2016年4月27日(水)
スクウェア・エニックスとトライエースのタッグで贈られるPS4/PS3用RPG『スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-』。
この記事では、『スターオーシャン』を語るうえでは欠かせないサウンドに関するインタビュー第2弾をお届けします。第1弾に引き続き、お相手はシリーズ作品のサウンドすべてを手掛ける桜庭統さんです。
発売中の『SO5』サウンドトラックに収録されている楽曲を抜粋して、聴きどころや曲作りで意識された部分などをおうかがいしました。実際にサントラを聴きながら読んでいただくのもオススメ!
――さて、ここからは『スターオーシャン5』の楽曲について、さらに詳しくお聞きしたいと思います。時間の都合もあるので、代表的な楽曲を抜粋して、実際にサントラで曲を聴きながらお話をお伺いします。
これは冒頭のムービーに合わせてつけた曲ですね。メインテーマのメロディーを活かす形になっています。バイオリンとヴィオラは生楽器の演奏ですね。
――先ほどもお話に出た、シリーズのメインテーマ曲ですね。
メインテーマは、メロディーがすごく立つようなアレンジにしています。あんまりアレンジしすぎると、何の曲だかわからなくなっちゃうので、原曲に近い感じでアレンジしました。
――主人公の故郷であるスタール村のテーマ曲ですね。バイオリンの音色がすごく美しいのですが、こういった落ち着いた曲は、バトル曲とは別の日に作ったりするのでしょうか?
いえ、同じ日に作りますよ。バトル曲を作って、疲れたら静かな曲を作りますね。バトル曲を作るのは、やっぱりカロリーを消費するので。
通常バトルの曲を作った後に、続けてボス戦の曲を作ることはしないですね。逆にそうやって切り替えないと、似たような曲になっちゃう恐れもあります。
――ちなみに桜庭さんとしては、落ち着いた曲と激しい曲ではどちらが作りやすいですか?
作りやすいのはしんみりした曲なんですけど、作っていて楽しいのはバトルの曲ですね。
――これがおそらく、ゲームをプレイしているといちばん多く聞くことになるバトル曲だと思います。
通常バトルですね。今回はバトル曲にもバイオリンを入れてみようと思いました。以前に一度、バイオリンを入れたらすごくよかったので、その時と同じ方にバイオリンを演奏してもらっています。
通常ボスの曲なんですけど、ちょっと激しくしすぎたかな(笑)。
これもメインテーマのメロディーを使った曲ですね。ムービーのBGMなので、あまり音を立たせすぎないようにしています。そうしないと、セリフが聞こえなくなっちゃうので。
この曲はオルガンとかも全部生で入れてるんですけど、すごくテンポが速いので、演奏がけっこう大変でしたね。オルガンの音作りに凝ろうと思って、普通はギターとかにかける“ワウペダル”っていうエフェクターをかけて、足で切り替えながら弾きました。
ですから、曲作りではそんなに苦労しなかったんですけど、音作りではこの曲が今回の中ではいちばん大変だったかもしれないですね。
――この曲(『スターオーシャン Till the End of Time』より)が入っていたのは、驚きました。昔からのファンなら、ニヤリとするんじゃないかと思います。
特に大きく変更した点はないですね。過去にあったデータを、そのままお渡しした感じです。
――フィオーレの故郷でもあるランドック王国の首都、サンテロールのテーマ曲ですね。呪印術が発展している場所でもありますよね。
ちょっと不思議な感じも入った曲で、けっこう気に入ってるんですよ。今まではこういう曲をあんまり作ってこなかったかな。呪印術の街ということで、魔法っぽい雰囲気を感じていただければと思います。
――主人公たちが乗る宇宙船の内部で流れる曲ですね。
この宇宙船には見たことのない新しい技術が使われているそうなので、シンセサイザーの音を入れてそれっぽい雰囲気にしてみました。アナログシンセのつまみをいじって、音色を作っています。アナログなのに未来っぽいというのも、おかしな話ですが(笑)。
――軍隊をイメージさせる、重たい曲ですね。
この曲は、けっこうトリッキーなスネアが入ってるんで、リズムを見失っちゃうんですよ。そこで頭に鐘の音を入れることで、テンポ感を出しています。
――開発側からのメモには、“わき上がる怒り”というオーダーが書かれていますが、こういったオーダーで曲をイメージするのは難しいものですか?
特に困ることはないですね。自分なりに“こんな感じかな”って考えて作って、それでダメだったらリテイクがくるだけなので(笑)。こういった文章でのオーダーだけじゃなくて、参考になるムービーもついてきたりするので、それを見て考えたりもしていますよ。
悪役のテーマなんですが、こういった曲って普通はオーケストラでやるんです。ところがこれは“バンドで”っていう指定が来ていたので、難しかったですね。こういう遅めのテンポをバンドでやるのは、意外と難しいんですよ。もっと速いテンポだと、イケイケな感じでやれるのですが。
――イントロなどに入っている金属音が、すごく特徴的で印象に残りますね。
この音は、Minimoogっていうアナログシンセと、KORGのKRONOSっていうシンセの音を合わせて作っています。弾く強さによって音色が若干変わるようにしたりして、工夫したりしました。
現代音楽っぽい曲ですね。この曲の流れる場所が、すごく変わった空間だそうなので、常に音が動いているというか、あまり一定の雰囲気にならない感じを、かなり意識して作っています。
――次から次へと変化していくので、かなり聴き応えのある曲ですね。
そうですね、急に静かになったりとか。サントラなどで、じっくり聞いてもらえればと思います。
――こちらはゲームオーバーの際に流れる曲ですね。
ゲームオーバーの曲をあまりにも悲しいものにしちゃうと、リトライする気がそがれてしまうんです。なので、もう一回トライできるような雰囲気を持たせるように、気をつけています。
――本作に限らず、ゲームオーバーの曲というのは難しいものですか?
そうですね。ゲームの世界観によっても、雰囲気がけっこう変わってくるものです。
PS3版『スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-』の発売日と同日に、電撃オンラインから設定資料集を発売します。価格は2,300円+税。
キービジュアル、キャラクター解説、設定&ラフ画、イベントシーン絵コンテ、開発スタッフからのメッセージなどの収録を予定しています。
さらに特典として、アーケードで好評稼働中の『ロード オブ ヴァーミリオン Re:3』で使えるミキのVR(ヴァーミリオンレア)カードと、武器“異星のオーブ”が入手できるプロダクトコードが封入されます。
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