2016年7月10日(日)
任天堂ブース&ステージの模様をチェック! 初出展ながらも魅力的なタイトルが目白押し 【BitSummit】
7月9日、10日に京都・みやこめっせで開催されている日本最大規模のインディーゲームの祭典“BitSummit 4th”。大手ゲームメーカーもスポンサーや出展で参加し、年々規模が大きくなっているBitSummitだが、4回目となる今年は任天堂が初出展。Nintendo×Indies=“Nindies”を合言葉にバラエティ豊かなラインナップを取りそろえ、豪華なブースを展開していた。
また、すでに海外では行われていたが、国内でも7月7日に“開発者向けポータル”をリニューアル。個人開発者も任天堂ハードでインディーゲームを登録できるようになったことと合わせ、名実ともにインディーへ力を入れることが見て取れるイベントとなっていた。
ここでは、任天堂ブースで展示されていた気になるタイトルと、Nintendo Presentsとして行われたステージ“WorldWide INSIDE Meeting”の模様をお届けする。
全13タイトルが出展され、大盛況の任天堂ブース!
発売済みのものから新作まで、豪華なラインナップが展開されていた任天堂ブース。会場の入口近くに設営されているということもあって、子どもから大人まで人が絶えないブースとなっていた。
とくに注目したいのが、元コンパイル社長・仁井谷正充さんが設立した新会社“コンパイル○”の『にょきにょき たびだち編』。これは『ぷよぷよ』を手掛けた元コンパイルの社長による格闘パズルゲームで、2色の“にょきにょき”をくっつけて消し、相手のフィールドに“おじゃま”を降らせて勝利を目指す対戦に特化したルールになっている。
▲シンプルながら奥の深いバトルが楽しめそうな『にょきにょき たびだち編』。 |
特徴的なのが、従来のパズルゲームとは違って“にょきにょき”を任意のタイミングで消せる点。にょきにょきは、落下させるときに通常と針が出た状態で切り替えることが可能で、針が出たものをくっつけることで消滅する。好きなタイミングで消すことができるので、誰でも連鎖を狙いやすく、パズルゲームの連鎖が苦手な人でもカンタンに連鎖が可能になっていた。
また、おじゃまを降らせるタイミングを自分で決めたり、相殺で降るおじゃまを減らしたりと、ピンチになっても粘り強く戦える要素が用意されているのも個性的な部分。発売は2016年内とのことだが、いろいろと期待できそうだ。
ほかにも“摩尼車(まにぐるま)をまわして、お経をとなえる代わりに功徳を得る”ことから着想を得たシューティングゲーム『摩尼遊戯TOKOYO』など、個性あふれる作品も展示されていた。不可思議な質問から始まる世界観に魅了される人が多い作品だったが、ゲーム自体の難易度は絶妙に難しく、なかなか歯ごたえのあるバランスのようだ。
▲任天堂ブースのなかでもひと際目立っていた『摩尼遊戯TOKOYO』。奇抜な世界観とデザインに目がいきがちだが、ゲーム自体はしっかりと作られている。 |
そのほか、個人的に気になったのは『魔神少女 -Chronicle 2D ACT-』のキャラクターと世界観を利用した新作RPG『ブレイブダンジョン』。カワイイキャラクターを操作してローグライクのようにダンジョンに潜るゲーム性は、体験版の範囲ながらやり込めそうな雰囲気があった。
戦闘はコマンド式のRPGになっており、ひん死の時にのみ使えるスキルも存在。トレースを集めて能力を強化する『魔神少女』由来の要素もあり、ジャンルがアクションからRPGに変わってはいるが、『魔神少女』のシリーズファンでも楽しめるものになりそうだ。
▲やり込み系のダンジョン探索RPGとして期待したい『ブレイブダンジョン』。(写真はデベロッパーのブースに展示されていた開発機によるもの) |
任天堂ブースで展示されていたフライハイワークス作品は、ほかにもドット絵の謎解きアドベンチャー『フェアルーン2』が展示されており、こちらも前作同様に楽しめそうな作品となっている。
このほかにも、Steamで好評を博す海産物を操る対戦ゲーム『ACE OF SEAFOOD』に、独特の操作が魅力的なパズルゲーム『トルクル(TorqueL)』、配信中の人気タイトル『Runbow』など、Wii Uでのインディータイトルも3タイトル展示。
ニンテンドー3DSでは、紹介したもの以外に『ぐんまのやぼう for ニンテンドー3DS』や『ショベルナイト』といった配信中の人気タイトル、ワンボタンでゾンビから逃げる『1000m ゾンビエスケープ!』など個性豊かな11タイトルが展示されており、非常に充実したブースとなっていた。
●BitSummit 4th 任天堂ブース出展一覧
Wii U
『ACE OF SEAFOOD』
『トルクル(TorqueL)』
『Runbow』
ニンテンドー3DS
『ぐんまのやぼう for ニンテンドー3DS』
『ショベルナイト』
『新ひゅ~ストン』
『1000m ゾンビエスケープ!』
『洞窟物語』
『にょきにょき たびだち編』
『Back in 1995 64』
『フェアルーン2』
『ブロック・レジェンド』
『ブレイブダンジョン』
『摩尼遊戯TOKOYO』
“WorldWide INSIDE Meeting”で飛び出した発言とは?
9日昼に行われた任天堂のプロデュースによるステージでは、『蒼き雷霆ガンヴォルト爪』を開発したインティ・クリエイツの會津卓也氏と、『ショベルナイト』を開発したYacht Club Gamesのイアン・ブラッド氏、『Year Walk 最後の啓示』を開発したDakko Dakkoのドットリー・ブロードベント氏の3名を招いた対談形式によるトークショーが開催。
トークショーでは、ドットリー氏が体験した任天堂の手厚いサポートについての感想など、さまざまな話題が展開。インディーゲームとしては初となる『ショベルナイト』のamiboをリリースできたYacht Club Gamesによれば、任天堂にamiboを作りたいと打診した数カ月後に返事が返ってきて制作に踏み切ったとのこと。また、任天堂といえばクオリティが高いイメージがあるため、同じラインナップのなかに認めてもらったような気持ちでうれしくなったと語った。独立会社はタイトル数を多く持てないが、amiboの製作をはじめ、手厚いサポートを受けて感謝していると述べた。
ドットリー氏が『Scram Kitty』を開発したあとに任天堂からアプローチがあったことも明かされ、任天堂と方向性があったインディーデベロッパーには、本当にいろいろな面でサポートしてくれることも明らかになっている。
會津氏は、任天堂ハードでゲームを出す理由としては十字キーやボタンなどのデバイスがある従来のコンソール機でゲームが作りたかったこと。そして、もっとも任天堂をリスペクトしていることとして“ゲームを安く売らない”。“ゲームには価値があるから無料ではなくて価格があって当然という見解を持っている”ことに共感を持ったと述べた。
さらに、ニンテンドーe-shopでリリースして初めてわかったこととして、セールをやると必ず任天堂からのお誘いがあり、価格を安くしすぎると任天堂から、この価格が適正だというセールのサポートもしてもらえることが判明した。それにより、全体の10%の売上が上がったと會津氏は述べている。任天堂のサポートは開発だけではなく、マーケティングやセールをするときのアドバイスがアメリカやヨーロッパでも行われており、インディーデベロッパーにとっては非常にありがたいようだ。
最後に任天堂業務部から任天堂デベロッパーポータルに関しての説明と、サプライズとして『ショベルナイト』と『蒼き雷霆ガンヴォルト爪』のコラボレーションが発表され、トークショーは幕を閉じた。
なお、任天堂はビットサミット初日の終わりに開かれたアフターパーティでもインディーデベロッパーに対してのサポートや、今後も“Nindies”として力を入れていくことを明らかにしており、2016年以降の盛り上がりにも期待できる内容となっていた。