2016年6月20日(月)
ダンジョンRPG好きなら遊んで損なし!『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』発売直前レビュー
日本一ソフトウェアから6月23日に発売される、PS Vita用本格ダンジョンRPG『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』。本作の発売直前レビューを、テストプレイでがっつり20時間以上遊ぶほどハマってしまったRPG大好きライターがお届けします!
『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』は、魂を吹き込まれた人形兵たちでパーティを編成し、物語(主に、魔女ドロ二アから与えられる理不尽な要求)に沿って、多くのモンスターが出現する地下迷宮を探索していくダンジョンRPGです。
▲見た目は1人称視点のオーソドックスなダンジョンRPGですが、日本一ソフトウェアらしいやり込み要素バツグンなシステムが盛り込まれています。 |
やり込みゲームでおなじみの日本一ソフトウェアが贈る新規タイトルなだけあって、システムはとにかく奥深く、ひたすらやり込める要素が満載! そんな本作のおもしろさと魅力を、序盤のプレイの流れにそって紹介しましょう。
ちなみに、原田たけひとさんデザインのキャラクターや、自己中心的な魔女を主人公にしたストーリーなど、同じ日本一ソフトウェアのアクションRPG『魔女と百騎兵』に通じる部分も多くあります。
本作はアクション要素のないダンジョンRPGなのでジャンルこそ違いますが、『魔女と百騎兵』の雰囲気が好きなファンにもぜひ楽しんでほしいです。
▲原田たけひとさんが描くキャラクターはいつも魅力的ですよね! 人形兵たちのデザインも、男女どちらも素晴らしいです。 |
物語の始まり! でもその前にキャラクターメイキングにハマる!!
物語の舞台は、妖しげな都“ルフラン市”にある前人未到の地下迷宮。夕闇の魔女と呼ばれるドロニアがこの地を訪れるところから物語は始まります。目的は、ルフランの地下迷宮の秘密を探ること。
しかし、地下迷宮は呪いの瘴気にあふれ、人では半時と生きていられません。そこでかわりに探索するのが、物言わぬ伝説の書物“妖路歴程(ようろれきてい)”、通称“レキテイ”です。プレイヤーはレキテイとなり、魔女が作り出した“人形兵”を引き連れて迷宮を探索します。
▲レキテイは地下迷宮の唯一の生存者であり、その秘密を解き明かしたと言い伝えられる男が残した書物です。 |
▲レキテイのことを心配してくれる魔女の弟子・ルカちゃん(画像左)。この後、レキテイは迷宮の入り口である井戸に投げ込まれます……。 |
さて、本格的な探索に入る前にすることがあります。それが、地下迷宮を実際に探索する人形兵(パーティメンバー)のキャラクターメイキングです。
物語上の主人公であるドロニアは決して危険なことはしないし、プレイヤーはただの本です。ダンジョンで戦ったり、アイテムを拾ったり、謎を解いたりするのは、この人形兵たちということになります。
人形といっても、見た目は人間と変わらず男女の違いもあります。職業(ファセット)ごとにビジュアルイメージも複数用意されています。
▲最初は6つのファセットから選択可能。左からアステルナイト、シノブシ、シアトリカルスター、マージナルメイズ、ピアフォートレス、マッドラプターです。 |
ファセットの他、名前、性格、成長タイプ、初期スキルなどを設定できます。フレーバーテキストも自由に作成できるので妄想が捗ります。自分好みにいろいろ脳内設定を決めるのも楽しいですよ。
最初に作成できる人形兵は3体まで。この最初の3体の編成は、序盤の難易度にもかかわってくるのでとても重要です。人形兵を増やすには、人形素体と魂の小瓶と呼ばれるアイテムが必要になります。
ちなみに私が選択したのは、アステルナイト(前衛物理アタッカー)、マージナルメイズ(魔法アタッカー)、シアトリカルスター(サポート)の3体。実にオーソドックスですが、一番バランスがとれているのでオススメできます。
▲いちいち設定を考えるのは面倒だ! という人にはランダム入力や自動設定も用意されています。ただ、性格や成長タイプはその後の育成にもかかわりますので、慎重に考えたほうがいいですよ。 |
バトルを制するためにカヴンの編成をしっかり考えよう!
続いて、探索するうえでとても重要な“カヴン”の編成について紹介しましょう。先ほどから便宜上“パーティ”と言っていましたが、本作では人形兵の集団を“カヴン”と呼びます。
カヴンに編成して直接戦闘に参加できるのは最大3体までです。ところが、ただ3体の人形兵をカヴンに入れるだけでは済まないのが、日本一ソフトウェアクオリティ!! なんと最大5つのカヴンを同時に指揮することが可能なのです。
▲イメージイラスト通り、複数のカヴンを指揮して敵と戦います。この複数のカヴンのまとまりを“旅団”と言うのです。 |
なお、カヴンそのものにたくさんの種類があって、それぞれで配置できる人数の数や条件、配置した人形兵にもたらす特殊効果が違います。
先ほど、“直接戦闘に参加できるのは最大3体まで”と説明しましたが、後方支援をするサポーターを配置できるカヴンもあります。サポーターまで含めると、最大8体を1つのカヴンに編成できるようになります。
さらに、カヴンごとに戦闘中に使える特殊技“ドナム”が設定されています。職業(ファセット)にかかわらず、“どのカヴンに配置されたか”で使えるドナムが変わるのです。適材適所、人形兵にあったカヴンに配置することが重要になります。
最初は基本的なカヴンしか持っていないですが、“○○の結魂書”というアイテムを入手することでカヴンの種類が増やせます。序盤からいろいろな結魂書が手に入るので、そのたびに編成と戦略の幅が広がるのです。
▲結魂書は迷宮の敵や宝箱から入手できます。また、ゲームを進めることで手に入るものも用意されています。 |
せっかくなので、ここで序盤で手に入る結魂書を2つご紹介しましょう。
●魔女の小隊の結魂書
最初に手に入る複数の人形兵を編成できるカヴンです。アタッカーを2体まで編成できるうえ、サポーターを1体つけることができます。アタッカーはHPにボーナスが入り、サポーターがいると命中にもボーナスが入ります。
特筆すべきは使用ドナムで、“治癒術I”、“攻術I”、“突貫術I”、“自己加速術I”と、攻撃、回復、サポートが取りそろっているのです。使いやすい、万能タイプのカヴンといえます。
●魔撃師の結魂書
魔法使いのためのカヴンです。配置は1体しかできませんし、サポートもつけられませんが、“焔舞I”“大泥撃I”“霧幻灯I”と、3属性のドナムを網羅できるのが特徴。魔法を使うためのDP消費が多くなるデメリットがありますが、序盤では抜群の威力を誇ります。
このように、さまざまな特徴があるカヴンを組み合わせて編成をあれこ考えるのがとにかく楽しい! 一見複雑そうに見えますが、攻撃型や魔法型などカヴンの種類による特性を踏まえて、旅団のバランスを考えるとわかりやすいです。
▲最初はまだ人形兵も少ないので、カヴンの特性にあわせて人形兵を配置すればOKです。 |
また、カヴンにはコストがあり、総コストが“リインフォース”と呼ばれるポイントから引かれます。高コストの編成をすると、迷宮内で使えるリインフォース(レキテイ・スキルの発動に必要)が減少するので、とにかく強いカヴンで編成すればいいというわけでもないのが本当に悩ましい!
説明だけだとちょっとややこしいと思いますので、実際にある程度人数がそろってから考えた旅団の編成を紹介します!
結魂書 | 人形兵 | |
1 | 魔女の中隊の結魂書 | アステルナイト |
2 | 守術師の結魂書 | ピアフォートレス、ピアフォートレス |
3 | 魔女の小隊の結魂書 | シノブシ、シアトリカルスター |
4 | 魔撃師の結魂書 | マージナルメイズ |
5 | ペコーの結魂書 | マージナルメイズ |
1はアステルナイトを配置して攻撃担当に、2は防御力が伸びる結魂書なので、防御力が高いピアフォートレス2人を配置して完全に盾役にしました。
オールマイティな魔女の小隊の結魂書にはシノブシとシアトリカルスターを入れて、回復&攻撃で立ち回れるようにしています。残りは魔法が強くなる結魂書を使ってマージナルメイズを強化。
2のカヴンで旅団全体を守り、マージナルメイズで攻撃。アステルナイトでその補佐をして、3のカヴンは状況によって回復と攻撃を切り替えます。つまり、典型的な魔法アタックパーティです。やはり、高火力の魔法で一気に殲滅する戦い方は気持ちいい!
本当はもう1カヴン魔法攻撃役を増やしたいのですが、魔法攻撃が効かない敵もいるのでこの形に落ち着きました。今後カヴンの結魂書が増えればまた編成を変えるとは思いますが、序盤はかなりいい感じで戦えました。
ちなみに、カヴンごとに前衛・後衛を設定可能です。それにより陣形効果が発生しますが、火力で攻めるので、序盤はすべて前衛で攻撃特化陣形を使っていました。まさにやられる前にやれ! です。
攻撃メンバーを考えるのはもちろん、サポートメンバーによりさまざまなボーナスもあるなど、考えることがたくさんあります。編成をあれこれいじるだけで時間が結構たっていたり……。考え抜いた自慢の旅団を率いて、いよいよダンジョン探索に向かいましょう!
歯ごたえのあるギミックとバトルは古くからのRPGファンも納得!
いまさらですが本作は、街にある魔女の拠点で冒険の準備→魔女の指令に応じてダンジョン探索→目的を達したら魔女に報告、というサイクルを繰り返すことで進行します。
ダンジョンには、徘徊するモンスターだけでなく、落とし穴、ワープ、ダメージ床、ダークゾーンとダンジョンRPGでおなじみのトラップ、ギミックが満載。地下迷宮で暮らす住人たちもいて、時に悩みを聞いたり、時に敵対したりしながら、目的達成を目指します。
ダンジョンで傷つくか、目的を達成したら街へ帰還しましょう。街では“魔女へ報告”を選ぶことでストーリーが展開する他、商店での買い物や、追加の人形兵の作成、編成など、いわゆる冒険の準備をすることができます。
▲街の施設はゲーム進行に応じて増加します。 |
あとはこのサイクルを繰り返しながら、戦闘で人形兵のレベルを上げたり、アイテムを集めて装備を整えたり、お金やマナ(人形作成などに必要なポイント)を集めたりして、“魔女ノ旅団”を強くしていくのです。ある意味、とてもわかりやすいダンジョン探索RPGの王道の流れです。
▲ダンジョンでは、固定の宝箱の他、ランダムで発生する宝箱やトレジャーもあり、探索の楽しさを増やしてくれます。 |
オーソドックスながら特殊な要素も満載のコマンドバトル
迷宮では敵のシンボルがうろついており、シンボルに接触すると戦闘になります。こちらが一歩動くと敵も一歩動くようになっていて、うまく移動すればエンカウントを避けることもできます。
戦闘はターン制のコマンド入力バトルです。なお、人形兵ごとに指示を与えるのではなく、カヴンごとに指示を出していきます。武器やドナムには属性があったり、連続で攻撃すると“共振”がおきてダメージが増えたりと、バトルをおもしろくするさまざまなシステムがてんこ盛り!
▲用意されたあらゆるシステムを駆使して強敵に立ち向かいましょう! |
部位破壊できる“クリティカルゴア”や、リインフォースを使って放つ“レキテイ・スキル”、ドナムを連続して発動するとまれに起きる“共鳴”など、戦闘中に活用できることが本当に多いです。しかし細かで丁寧なチュートリアルが序盤からバンバン入るので安心です。
▲弱点属性を突くと“Effective”、耐性があると“Not Effective”と表示されるので、属性対応がわかりやすくなっています。 |
ちなみに△ボタンでコマンドのオート入力も可能です。テンポよく展開するので、ストレスなく戦うことができます。レベル上げやアイテム収集など、やり込みで何度も戦うことになるだけに、オートで進めるサクサク感はとても魅力的です。
目的を達成する方法は1つではない! 非道な行いをしてもいいが……
ダンジョン内ではさまざまなイベントが発生します。たくさんの謎を解きながら進めていくことになりますが、そのクリア方法は1つではありません。
例えば、精霊からアイテムをもらってこなければならないイベントがあります。その精霊がどうやら身体の痛みに苦しんでいるようです。痛みを癒してあげてお礼にアイテムをもらうのが王道なパターンですが、そんなことは関係ねぇ! と脅したり、戦ったりして奪うこともできるのです。
どうプレイして目的を達成するかはプレイヤー次第。でもあまり非道なことばかりしていると、後で大変なことになるかもしれませんよ……。
▲こちらは、とある場所に入るための鍵を銀貨1万でふっかけてくる盗賊。素直に買うもよし、戦って奪うもよし。さらに、無視して先に進むという手もあります。 |
魔女嘆願で冒険がどんどん楽になっていく!!
人形兵たちの力だけでダンジョンを進むのは大変です。魔女様に“魔女嘆願”して探索に役立つ“願い”を叶えてもらいましょう。これは、マナを支払うことで“レキテイ・スキル”の収得を始め、さまざまな効果を得ることができるシステムです。
例えば“トレジャーを発見したい”と嘆願すると、マップ中のランダムトレジャーを発見できるようになります。また、“ダンジョンから脱出したい”を選べば、“泥の脱出口Lv1”というスキルが使えるようになり、いつでも脱出が可能になります。
他にも、新たな陣形やファセットを解放したり、難易度を変えたりすることも可能です。迷宮で得られるマナをため、嘆願していくいことでどんどん探索も楽になっていくのです。魅力的な効果ばかりで、どれから解放していくか、これがまた悩ましいのです。
▲マナがたまったらこまめに“魔女嘆願”をチェックしてみましょう。 |
最初のダンジョンである“深碧のカンパニュラ”を攻略し終えるころには、“弟子のメモ”と呼ばれるシステムが解放されます。これはいわゆるサブクエスト。住人からの依頼を受け、必要なアイテムを用意することで報酬を受け取れます。
▲要求されるアイテムの多くは、ダンジョンのランダム宝箱やランダムトレジャーなどで見つかります。 |
こういったサブクエストをしっかり埋めたくなる性分なので、なかなか本来の目的が進まなくなってしまうのですが、寄り道もまた楽しいですよね。
ダンジョンRPG好きなら遊んで損はない!
人形兵をどう育てるか、編成をどうするか、ダンジョンでどんな選択をするかと悩んでばかりですが、その悩んでいる時間が一番楽しくも感じました。もしかしたら、それこそが本作の一番の魅力なのかもしれません。しっかり育成した旅団で戦闘に勝利できた時の達成感も大きいです。
旅団の編成や多彩な戦闘システムにより、ダンジョン探索RPGのおもしろさを凝縮したかのような内容になっています。“魔女嘆願”で難易度を落とせばかなりカジュアルに遊ぶこともできますので、がっつりやり込みたいダンジョンRPG好きな方はもちろん、ダンジョン探索型RPGが苦手な人も、ぜひ遊んでみてください!
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