2016年4月16日(土)
セガゲームスがサービス中のスマホ/PC用オンラインゲーム『ワールド エンド エクリプス(ワルエク)』と、スマホ用オンラインゲーム『ファンタシースターオンライン2 es(PSO2es)』。そのコラボを記念して、本山真二プロデューサーと陳智政ディレクターによる対談を行いました。
本コラボは、『PSO2es』に登場するチップ(ウェポノイド)が、『ワルエク』のアイギスとして登場し、期間限定で入手できるというもの。4月14~20日10時の期間中は、ウェポノイドが入手しやすいイベントや強化を手助けするキャンペーンなどが実施されています。
対談では、コラボにまつわる裏話の他、陳ディレクターの入社時のエピソードや最近気になっているゲームなど、興味深いお話を聞くことができました。これからクリエイターを目指す人にとってためになる内容にもなっているので、ぜひ最後まで読んでみてください!(※インタビュー中は敬称略)
▲左が『PSO2es』の陳ディレクター、右が『ワルエク』の本山プロデューサー。お2人は先輩・後輩の関係だとか。 |
――お2人の経歴と自己紹介をお願いします。
本山:僕は前回の酒井さんとの対談で説明したのでザックリと(笑)。セガゲームスの本山真二です。主に『戦場のヴァルキュリア』シリーズにかかわってきまして、現在は『ワールド エンド エクリプス』のプロデューサーをやっています。
陳:『PSO2es』ディレクターの陳智政です。僕は2005年にセガゲームスに入社して、最初はPS3版『戦場のヴァルキュリア』のマッププランナーを任され、次にDSの『ブレイザードライブ』でバトルプランナーのリーダーを担当しました。
その後のPSP『戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校』ではマッププランナーのリーダーを、続くXbox 360の『ライズ オブ ナイトメア』ではメインプランナーをしていました。
――『ライズ オブ ナイトメア』はKinect専用タイトルで、かなり身体を動かすゲームですよね?
陳:はい。CERO Zのホラーゲームで、フィールドを自分で歩き回るという、当時では斬新なゲームでした。
『ライズ オブ ナイトメア』の後、約1年『PSO2』のプロジェクトファシリテーターとして配属された後、現在の『PSO2es』ディレクターに至ります。
――本山さんには以前にお伺いしたので、陳さんだけにお聞きします。ゲームに興味を持ったきっかけはなんでしょう?
陳:幼い頃に父親が『ドラゴンクエスト』をやっていたのが、ゲームとの一番の最初の出会いです。物心がついてないくらいの時期だったので、モンスターが出る音にビクビクしていた記憶がありますね(笑)。
父親がたくさんゲーム買う人で、その背中を見て育ったせいか……気づけば自分のほうがゲームを遊ぶ時間が長くなっていました。当時は、家に『ツインファミコン』がありました。
本山:お父さんが『ドラゴンクエスト』をプレイというのを聞いて脱力しそうなんだけど、どうしよう(笑)。
――同感です(笑)。それに『ツインファミコン』をお持ちだったなんて。
本山:『ツインファミコン』はよかったですよね。友だちの家にあったのですが、「あれいいなー、欲しいなー」と思っていたアイテムの1つでした。
――遊ばれて印象的だったゲームは何ですか?
陳:ファミコン時代にも魅力的なタイトルは色々あったのですが、一番印象的だったのは、スーパーファミコンの『スーパーマリオワールド』ですね。
丁度そのくらいから父親がゲームをやらなくなってきて、今遊んでいるゲームをクリアしないと、次のゲームを買ってもらえないようになってきたんですよ。
ある日、父親に新しいゲームを買ってもらおうと「クッパを倒したので新しいゲームが欲しい!」と言ったのですが「達成率が100%になっていない」と突っ込まれてしまい、複数の隠しルートを自力で見つけるために何度も遊んだ記憶があります。小学1年生だったので、そこまでやり込んでいる友だちもあまりいなくて。
本山:その頃から、深く洞察していくプランナーとしての素質が磨かれていったのかもしれないですね。
陳:クリアしないと次のゲームを買ってもらえない制度は、結構いいかもしれないですね。自然とゲームを深く理解できるので。
本山:僕は学生の頃……あんまり褒められない話ですが、学校に行くついでにゲームショップに寄ってゲームを買い、帰ってプレイしていました。2週間に1本ペースでクリアしていた時もありましたね。
その時は確か、『ロマンシング サ・ガ3』と『テイルズ オブ ファンタジア』が近いタイミングで発売されるということで、「これをクリアしないと、もう片方を買えない!」と自分の中に枷を作って、急いでクリアしました。
――お2人とも似たような遊び方をしていたんですね。ところで、陳さんが最近気になっているゲームはなんですか?
陳:iOS/Androidでリリースされている『クラッシュ・ロワイヤル』というゲームが気になっています。実は部署内でゲーム大会をやるほど盛り上がったんですよ。
ゲーム要素をしっかり作っているだけでなく、アプリ内で“クラロワTV”という上位ランカーのプレイを見れるコンテンツがあって、それがユニークだな、って思いました。
『PSO2』の方でも“アークスグランプリ”というタイムアタック大会を毎年開催しているのですが、ゲームがうまい人のプレイを見て盛り上がる時代が身近に来ていることを感じつつ、注目しています。
――上級者のプレイを見られる環境は、アーケードゲームでは結構前からありましたね。
本山:弊社ですと『三国志大戦』や『戦国大戦』でサテライトでのプレイを見て、戦略を学ぶというパターンですね。
陳:e-sportsも増えてきて、そういった環境が家庭用ゲームやアプリにも来ている波を感じます。
――本山さんと陳さんの出会いについて教えてください。
本山:2005年に陳くんが入社した時、弊社には“エルダー”という制度がありました。まだ会社になじんでない新入社員に対し、先輩が仕事の進め方や会社のルールをマンツーマンで教えてあげるというものです。今は名前が変わっていると思いますが、変わらず続いている制度です。
で、陳くんに教える役が僕だったのです。
陳:『スターウォーズ』の弟子と師匠みたいな関係ですね(笑)。わからないこと、詰まったことがあった時に何度も助けてもらいました。
その頃、毎日研修をやっていたのですが、研修日報を見てアドバイスを受けるといったこともしていましたね。当時の研修日報がこれなんですけど……。
本山:わ! 色落ちがすごい。
陳:年季が入っていますよね。この日報に毎回部内の大先輩からコメントもらって、最後に本山さんからコメントをもらっていました。
本山:今見返してみて、日報にコメントしている人がそうそうたるメンバーで驚いています。T隊長(寺田貴治さん)もいますし、小玉理恵子さんもいます。あ、この中村さんは『PHANTASY STAR ONLINE2 EPISODE4』のディレクターをやっている中村圭介さんですね。
▲誤字の指摘からアドバイスまで、先輩の方々からびっしりとコメントが書かれていました。寺田さんのイラストにも注目。 |
――陳さんは見返してみていかがでしょうか?
陳:当時、先輩方の胸に刺さった言葉とかも付箋にして貼り付けていたのですが、今見返すとちょっと恥ずかしいですね。
本山:どれどれ!? え~~! すごいな、こんなにあるのか?
陳:本山さんがおっしゃった「本質を見失うな」という格言もありますよ。ゲームを作っていると細部に捕らわれてしまい、一番大事なことを見失いがちなので、今でも大変ためになっています。
――「企画書を書く前に企画構成表を作る」というのもありますね。
陳:いきなり企画書を作るとアイデアや言いたいことが散らかってしまうので、どういった企画をやるのかを構成するといいよ、というアドバイスもいただきました。
本山:自画自賛じゃないですが、イイことを言ってましたね(笑)。いまだに通じることですよ、「信頼するのではなく信用しろ」とか。
陳:“信頼”だと頼って任せきりになってしまうのですが、“信用”なら自分がちゃんと周りの人を信じて用いなくてはならないので、考えたり調べたりするアクションが必要となってくる。だから、するなら信頼ではなく、信用をしろと言われたように記憶しています。
本山:これを見ると、僕が相当偉そうなことを言ったように見えますが、実は先輩社員の教育も兼ねていたように思えます。後輩には、自分が理解してないことを教えられないじゃないですか。
▲ファイルの最後には、本山さんからの10の格言が! |
――先輩としては、自分ができていないことを軽はずみに言えませんよね(笑)。
本山:今見返してみて、ヤバい文が出てこなくてよかったと、ホッとしました(笑)。
――お2人は当時、お互いについてどのような印象を持たれていましたか?
陳:最初に見た時、「とても若く見えるな」と思いました。でも、その頃すでに本山さんは30歳近くというのを聞いて、ゲーム作りに没頭すると歳を取らないかもなあ、って。
本山:それ、僕の悩みだったりするんですけどね(笑)。いまだに貫録の“か”の字も身につかないので。
僕から見て、陳君は今でも当時と変わっていない所があります。とにかく真っすぐなんですよ。
新人の時から「自分はこうやりたいんです!」という情熱を臆することなくぶつけてきて、僕としてはとてもやりやすかったです。
――部下に恵まれていたんですね。
本山:「何がしたいんだ、オマエ!?」ということには全然ならなかったな~。でも、「そうか、お前がやりたいのはこれか! だが全部間違っている!」ということはありましたけど(笑)。
いまだに忘れられないのは、新人研修でミニゲームを作った時の話です。新人同士でチームを組み、PCでゲームを作るんですが、6月くらいまでには完成させる必要があるんです。そのため、ゴールデンウィークの前には、企画書や仕様書をある程度まとめる必要がありました。
そこで、陳くんに企画書の精度をGW中に高めてくるよう、いくつか課題を伝えたのですが、あろうことか企画自体をガラっと変えてきたんです。
陳:ありましたね~。
本山:これが結構な事件で、今までのデザイナーやプログラマーの仕事が全部ゼロになるわけです。当時、企画セクションのマネージャーに怒られましたよ。
陳:当時はパッションのほうが強くて、思い立ったらつっ走っちゃっうところがありました。
本山:でも、GWに放置してしまった自分の責任でもあったので、一緒に考えてなんとか乗り切りました。
陳:熱量高めに間違えながらも反省して、成長していくタイプでした(笑)。
本山:そのあたりの熱は今でもあるかも。
陳:今では自分が人を指導することもある立場になりましたが、確かに過去の自分みたいなのがいたら困りものですね。
――お2人が以前に一緒にされた仕事には何がありますか?
本山:『戦場のヴァルキュリア』シリーズがそうですね。
陳:ちょうど本山さんがプロデューサーで、自分がマッププランナーのリーダーをやっていました。
本山:僕はその時、いったん離れて途中で再合流する形になりまして、その段階でゲームの中身はどうなっているのかを再確認することになったんです。
でも、その頃には陳くんも色々と経験を積んで、パッションにロジックがちゃんと結びつくようになっていました。
陳:当時、本山さんから「ステージの情報がほしい」と言われて資料をパッと出した時に「あの陳君がここまで成長したか~」と褒められて、うれしかった記憶があります。
――ということは、エルダー制の時から結構な時間が空いたということですね?
陳:大体3~4年くらいは空いていると思います。
本山:久々に一緒に仕事をした時に成長が見えてうれしかったですね。わかりやすい資料作りという意味でも、ちゃんと気を配っていたんです。
陳:それもきっと、この研修日誌の力ですよ(笑)。
本山:プロデューサーは、メディアやユーザーに情報をわかりやすく伝えることも仕事の1つです。
そのため、ゲームの膨大な資料の中から要点を短時間でまとめることになるので、資料のわかりやすさはプロデューサーの作業時間に直結します。その点、陳君の資料は綺麗にまとまっていて、しっかりと要点が押さえられていました。
――陳さんはプランナーからディレクターになっているのですが、どういった経緯で変わっていったのでしょうか?
陳:『ライズ オブ ナイトメア』でメインプランナーをやった後、『PSO2』でチーム全体のスケジュール管理やチームの問題解決を1年間やってきました。
そこをシリーズプロデューサーの酒井さん、シリーズディレクターの木村さんが評価してくださって、『PSO2es』を任せられることになったんです。
――その時の心境はいかがでしたか?
陳:実は、「ちょっと自分には早いかもしれないので、考えさせてください」と1回時間をいただいたんです。『PSO2』は当時のセガでもとても大きなタイトルでしたし、自分よりも『ファンタシースター』を知っている人も周りにたくさんいたので、自分に務まるのだろうかと思っていました。
でも、最終的に自分の力がどこまで通用するのか試してみたくなり、受けさせていただきました。最初はプレッシャーが大きくて不安もありましたが、何とかここまで来れましたね。
――本山さんは『戦ヴァル』が最初のプロデューサー業ではないですよね?
本山:はい。『BLEACH』というアニメ原作もので最初はディレクターを担当していたのですが、当時のプロデューサーが部長業と兼任だったこともあり、非常に多忙で次第に僕が契約周りや交渉を任され、1年後くらいに「じゃあ全部お前に任すから!」ということで、初めてプロデューサーを経験しました。
――ゲーム開発者としての現在の陳さんを形成するのに、一番影響のあったお仕事はなんでしょうか?
陳:意外に思われるかもしれませんが、2本目にかかわった『ブレイザードライブ』です。というのも、実はこのタイトル、自分がかかわった中で一番セールスが振るわなかったタイトルだったんですよ。
本山:あれはいいゲームだったんだけどね。気合も入ってたし。
陳:はい。ゲーム自体はユーザーさんからの評判がよく、原作の岸本先生のマンガも非常に魅力的でした。その時に、ゲームがおもしろいと言われるだけでは売り上げに直結しないことを痛感しました。
開発として、おもしろさをわかりやすく届けるためにはどういう風に見せていくべきか? たくさんの人に興味を持ってもらうためにはどうゲーム要素を構築していけばいいか? そして、日々タイトルが出る中でどうしたら埋もれなくなるのか? など、当時はどうすれば“おもしろい”から“売り上げ”をあげられるのかとか色々と自問してました。その出来事があってから開発に関する視野が大きく広がりました。
――本山さんは、ここ最近の陳さんのご活躍をご覧になっていかがですか?
本山:いや、すごいなあって素直に思いますよ。というか、オンラインゲームに関しては陳くんのほうが先輩ですし。
陳:2年くらいですかね?
本山:いやいや、『PSO2』のファシリテーターになってからだから、3年先輩でしょ。色々教えてもらうことも多いです。
――生放送や動画の出演については本山さんのほうが先輩ですよね? 何かアドバイスはないですか?
本山:限界まで恥をかくと、殻が破れます。
陳:先輩たちが身を削っている姿は参考になります。“身を削る”という言い方はよくないですね。
本山:いや、身も心も削っているよ(笑)。
――今だからお聞きしますが、『PSO2es』のサービス開始当初に苦戦された時、どのようなことを考えましたか?
陳:確かに、『PSO2es』は順調な滑り出しとはいきませんでした。その時は、『ファンタシースター』ファンの方々の期待に応えたいという気持ちが一番強かったですね。
色々と意見をフィードバックして要素を増やしていくことで、徐々にユーザーさんからリアクションがあるようになりました。新しい要素を追加した後に「こういう機能を待っていた!」といった声が自信や力に繋がります。
本山:僕ら基本的に単純だから「これいいじゃん!」ってユーザーさんに言われると「おっ、がんばろうかな?」思っちゃうよね(笑)。
――最近は『ワルエク』のアリーナも好調のようで。
本山:おかげさまで新鮮に遊んでいるというお声を多くいただいています。疑似的とはいえ、アリーナはPvPの要素なので好みが分かれることも覚悟の上でしたが、思った以上に多くの方が遊ばれているようで、とてもありがたいです。
アリーナに限らず、入れていく要素が概ね好意的に受け止めていただけていますが、オンラインゲームなのでそこで終わりではなく、もっと多くの方が楽しめるようにさらなる改善の繰り返しになります。
――1つのコンテンツの評判がよかったら、今度は一択攻略を潰すなどのバランス調整が待っていますよね。
本山:そうですね。『ワルエク』の場合はエネミーの構成違いを出して遊び方をガラッと変えたりできるので、そういったところも積極的にやっていこうかと思っています。『PSO2es』はそのへんどう?
陳:『PSO2es』でも緊急クエストで登場するエネミーで『PSO2es』独自のエネミーバリエーションを登場させたりはしていますね。それと、コンテンツの改善という部分ではウェポノイドが大変好評のため、今後もコンテンツの拡張を行っていきたいと思っています。
4月下旬のアップデートでは外伝として、ウェポノイドの新しいストーリーがリリースされます。ただ単にお話を提供するだけでなくプラスアルファの要素もありますのでお楽しみに。
――ウェポノイドの単語が出たところで、『ワルエク』×『PSO2』コラボの内容を簡単に教えてください。
本山:『PSO2es』にウェポノイドという武器を擬人化したチップがあり、“武器の擬人化”という共通点から『ワルエク』のアイギスとして登場します。
これまでのアイギスとは毛色の違うデザインだったり、ネーミングだったりするので、かなり新鮮味のある新武器になるかと。
――イラストレーターと声優がすごい豪華で驚きました。
本山:僕ら世代なら絶対に「うおー!」ってなりますよね。
●ヤミガラス(剣)
イラスト:三輪士郎
声優:竹達彩奈
●サイコウォンド(槌)
イラスト:うるし原智志
声優:喜多村英梨
●ドラゴンスレイヤー(大剣)
イラスト:pako
声優:植田佳奈
●ナスヨテリ(弓)
イラスト:いちやん
声優:花澤香菜
●グロリアスウィング(盾)
イラスト:Jaguar
声優:悠木碧
陳:『ラングリッサー』が好きだったので、僕も「うるし原智志先生の絵だー!」って。それと、三輪士郎先生は昔『ファンタシースターオンライン』をかなりプレイされていて、打ち合わせの時にも色々と『PSO』をやり込んだ人ならではのおもしろいネタが出てきて、とても印象深かったです。
――ウェポノイドの獲得方法は召喚になるのでしょうか?
本山:アリーナ(PvP)の報酬や武器召喚(ガチャ)で獲得できるようになっています。サイコウォンド以外は、召喚スタンプからも手に入るのですが、好きなウェポノイドを選べますよ。
アリーナのランキング報酬については、上位報酬の他、キリ番にも用意していますから、上位争いにはまだ加われないという方にもチャンスはありますよ。なるべく多くの人に手にしていただきたいので。
――キリ番争いは、最後の集計直前の15分間がアツイ心理戦になる予感がします。わざと負けて100pt稼ぐべきか? みたいな(笑)。
本山:で、「ああっ、行き過ぎた~!」ってなったり(笑)。なので、今回のコラボから始めた人でもランキング争いを楽しめるかと思います。
――強さ的には十分に戦力になるのでしょうか? それとも観賞用なのでしょうか?
本山:結構強力です。スキルも考慮すれば、星6進化&覚醒で、やりこんでらっしゃる方の一軍になりうるポテンシャルを秘めています。
――でも、期間限定となると覚醒させるのが大変ですよね。
そこはご安心ください。ウェポノイドに限り、覚醒値が倍増するキャンペーンを同時に開催します。
通常は強化合成で覚醒値が+1になるところ、倍の+2になるんです。合成の手順が少し変わっていて、+2を未覚醒のものにつけると+4に、+4を未覚醒のものにつけると+6になります。
――それはいいですね。現状はフル覚醒に11枚必要なところ、6枚で済むということですか?
本山:そうですね。イベントスタンプで好きなものを選べるので、期間中に覚醒+10にできますよ。
――ちなみに、本山さんがオススメするウェポノイドはどれですか?
本山:僕はドラゴンスレイヤーとグロリアスウィングです。スキル効果にこだわっていて、『PSO2es』のものにできるだけ近づけています。“竜に対して防御力が上昇する”とか、“攻撃力がどんどん上昇する”とか。
――『ワルエク』で初のトーチエネルギー回復というスキル効果も、元を再現するために導入した、と。
本山:サイコウォンドのことですね。まあ、実質的にコストが減るわけですが、そういったユニークなものも入れたかったんです。
プランナーに「これ、どうやったら効果を再現できる?」と相談した時に「いやー無理っすね」と言われたのですが、「じゃあ機能作ればいいじゃん!」って(笑)。
陳:本当に『PSO2es』側の効果を再現してもらっています。サイコウォンドは『PSO2es』ではCPの消費率が下がるため燃費がよくなり、どんどん技を出せるようになるのですが、そのあたりもよく再現されていて『ワルエク』チームのものづくりに対する真摯さを感じました。
――完全には落とし込めない要素もありますよね?
本山:“ジャストアタック時に発動”は無理でした。こればかりは、さすがに「機能作れ!」とは言えなかったです(笑)。
――では、陳さんがお気に入りのウェポノイドはどれですか?
陳:ウェポノイドは思い入れが高いので甲乙つけがたいですね……。ただ、その中でも、うるし原先生のサイコウォンドはやはり特別な思いがありますね。
実は『ラングリッサー』シリーズがすごい好きでほぼ全部やっていて、さらに『グローランサー』シリーズも遊んでいました。そのこともあって、うるし原先生に書いてもらったサイコウォンドを初めて見た時は、当時うるし原先生の女性ヒロインでドキドキしていた頃の気持ちを思い出しました。
――今回のコラボで何かエピソードはありますか?
本山:言っていいのかわからりませんが、ナスヨテリの絵は特別なんです。
『PSO2es』はチップとして枠がガッチリ決まっているので、ナスヨテリは最初、ひざ下くらいまでしか絵がなかったんですが、アイギスは全身なのでどうしようかなと思っていました。そしたら、『PSO2es』チームから「描き足しお願いしてみるよ」って言っていただいて、全身絵になり、無事アイギスとなりました。
▲『PSO2es』のナスヨテリがこちら。 |
▲『ワルエク』では新たに描き下ろした下半身ありバージョンとして登場。 |
陳:本当に急なスケジュールにもかかわらず、迅速に対応していただけたので、ナスヨテリのウェポノイドを書いていただいていたイラストレーターである、いちやんさんにも愛着を持って描いていただけていることが感じられる出来事でした。
それと今回のコラボにあたり、『PSO2es』の外伝用に収録したボイスがいくつか先行して入っているものもありますので、そちらもチェックしてみてください。
――実装されたのをご覧になられてどうでしたか?
陳:『PSO2es』自体が『PSO2』のコンパニオンアプリと見られることが多いので、『PSO2es』の魅力的なキャラクターやウェポノイドを紹介する機会があまりなかったんです。だからこの話が来た時はとてもうれしかったですね。
『PSO2es』ユーザーさん以外の方にも触れてもらえる機会を設けていただけたうえに、それを新人時代にお世話になった本山さんのところでできたのがすごく感慨深いです。
本山:ありがとうございます(笑)。
――話が前後して恐縮なのですが、コラボをするきっかけは『PSO2』と同様にノリでしょうか?(笑)
本山:ノリです(笑)。時期的にも『PSO2』と同じで、「やるならウェポノイドだよね? アイギスと親和性高いでしょうし。」っていう感じで。
陳:自分の回答もすぐでしたね。「やります!」って。
本山:我々はすごく大きな組織の中で動いているわけですが、プロジェクトの仲間同士なので、おもしろそうなことがあったらお互いに「やろう!」と、フレキシブルに動けるのがいいですね。
――『ワルエク』のほうでは社内のコラボが続いていますが、社外のコラボの予定はありますか?
本山:そろそろやっていきたいなとは思っています。まず我々が体制を整えないといけなくて、準備に時間がどうしてもかかるんですよ。
陳:社内と社外では、スピード感が全然違いますからね。
――コラボ先はもう決まっているのでしょうか?
本山:まだ内緒にさせておいてください(笑)。
――それは『ワルエク』の世界観にあった作品でしょうか?
本山:プライオリティとしては「おもしろい!」というのが一番だと思っています。世界観を重視するあまりにアイデアを潰してしまうよりかは、おもしろい見せ方を捻り出すのが、我々の大事な仕事です。
――というと、「あえてこのタイトル」みたいなところも?
本山:いきなりやるかは別として、皆さんが「そうきたか!」と驚くものもあるかもしれませんね。多少バカバカしくても笑って許せるような。
――『PSO2es』コラボから『ワルエク』をスタートする方に、オススメのプレイやアドバイスがあったらお願いします。
本山:『PSO2es』は、『PSO2』と連動要素があったり、ゲーム内の要素が多かったりするタイトルですが、『ワルエク』も負けず劣らず要素は多彩です。
バトル部分もやり応えがありますし、そこでウェポノイドの魅力に触れていただいて、双方プレイしてもらえたらいいなと思います。
――陳さんには、これから業界を目指す方へアドバイスをお願いします。
陳:ゲームに対して、“遊ぶのが楽しい”と“作るのが楽しい”とでは結構隔たりがあって、自分がここまで来れたのも業界を目指す時にゲームを作ることが楽しいと思える体験があったからだと思います。
こう言うと「普段ゲームを作ることに携われる機会なんてないよ!」と思われるかもしれませんが、本当に些細なことでいいので、デザイナーだったら自分の考えたオリジナルのキャラクターや武器デザインを書いてみるとか、プログラマーだったら普段遊んでいるゲームの仕組みを組んでみるとか、企画だったら自分で遊びのルールを考えてみるとか。
そういったことを実際にやってみて、あっという間に時間が過ぎるほど没頭できれば、それは天職なのかなあと。あとは気持ちのすべてをぶつけて、その実力が認められれば道は開けるハズです。
――本山さんの受け売りじゃないですよね?(笑)。
陳:いや、これは自分なりの考えです(笑)。
――若手クリエイターの代表として、野望を教えてください。
陳:色々ありますけど、やっぱり今は『ファンタシースターオンライン』をより色々な人に知ってもらうということに尽きます。
その先として、オンラインゲームの楽しさを多くの人に伝えたいと思ってます。オンラインゲームはユーザーの数だけ物語がありますので、多くの人に体験してもらえたら一番うれしいですね。
――本山さんへ、最後に『ワルエク』の告知と、読者へのメッセージをお願いします。
本山:おかげさまで『ワルエク』のほうもここまで支持していただいて、進行してきております。アップデート内容もいろいろとご意見をいただきながら改善を続けてきましたし、これからも改善を続けていくつもりです。
『PSO2』、『PSO2es』と『ワルエク』ではゲーム性というか立ち位置が違うので、コラボを通じてそれぞれのゲームのよさを知っていただけたらうれしいです。
――陳さんへ、最後に『PSO2es』の告知と、読者へメッセージをお願いします。
陳:『PSO2es』は『PSO2』のスタイリッシュなアクションと、自分だけのキャラクタークリエイトというエッセンスを気軽に楽しめるゲームとなってます。
4月20日から『PSO2』もPS4版がサービス開始となります。PS4版から始めた方でも同じキャラクターを使って『PSO2es』をプレイすることができますのでぜひ、プレイしてみてください。
また、同タイミングで『PSO2es』のゲーム内でも、『ワルエク』とコラボレートしたウェポノイドたちのオリジナルストーリーが楽しめる外伝が展開されます。ぜひご期待ください。
本山:本当に陳くんは隙がないね! ちゃんと原稿用意してくるあたり「本当に僕の後輩か?」って思うよ。たまに僕も見習わないと(笑)。
陳:よく「マジメか!」って言われちゃいますけど(笑)。
●『ワールド エンド エクリプス』
●『ファンタシースターオンライン2 es』
(C)SEGA
(C)岸本聖史/SEGA/講談社
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