2016年8月1日(月)
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『ウェイストランド2 ディレクターズカット』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。
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スパイク・チュンソフトより8月4日発売のPS4用ソフト『ウェイストランド2 ディレクターズ・カット』。序盤プレイのちょっとしたコツをまじえた本作のインプレッションに加え、本作の開発元であるInXile Entertainmentの創設者、Brian Fargo氏へのメールインタビューをお届けする。
本作は文明の崩壊した、いわゆる“ポストアポカリプス”世界を描いたRPG。プレイヤーはアメリカ中西部・アリゾナ砂漠周辺を拠点に人々を守る集団“デザートレンジャー”として活動します。敵は生活物資や金のためなら殺しもいとわないレイダー(ならず者)や、放射能によってミュータント化した危険な生物、暴走して人々を襲うようになったロボットなどなど。
システムは、見下ろし視点のマップの探索に、シミュレーションRPG調の戦闘の2本立てで、ゲームの進行方針や戦い方をプレイヤーが自由に選べるのが特徴となっています。
ゲームはまず、プレイヤーの操作するデザートレンジャーの部隊を構成する4人のキャラクターを作成することからスタート。キャラクターは外見のほか、
・能力
集中力や運、筋力などそのキャラクターの身体能力
・ステータス
能力値がゲーム上に与える効果。HPや戦闘時の行動に必要なアクションポイントなどさまざま
・スキル
武器の扱いや鍵開け、会話などの技能。高いほど命中率や行動の成功率が高まる
・PERK(パーク)
4レベルごとに習得できる特殊能力。武器使用時のペナルティを軽減したり、追加でアイテムを入手できるなどの効果がある
・QUIRK(カーク)
そのキャラクターの生まれもった特性。設定するとメリットとデメリットの両方が付与される。設定しないことも可能
上記5項目があり、与えられたボーナスポイントを能力とスキルに割り振り、QUIRKを設定することでキャラクターを作成します。これらのポイントを割り振っていくことで、“鍵開けに長けた手癖の悪い刃物使い”や“武器や機械の扱いを得意とする狙撃手”、“カリスマとリーダーシップで味方を支える部隊長”というような、いろいろな個性を持ったキャラクターができるわけです。
ちなみに外見や名前を決める際には、そのキャラクターのBIOGRAPHY(バイオグラフィー:その人の生い立ちやこれまでの行動記録)を書き込むことも可能で、自分なりの思い入れをキャラクターに投影して遊ぶことも可能です。
最初から項目がいっぱいあって難しい、と感じたら既存のキャラクターを選ぶことも可能です。既存のキャラクターのステータスをエディットすることも可能なので、そこから自分なりの好みを加えるのもありかと思います。
▲ブレイドウェポン(刃物)で戦い、ピッキングと金庫破り、爆発物処理に長けた、ちょっと危険な感じの女キャラを作成。 |
爆発物処理に必要な解体屋スキルは、成長させると手榴弾などの爆弾の扱いに役立つPERKを習得できるため、接近戦が難しい場合は爆弾を投げて戦うこともできます。QUIRKは、脅迫などの会話選択(ハードアス)が必ず成功する反面、キスアスやスマートアスな会話選択ができなくなるという内容。
ポイントの割り振りのコツは、能力はステータスの“アクションポイント”と“SP/レベルアップ”に注意すること、スキルはとりあえず1キャラにつき1つの武器スキルを習得しておくことです。余ったポイントはゲームを始めたあとから割り振ることもできますが、キャラクターの初期装備は習得した武器スキルによって決まるので、最低でも武器スキルにポイントを割り振っておきましょう。なお、HPや状態異常の回復には“看護師”と“外科医”スキルが必要となるので、1、2人はこれらのスキルを覚えさせたいところです。
本作では、プレイヤーが作成したキャラクターたちが“何を得意とするか”でゲーム内でできることが変わっていきます。“ピッキング”や“金庫破り”、“トースター修理”など扉や金庫、トースター(本作の世界ではなぜか中にアイテムが隠されている)を開けるスキルを幅広く習得していれば、武器や弾薬、資金に困らないでしょうし、“スマートアス”と“キスアス”、“ハードアス”といった会話系のスキルがあれば、相手を説得して会話を有利に進めたり、脅して戦闘を回避することが可能です。
▲扉や入れ物のフタを開ける“鍵開け”系のスキルが豊富なのも本作の特徴。効率よくゲームを進めるならKNOWLEDGE(ナレッジ)カテゴリ内のスキルを部隊内でひと通り使えるようにしておくといいでしょう。 |
また、COMBAT(コンバット)カテゴリのスキルに分類される10タイプの武器は、それぞれ有効な射程や1発あたりの威力、攻撃1回あたりの発射弾数などが異なるため、部隊メンバーがどの武器スキルを習得しているかで必然的に戦術も変わってきます。
▲本作の戦闘は、シミュレーションRPG風にマップをグリッド(マス目)で区切って行われます。 |
行動順は“行動優先度”のステータスによって決まり、攻撃や移動は“アクションポイント”を消費して実行します。射線上にいる味方を誤射するフレンドリーファイアの要素(難易度ベテラン以上のみ)があるほか、アサルトライフルやスナイパーライフルといった射程の長い武器は、敵に隣接されるとプレッシャーで命中率が低下するため、戦闘開始時の位置取りがけっこう重要です。
たとえば近接武器やサブマシンガンのような射程の短い武器は、敵の攻撃を受けないように遮へい物伝いに間合いを詰める動きが大切ですし、逆に射程の長い武器はアンブッシュ(その場で待機し、敵が射程内で行動した瞬間に自動で攻撃するコマンド)を使って敵が射程内に入るのを待つ戦い方が有効だったりします。スナイパーライフルで画面をスクロールさせないと表示できないような距離からヘッドショットを決めたり、遮へい物に隠れる敵を爆発物で一網打尽にしたりと、自分の想定した戦術が決まるとかなりの達成感があります。
『ウェイストランド2 ディレクターズ・カット』では、ゲームの進行やストーリー展開にもさまざまな選択肢が用意されていて、習得しているスキルやプレイヤーの判断しだいで結果が大きく変わることもしばしば。1回クリアしたクエストでも、違うスキル構成のキャラクターでもう一度挑戦したくなる気持ちにさせてくれます。
▲充満する毒ガスを除去するため通路の奥のファンを起動したいのですが、通路は植物でふさがれています。ここは、手前の故障した機械を修理して植物を排除するか、それとももろくなった壁を壊して迂回ルートを作るか? 習得スキルとプレイヤーの判断が問われるところです。 |
▲かつて鉄道による交易で生計を立てていたレールノーマッド・キャンプ。ある事故をきっかけに現在は集落が2つに分裂、列車の運行もできない状態になっています。こじれきった関係を解消させるには、交渉でどちらかを譲歩させるか、分裂のきっかけとなった品を探す必要があるようですが……。 |
本作は1988年にPCで発売された“wasteland”の実に16年ぶりの続編となります。ゲーム開始時から多数のスキルやステータスを相手にする必要があり、ハードルはやや高めですが理解してくるとストーリーの進行や戦術のバリエーションを考える余地がでてきて非常に楽しいですね。
ゲームの難易度はいつでも変更可能で、デフォルトの“ベテラン”から1段階下げて“ルーキー”にすればフレンドリーファイヤが無効になるほか、体力が自動で全快する機会も増えるのでかなりラクになると思います。私も初回プレイはルーキーで途中まで遊んでシステムを理解してからベテランに変更して楽しんでいます。
また、ちょっとしたオブジェクトや売って換金するだけのジャンクアイテムにもしっかりと設定づけされていて、あちこち調べてこの世界について知っていくのもおもしろいです。砂漠と廃墟とぶっ飛んだキャラクターに満ちあふれたこの世界を、プレイヤーなりに楽しんでほしいですね。
ここからは、本作の開発の中心人物であるBrian Fargo氏へのメールインタビューを掲載。ポストアポカリプスを扱った『ウェイストランド』がどういうゲームであるか、そして10数年越しで続編の開発に至った経緯、本作の作りこみへのこだわりなどについて聞いてみた。
――本作は1988年に発売されたRPGの続編とのことですが、プラットフォームがPCということで日本のプレイヤーにはなじみのある人が少ないかと思います。まずは本作がどのような世界で、どのような物語が展開するゲームなのか教えてください。
『ウェイストランド2』はアメリカのアリゾナ州を舞台にした、ポストアポカリプスRPGです。この世界の人々は、荒廃し汚染されたウェイストランドで、平和と正義を守る“デザートレンジャー”に助けを求めて、必死に生きています。
『ウェイストランド』の物語は、人間に反逆するロボットとデザートレンジャーが戦うものでした。『ウェイストランド2』では、ロボットとの戦いから数十年後、プレイヤーは新人デザートレンジャーとなって平和のために戦う物語となります。“エース”というベテランレンジャーの葬式から物語は始まるのですが、次第に彼の死が単なる殺人ではないということが判明し、奇妙な無線連絡がレンジャーのもとに届きます。その脅威を調査するために、プレイヤーはアリゾナ全土を横断するのです。
――タイトルに『ディレクターズカット』とありますが、無印のタイトルの違いはどこですか?
『ディレクターズ・カット』は無印版をさらにアップグレードしたものです。内容は同じですが、エンジンをUnity4からUnity5に移すことで光源処理やパフォーマンスを向上させ、キャラクターモデルやテクスチャーなどのグラフィックも向上しました。また、対応コンソールやコントローラーも増やし、“精密射撃”などの新システムおよびキャラクターカスタマイズの新要素といった、ユーザーからの要望も取り入れた完全版となっています。
――1988年に発売されたタイトルをあえて2000年代に復活させようと思った意図はどこでしょうか?
作りたくなかった訳ではありません! かなり前から『ウェイストランド』の続編を作りたいとは思っていて、『ウェイストランド2』の構想もできていました。しかし当時、ウェイストランドの版権は他社のものだったので、代わりに精神的後継作となる『Fallout』を作りました。その後、ウェイストランドの版権を獲得できたのですが、その時にはどこのパブリッシャーも『ウェイストランド』というゲームに興味を失っていました。クラウドファンディングがなければ、『ウェイストランド』の続編をこうして世に出すことはできなかったでしょう。
――本作を復活させるにあたってゲームシステムやジャンルを今風に変更する選択肢もあったかと思います。ハードの表現能力が飛躍的に向上しているなかで、あえてクォータービューでターン制の戦闘システムというスタイルにこだわった理由について教えてください。
答えは単純で、「このゲームシステムが大好き」だからです。つけ加えるなら、こういったゲームが現代にないからこそ、このスタイルにしたのです。Kickstarterでの『ウェイストランド2』の出資者数やこのゲームを購入してくれた人数から見ても、まだまだこのスタイルのゲームを楽しんでくれている人は多いと思います。
――プレイキャラクター作成時にバイオグラフィーを自由に書き込めたり会話の選択肢に3つの性格タイプに応じたスキルが設定されているなど、本作はRPGのなかでもとくにロールプレイを意識した作品だと感じました。これらの要素を導入した意図について教えてください。
私たちにとって、ロールプレイとは物語のはじめから終わりをすべてプレイヤーの手によって決めさせることです。キャラクターのバイオグラフィーなど、直接ストーリーに影響のないものもあれば、会話選択によってストーリーが変化することもあります。そしてこのひとつひとつは、ロールプレイにとって大切なことだと思っています。序盤で選んだ選択肢が、10時間、20時間後に、ゲーム内の世界に及ぼした結果を知ったとき、人は感動を覚えますし、それが世界観やキャラクターをより生き生きとしたものにさせます。
――ゲームを始めた人は、まず序盤でAgセンターとハイプール、いずれかの施設しか救援できないというジレンマにおちいるわけですが、このあともプレイヤーに究極の選択を求めるシーンはあるのでしょうか?
序盤のその選択はこのゲームでも最も究極的な選択のひとつで、それによってそれらの施設の運命が決まります。もちろんこれ以外にも、多くの選択を求められます。例えば、どの派閥の味方をするかの選択や、とある町を地図から消し去る選択まであります。これ以上、具体的には言えませんが、さらに大きなジレンマや難しい選択を迫られることにもなりますし。それぞれの選択がキャラクターや施設、あるいはその後の人々の反応にまで、影響することになります。
――本作の世界には、豊富な種類のガラクタ(ジャンクアイテム)や全プレイを通してもキャラクターが罹患することがなさそうな状態異常が用意されているようです。これらの要素を組み込むのは開発上大変だったと思いますが、あえて導入した理由は?
私たちは大規模なゲーム、すなわちマップが広大なだけでなく、それぞれの地域にたくさん細かい設定や要素の詰め込んだゲームを作りたかったのです。1周で物語の全容を把握することはまず不可能で、プレイヤー一人一人が異なる経験をするように制作されています。そのため、多くのプレイヤーは、そういった細かい設定や要素に気付かないかもしれませんが、私たちにとって、それはそれで良いのです。
私たちはプレイヤーの手で選択してもらうことを重視しています。そのため、それに相応しいようにふんだんな要素を取り入れる必要がありました。そうでなければ、“選択”の意味がないのです。
――このインタビューを読んで、ポストアポカリプスを扱ったRPGである本作に興味を持ったけど、前作は遊んだことがない、という人にアドバイスするとしたら?
難しいことは考えないで、とにかくゲームの世界に飛び込んでみてください!! 確かに前作をプレイしていれば『ウェイストランド2』のストーリーをより細部まで知ることができますが、ストーリー自体は独立したもので、前作をプレイしていないと楽しめないということは一切ありません。
――ありがとうございました。
2015 - 2016 Published by Koch Media GmbH, Austria. Deep Silver is a division of Koch Media GmbH. Deep Silver, and its respective logos are trademarks of Koch Media GmbH. (C) 2015-2016 and developed by InXile Entertainment Inc and Co-published by Spike Chunsoft. InXile Entertainment, Wasteland and their respective logos are trademarks of InXile Entertainment Inc. All other trademarks, logos and copyrights are property of their respective owners. All Rights Reserved.
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