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2016年7月10日(日)

『REZ』の水口哲也氏と『MOON』の西健一氏が、インディーを取り巻く環境について語る【BitSummit】

文:電撃オンライン

 京都のみやこめっせで、7月9と10日にかけて開催された“BitSummit 4th”。その2日目に、『REZ』や『Child of Eden』で有名な水口哲也氏、『MOON』や『ギフトピア』などを手掛けた西健一氏の両名が講演を行った。

『BitSummit 4th』
▲西健一氏(写真左)と水口哲也氏(写真右)

 2人による講演は、まずそれぞれが現在開発しているゲームの話題からスタート。水口氏は、来たるPS VRのローンチとして発売される予定の『Rez Infinite』を制作中。西氏はアプリ向けに『ルナたん ~巨人ルナと地底探検~』を作っていて、こちらは9月のなかごろに配信される予定とのこと。

 西氏はたびたび、代表作である『MOON』のリメイクを希望する声をファンから聞くと言う。しかし権利の関係が複雑で、その解消のための時間がとれないとし、実現できないそうだ。水口氏もそういった権利関係の難しさには同意。しかし、自身がセガゲームスに交渉することで『Rez Infinite』の開発にこぎつけていることもあり、開発者はクリエイティブなだけではいけないのではと力説した。

 自分の作り上げたライセンスをどのように運営していくか、資金調達の方法やパブリッシャを介すのかなど、先のビジョンを描くのが大事と言う水口氏。経験者として我々が教えられることはたくさんあるので、作る楽しさだけを求めず、いろんなことを学べる場を作っていきたいと西氏も続く。

 インディーズを取り巻く環境については、非常にいい時代になっていると言うのは水口氏。デジタルデータとしてゲームを販売できる現在は、すべてが自分たちでできるからだという。これが10年前なら、CDなりDVDなりを店頭に置いてもらうという在庫のリスク、つまり流通の問題があった。その問題が解消されている今は、インディーの人たちとって非常に大きなチャンスが来ている。

 水口氏いわく、VRはまったく新しい技術で先輩のいないジャンル。技術的な革新がある瞬間は、パイオニアになるチャンスだとクリエイターたちを鼓舞。大きな会社は数字を出さなきゃいけないというプレッシャーがあるけれど、インディーはどんどん挑戦できる利点があり、次の主流を生み出せると語った。

 最後の質疑応答では、「新しいものに対しての恐怖はありますか?」と質問が。水口氏は「僕はいつも前のめりなので、マイナスよりもプラスの面を考えている」と返答。さらに「まずはやってみて、負の部分はデバッグしていけばいい。そうしないと発展がない」とも述べた。

 新しいものには壁がつきもの。漫画やエレキギターなども最初は否定する人がいた。壁を越えていくのがクリエイターの役割ではないか、両氏はそういって講演を締めくくった。

『BitSummit 4th』

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