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2016年3月26日(土)

オフライン店舗で決済できるLINE PayカードやLINEモバイルなど、これからのLINEでできることまとめ

文:イトヤン

 3月24日、LINE株式会社は同社の事業戦略発表イベント“LINE CONFERENCE TOKYO 2016”を開催した。本記事では発表内容の中から、ゲームや公式キャラクターといった個人ユーザー向けのサービスを中心に、同社の新展開の情報をお伝えする。

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 会場となった千葉・舞浜アンフィシアターには、日本はもちろんのこと、アジアを中心とした海外からも多数の取材陣やゲストが詰めかけており、関心度の高さが感じられた。

 また、シアター内のロビーにはLINEスタンプなどでおなじみの公式キャラクターの特設ストアが用意されていた他、自販機からトイレの看板まで、あらゆる場所でLINEキャラクターの姿を見ることができるなど、会場内がLINE一色となっていたのも印象的だった。

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▲会場内の特設ストアでは、日本や世界各地のオフィシャルショップで販売されているLINEキャラクターのグッズを購入することもできた。

次の5年でLINEは人やサービスの距離を縮める“スマートポータル”に

 LINEは、2011年3月11日に発生した東日本大震災を契機に、身近な人々とのコミュニケーションの大切さを再確認したことから生まれた、iOS/Android用コミュニケーションアプリだ。

 震災発生から約3カ月後の6月23日にサービスを開始したLINEは、まもなく5周年を迎えようとしている。

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 イベントではまず最初に、LINE株式会社の代表取締役社長CEOである出澤剛氏が登壇。この5年間のLINEの歩みを振り返るところから、話を始めた。

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▲出澤剛氏。

 約5年間で急速な発展を遂げたLINEは現在、登録ユーザー数が全世界で10億人を突破。月間のアクティブユーザー数は2億1,500万人以上という、世界でも有数の巨大SNSとなっている。

 またコミュニケーションだけでなく、LINEスタンプの販売や広告サービスなどにより、ビジネスプラットフォームとしても大きく成長している。

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▲約5年間にLINE上で行われたコミュニケーションは、トークの送受信数が15兆回以上、無料通話が400億回以上、タイムラインの投稿数は146億回以上と、まさに驚異的だ。

 5年間の歩みを振り返った出澤氏は、次の5年に向けたLINEのミッションを“Closing the distance”だと語った。それは世界中の人々や情報、サービスとのあいだの距離を縮めて、心地よい関係性を生み出すという意味だ。

 そのためにLINEは、人と人とをつなぐ“モバイルメッセンジャー”から、LINEを入り口にして人と人、情報やサービスがシームレスにつながる“スマートポータル”へと変化していくことを目指すという。

 そして、その実現に向けての新たな取り組みが発表された。

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LINE GAME新作タイトルを発表。トーク画面全体を使った新スタンプも

 現在のLINEでは、スタンプ、ゲーム、広告、キャラクタービジネスの4つが事業としてはメインになっている。なかでもユーザーの人気が高いのが、LINEスタンプだ。

 さまざまな人気キャラクターがスタンプとなってLINEのトークに登場。また、個人によって制作されたスタンプが“LINE Creators Market”を通じて、世界中の多数のユーザーに広まり、認知されるという例も少なくない。

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▲これまでに全世界で、25万8,000セットを超えるスタンプが提供されてきた。1日にスタンプが送受信される数は、なんと24億回以上にもなるという。

 ここで出澤氏は、LINEスタンプの新たな形として、トーク画面全体を使った迫力ある動きを楽しめる“ポップアップスタンプ”を発表。こちらは2016年夏より提供が開始される予定だ。

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▲ポップアップスタンプでは、大きな画像でよりインパクトのある表現が可能になる。タイミングよく使えばトークが大いに盛り上がるだろう。

 LINEはまた、世界的な規模のゲームパブリッシャーでもある。LINE GAMEを通じて提供されているiOS/Android向けゲームタイトルの総ダウンロード数は、6億4,000万件を突破。

 なかでもパズルゲーム『LINE:ディズニー ツムツム』は、月間アクティブユーザーが日本国内だけで1,300万人以上も存在しているというビッグタイトルだ。

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 今回のイベントでは、個々のゲームタイトルについて詳しく語られる機会こそなかったものの、以下の3タイトルが2016年内にリリース予定の新規作品であるとして紹介された。

 このうち『追憶の青』は、グリーとLINE株式会社の協業タイトル第1弾としても注目されている。

『追憶の青』……本格シナリオの横スクロールアクションRPG

『LINE ラッシュ』……LINEのキャラクターが登場するランニングアクションゲーム

『LINE グラングリッド』……リアルタイム協力&対戦が可能な指先タクティカルRPG

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 またこの日、LINE GAMEで今後登場予定の作品を手がけているパートナーとして紹介された中には、バンダイナムコエンターテインメントの名前も挙げられていた。

 はたしてどのようなゲームタイトルになるのか、具体的な内容が明らかにされる日が待ちどおしい。

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LINE公式キャラクターにブラウンの妹“チョコ”が登場

 この記事の冒頭でも触れたとおり、LINEキャラクターのオフィシャルショップ“LINE FRIENDS STORE”は世界11カ国で展開されており、さまざまなジャンルのキャラクターグッズが販売されている。

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 そんなLINEキャラクターに、新たな仲間が加わることが発表された。LINEキャラクターの中でも特に人気の高い“ブラウン”の妹、“CHOCO(チョコ)”だ。

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 「ブラウンにリボンをつけただけじゃないか、と言われるかもしれませんが」と自らツッコミを入れて、会場の笑いを誘った出澤氏だが、実際にはデザイナーがさまざまな微調整を行っているとのこと。

 チョコは自撮りが好きな今時の女の子で、発表映像では多彩なファッションを着こなしている姿を見ることができた。これからあらゆる場面で大いに活躍してくれそうだ。

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▲会場のロビーに展示されていたLINEキャラクターのパネルでも、発表後にはチョコの姿がお披露目されていた。

 また同時に、LINEキャラクターがユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の開業15周年を祝う“リ・ボーン応援団”に就任したことも発表された。

 3月29日より、USJとLINEキャラクターがコラボしたオリジナルムービーやLINEスタンプの配信が開始されるのをはじめとして、さまざまな応援企画が検討されているそうだ。

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 先に挙げたスタンプ、ゲーム、広告、キャラクターの4大事業以外にも、LINEではさまざまなサービスが行われている。定額制音楽配信サービスの『LINE MUSIC』は今後、LINEアプリとの連携がさらに強化されていくという。

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▲『LINE MUSIC』収録曲の中から好きな曲を、自分のプロフィール画面のBGMに設定できる機能は、2016年2月よりすでに導入済みだ。
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▲さらに『LINE MUSIC』収録曲をLINEの無料通話の着信音に設定できる“リングトーン”のサービスも、2016年4月より提供予定となっている。

 また、ライブ配信プラットフォームの“LINE LIVE”は、現在は著名アーティストや企業による映像配信が主体となっているが、2016年中には一般の個人による配信も可能になる予定だ。

 それに合わせて、視聴者が配信者を応援するデジタルアイテムを送る機能も実装されるという。

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▲このイベントの模様も“LINE LIVE”で生中継されていた。ステージのモニターに視聴者のコメントが表示されたライブ配信画面が映し出されるなど、ユニークな光景も見られた。

LINE Payカードによって、LINEの決済機能が日常でも利用可能な電子マネーに

 続いて登壇したのは、LINE株式会社取締役CSMOの舛田淳氏だ。舛田氏からは、LINEのビジネスを支える決済サービスの新たな戦略と、新規事業についての発表が行われた。

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▲舛田淳氏。

 “LINE Pay”は言うなれば、LINEを通じてユーザー間での送金や提携サービスでの決済が行える、“スマホのおサイフサービス”だ。

 連携銀行の口座から“LINE Pay”に無料でチャージ(入金)できるだけでなく、3月24日からは“LINE Pay”の残高が一定額を下回るとユーザーの設定した額が自動的にチャージされるという、“オートチャージ機能”がスタートした。

 さらに、個々のユーザーに割り当てられたジャパンネット銀行のチャージ専用口座に銀行振込を行うことで、連携外の銀行から“LINE Pay”にチャージできる仕組みも、同じく3月24日より開始されている。

 そしてこの日、オンラインの決済だけでなく、オフラインの店舗でも利用可能なプリペイドカード“LINE Payカード”が、新たに発表された。

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 LINE Payカードでは、株式会社ジェーシービー(JCB)との協業により、“LINE Pay”の残高を国内・海外約3,000万店のJCB加盟店での支払いに利用することができる。

 LINE Payカードはクレジットカードではないため、申込時の審査や年齢制限はなく、入会金や年会費も不要とのこと。

 また2016年6月からはコンビニチェーン・ローソンの店頭で、LINE Payカードを提示して現金を支払うことで、“LINE Pay”残高へのチャージが可能になる予定だという。

 つまりLINE Payカードと連動することで、“LINE Pay”はオンライン決済だけでなく現実の店舗でも利用可能な“電子マネー”として、より便利に機能するようになるわけだ。

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▲LINE Payカードのデザインは、4種類の中から選ぶことができる。ちなみにLINE Payカードを利用した直後には、LINEアプリに利用履歴が送られてくるため、残高の管理も行いやすい。

 LINE Payカードの登場に合わせて、LINEの各種サービスを利用することで貯まる“LINEポイント”も、3月24日より開始された。

 これまでLINEで利用されていた“LINEフリーコイン”は、4月25日より“LINEポイント”に統合されるため、LINEアプリ内のサービスでも、LINEポイントを貯めることができる。

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 さらに、LINE Payカードでオンラインやオフラインの決済を行うたびに、100円につき2ポイントがLINEポイントに付与される。舛田氏によるとこの2パーセントのポイント還元率は、各種のポイントサービスと比較して最高水準だという。

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 1,000ポイント以上貯まったLINEポイントは、1ポイント=1円で“LINE Pay”の残高に電子マネーとして交換できる。また今後は、提携他社のポイントプログラムや特典にも交換可能になる予定とのこと。

 このように、“LINE Pay”とLINEポイントの連動によって、LINEは電子マネーの世界でもかなり存在感を発揮することになりそうだ。

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格安SIM“LINEモバイル”が登場。LINE、Twitter、Facebookの“通信料”が無料に!

 最後に舛田氏から行われた発表は、この日最大のサプライズとなった。LINE株式会社がMVNO(仮想移動体通信事業者)事業に参入、いわゆる格安SIMのサービス“LINEモバイル”を、2016年夏より開始するというのだ。

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 “LINEモバイル”ではNTTドコモの通信回線を利用、1カ月の利用料金は最低500円+税からとなる。

 この5年間で巨大なSNSへと成長したLINEが、モバイル回線のサービスに自ら乗り出すことも驚きだが、その最大の特徴は“アンリミテッドなコミュニケーション”にある。

 “LINEモバイル”でトークや無料通話、タイムラインといったLINEの主要な機能を利用する際は、それにかかるデータ通信量がカウントされない。つまりLINEでのやりとりに関しては、通信料が完全に無料の使い放題になるというわけだ。

 しかも“使い放題”なのはLINEだけではない。LINEと並んで世界的に人気の高いSNSである、FacebookとTwitterの閲覧や投稿に関しても、データ通信量をカウントしない使い放題のプランが用意されるという。

 ちなみにLINEの使い放題に関しては、月額500円をはじめとする全料金プランで適用される予定だ。

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 この発表を受けて、ステージにはTwitter Japanの執行役員である味澤将宏氏が登場した。

 「Twitterのミッションは、自分のアイデアや情報を瞬時に、世界中の人々と共有できるようにすること。“LINEモバイル”のこの試みも、より多くの人々にコミュニケーション・プラットフォームへのアクセスを容易にするものだと理解している」と語った味澤氏は、壇上で舛田氏と力強く握手を交わしていた。

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▲味澤将宏氏。
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▲LINE株式会社とTwitterのVIP同士が握手。こうした場に両社の人間が並んで立つことはおそらく初めてだと、互いに語り合っていた。

 舛田氏によると、“LINEモバイル”ではさらなる“アンリミテッド”も視野に入れているという。

 現在、定額制の音楽配信サービス“LINE MUSIC”の データ通信量をカウントしないプランも準備中で、やがては他の音楽サービスにも広げていきたいとのこと。

 この発表では“LINEモバイル”のSIMと組み合わせたオリジナルスマートフォンが発売されるかどうかといった点は、明らかにされなかった。2016年夏のサービス開始に向けて、さらなる詳細の発表が気になるところだ。

 今回明らかにされた“LINEモバイル”をはじめとする同社の取り組みは、スマートフォン時代の日本におけるサービスやインフラが今後、大きく変化していくことを予感させるものでもある。

 これからのLINEの動向とそれに対する人々の反応を、大いに注目していきたい。

(C) LINE Corporation

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