2016年6月15日(水)
米国ロサンゼルスで開催中のE3 2016会場にて、コーエーテクモゲームスが開発するPS4用ソフト『仁王』について、開発陣へのインタビューを行った。
質問にお答えいただいたのは、ディレクターの早矢仕洋介さんと安田文彦さんのおふたり。E3 2016の反響をはじめ、『仁王』のストーリーやキャラクター、『β体験版』の変更点などについてもうかがった。
▲ディレクターを務める早矢仕洋介さん(左)と安田文彦さん(右)。※インタビュー中は敬称略。 |
――E3 2016での海外ユーザーの反響はいかがでしょうか?
早矢仕:手前みそですが、いいですね。以前にアンケートを行った際も、日本を含めたアジア圏はチャレンジングな部分に関して手厳しいご意見もありましたが、アメリカやヨーロッパの方にはかなり好評でした。
安田:開発中の最新バージョンでは、『α体験版』をプレイしていただいた方のご意見を反映させて、カメラの挙動を変えて距離感をわかりやすくしたり、操作に対するレスポンスを向上させています。
早矢仕:『β体験版』では、『α体験版』を遊んだ方にどう変わったかを一番見てほしいですしステージや武器も新たに追加しようと思っています。
――『α体験版』でやり応えを感じていた人も多いと思うのですが、難易度も下がってしまうのでしょうか?
早矢仕:今回メスを入れたのは主に「理不尽だ」「不親切だ」と言われていた部分で、難易度はほぼ変わらないので安心してください。“侍と1対1で戦う殺陣(たて)のような遊び”を楽しめるように、ほどよい緊張感と達成感を大切にしていきたいと思っています。
――主人公をウィリアム(三浦按針)にした理由は、海外展開を見据えてのことでしょうか?
早矢仕:というよりも、シブサワ・コウが発表した当初のコンセプトを守っている感じです。10年前から“金髪碧眼の侍が活躍する”というコンセプトは変わりません。
シブサワ・コウのゲームは、歴史を知っているとより楽しめたり、歴史を知るきっかけになったりするゲームだと思います。ウィリアムを主人公にしたのは、そういった側面もあると思います。
安田:実在した人物がモデルだったりするので、歴史のifストーリーを楽しめるようなエピソードもふんだんに入っています。その辺りはまだお伝えできていませんが、楽しみにしていただければと思います。
――主人公が日本人ではないということで、やはり従来の歴史作品とは違ったこだわりについてお聞かせください。
安田:日本人にとって戦国時代は慣れ親しんだイメージですが、結局は未知の世界ですよね。『仁王』では、ウィリアムを通じて「初めて戦国時代の日本へ行った人がどう思うか?」というのが1つ狙いにあって、日本人も外国人の方も新しい気持ちで楽しめるように工夫しています。
早矢仕:もう1つ、ウィリアムは日本語がしゃべれないんです。キャラクター同士のやりとりや演出については、これを前提とした独特なものになっていて……時代劇のような手堅いところもあれば、コミュニケーション不全のようなおもしろさも用意してあります。
――ウィリアムがどのように歴史に介在するのか、すごく気になってきますね。
早矢仕:そこがまさに狙いなんです。服部半蔵もそうですが、歴史には残っているけれど何をやったのかハッキリわかっていない。そこにロマンがあると思うんです。もしかしたらこういう出来事があったんじゃないか、と想像を膨らませてもらえるとうれしいです。
安田:体験版がゲームプレイに偏っているのでファンタジー要素が強いと思われますが、史実と重ね合わせて楽しめる部分もあります。歴史ファンの方にも楽しんでもらえるような骨太なゲームになっています。ぜひ楽しみにしてください。
――服部半蔵というキャラクターの名前を見て、半蔵はプレイアブルキャラクターになりえるのでしょうか? また、まだ見ぬキャラクターについても気になります。
早矢仕:最後まで“ウィリアムが日本で侍として活躍していく物語”というのを貫く予定です。
安田:あまりやりすぎると『NINJA GAIDEN』になっちゃうので……(笑)。ただ、陰陽術とか忍術というのもあるので、ウィリアムに服部半蔵のコスチュームを着せて、忍術を極めてみるといったロールプレイはできるようにはなります。
早矢仕:『仁王』では、プレイアブルキャラクターの数よりもキャラクタービルド(カスタマイズ)の幅広さを重視していまして。現状でかなりの数の武器がありますし、組み合わせによって動きが遅くなったりもしますので、ウィリアムのさまざまな育て方を楽しんでもらえると思います。
安田:キャラクターについては、戦国時代が舞台ということで、皆さんの期待している人物も登場すると思います。
――キャラクターについて、各国の反響の違いはあるのでしょうか?
早矢仕:木霊とか妖怪とかは世界共通で反応がいいですね。日本人は妖怪をかわいいと思えたりするじゃないですか。海外の人には「怖い」とか「グロい」と思われないか心配していたのですが、意外に「かわいい」という意見が出てきて驚きました。ゲームがグローバルになってきて、隔たりがなくなってきたのかもしれないですね。
安田:実際、木霊はびっくりするほど反響がありましたね(笑)。プロデューサーの鯉沼久史からも「殺伐として息苦しくしすぎるな。ちょっと外したほうがおもしろいよ」という意見をもらって、それがうまくいったのかなと思っています。
――ストーリーにおいて、各キャラクターとのかかわりも重要視されているのでしょうか?
早矢仕:今回のトレーラーで日本人のキャラクターを何人か出しましたけど、「彼らと出会ってどうなっていくのか?」というのは、ゲームの軸としてくっきりあります。
安田:絶賛作っている最中ですが、皆さんが想像する以上にしっかりとしたストーリーがあって、我々も気合いを入れて作っているところです。
日本の皆さんが戦国時代のゲームに期待するのは、やっぱりストーリーだと思うんです。皆さんの期待するような“戦国時代のど真ん中をつらぬくストーリー”が展開する予定です。
――ここからはゲームシステムについてお聞きしていきます。武器集めも重要なファクターだと思われますが、強敵を倒すといい武器が手に入ったりするのでしょうか?
安田:レアリティの高い武器が出たら紫色の柱が立つようになっています。ゲームを遊ぶうえでもっとも直接的にうれしい部分だと思うので、レアな武器とともに強敵を倒した達成感に浸ってもらえれば、と。
――武器などの強化に関しては、ドロップしたものを掛け合わせて行うのでしょうか?
安田:まだ決まっていませんが、あれだけたくさんのアイテムがありますからね。ハック&スラッシュの醍醐味だと思いますし、システムとしても表現としても、そういったものを導入したいと考えています。
――難易度が高めのゲームということで、キャラクターが死んでしまう頻度についてはどのようにお考えてでしょうか?
早矢仕:「死ぬことがストレスになりすぎると、その後の達成感につながらない」というのは、『α体験版』での一番の反省点でした。
安田:それを避けるように、ロードの早さであったりとか基本的なところから気を使って制作しています。
――これから、ゲームの内容をさらに色濃くされていくうえでの方針をお教えください。
安田:すでにゲーム内でできることはたくさんあるので、新たなものを増やしていくよりも今あるものの密度を高めて、人それぞれの楽しみ方を突き詰められるようにしていく予定です。
早矢仕:術もあれば装備品に重さがあって……難しいゲームだからこそ、試行錯誤するサイクルがあると思うんです。「正解を1つ探せ」だとおもしろくないので、そうならないようにするのが開発の頑張りどころかなと思っています。
――β体験版が楽しみです。最後に読者へメッセージをお願いいたします。
安田:ちょうど今朝アナウンスしたのですが、『仁王 β体験版』は8月配信の予定です。配信に向けて頑張っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
早矢仕:『α体験版』を配信したその日からアレしたいコレしたいと話し合っていて、大幅に変わっています。『β体験版』でもたくさんのご意見をいただき、さらによくしていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
●『仁王』E3 2016 プレイムービー
▼『仁王 β体験版』概要
■対応機種:PS4
■配信場所:PlayStation Store
■配信時期:2016年8月
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