2016年4月28日(木)
iOS/Android用アクション共闘RPG『フォルティシア SEGA×LINE』のディレクターを務める松田剛さんへのインタビューをお届けする。
SEGA×LINEのタッグにより誕生した『フォルティシア』。“運命と出逢う共闘RPG”の名が示すように、アクション性の高いマルチプレイで人気を集めているタイトルだ。
インタビュー中では大型アップデートの情報に加えて、本作ならではの魅力や開発の裏話など、興味深い話が満載。本作をプレイしている人はもちろん、気になっているけどまだプレイしていないという人もぜひご覧いただきたい。
▲ソフトを開発する松田ディレクター。これまでにAC『ダービーオーナーズクラブ』やアプリ『ボーダーブレイク mobile -疾風のガンフロント-』を手がけてきた。 |
――本作の開発にいたった経緯についてお聞かせください。
コンシューマで人気ジャンルである“MOアクションRPG”のいいところをアプリゲームにしたらどうなるか、ということがベースになっています。アプリとして、いかにいいところを継承しつつ、アプリらしさを出していくというところからスタートしています。
――画面のキレイさと、非常に速いダウンロードが特徴だと思うのですが、そこは意図されているのでしょうか?
そこはかなり意識しているところです。ダウンロードしたらすぐに遊んでいただきたいので、一般的なアプリゲームにあるような“アプリをダウンロードした後、再度Wi-Fiにつないでダウンロード”という形式にはしたくなかったんです。
――そのうえで、プレイ時の通信量にもかなりこだわっていると。
そうです。ただ、通信量にこだわりすぎてグラフィックがおろそかになっては元も子もないので、そこは見劣りしないようにいろいろと工夫しています。
――サービス開始から4カ月が経過し、100万ダウンロードを突破した本作ですが、どういったところが評価されていると考えていますか?
アプリゲームでありながらアクションをしっかり楽しめる点。加えて、3D視点で没入感が高いところでしょうか。また、一般的なアプリゲームでは有料ガチャでしか手に入らないようなアイテムがダンジョンドロップでも入手できる点も評価をいただいていると考えています。
――現在のユーザーの平均レベルはどのくらいでしょうか?
熱心に遊ばれている方は100を超えていますが、平均レベルだとおおよそ40~50ぐらいだと思います。
――ユーザーのレベルが上がるに従って、「次はこの攻撃が来る」と定型文でアドバイスする人がいてスゴイと思いました。
そういったコミュニケーションも共闘ゲームの醍醐味なので、そこまで理解していただけるほど、やり込んでくれてうれしいです。
――これまでさまざまなイベントを実施してきましたが、ユーザーから好評だったイベントはなんでしょう?
レイドタイプのイベントは好評です。アイテム受取型のイベントは目標を立てやすいので、こちらも反響が大きかったです。
――ユーザーからの意見で印象的だったものは?
当たり前ですが「おもしろい」と書かれているのを見るとうれしいです。特に印象的だったのは「こんなゲームを待っていた」という声です。あとはストアのレビュー点数が高いのも励みになります。
――痛いところを突いてくる指摘などは?
もちろんあります。スケジュールの関係上、どうしても妥協せざるをえなかったところで、我々も気になっていたところはズバッと指摘されることが多いです。ご要望が多かった点はこれまで行ってきた2度のバージョンアップでいろいろと対応させていただきました。
――具体的にはどういった声ですか?
倉庫枠を増やしたことや、必要スタミナを減らしたこと、あとはゲーム中に容姿を変更できる機能を追加したことなどですね。そもそもアイテム数に比べて装備倉庫枠が小さかったことでは、ご迷惑をおかけしました。
最初はそこで課金してもらおうという意見が開発からあがりました。ただ、それより快適に遊んでいただくことのほうが重要だと思っています。現状では180ぐらいまで無料で拡張できるのですが、もう少し増やせるようにしたいですね。
――他にはどんな修正を行っているのでしょうか?
フリーマッチの仕様上しかたがないのですが、いわゆる“寄生プレイ”への対策を加えています。逃げ回っているだけだと入手したアイテムが使い道のない“変哲のない石”に変わるペナルティの導入や、賛否はありますがダンジョンごとに定められた総合力に達していないと挑戦できないようにしました。
――ドロップアイテムのペナルティは知りませんでした。
普通にプレイしているとまずならないと思います。挑戦制限に関してはかなり迷った要素です。実際、アクションの腕でカバーできるユーザーさんにはご不便をおかけしているかもしれません。ただ、同じスタミナを使っているにもかかわらず戦闘に参加しない人が加わることで、しっかりプレイしていただいているユーザーさんのモチベーションが下がるのを避けるために導入しました。
――大規模バージョンアップの内容について教えてください。
一番の目玉となるものは、最強の敵・破滅の剣帝ノワールの登場です。今まではノワールが裏で糸を引いていたのですが、ついに表舞台に姿を見せます。また、これに合わせ今まで白を基調としていたイメージビジュアルを、ノワールらしく黒を基調としたものに変更しています。
――さらなる装備の進化が用意されていると聞きました。
装備が究極進化によって、さらに進化できるようになります。設定的には“宝具化”という位置づけで、この武具がないとノワールと対等に戦うことができません。
――それらの装備がないと絶対に勝てないのでしょうか?
戦えなくはないのですが、制限時間があるのでまず勝てないと思います。ただ、ユーザーさんはあの手この手を考えてくるので、もしかすると倒される方もいらっしゃるかもしれません(笑)。とはいえ普通に考えると、究極進化させたほうがラクです。
究極進化していると3、4発は耐えられると思うのですが、進化前だと一撃でやられてしまいます。ダメージもほとんど与えられないので、かなり大変だと思います。その覚悟がある人はぜひ挑戦してみてください。
――究極進化の条件はどうなっているのでしょうか?
一部のSSRが可能で、3進化している必要があります。それに加えて、曜日ダンジョンやバージョンアップで追加される素材アイテムを使用することで究極進化することが可能です。
――追加される素材アイテムとは?
ノワールには配下がいるのですが、それらが刺客として登場します。この刺客を倒していくことで入手できるアイテムです。こちらは、“今回はこの刺客を倒せ!”といった感じのイベント形式になります。
――究極進化できるのは武器と防具のみですか?
そうですね。リングとアミュレットは不可です。今までの進化では見た目は同じでしたが、究極進化すると外見も変化します。
――それは楽しみです。“対等に戦えるようになる”というのは特殊効果がつくのでしょうか? それともパラメータなどが変化するのでしょうか?
特殊能力としては、ノワールに対する能力が付与されます。能力はフォルティス、防具、兜で変化します。パラメータも上がるので、通常のダンジョンでもさらに活やくできます。
――今回のバージョンアップはかなりのボリュームですが、構想は最初からあったのですか?
構想が明確にあったわけではありません。ただ、アイテム収集がメインのハクスラタイプのゲームとはいえ、やはり目標があったほうがよりお楽しみいただけるので何かしらのエンドコンテンツが必要だと考えていました。
――そこで登場したのがノワールと。
はい。ただストーリーを進めて、突然出てきたボスを倒すだけでは物足りないので、元々語られていたノワールに登場してもらいました。現状の最強の敵という立ち位置になります。
――ノワールにはどのような形で挑戦するのでしょうか?
先ほどあげた、ノワールの配下を倒すと挑戦権が手に入るので、それを使って挑む形になります。
――ノワール討伐に必要な総合力はどれくらいを想定されているのでしょう?
4500ぐらいになると思います。
――かなり高いですね。
数字だけ聞くと高いように感じられるかもしれませんが、いろいろと調整をかけているので、そこまで高い数値目標にはなっていません。新要素によって総合力が変動することを加味すると、ユーザーさんの総合力は現状から1.5倍ぐらいアップすると思います。
――現状で総合力3000ぐらいあれば、ノワールに挑戦できるわけですね。
行けると思います。ただ、アクション面でも難易度を上げているので、一回の挑戦で勝てるかどうかはわかりません。最強のボスにふさわしいように、今までにない攻撃を多数仕掛けてきます。
――キービジュアルの背後の剣が気になっているのですが……。
そうですね。剣を地中に潜行させて足元から狙ったり、剣を収束させて撃ってきたり、いろいろなアクションを行ってきます。ノワールが初の人型ボスということで、多彩な剣技を使ってくるので、楽しみにしていただければと。
――配下のボスはこれまでに登場したボスと違うのでしょうか?
今までのボスではありません。すべて新規ボスなので、こちらのアクションにも期待してください。
――プレイヤーとして新規ボスの登場は楽しみですが、開発的には大変なのでは?
ぶっちゃけるとかなり大変ですが、「新しいボスが欲しい」という声が多いのも事実。ただ、一度に量産するのは難しいので、現在作りためているところです。
――ノワールを倒すと手に入る“ソウルオーブ”について教えてください。
ノワールを倒すと、一定確率で“ソウルオーブ”というアイテムが手に入り、ノワールが持つ剣が使えるようになります。これがノワール討伐の一番の目標になると思います。この剣ですが、単純に強さが上がるのではなく、今までの武器にはなかったアクションが可能になっています。
――具体的にどのようなアクションがあるのでしょうか。
ノワールの剣を身の回りに展開させることができるようになります。展開された剣は攻撃判定に加えて、ガード判定も発生します。すべての攻撃を完全に防げるわけではありませんが、遠距離攻撃をある程度は防げるのでいろいろな立ち回りが可能になるかと思います。
新しい操作性が加わり、アクション的に新たな広がりが待っております。
――見た目のカッコよさもモチベーションの1つになりそうですね。
そういった承認欲求もオンラインゲームの醍醐味だと思っています。実際に入手するには、配下を倒して、装備を究極進化させ、ノワールを倒すという長い行程があります。そのため、魅力的な報酬がないと挑戦してくれないと考えました。
――敵の装備を使えるようにするアイディアはどういった形で生まれたのでしょうか?
最強のボスを作るのはわかりやすくていいのですが、倒した時に名誉以外にも何か欲しいという話になりました。そこでプロデューサーから案が出ました。「倒した敵の装備は使ってみたいじゃん」みたいなノリでしたね。それとあわせて、今までにないアクションも加えてみようという流れがあり、加わりました。
――ソウルオーブはノワール固有のアイテムになるのでしょうか?
まだ構想段階ですが、ノワールのような第2第3のボスが登場した時には、彼らの使う武器が手に入るようにしたいと考えています。
――その他のアップデートの注目ポイントがあれば教えてください。
大きいところでは“サポート装備”ですね。これは通常の装備とは別のスロットに装備をセットすることで、現状の強さを上積みできる要素になっています。
――こちらが先ほど話に出た総合力を1.5倍にする要素ですね。
そうです。今回バランス調整をしていくなかで、プレイヤーに倦怠感を感じさせないようにプレイしてもらおうという発想から生まれたのがサポート装備です。今は使っていない武器、防具、アクセサリをセットしておくことで、装備自体を強化できなくても、プレイヤーの資産全体として強くなることが可能になっています。
――具体的にはパラメーターが上昇するのでしょうか?
基本はそうなります。同じ装備が2つあればそれぞれセットすることもできますので、被った装備を捨てずにとっておくという選択もアリだと思います。
また、それとは別に特定の武具の組み合わせで属性が強化されたり、特殊な効果が発揮したりというボーナスがあるので、いろいろ探してみてください。
――それはおもしろそうですね。先ほどバランス調整という話が出ましたが、他にはどのような調整を行っているのでしょうか?
大きな調整点として属性同士のデメリット(弱点)をなくしました。理由はいくつかありますが、現状では特定の属性を集中して上げていると、ストーリー上のどこかのタイミングで、別の属性に切り替える必要が出てきます。そこでのやり直し感をなくしたかったのが大きな理由です。あとは、光と闇だけ弱点属性がないのもちょっと違和感があったという理由もあります。
――それはゲーム性が大きく変わりそうです。
弱点属性を突いた時のメリットは変わっていないので、あまり影響はないと個人的には考えています。トップクラスのプレイヤーの方はほとんどの属性を揃えています。基本的には総合力1000未満のユーザーがプレイしやすくなる要素と考えていただければ。また、一部SSRを強くする調整を行います。
――そちらにはどういった意図があるのでしょうか?
このゲームでSSRを手に入れることは非常に名誉なこととして位置づけているのですが、入手難度や使い勝手などの関係で、一部のSRの方がSSRよりいいというバランスになっていました。これではせっかく苦労してSSRを入手しても、実戦では使いにくく、人に自慢できないという不満がありました。こういった声に答えて、堂々とSSRを使ってもらえるように調整いたしました。
▲手に入れたSSRがさらに強くなる!? |
――他に何か変更される点はありますか?
クエストに失敗した時にも、一部の宝箱と経験値、フロラが手に入るようになります。こちらはスタッフからも要望が多かった要素です。ギリギリの総合力でプレイするようなプレイをしているとアイテムを作る素材やフロラが足りなくなるなど、問題点が出てくるんです。
他には要望が多かった図鑑を追加します。
――図鑑はうれしいですね。
フォルティスのデータやイラストを見たいために、手元に残しておくと倉庫の圧迫になります。この機能によって、整理することができるかと。
あと、現状プレイヤーしている方にはあまり関係ないかもしれませんが、ユーザーのレベルによって施設がアンロックされるようになります。
――どのような過程で施設がアンロックされるのでしょうか?
これまでは薬屋や魔法屋など、主要施設が一度に使えるようになっていましたが、段階的に開放されるようになります。要素が多くて何から手を付けていいかわからなくなる人も多かったようなので、この仕様に変更しました。
他には、クエストに乱入した際にいきなり倒されないように無敵時間を設けたり、酒場のミッションから直接ダンジョンに行けたりなど、利便性が向上します。
――LINEとの連携機能について教えてください。
一番大きいのは、グループチャットにLINEの友だちを呼ぶ機能です。これによりLINEとの親和性が高まっていると思います。
また、本作をプレイしているLINEの友だちのランキング確認や、自分よりも総合力が高いプレイヤーに“GOOD”を送る機能を追加します。GOODを送った側と送られた側がお互いにアイテムをもらえるので、総合力が高い人はアイテムをたくさんもらえるようになります。
――お話を聞いていると、これから始める人や復帰する人にとって、遊びやすくなる要素が多いですね。
カムバックキャンペーンの延長も含めて、そういった考えがあります。リリース時は不具合や至っていない場所があり、それが原因でプレイを辞めた方も多いと認識しています。現状は安定していますし、新しい遊び方も用意しておりますので、ぜひこの機会にもう一度プレイしていただきたいと思っております。
――最後に記事の読者に向けてメッセージをお願いします。
今プレイしている方は最強の敵として登場する破滅の剣帝ノワールとの戦いや、新アクションを楽しみにしていてください。今はプレイしていないという方は、かなり遊びやすくなっているのでもう一度プレイしていただきたいです。
本作は歯ごたえのあるアクションとやり込みがいのあるアクションRPGをテーマに製作しております。これらのジャンルが好きな人でまだプレイしたことがない方はぜひ遊んでみてください。
(C)SEGA
※画像は開発中のもの。
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