2016年7月22日(金)

“ヴィジュアルワークス”に関する講演が7月24日に開催。生守一行さんに独占インタビューを敢行!

文:喜一

 静岡県三島市の大岡信ことば館で、ヴィジュアルワークスの生守一行さんによる講演会イベント“ヴィジュアルワークスの作品と世の中へのアプローチ”が7月24日に行われる。

 これに際して生守さんへの独占インタビューも敢行。講演会についてや展覧会“Works of VISUAL WORKS”の見どころなどをお聞きしたので、ぜひチェックしてほしい。

“ヴィジュアルワークスの作品と世の中へのアプローチ” “ヴィジュアルワークスの作品と世の中へのアプローチ”
▲生守一行さん。

 ここ数年、スマートフォンの普及や動画配信サイトの一般化といった技術環境の発展によって、高精細な映像を気軽に楽しめる環境が当たり前になってきた。ヴィジュアルワークス部は、強みとする高レベルな映像作品をより広く、世界に発信できる環境が整ったことにつながり、新たな活躍の場を模索しているという。海外タイトルのムービー制作や社外企画とのコラボレーション展開もその一例だ。

“ヴィジュアルワークスの作品と世の中へのアプローチ”
“ヴィジュアルワークスの作品と世の中へのアプローチ”
“ヴィジュアルワークスの作品と世の中へのアプローチ”

 さらに巷ではVR元年と叫ばれるように、映像を通した物語体験が今まさに一段階、大きく拡大しようとしている。

 本講演では、こうしたメディア環境の発展に対してヴィジュアルワークス部が作品制作を通してどのように世の中へと発信を試みているのか、最新作品や未公開メイキング映像なども交えながら話される。

 講演の前半では、過去から継続されてきた技術開発のいくつかを、その原動力となったスタッフのこだわりとともに語られる。後半では、多様化を続ける映像技術とその活用による世の中へのアプローチが紹介される。

●ヴィジュアルワークス展覧会“Works of VISUAL WORKS ―デジタルアートの最先端―”紹介動画

▼イベント詳細

●講師:株式会社スクウェア・エニックス ヴィジュアルワークス部 生守一行さん

●日時:2016年7月24日 13:30~15:00

●会場:大岡信ことば館(静岡県三島市文教町 1-9-11 Z会文教町ビル)

●料金:大人1,500円、大学生1,000円、小中高生600円

※未就学児入場不可。
※イベントチケットで展覧会も閲覧可能(会期中1回有効)。

講演会ではヴィジュアルワークスのこだわりや技術がわかる貴重なお話が

●株式会社スクウェア・エニックス ヴィジュアルワークス部 ジェネラルマネージャー/チーフクリエイティブディレクター 生守一行さん

 株式会社スクウェア・エニックスの映像制作部門、およびキャプチャスタジオ運営を行う、ヴィジュアルワークス部におけるジェネラルマネージャー。

 またチーフクリエイティブディレクターとして、『ファイナルファンタジー』シリーズをはじめ、海外タイトルなど多数のCGムービーディレクションを手がけている。

――生守さんが率いる、スクウェア・エニックスの映像制作集団“ヴィジュアルワークス”の簡単なご紹介をお願いいたします。

 ゲームをプレイしていると、オープニングとかエンディングとか重要なシーンとか、映画のようなムービーが挿入されていることがありますよね。ヴィジュアルワークスはそういうハイエンドな3DCG映像を専門に制作している部署です。

 もちろんゲーム内ムービーだけではなくて、プロモーション映像やテレビCMも制作しますし、最近では他業界とのコラボレーションの取り組みも行わせていただいたりと幅広く手掛けています。

――“ヴィジュアルワークスの作品と世の中へのアプローチ”と題された講演ですが、端的にご説明いただくと、どのようなことをお話しされるのでしょうか?

 一般的にエンターテインメントにおける映像と言ったら、昔は映画が中心だったんですよね。それが近年になって、美麗グラフィックのTVゲームとか、VRの普及とか、架空のキャラクターと会話ができるアミューズメントアトラクションとか、映像という分野に期待される将来の可能性が急速に拡大してきていると思います。

 その日々変化していく世の中のニーズに対して、ヴィジュアルワークスが今後皆様にお届けできる映像コンテンツの可能性として、どのようなVRでの疑似体験を映像化してお見せできるか。

 そのために過去から現在まで、ヴィジュアルワークスではどんなこだわりや特別な技術を持って、どんな映像制作をしてきたのか。現在、開発中の最新映像なんかも交えながらお話をさせていただきます。

――ゲームが好きな方やヴィジュアルワークスのお仕事に興味がある方など、いろいろな方がいらっしゃると思いますが、どのような方に講演を聞いていただきたいですか?

 今回はCGや映像コンテンツに関する知識がなくても充分お楽しみいただける内容となっていますので、スクエニのゲーム作品が好きな方、映像に興味がある方、新しい映像コンテンツの可能性を感じたいという方、スクエニのヴィジュアルワークスって何? という方、などなど、とにかくいろいろな方に聞いていただけるとうれしいです。

――講演ではVRについても触れられるとは思いますが、この分野の可能性についてどのように感じてらっしゃいますか?

 VRが普及することで、皆さんにとって“体感”というものがより身近になっていくだろうと思っています。

 日常ではなかなか経験できないようなこと、例えばエベレスト登頂の瞬間だったり、オリンピックの最前席での競技観戦だったり、そんなシチュエーションがVRを通じて手軽に疑似体験できて、しかも世界中どこにいてもその臨場感や空気感をシェアすることができるという新しい体験とその映像技術の活用性と可能性は無限大なので、ゲーム業界に留まらず、近い将来あらゆる形で広がっていくと思っています。

 VRという新しい映像表現であらたな新体験を皆様にお楽しみいただける可能性がとても大きいと考えているので、ヴィジュアルワークスでももっともっと研究を進めていかなければならない分野のひとつですね。

――現在開催中の展覧会“Works of VISUAL WORKS”見どころをいくつかご紹介いただきたく思います。

 会場では、今までのムービーを題材にした、CG制作過程の解説を工程別に上映しています。専門的な用語とかではなく分かりやすい説明になっていますし、どなたでも構えることなくスッと入りやすい内容になっていますよ。

 それから『ファイナルファンタジー』シリーズのゲーム内ムービーを、ヒストリーとしてゆっくりご覧いただけるプロジェクター上映も好評ですね。他にも、『FF』キャラが登場するVR体験コーナーや未公開メイキングムービーなど、内容盛り沢山になっていますので、ぜひ夏休みなどを利用して、多くの方にお越しいただきたいです。

――講演会に向けて、この記事を読まれている方への生守さんからのメッセージをお願いいたします。

 CGっていうのは、“コンピューター”が緻密な計算をして表現をしているわけですが、実際にはデザイナーやエンジニアなどという“人間”が、たくさんの技術とか感性とかこだわりを注ぎ込んで作っているものなんですよね。

 そういう、表には見えないヴィジュアルワークスの“人間”の部分を、今回の講演を通してお伝えできればと思っています。そして現在のヴィジュアルワークスの思いと取り組みを知ってもらうことで、我々のこれからの可能性に期待していただきたいです。