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2016年6月16日(木)

『√Letter ルートレター』発売記念レビュー! “文通”がテーマのミステリーアドベンチャーの評価は?

文:電撃オンライン

 角川ゲームスが放つPS4/PS Vita用のミステリーアドベンチャー『√Letter ルートレター』が、本日6月16日に発売されました。

『√Letter ルートレター』

 15年前の手紙の情報をもとに、初めて訪れた場所で見知らぬ人物を捜すという、推理モノとはいえなかなか“ムリゲー”に近い展開が待つ本作。じつは、数々の要素により、物語を存分に味わえるようになっているのが特徴です。今回は、そんな本作を先行体験した電撃PlayStationの担当ライター・Lのレビューをお届けします。

手紙を頼りに15年前の文通相手の謎を追う!

 本作は「人を殺した」という衝撃の告白を残して消えた15年前の文通相手・文野亜弥の謎を、手紙に書かれていた文通相手の7人の友人たちを捜して解き明かすことが目的。仕事を辞めて休暇中の主人公が、実家の荷物を整理していたときに消印のない手紙を見つけます。普通の高校生活が描かれた15年前の手紙と、最後の告白のギャップから、いったい何があったのか探ることにするところからスタートします。

 主人公の貴之が住んでいるのは東京で、亜弥が住んでいたのは島根県の松江。それも15年前の高校時代のことなので、手紙に書かれたあだ名や出来事のみを頼りに友人を捜すことになります。推理モノにお約束の“相棒”的な人物がおらず、知り合い0人で土地勘なしというのは、かなりムチャをする主人公という印象です。

 ただ、主人公は亜弥に惚れていたためか、やる気満々。本職の探偵さながらの行動力を発揮します。当時(今も?)のあだ名は“マックス”とのことですが、まさにいろいろマックスな感じ。友人の1人・ビッチがおしゃべりと書かれていたことから、同年代の女子アナ・村上美咲が友人と決めつけてTV局に突撃したりします。でも、ビッチさん、正体は佐々木理子という主婦なのですが……。

『√Letter ルートレター』
▲15年前の文通相手・文野亜弥。異性のペンフレンド、しかもかわいいということで、主人公は当然のように心惹かれていたわけです。
『√Letter ルートレター』
▲友人を捜す手がかりは、手紙に書かれたあだ名や出来事のみ。だからこそ、おしゃべり=ビッチと誤解するわけですが。
『√Letter ルートレター』
▲アナウンサーはおしゃべり、おしゃべり=ビッチ、という謎理論で美咲を直撃する主人公。残念ながら人違いですが、プレイヤー的にはコミカルで楽しい。

3つのパートを繰り返しつつ真相に迫る、失敗のないユニークなゲームシステム

 ストーリー的な部分を紹介したところで、肝心のシステム部分に突入します。まず本作は、基本は“移動”や“調べる”といったコマンド選択型のアドベンチャーです。物語は章仕立てになっていて、手紙・探索・追及の3つのパートを章ごとに繰り返すことで進行。具体的には、手紙パートで15年前の情報を確認し、探索パートで友人を捜し、なぜか友人だと認めない相手を追及パートで友人だと白状させることになります。

 普通、こう説明されると“探索で失敗したら友人を見つけられないんだな”とか、“捜し出した友人の人数で物語が変わるのかな”とか、思うじゃないですか? でも、本作は違うんです! 物語の分岐に関係するのは、なんと「手紙」パート。15年前の手紙を見て、それに対して選択肢を選んで返信することで物語の結末が変化します。シンプルでわかりやすですね。これで未来が決まるので“マックスくんの人生軽っ”と思わなくもないですが(笑)。

『√Letter ルートレター』
▲物語の分岐に関係するのは返信の選択のみ。亜弥の質問に対する返答と、逆に亜弥に聞く質問の2回あり、返答と質問で異なる内容の選択をすることもできます。ただ、そうすると主人公がちょっと頭のおかしい人物に……。

 手紙パートのあとは探索パート。このパートでは、さまざまな場所をめぐりながら“聞く”“調べる”といったコマンドで友人を特定する証拠・証言を集めることになります。ミステリーの大きな楽しみの1つながら、一番苦労するところですね。でも、本作には“考える”というコマンドが用意されており、これを選ぶと次にやるべきことを教えてもらえるのです!

 “推理モノとしてどうなの?”という声が聞こえてきそうですが、ご安心を。なかには直球で正解の場合もありますが、基本的に考えた結果は「○○へ行こう」といったヒントがメイン。証拠・証言をゲットできるかどうかはプレイヤーしだいなので、推理が不要というわけではありません。捜査で“詰まる”ということが限りなく少ないと思っておけばOKです。

『√Letter ルートレター』
▲オーソドックスなコマンド選択型の探索パート。“考える”のおかげで行動で悩むことが少ないのがポイントです。
『√Letter ルートレター』
▲基本的には選択肢を選んだり、特定の場所を調べたりすることで探索は進行。ときには“考える”を選ぶことで物語が進む場合もアリ。

 探索パートで証拠・証言を集めたあとは、友人(と思われる人物の)ウソを暴く追及パート。ここでは、基本は探索時と同様に“聞く”といったコマンドで相手を問い詰めていくのですが、集めた証拠・証言を正しい順に選んでいく必要があるので、本作で一番プレイヤーの頭脳が試されます。しかも、追及は手紙ゲージで表示される手紙の数しか行えません。……まあ、失敗してもすぐにやり直しが可能なんですけどね! でも、間違えるとくやしいので、なるべく一発で決めたいところ。

 追及中(ごくたまに探索時でもありますが)には、主人公の気持ちをぶつけて相手の心を開かせる“マックスモード”になることも。これは主人公のテンションを表すゲージの上下で変化する言葉を選ぶというもので、これがまた上下する速度や動きが一定でないため、これだという言葉を選ぶのが意外に難しいです。あと、返信のときもそうですが、テンションで言葉が変わりまくるので、マックスくんの頭が(略)。

『√Letter ルートレター』
▲基本は探索パートと同じ。選択肢を選んだり証拠品を突きつけたりする順番が決まっているので、“考える”のヒントがあっても、しっかり自分で推理する必要があります。
『√Letter ルートレター』
▲正解を選ぶと“ドーン”という感じでハデに相手のウソを暴きます。なぜか「異○あり!」という単語が頭に浮かぶのは間違っているのでしょうか。
『√Letter ルートレター』
▲タイミングよく言葉を選ぶ“マックスモード”。まず言葉を確認し、これだと思ったものを選ぼうとすると、ゲージが最初と違う動きをするなど、正直憎たらしい!

周回プレイやリアルな島根など、見どころはほかにも多数!

 とまあ、本作の内容を語ってきましたが、基本的に詰まることなく進められるので、物語をスムーズに味わえる作品です。そして本作には周回プレイ向けの要素もあり、物語の謎は2周目以降でなければ明かされないほか、2周目以降限定のサブイベントもアリ。

 そして、2周目以降はクリア済みの章をスキップする機能も用意されているので、未知の物語だけで味わうことも可能! いや、至れり尽くせりな感じで物語を楽しめるようになっているわけです。

 また、本作には島根の名所が多数登場しますが、どれも現地をしっかり取材してリアルに再現されているほか、なかには実在の人物が登場する場所も。島根には行ったことがない私ですが、松江の周辺はそこそこ詳しくなった気が……。八重垣神社の縁占いのやり方もわかったし!

 クリアするとけっこう“ほっこり”していい気分になれるので(メインのルートの話です、一応)、本作で独特の物語と島根の魅力を味わって、そのあと松江に行って聖地巡礼というのもいいカモ?

『√Letter ルートレター』
▲2周目以降限定のサブイベント“しまねっこを探せ”。物語を満喫したあとは、章をスキップせずに遊んでみるのもオススメ。
『√Letter ルートレター』
▲リアルに再現された名所や名店が多数登場。小泉八雲記念館をはじめ、多数のスポットは、本作をプレイすれば行った気になれる!?

(C)2016 KADOKAWA GAMES

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.616』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2016年6月9日
■定価:685円+税
 
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