくれるパワーがあると思っています。

 『BitSummit 2015』でいうと、海外のWebメディアを見ると『LA-MULANA 2』だったり、もっぴんさんの『Downwell』だったりは当然記事になってたのですが、日本的な発想の面白いもの、パックス・パワーグローブを使ったフラッシュゲームや、その前の年だとシャンプーの空ボトルがそのままコントローラになっててシュコシュコやると画面の自機から泡のタマが出て攻撃するシューティングゲームとか、そういうのが写真付きで大きく取り上げられたりするんですよ。

 面白いものを作って、自分たちはこういう売りですっていうプレゼンテーションもできれば最高ですよね。『BitSummit』ではMielkeをはじめ、みんながほんとに公平な目線で面白いものを探してます。

 あと、今年も昨年同様にIndieMEGABOOTHと協力しているのですが、一点大きく変わった点があります。MEGABOOTHの代表として去年会場にも来てくれていて、海外インディーについてステージで講演もしてくれたKelly Wallick氏が、昨年秋からIGF(Independent Games Festival)のチェアマンに就任しているんですね。GDCでも登壇しましたし、彼女自身が今まで以上にスゴく発信力をもっています。そういう意味では、『BitSummit』に今年も力を貸してくれていることに感謝ですし、彼女の影響力も合わせて、もっと世界に大きく発信できないかなって期待しています。

――出展の募集はいつまでですか? あと出展料はどうなりますか?

 ひとまず4月1日までになりますが、そこは一旦の応募締め切りと考えてください。出展料に関してはまだ確定していません。

――7月まであまり時間もないですが、ここからの意気込みをビシッと聞かせてください!

 Q-Gamesとしては『The Tomorrow Children(トゥモロー チルドレン)』のことがいろいろありますし、『BitSummit』の準備と両軸になると個人的にはかなり大変な状況になるのは目に見えているんですが、やっぱりワクワクしてます。

 昨年は80を超えるタイトルが会場に集まったんですが、それでも半分くらいのタイトルは事前に知らなかった。『Downwell』や『Thumper』のようにブレイクしたタイトルもあったし、『BitSummit』がきっかけで日本でも、ゲームファンに広く知られるタイトルも生まれてきてるんです。今回特に期待しているのは、本気で意欲的なオリジナルコンテンツがたくさん集まって、他では体験できないような面白いことができるんじゃないかなってことです。

 出展者の皆さんにはそれを海外に推しだす場として『BitSummit』をうまく利用してほしいです。JIGAのメンバーも各々が真剣に取り組んでいます。このイベントに出すことを目標にするのではなく、その先まで見てもらえるといいなと! そのことを体現しているのが、電撃PlayStationさんの誌面で一緒に『INDIE★STAR』ってコラムを担当させてもらっている、代表の村上さん率いるVITEI BACKROOMさんですね。

 一度コラムでも取り上げたのですが(連載Vol.16)、彼らは2014年の『BitSummit』に一般参加者として出展したタイトルで見事最優秀賞を獲得しました。その勢いのまま、その後すぐにサンフランシスコで開催されたゲーム開発関係者が世界中から一堂に介するGDC(Game Developers Conference)というイベントに乗り込んで、「これ、『BitSummit』で大賞とったゲーム! 遊んでみてよ!!」ってゲリラ活動? をして、その突撃精神が身を結んで、SCEサンタモニカスタジオさんと一緒にPS VRタイトルとなる『THE MODERN ZOMBIE TAXI CO.』を開発してるんですからね!! スゴイことですよ、本当に!!!

 あとゲストとしては海外も含めた話題の注目タイトルを開発しているクリエイターを呼びたいですね! むちゃくちゃ売れているタイトルとか、アワードで賞をとっているタイトルとかです。個人的にもそういったタイトルが大好きなんで本当に楽しみなんですよ!! いま絶賛交渉中ですので、お楽しみにしてください! 会場で会って、シャベッてゲームして! 仲良くなれたら嬉しいですね。

 海外の開発者さんたちもゲームを好きになったキッカケがMade In Japanのタイトルだったって人も本当に多いんですよ。それもあって、いつか日本でも成功したいって夢を持っている人がたくさんいます。そんな海外の意欲的なタイトルも『BitSummit』の会場では作った人に直接会えるわけで、それってなかなかありえない機会だと思うんですよね。英語ができなくても通訳ボランティアの皆さんもいて、彼らもとっても気さくでゲーム愛、日本愛にあふれてるし。ほんと、語り尽くせないぐらいの思い出になると思うので、夏の京都にぜひ遊びに「♪おこしやす~♪」

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