2016年6月15日(水)
『FF15』にもウェイトモードが搭載。全国ロードショーをひかえた『KINGSGLAIVE』についても聞く
スクウェア・エニックスより、9月30日に発売されるPS4/Xbox One用ソフト『ファイナルファンタジーXV(15)』。
田畑端氏に製品版の序盤を体験できる先行試遊版で、気になったことや感じたことなどを聞いた他、野末武志氏に7月9日の全国ロードショーを控えた『KINGSGLAIVE』についてのお話もうかがった。
じっくりと戦闘が楽しめるウェイトモードについても聞く
――今回タイタン戦を体験できるE3試遊版のほか、本編の序盤を体験できる先行試遊版を遊ばせていただきました。先行試遊版は、実際の製品版と同じ流れで始まるものなのでしょうか?
田畑端氏(以下、田畑):みなさんに遊んでいただいたのは本編のChapter1になります。実際の製品版ではChapter0から始まることになります。ただ、ゲームの本編としてはChapter1からがスタートとなりますね。
――Chapter0はノクトが国を出発するところだったりするのでしょうか?
田畑:そうではありません。ちょっとした仕掛けがあるのですが、Chapter0はいきなりボス戦になるんです。
――『FF』でいうと『FFII』みたいな感じでしょうか?
田畑:まさに『FFII』のオマージュ的なものですね。『FFII』はいきなりバトルが始まって、ある意味ハリウッドのアクション映画の文法に近いんですよ。あれも1つの映画的な導入だなと思って、オマージュさせてもらいました。
――ゲームが始まって少しするとタイトルロゴが出てくるあたりは『FFI』ぽさがありますよね。
田畑:そこは『FFI』を意識したわけではないんです(笑)。じつは、当初はタイトルロゴのところでスタッフクレジット出そうと思ったりもしたのですが、クレジットを全部流すとかなりの尺が必要となりそうだったので、今回はタイトルのみにしています。
――今回試遊できたものは、システム的な仕様はすべて確定したものなのでしょうか?
田畑:成長システムなど、UI(ユーザーインターフェイス)が絡んでいるところは、まだ全部開放されていないものです。じつは今、UIの乗せ換えをしているところで、デザインは変更されます。
ただし、基本的な仕様に関しては、ほぼ実装されていますので、これからデバッグとチューニング、バランス調整などを進めていく予定です。E3で公開したバージョンから大きく変更されるのは、UIとNPC。NPCはまだ仮で置いているものなどもいますので。
――会話のなかで選択肢が何度か出てきていました。選択肢による変化はどの程度あるのでしょう?
田畑:選択肢の変化は、ちょっとしたものです。すべてが決まりきった内容で進むのも寂しいかと思い、少しでもプレイヤーの意志を反映できるようにと導入しました。
――日本のユーザーはとくに、どの答えが有利なのかを気にする人が出そうですね。
田畑:そういうプレイスタイルもいいと思います。とはいえ、基本的には好きな選択肢を選んでもらって大丈夫です。今は実況プレイも盛んですが、ほかの人のプレイを見たときに、誰がやっても同じセリフなのはおもしろみがないですよね。
ちょっとした選択肢ではありますが、見ている人にとっても変化があって楽しいでしょうし、プレイしている人も自分の色が出せて楽しいと思うんです。そういうところも意識したものになっています。
――体験版『エピソード・ダスカ』より、圧倒的に操作感や仲間との連携がよくなっていると感じました。しかし、これまでのシリーズと比較してもアクション性高く、そのためにシビアな部分のあるのかなと感じました。アクションバトルのチューニングは、最終的にどのようになっていくのでしょう?
田畑:大前提として『FF』のユーザー層ということもありますので、なるべく幅広い方々に遊んでもらえるようにと思っています。そのなかでも、やっぱり強敵は強敵として描かなければならない場面がある。
序盤でのイベントボス的な強めのモンスターを例にしましょう。やはり歯ごたえのあるボス戦ともなると、アクションを得意としないユーザーさんのなかには、序盤であっても難しいと感じるところはあるかと思います。
でも、そこをどう突破するかは、自分で考えてもらいたい。ただ現状は難しすぎところもあるかと思うので、そこはこれからのバランス調整で決めていきたいと思っています。
▲画像は『エピソード・ダスカ』のタイトル画面。 |
――オプションから難易度を選べるようですが、その違いどのようなものでしょうか?
田畑:難易度については考え方が3つあります。1つは誰でも遊べるようにする全体的な調整。2つ目は敵が弱くなり、プレイヤーも死ににくくなるイージーモードと、通常難易度のノーマルモードを用意し、プレイヤー側で選択できるようにするもの。
そして3つ目ですが、数値的なところとは別のベクトルの考え方の“リアルタイム性”を軽減するシステムの導入。アクティブタイムバトルでいう“ウェイト”に相当するシステムで、戦闘中に時間が止まり、その間にターゲットを決めて攻撃をするというものです。
――『FF』としてはよく知られるシステムですが、アクションバトルで時間を止めるというのは驚きですね。
田畑:最初は不安もありましたが、意外とおもしろいんですよ。ボタンを押してコマンドを出すと止まるのではなく、何もしないと時間が止まるといった感じです。具体的には移動や攻撃といった操作入力をやめればよいです。ただし、止まる時間は無限ではなく、1バトルのなかでウェイトできる時間のゲージがあり、そのゲージが尽きると、ウェイトできなくなる仕組みです。
このとき、時間を止められるゲージの減りは、イージーだとゆっくり、ノーマルだともう少し早く減っていきます。仲間に対するコマンドやターゲットなどを、状況をちゃんと確認してゆっくり操作できるのがいいところでしょうか。もちろんアクションの得意な人は、使わないほうが快適にプレイできると思います。
――3D酔いするような人にもよさそうですね。
田畑:そうですね。それも非常に大きいと思います。当初、ウェイトモードの開発スタッフの支持率は低かったんですけど、でき上がって来たものに触れると「とてもいいんじゃないか」となっているんですよ。
――ウェイトモードでじっくり考えながら戦うのは、ムダな攻撃も減って、意外と効率がよかったりもしそうですね。
田畑:戦略はしっかりと立てられると思います。プレイヤーにとっての選択肢としてはプラスですよね。とはいえ、実装は予想以外に大変でした。時間を止めると、いろいろな処理が破たんしたり。本来停止してはいけない処理が進んでしまったりなどで、整合性がとれなくなったりといった問題もあったんです。
最終的にゲームデザインも込みで「これはいける」という結論に至ったのは、つい何カ月前。『エピソード・ダスカ』のあと、すぐに着手していたのですが、結構時間がかかってしまいました。
――マップの広さにも驚きました。
田畑:広いですよね(笑)。何かイベントをこなさないといけない場所もあったり。ただ何かありそうな場所には、なるべく何か入れるようにはしています。「こんなに遠くまで来たのに、得られるものはこれだけかよ」みたいなことがないようにと。ただ、そういったことも含めて、自由に世界をめぐるということを楽しんでもらいたいですね。
――移動は基本的に、道路沿いは車で、辺境は徒歩かチョコボといったイメージでしょうか?
田畑:チョコボは無限に乗れるわけではなく、レンタル期間が決められています。移動は基本的にチョコボを使ってもらうとよいかと。『FFXV』で一番大事にしていることは「サイクル」なんです。昼夜という1日の時間経過もそうですし、冒険してキャンプして、経験値がレベルに変わって、次の日の強化を決める。そして次の日、再び冒険に出るというサイクルが『FFXV』のキモとなっています。
――日数制限があるとかはないんですよね? 最短で辿り着かないとフラグが消滅するみたいな?
田畑:そういった要素はないです。レベルを上げたければいくらでもキャンプしてレベルを上げてもらって構いません。制限する方向のシステムは入れたくないんです。すべての行為を肯定したいと思っています。
――初めて魔法を使うこともできましたが、魔法は回数制なんですね。
田畑:マップ上のエレメントを集め、自分で合成して、魔法を作っていくというのが『FFXV』の魔法になります。魔法はアイテムとして使うイメージです。魔法はファイア、ブリザドといったエレメント系のほか、王家の指輪の魔法の大きくは2種類あります。
基本はエレメント系になりますが、素材を集めて配分の違った魔法も作れるので、いろいろと試行錯誤してもらいたいですね。魔法を撃ちさえすれば何とでもなるというものではありませんが、その苦労に見合うだけの威力は保証します。
――Chapter1の試遊は、のんきな雰囲気だなと感じました。
田畑:プレイヤーがゲームに自然と入り込めるよう、あえてのどかな雰囲気にしました。逆に一気に物語に引き込むやり方もあるんですけど、今回は最初にある最低限のイベントが終わったら自由にしたかったので。Chapter1は、プレイヤーが世界になじむための時間なんです。
――各キャラクターが釣り、サバイバル、料理、写真のスキルを持ってますが、レベルを上げると具体的にどういった恩恵があるのでしょうか?
田畑:釣りと料理はわかりやすいと思いますが、釣ったり作ったりするほどうまくなっていきます。グラディオのサバイバルスキルは、道中で拾えるアイテムが多くなります。
写真のスキルですが、レベルが低いうちは、何もないところを撮ったりとか、とてもヘタなものなんですよ。それが段々とうまく撮れていくわけです。本作では「生きている人間である」ということを大事にしているので、上達していく過程をアナログ的に体験してもらいたいと思い、このような形にしました。
――写真は実際にSNSにアップすることもできるようですが?
田畑:そうですね。写真はSNSにアップできるので、ヘタな写真だと、まだゲームを始めたばかりなんだなとわかってしまうわけです(笑)。今の時代はSNSに投稿する人も多いので、そういった文化とも密接にしていければと考えたしだいです。
――道中で「ここで撮りたい」と言い出すこともあるようですね。
田畑:そういったポイントはいい写真を撮れる絶景ポイントなので、積極的に撮ってもらえればと思います(笑)。
――複数のクエストを受けていても、目的地を示すマーカーは1つしかマップに表示されないのは仕様なのでしょうか?
田畑:意図的にそうしています。能動的に目的地を決めて行動することが、本作では大事。ただ、自由に設定できるようにしてしまうと、フィールドが広いぶん、メインルートがわからなくなりがちなんです。マーカーを1つにすることで、迷わずに目的地へ向かえるようにしています。
――PlayStation VRへの対応も発表されましたね。実際にVRでのプレイはどのようなものになるのでしょうか?
田畑:主観視点になることと、プレイヤーがプロンプトになります。ノクトに手伝ってもらって、シフトしながら銃を撃ったりするんですよ。
――それは追加コンテンツなのでしょうか?
田畑:そうですね。ゲーム本編のDLCという形での提供を考えています。
――シドニーとドライブできたりもするようですが?
田畑:これはプロンプトの願望を再現したイメージのエンディングです。ドライブシーンなどはすごいキレイですよ。公開された映像ではわからないと思いますが、実際に体験してみると見ると驚かれると思いますよ。
ルナフレーナのキャストが『FFXV』本編で『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』で違う理由とは?
――『KINGSGLAIVE』についてもお聞かせください。『FFXV』本編の両方に登場するキャラは何人くらいいるのでしょう?
野末武志氏(以下、野末):メイン級は6人。その他にも登場していたりします。
――ルナフレーナのキャストが『FFXV』本編と『KINGSGLAIVE』で違うのには、何か意図があるのでしょうか?
野末:キャストの発表は海外版が先でしたが、こちらも「より映画的な表現を突き詰める」という『KINGSGLAIVE』のコンセプトの観点から選ばせてもらいました。そこを主軸に、日本ならどうなのかと考え、ニックスは今映画やドラマで活躍されていて、演技も評価されている方がよいなと思い、綾野剛さんに演じてもらいました。
ルーナですが、CGモデルもゲームのものからより現実志向のものになっており、基本コンセプトの観点から、キャラクター性をもっと生かし、映画の経験があり、評価されている方というところで、忽那汐里さんにお願いしました。
『KINGSGLAIVE』は海外版からスタートしている企画でもあり、英語のニュアンスを理解していただける方というところからも、忽那さんがいいんじゃないかなと。
レギスに関しては、じつは磯部勉さんがもともと、海外版レギスを演じるショーン・ビーンさんの吹き替えを担当されていたこともあり、ピッタリとはまりました。そのほかのキャストさんですが、映画を吹き替えの経験が豊富な方を選ばせていただいています。
田畑:日本語吹き替え版は海外版とはまた違ったおもしろさがあるので、両方を見てもらいたいですね。
野末:先日、日本語吹き替え版の調整を終えたところなんですが、別のコンテンツじゃないのかというほど海外版とは違っていたので、ぜひチェックしてもらいたいですね。
――『FFXV』本編と『KINGSGLAIVE』とのリンクもあるのでしょうか?
野末:それぞれのコンテンツを単独で楽しんでもらえるものにするのは、我々が目指していたものです。もちろん、両方を見て遊んでいただいた方には、リンクする楽しさも味わってもらえるようにしています。
――ゲーム本編に先駆けて『KINGSGLAIVE』が劇場公開されるので、先に見ておくべきなのか、ゲームをプレイするまで控えておくべきなのか、迷っている人もいるかと思いますが?
野末:それぞれ見方でのおもしろさがあると思うので、お客様が一番望む形で選んでもらえればとは思います。劇場公開、配信、ディスクと幅広い入口を用意していますので、どちらの形でも、楽しんでもらえるようになっています。
――日本のユーザーさんが発売前に『FFXV』を体験できる機会はあるのでしょうか?
田畑:なるべく多く触れられる機会を作ろうと思っています。新しいユーザーさんとの接点も、積極的に作れればと。ようやく触ってもらえる状態になってきたので、これからはユーザーの方々に多く体験してもらうことを考えていかなければなりません。体験する機会は積極的に設けていく予定です。
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