2016年8月9日(火)
セガゲームスが運営する、PS Vita/PC用オンラインゲーム『ファンタシースターオンライン2』開発者へのインタビューを実施したので掲載する。
『ファンタシースターオンライン2』は、ネットワークゲームの楽しさや驚き、冒険を再び感じられるゲームとして開発された。PC版とPS4版、PS Vita版がサービス中で、iOS/Android向けサービス『ファンタシースターオンライン2 es』も行われている。
お話を伺ったのは、シリーズプロデューサー・酒井智史さんとEP4チーフディレクター&PS4版ディレクターの中村圭介さん、EP4ディレクターの濱崎大輝さんだ。夏の大型アップデートで実装されるアップデート内容を中心に、新要素やコラボなどについて語ったいただいた。
▲左から濱崎さん、酒井さん、中村さん。 |
――PS4版のサービスイン以降、盛り上がっている『PSO2』ですが、ユーザーの動向はいかがでしょうか?
中村:PS4版のサービスインと同時に多くのユーザーさんに遊んでいただき、開発チーム一同、大変うれしく思っています。PS4版のタイミングでグラフィック改善も行い、既存ユーザーからの評判も上々でした。公開されているスクリーンショットを見ていると、多くの方が改善されたグラフィックをお楽しみいただいている印象です。
幻創戦艦・大和の配信タイミングでは最大同時接続数を毎週更新するという、業界的にもあまり見られない状況が続きました。一方で人が多すぎてログインやブロック移動できなくなることがあり、ご迷惑をおかけしました。こちらは現在、解消されています。
――大きく盛り上がったといえば、『ファイナルファンタジーXIV』とのコラボも外せないと思いますが、こちらの反響は?
中村:3月21日の“ファンタシースター感謝祭2016 決勝大会”で発表し、大きな反響がありました。『FFXIV』プレイヤーの方が『PSO2』を遊ばれたり、逆に『PSO2』のプレイヤーが『FFXIV』を遊ばれたりという、こちらが狙っていたプレイ層の広がりが実現できたと思います。
闘神オーディンについては、クオリティを高く評価していただいています。コラボを楽しんでいただけている一方で、ライト層、ミドル層の増加もあり、難易度についての要望が多く寄せられましたね。
――具体的にはどのような意見でしょうか?
中村:オーディンであれば、「簡単すぎる!」というものと、「難しいので簡単にしてくれ!」というものです。そのあたりの折り合いをつけていくことが今後の課題になると思っています。
――別のボスが登場する予定はあるのでしょうか?
酒井:取り組みはあくまでコラボで、『PSO2』が『FFXIV』になるわけではないので(笑)。現状の予定はありません。
――『FFXIV』とのコラボに続いて、小林幸子さんとのコラボも話題になりました。こちらについて改めてご説明いただけますか?
酒井:エピソード4で地球が舞台となることで、実在する方のライブをやりたいと考えました。『PSO2』のユーザーはニコニコ生放送をご覧の方が多いこと、ご本人が世代を越えて愛されているということで、小林幸子さんにお願いしました。
ご本人のライブも派手で有名ですので、ゲーム内で歌を歌っていただく親和性が高いんですよね。「ぜひ歌っていただけませんか?」とお願いしてから、1年くらい経って実装されることになりました。小林さんに説明する時は、オンラインゲームというゲーム内容を伝えることが一番大変でした。
――出演いただく方の候補を決める会議はどのような雰囲気でしたか? 他にも候補はいたのでしょうか?
酒井:僕と木村で決めたので、僕が「(上記の理由で)小林幸子さんはどうかな?」と言って、木村が「イイっすね!」という感じだったと思います。
(一同笑)
酒井:もちろん断られた場合のことを考慮して、演歌歌手の方やゲームと親和性の高い方も案としては用意していました。ただ、小林さんがもっともインパクトがあり、親和性も高かったので、まず小林さんに依頼しました。
地球親善大使就任のニュースは、我々が想像していた以上の広がりがありました。『PSO2』を知らない方でもニュースをご覧になられていましたから。中でも、Webニュースの広がりがすごかったですね。
――『ヨーコソ・アークス』の作曲をされたビートまりおさんには、どのようなことをお願いしましたか?
酒井:1つは、小林さんの歌唱力を生かして歌い上げるものにしてほしいということで、もう1つはお祭り感です。その時点からアークスフェスで歌ってほしいと思っていたので、そこにビートまりおさんのダンサブルな部分に加えて、「全部盛りでお願いします!」と。
――次にライブを作るのが小林さんであることを聞いた開発チームの反応は?
中村:突然話が来たので、「え? マジですか!?」という感じでした。
(一同笑)
中村:クーナ、ミクからの小林幸子さんですからね。ただ“超現実”というEP4の『PSO2』らしいぶっ飛び感があったので、とてもいいと思いましたし、作りがいがありました。正直、メンバーはノリノリでしたね。
――どういうところに力を入れて作られたのでしょうか?
中村:やはり演出面にこだわりました。現実のライブでは火を焚くのは難しいですが、ゲーム内では火の粉をあげていますし、通称“メガ幸子”という大きく動くギミックを入れました。なかなか現実ではやれないことでも、ゲームであれば可能なので、全力投球で作りました。
酒井:小林さんがやりたかったけど、できなかったようなことを再現したかったんです。もし僕が小林さんだったら飛びたいだろうと思って、飛ぶ要素を入れてもらいました。
――アンコールの『千本桜』の「その光線銃で打ち抜いて」のところで、メガ幸子の手から光線が出て、それで桜が咲いていく演出は好きですね。
中村:あれも現実ではできない演出ですよね(笑)。“なんでもありだからこそ、なんでもやろう”というコンセプトからできたアイデアは多いです。技術的にもかなりいろいろ入っています。
酒井:僕と木村が演出面で「あれやれ」「これも入れろ」と言うので、大変そうでした。
中村:クオリティ向上のため完成には時間がかかりましたが、いいものになったと思います。
酒井:映像を小林さんに見ていただいたところ、ゲームならではの派手な演出をものすごく喜んでいただきました。“境界を超えるRPG”と“世代の境界を超える小林幸子のコラボ”というキーワードにも「コラボをやってよかったです」と絶賛いただきました。あと、ご本人もおっしゃってましたが、顔が多少若いところも、うれしかったようです(笑)。
――“銀翼と黄金の都”で行われるゴジラとのコラボの経緯、狙いを教えていただけますか?
酒井:EP4に“地球”と“東京”というワードがあり、そこに出すコラボを考えました。その中で、日本ならではの怪獣であるゴジラとコラボしない手はないなと。ちょうどタイミング的に映画『シン・ゴジラ』の公開タイミングだったので、こちらからお願いしました。
――なぜ、『シン・ゴジラ』ではなく、平成のゴジラだったのでしょうか?
酒井:“ゴジラ”と聞いて、多くの方が思い浮かぶのが平成ゴジラのシルエットだろうと判断したためです。
――ゴジラロビーのクオリティがすごく驚いたのですが、ボスエネミーとして登場しないのでしょうか?
酒井:個人的にはそれも考えたのですが、あくまでロビーとアイテムのコラボになります。ボスエネミーは実装を考えると、反映されるまで1年くらいかかることもあります。期間を考えると厳しいというのがありましたし、あとは「ゴジラを倒してしまってもいいのか?」ということもあり、見送りました。
中村:開発的には、エネミーのサイズ的に厳しいという理由もありました。
酒井:平成ゴジラで100メートル、シン・ゴジラは118.5メートルあります。マガツの倍近い大きさなので、そのままでは戦えないですよね(苦笑)。
――放送では、アークスリーグの実施も発表されました。こちらについてご説明いただけますか?
中村:現在、“インタラプトランキング”を実施していますが、シップ全体での競争になるためランキング上位に入りづらく、多くのユーザーさんにとっては「どうせ入賞できないし、自分には関係ない」と一歩引いてしまうのが実情です。それに対して、入賞の機会がより多くあって、気軽に楽しんでもらえるランキングを作りたいという意図がアークスリーグにはあります。
アークスリーグが開催されると、ランダムで20人のグループに振り分けられます。1つのグループが自分と19人のライバルで構成されるため、少し頑張ればグループ内で上位に食い込める可能性があります。
――どのようにして、ランキングを競うのでしょうか?
中村:ランキングの対象は、“特定のエネミー種族を倒す”や“アイテムを集めた数”などになっています。そのため、普通にクエストを回しているだけでも、気が付くと上位に入っている可能性があります。スタージェム(SG)やブーストアイテムを始めとする消費アイテムが手に入るので、まずはゲームを楽しみつつ、参加してほしいです。
――グループは1回振り分けられた後、移動はできるのでしょうか?
中村:グループ移動はできません。振り分けられたグループの19人のライバルが強敵ばかりのこともあれば、逆に緩いメンバーばかりで上位を狙いやすいこともあります。そこは毎回、全員がランダムなので条件は一緒です。別グループと競い合う要素はありませんので、ライバルは同グループ内の19人のみになります。少しでも参加すれば参加賞のアイテムがもらえますので、まずは気軽に参加してほしいですね。
――ランキング条件にタイムアタックはあるのでしょうか?
濱崎:システム的にはタイムアタックを入れることは可能ですが、そうなるとインタラプトランキングと近いものになってしまうので、入れていません。
中村:多くの方に遊ばれるクエストを中心にプレイしていただけるようなルールを考えています。スケジュールは今後発表しますが、実装直後は毎日開催される予定です。配信が少ない週などは多めに入れて、プレイするモチベーションに繋げられればと考えています。
濱崎:イベントのスケジュールとあわせて発表されるので、上位を狙いたい人は集中的にプレイしてください。
――多数の追加、改善点が発表されましたが、リファイン内容はいつごろから計画していたのでしょう?
中村:カメラ目線をカットイン目線より優先するのは、放送局で会一太郎さんから要望があった時に「なるほど!」と思い、その後すぐに着手しました。マイファッションをチャットコマンドで呼び出す機能は、マイファッションを入れた時から要望としてはいただいていました。まずは負荷を見たかったので入れていなかったのですが、要望が多かったので、クールタイムをつけた上で実装しました。
――使い道は多そうですね。HPが減ってきたら、服が破れるとか(笑)。
中村:もちろん、オートワードでそういう使い方も可能です。SGスクラッチ品のリサイクルは、当初からやろうとしていたのですが、トラブルがあり、同時実装できませんでした。遅くなりご迷惑をおかけしました。リサイクルでは、SGスクラッチ品が交換対象として並んでいるため、目当てのものでなかった時でも、数を集めればリストから欲しいものと変えられる仕組みになります。
――SGスクラッチは開発が想定されている程度、引かれているのでしょうか? それより上下しているのでしょうか?
酒井:当初の想定は超えていますね。
濱崎:傾向として、特定の方が非常に多く引いているようです。過熱ぎみになりすぎないよう、こちらから供給するSGの量を調整したり、アークスリーグでSGを入手できるようにしたりして、緩和・抑制していこうと考えています。
中村:ラインナップとして、そこまで多くの人が欲しがるものではないと思っていたのですが、なりきりプレイをしたい方が特に引いているようですね。ゲーム全体でSGをいろいろな使い道があるようにしていきたいと考えています。
濱崎:今後もラインナップの変更はゆっくりしたスパンで考えているので、SGをためていきただき、引いていただければと思います。
――ペットのシンクロウについて教えてください。
濱崎:いままでのペットでは、トリムに近いアタッカータイプになります。耐久値はそこまで高くないのですが、気絶したペットの次に出すと攻撃力があがる“なかまおもい”と、気絶したペットの次に出すと消費PPが軽減される“こうかつ”という2つの性格を持っています。トリムがやられてピンチになった時や、マロンを投げた後に出すと真価を発揮しますよ!
あとは、今までのペットよりもアクション要素を取り入れています。異なるPAを繋ぐことで、特定PAの威力があがったり、必殺技のシンクロウゲキで最大ダメージを出したりという仕組みがあります。
――立ち回りに他のペットとの組み合わせを意識することになると。
濱崎:そうですね。他のペットとの組み合わせを意識しつつ、コンボを繋いで戦うタイプです。うまいプレイを目指せると思います。
――シンクロウゲキが真価を発揮するのは、“異なるPAを4回繋いだ場合”ということですが、4種類のPAが必要になるのでしょうか? それとも2種のPAを交互に使っても成立するのでしょうか?
濱崎:ABABというように、2種類でも成立します。シンクロウダンとシンクロウザンの2種類を交互にやってシンクロウゲキに繋ぐのが、開発内ではよく見られました。こちらはご自身が繋ぎやすいコンボを使ってください。
――和風のキツネという特徴的なデザインですね。
濱崎:いままでカワイらしいペットが多かったので、カッコいい見た目にしています。格闘要素があったので、肉弾戦を駆使して戦う武闘派なペットとして仕様をまとめました。
――システムがあったうえで、デザインがまとまったのですね。
濱崎:今回はデザインが最初に出てきていて、他のペットのラインナップを考慮しながら、遊びを組みこんでいって形成されたペットです。
――新たなスキルリングが追加されるということですが、どういったものになるのでしょう?
濱崎:スキルリングは、“今までとは異なるプレイが可能になる”のが特徴です。そこに基づいて新たに作らせていただきました。
“アナザーランチャーモード”であれば『ファンタシースターユニバース』の時のグレネードのようなイメージです。通常攻撃の弾が放物線に飛ぶため、当てにくくなる半面、威力が上がったり、範囲が広がったりします。
あとは、便利なタイプでは“スタンディングサイン”があります。“スタンディングスナイプ”が有効な時に足元にエフェクトが表示されるものです。いつ効果が乗っているのか、わかりにくいので、初心者、中級者に使っていただき、不要になったら外していただければと思います。
――他に言える範囲で何かありますか?
濱崎:ジェットブーツのものとして、武器アクションを行っても属性が破棄されないようになるスキルリングがあります。破棄されて困る人は、そちらをつけていただき、最初に変更した属性で戦っていただければと思います。
――ギャザリングについて、ユーザーから要望が出ていると思うのですが、今後はどのようにしていく方針なのでしょうか? 修正はあるのでしょうか?
中村:ギャザリングについては、欲しいスキルリングが作り終わったり、一部の料理を作り終わったりしたら「やる必要がない」という状態になりますが、今後については素材の使い道を増やす形で、需要を高めることができないか、様子を見ながら検討しています。
濱崎:対象フィールドが増えていくことで、逆にプレイしにくいということもあるので、そこへの対策も考えています。アプリ『PSO2es』のクイック探索で、ギャザリングの素材が手に入るようにもなりますので、そこで昔の素材は手に入れていただきつつ、本編の改善にも手を入れていこうと思っています。
――映像中で潜在能力の上方修正が確認されていますが、こちらはあるのでしょうか?
濱崎:“限界駆動”についてですよね? こちらはLv.3でPP消費量が15%増加、威力が15%増加になります。もともと“限界駆動”については、少し性能が低いということで、上方修正を予定していました。
ラスベガスのドロップでヤスミノコフ4000Sがあり、これに“限界駆動”が入っています。上方修正でダメージを稼げるようになるので、手に入れた方はぜひ使ってください。
――その他に修正されるものはあるのでしょうか?
濱崎:ウェポノイドについている潜在能力はバランス調整されるものがあります。“跳空の撃”や“厳たる闘志”、“烈地の撃”の潜在能力は上方修正しています。あと、ウェポノイド潜在で新たに入る武器にも、潜在能力が入っているので、強化されたものがそのまま使えます。
――ラスベガスを出した理由について改めて教えてください。
酒井:地球の第2フィールドなので、日本ではないところを選びたいと思いました。可能ならば地球の有名な都市などをすべてできればいいのですが、それは難しいので、それであれば、いろいろなところを楽しめる場所がいいだろうと。
ラスベガスはそのきらびやかな様子が東京とも大きく差別化できると考えましたし、世界中の名所のレプリカ的な施設があるので、世界のいいとこ取りをできるということで、選んだのが経緯です。
――ランダムフィールドではなく固定にしているのは、高い再現度を見てもらうためなのでしょうか?
中村:東京では、都庁やタワーなどの名所は配置しつつも、クエストの自由度を重視し、明確にどこかの場所というわけではなく、「東京っぽい、どこか」という表現になっています。
ラスベガスは噴水のあるホテルが並ぶ大通りがあり、一方で昔っぽいネオンが輝くアーケードがあります。ラスベガスらしさをしっかり作り込みたくて、ランダムのマップではなく固定のマップにしました。
酒井:ラスベガスのクオリティは評判なのですが、この3人は行ったことがないんですよね(笑)。
中村:ディレクターとプロデューサー陣は行っていないのですが、たまたまマップ班やエネミー班のリーダーが過去にプライベートで行っていたので、意見を聞きながら監修しています。多くの人が想像するラスベガスらしさと、本来持っている雰囲気が融合した街になっていると思いますね。
酒井:僕は西海岸には行ったことはあるのですが、空など、空気感にはこだわって出してもらいました。
濱崎:あとは、アメリカというキーワードで連想する“ややベタ”なエネミーやデザインを入れています。
酒井:ハリウッドの映画で出てくる“ちょっと勘違いされた日本”のようなところもありますね。
――これまでにない“ライディングクエスト”の投入経緯は?
濱崎:今まで、新しいマップを追加しても、遊びが変わらなかったため、配信してもそこまで盛り上がらないという問題が黒ノ領域の配信時にあり、東京ではダッシュパネルを使った新しい遊びを提供しました。今回、ラスベガスでも新マップ追加に合わせて、そのマップならではの新しい遊びを提供し、新マップを盛り上げ、皆さんに楽しんでいただこうというのが、経緯です。
――“ライディングクエスト”はどのようなルールのクエストなのですか?
濱崎:こちらは、エネミー撃破とEトライアルのクリアでスコアを稼ぐタイプです。制限時間があり、その中でスコアを稼いでいきます。プレイ中にエンブレムタイムというスコアの倍率をあげるためにエンブレムを集める時間が3回あります。そこで、いかにエンブレムを集めて倍率をあげられるかがポイントになるかと。
――ライドロイドはどのようにして生まれたのですか?
濱崎:リアルな街並みのフィールドでどのような遊びを作るか、考えていきました。高低差があるマップで自由に動き回るにはどうしたらいいかと考えていく過程で、乗り物のライドロイドが生まれ、ライドロイドで縦横無尽に駆け回る時にどのような要素があるとゲームとして楽しいか、気持ちいいかということで、エンブレムを集める要素が出てきて、遊びが決まっていきました。
中村:「ラスベガスだからコインを集めるのがいいのでは?」という意見が、エンブレムになりましたね。高低差については、これまでにあったジャンプ台でもよかったのですが、それだと変わり映えしない。新しい体験ができるものを入れたくて、ライドロイドを用意しました。
――プレイしている様子を見たところ、A.I.Sとはまったく異なる印象を受けました。
濱崎:ライドロイドの操作性はA.I.Sとはまったく違いますね。最初はA.I.Sと同じような操作で作っていたのですが、それでは新しい乗り物を作る意味がないということや、爽快感が出ないということで、今のタイプになりました。少しクセがあり最初は慣れないと思うので、フリーフィールドで練習していただいて、“ライディングクエスト”で実戦投入していただければと思います。
中村:A.I.Sはプレイヤーの延長という操作になっていますが、ライドロイドは空を自由に飛べるので、操作性はかなり異なります。飛行操作のため、移動やカメラの上下左右が感覚と逆、ということがあると思いますが、オプションから上下や左右反転を設定できますので、違和感があったらお試しください。そのうえで操作に慣れるまで少し時間がかかるかも知れないので、移動を補助するエアフローなどもご利用いただければと思います。
――ラスベガスフィールドのボスとして、自由と女神とスフィンクスが合体して出てきます。こちらについて経緯などご説明ください。
中村:経緯としては、インパクトがあり、かつ楽しそうだから入れました。EP4の最初の企画書ですでに、幻創戦艦・大和と自由の女神を入れたいという内容にしていましたね。
酒井:当初は自由の女神のみの予定でしたが、そういうゲームはすでにあるので、ちょっと弱いと思いました。その後気が付いたら、スフィンクスに自由の女神が乗っていました。
(一同笑)
中村:ラスベガスには、ピラミッドとスフィンクスを模したホテルがあります。そこで、スフィンクスが走ってきた所に自由の女神が飛び乗るようなボス登場演出ができたらおもしろいだろうと思って、そういったところからも組み合わせたボスになりました。
酒井:PVでは飛び乗っていたのですが、ラスベガスには専用ボスエリアがなくフィールドに出てくるタイプなので、残念ながら登場デモをゲーム内で見る機会はなくなってしまいました。
濱崎:完全にイメージビデオですよね(苦笑)。
中村:個人的にはどこかで使いたいと思っています!
――アクション的には自由に姿を変えながら攻撃してくる様子を見てとれました。
濱崎:空中からコインを降らせてきたり……。
中村:ラスベガスっぽい!
濱崎:スフィンクスの目からビームを出してきたり……。
中村:ラスベガス……か?
濱崎:有名な塔で突いてきたり、有名な門になって落ちてきたりします。
中村:何でもアリ感がすごい。
――東京の時に、名所をボスとして出すことは考えなかったのでしょうか?
中村:ああ……都庁ロボ的な?
(一同笑)
酒井:ネタはありましたね。
濱崎:そうでしたね。でも、東京駅というロケーションもあったので、トレイン・ギドランが採用された経緯があります。
――“アークスフェスティバル2016”の見どころをお願いします。
酒井:見どころはたくさんあります。その中でも一番の見どころは小林幸子さんの生ライブです。ゲームで見た後に、生ライブを見られるのは“境界を超えるRPG”としてはやらなければいけないこと。お盆休みやコミックマーケット開催のタイミングだと思うので、地方から出てくる方にも来ていただければうれしいです。
全体としては、ユーザーの交流コーナー、コスプレコーナー、設定画コーナーがあり、あとは放送局などのステージイベントもあります。来場者特典も用意しています。フードコーナーもあるので、長い時間の参加でお腹が減ったらぜひそちらを利用してください。もちろん入場は無料です!!
――物販コーナーは早い時間からの開催になりましたね。
酒井:物販に長い時間並んでいて、ステージを見られないというのをできるだけ減らしたいと工夫しました。アークス訓練所については、人気がないところもあったのでテコ入れしました。以前はアイテムコードをもらえたのですが、ヨーヨーやステッカーなど、リアルなグッズをもらえるようにしました。
あとは小林幸子さんと放送局メンバー、僕と木村の等身大ポップがあります。
――本人と撮影はわかるのですが、開発者の等身大ポップは初めて聞きました。あえて聞きますが、なぜ作られたのですか?
(一同笑)
酒井:今回で放送局メンバーが最後になる。これまで記念撮影とかしてきていませんし、思い出作りにあってもいいのかなと。可能ならば本人と撮影するのがいいんですが、ステージが詰まっていますし、なかなか出ていけないんです。開発者の方はそのついでということで。最初は「等身大ポップはどうなの?」と思っていたのですが、プライベートで行ったイベントで自分がそのような等身大ポップと撮影する機会があり、記念としては意外にアリだと思ったので用意しました。
――エキシビションマッチの具体的な内容は?
酒井:ステージではコスプレ&クラフトコンテストがあります。今回は衣装だけでなく、武器や小物なども含めてのコンテストにあります。
あと、昨年はスタープレイヤー3人とタレントチームでの対決がありましたが、今年はプレイヤーとタレントを混ぜて実施しようと思っています。タレントチームは去年と同じで、一太郎くん、ニコラスくん、市来光弘くんです。スタープレイヤーは、アストレアさんはいますが、他2人は新しいメンバーになります。
濱崎:新旧世代のミックスも見どころですね。
酒井:優勝チームだけにうまい人がいるわけではない。スーパープレイだけでなく、勝負の行方も期待してください。
――放送局メンバーの入替にはどのような意向があるのですか?
酒井:『PSO2』と言うコンテンツが大きくなるにしたがって、お伝えすべき情報が非常に多くなってきて、“PSO2放送局”自体が当初の2時間から、3時間でもおさまらなくなってきました。3時間ともなるとなかなか生で観ていただくのも難しくなりますし、出演者への負担もあります。
もっとアークスの皆さんからの質問などにお応えする時間などがほしいと思っても、どうしてもこちらでお伝えする情報だけで終わってしまうことも多くありました。メンバーも増えてきて、ある意味煩雑になりすぎた感がありました。生放送に求めるものがベテランプレイヤーとライトプレイヤーとで違ったり、新たなプレイヤーにとっての入りにくさも感じましたので、思い切って変えてみようということになったんです。
――なるほど。
酒井:安定したものを続けることも選択の1つなのですが、EP4で地球を入れるというカンフルが投入されたことで、『PSO2』というものが持つ世界が大きく広げられたように、変えていくことで新しい血を入れて発展することがある。その方が『PSO2』としていいだろうということで実施を決めました。
ただ、我々が想像以上に「代わってほしくない!」という意見は多かったです。それは僕らにとっては長くやってきた意味があると思いましたし、3人にとってもすばらしいことだと思います。
――形として変わるようですが、生放送は続くわけですね。
酒井:もちろん続けます。別に『PSO2』が終わるわけでもありません! “PSO2放送局”が最初から今の形ではなかったように、新たな試みですので試行錯誤はゲームと同じようにしていくとは思いますが。これまでの放送局で培ったいいところは継承していくので、あまり不安に思っていただかなくてもいいかと。
個人的には、“PSO2放送局”のひと番組だけでなくてもいいと思っています。先ほども言いましたが正直な話、3時間は長すぎるんですよね。
――確かに短くはないですね。
酒井:現在の形は「ちょっとアップデート前に情報を出しすぎで攻略の楽しみが薄い」という意見もあります。そこで例えば全ユーザー向けの情報を出す番組では浅く広い最新の情報をお伝えし、より密なコミュニケーションを求める皆さん向けの、ユーザーさんからの濃い質問に答える番組でわけたっていい。
より番組の満足度やプレイへの楽しさをあげられないだろうかと考えつつ、大きくリニューアルをしようと考えています。
――そうなると気になるのは、東京ゲームショウのステージです。放送は行われるのでしょうか?
酒井:やる予定です。TGSは僕ら、開発メンバーだけでやろうと思っています。そこで新たなMCを含めてリニューアル後の展開を発表して、10月から新番組をやる予定です。アークスフェスでの発表を期待されている方もいるかもしれませんが、そこは卒業に集中してもらいたいですし。
――秋から冬にかけてのアップデートについて、言える範囲で教えてください。
中村:今後の話でいうと、12月には冬の大型アップデートを実施します。これまでであれば、レイドボスや採掘基地防衛戦を入れてきたので、今年も大きなボスが来るんではないでしょうか!
濱崎:大きなボスは鋭意制作中です。今までとは違う新しい感じのものになっているので、ぜひお楽しみに!
――大きなボスですか……そのころに地球の第3フィールドは入るのですか?
中村:まだラスベガスも配信していませんよ!? 入るかはわからないですが、ちょっと気が早いのでは(笑)。
濱崎:夏まではEP4やPS4で入ってきたプレイヤーに向けて、ライト・ミドル層向けのコンテンツを中心に配信してきたのですが、秋から冬にかけてはミドルやコア層向けのコンテンツも配信していきます。
――今年はEP4や幻創戦艦・大和以外にコラボの話題も多かったと思うのですが、秋以降はゲーム内のアップデートに寄って、コラボはそこまで多くないのでしょうか?
酒井:もちろんコラボがないわけではないのですが、夏までに比べると、コンテンツに寄っていきます。
――サービス開始当初と比べると、社内において『PSO2』にかかる責任、期待が増していると思うのですが、今後どのような運営・サービス展開をしていこうとお考えですか?
酒井:環境が変わり、求められるものが違ってきているものは感じています。ただ、5年、10年と続くコンテンツを目指して運営していくことは変わりません。
1つの目標はつねに飽きられない展開、驚きを入れていくことで、多くの方に楽しんでいただきたいということ。もう1つの目標は、より満足していただけるコンテンツを提供していきたいということ。特に今年の後半は、それらをより意識していきたいと思っています。
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
濱崎:4周年を無事に迎えることができ、アークスの方々には本当に感謝しています。ありがとうございます。EP4では新体験を提供するという、前を向いたアップデートをしてきたのですが、足元を見直して、満足いただいていないところにも手を加えながら、5周年に向けて全力で走っていきたいと思います。
中村:EP4のコンセプトの“新体験”は、今後の新たなコンテンツを作る際にも、しっかり意識して作っていきます。さらには『PSO2』でしかできない、オンリーワンのコンテンツを提供していきたいと思います。
あとは、期待にこたえられるものを出していきたいということと、予想をいい意味で裏切るようなものを提供していきたいので、今後ともよろしくお願いいたします。
酒井:これまで支えてきてくれた人には本当に感謝しているのですが、4周年で満足するのではなく、5周年、10周年を目指して驚きのコンテンツを提供していきたいと思います。
今年の夏は本当に熱い夏、お祭りのような状況になりました。その祭りの締めくくりとして、“アークスフェスティバル2016”に参加していただければうれしいです。イベントの最後にやる“リアルアークスダンスフェス”は、おそらく最後になると思うので、ぜひお越しいただき、一緒に踊ってください!
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