2016年8月22日(月)
ドイツ・ケルンで8月21日まで開催中のゲームイベント“gamescom”。3~5日目はビジネス目的でない一般プレイヤーの数もドッと増え、欧州のゲームファンの”熱”も最高潮といった雰囲気でした。というわけでレポート最終回となる今回も、体験できた各種ゲームタイトル/コーナーの紹介を中心に会場の熱気をお届けしていきます。
なにはともあれ、まずはここまで並ぶことすらできなかった『Battlefield1』を遊ぶべく真っ先にエレクトロニック・アーツ社のコーナーへ。早めに会場入りしてすぐ向かったおかげで、4時間半並んだだけでプレイできました。いやー運がよかった……のか? まぁ、3日目の大多数の時間を使うことになりましたが、今年の“gamescom”全ホールで最も人が集まっているタイトルですからね。どうしても体験はしておきたいわけです。
PC版で、Xbox 360コントローラ+キーボードにてプレイ。残念ながら筆者はFPSに不慣れなため、初心者が遊んで楽しめるか……といった点にも重きを置いて紹介していきます。
遊べたのは、特定エリアの占領を目指す“コンクェスト”ルール。マップは、起伏のある砂丘に岩山や集落が点在する“シナイ砂漠”でした。兵科を選び(ある程度重武装のAssaultを選択)、戦場での初期出現地点を選択して戦闘開始。味方の位置や占領対象エリアはミニマップにもゲーム画面にもマーカーで表示されており、目指すべき場所がひと目でわかるのがありがたい。操作的にも、基本的には“撃つ”“走る”“かくれる”さえできていればあとは照準の腕と状況判断しだいで戦える=難しい操作がさほど必要ないため、ゲームの敷居自体は高くないのかも? まぁ、とっさの照準と状況判断こそが何よりも難しそうなわけですが……!
筆者はプレイ開始直後に味方とともに進軍したところ、いきなり敵の戦車と遭遇。なすすべなく倒されることになりました。戦場にある車両や設備を自由に扱えるだけに、それを利用する知識と工夫がより生きそうですね。死亡後は再出現地点を選ぶわけですが、同じ場所にリスポーンしても状況を覆せそうにないため、味方の車両と思しきマーカーのある地点を選択。すると味方の操作する車に乗り込んだ形で復活でき、搭載されたマシンガンで敵兵を数人倒すことに成功しました。
とはいえ筆者の位置では車の右側面しか撃てず、敵もすぐ障害物に隠れてしまって、なかなか狙いがつけられません。運転する側も、搭乗者が敵を狙えるよう車の位置取りを工夫する必要がありそうです。このように、単なる兵隊同士の撃ち合いに留まらない、戦況に応じて味わいの異なる戦いを楽しむことができ、しかも自身が戦場でとれる行動の幅は非常に広い――。まだほんの少し触っただけとはいえ。本タイトルの奥深さは確かに感じることができました。
ゲーム本編を冒頭から(オープニングムービーなどはなく、自分で操作可能な最初のタイミングから)遊べるバージョンで体験。故障した車をノクトたち4人が近くのパーキングエリアまで運び、そこで修理に必要なお金を稼ぐため付近の害獣駆除を請け負い……という流れののち、敵とのバトルのなかで、本作のアクションやシステムに触れられる内容となっていました。今回は序盤の展開のネタバレは避け、主にアクション部分のプレイ感を語ります。
公開されている映像を見た限りではかなりアクション性が高そうでしたが、攻撃は基本的にボタンを押しっぱなしでも発動し、防御やパリィも、必要なタイミングで画面に“このボタンを押せ!”的なポップアップが表示されるうえ、そもそもボタン押しっぱなしで回避や防御を自動発動可能。バトルではどの敵を狙うか、位置取りをどうするか、次の行動に何を選ぶか考えることが重要となり、操作そのものは易しめであるようでした。
アクションはシステムが大いに補ってくれて、プレイヤーにとっては行動の選択こそが重要となる……見た目には激しく動き回るけど、”ああ、ちゃんとRPGだな”と感じられる独特のプレイ感。新鮮かつ、触っていて単純に楽しいと感じられました。
ただ、プレイしていて多少疑問に思う部分もいくつか。例えばフィールドでは主に走って移動することになるわけですが、走り続けるとST(スタミナ)ゲージが減っていき、なくなると数秒動けなくなります。ところがバトルではこのSTの要素は存在せず、主にシフトブレイク(瞬間移動しつつの攻撃)や魔法などを使う際に必要となるMPこそが“スタミナ”的な役割を担っている形。ならば、“フィールドで走る際のSTゲージは必要かな……?”などなど。
とはいえ、細かい部分での疑問点はありつつも、バトル面からゲームとしての楽しさは感じられたし、物語も、映画や周辺情報を観る限り本当にワクワクするつくり。発売延期にともないゲームとして細かな部分がシェイプされ、刻一刻とよくなっているという話なだけに、最終的なクオリティにはおおいに期待ができそうです。
毎日会場に足を運んでさまざまなコーナーを見ましたが、今回個人的に最も見ていて楽しかったのは、10ホールの1階にあった技術展示コーナー&インディーズゲームコーナー。驚くほどの技術と、欧州ゲームファンの熱気がつぶさに見て取れた本区画の様子をご覧あれ。
▲多数の人が集まっていたのは、VRヘッドマウントディスプレイと、画面に連動して上下左右に揺れ動く椅子とで味わうジェットコースターアトラクションでした。風と重力がないだけで、それ以外の体感はまさに絶叫マシーンそのもの。 |
上の写真はVRヘッドマウントディスプレイ+人を吊り下げるモーションキャプチャー設備によって仮想空間でパラグライダーを操作し、空中遊泳を楽しめるコンテンツ。プレイヤーが見ている景色は画像右側のモニタに表示されています。両手でキコキコ交互にロープを引っ張って風を受ける角度を調整し、少しずつ目的地へと移動していく……という操作方法である様子。残念ながら体験はできませんでしたが、浮いている感覚のリアリティはかなりのものでありそうです。
▲PCでロボットを操作してボールをシュートするコンテンツも。この区画には多くの新しい技術が持ち寄られ、多くの人々が興味深そうに眺めて/体験していました。 |
こちらはインディーズタイトルコーナー。この区画では制作者が個人で作り上げた作品が集まり、訪れたお客さんと制作者が近しく語り合いながらゲームを楽しんでいました。お客さんが”これ遊びたい!”とばかりにグイグイ制作者に話しかけたり、積極的にゲームについて質問したり、感想を素直にぶつけて意見を交わしたり……と、かなりの熱気。
ゲームファンたちは貪欲に楽しいものを求めているんだな、という感想を得ると同時に、なんだか子どもの頃に友人たちとゲームの話で大いに盛り上がっていたときの感覚を思い出し、懐かしくも、少しうらやましくもあり……、TOKYO GAME SHOWにもインディーズコーナーはあるけれど、こういった“原風景の熱気”みたいなものは見られなかったなあとさびしくも感じ……本来ゲームってもっとこういう身近に楽しむ感覚あってのものだよなあ、と……。うーん、うまく言葉にできないですが、とにかく制作者とプレイヤーの距離の近さが印象的なコーナーでした。
これにて本年のgamescomレポートは終了。筆者としては、ヨーロッパ最大のゲームイベントとしての規模感の大きさ、そもそもの欧州プレイヤーのゲームに対する熱意がおおいに見られたイベントだと感じられました。数週間後には東京ゲームショウも控えているだけに、そちらでどんな熱気を味わえるかも楽しみですね。