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2016年9月18日(日)

『聲の形』でこだわったのは“聞こえ”だけではない物質としての音。声優陣と監督が初日を迎えた想いを語る

文:たけのこ

 9月17日に公開された京都アニメーションによる劇場アニメ映画『聲の形』。その初日舞台あいさつが、新宿ピカデリーで行われました。

『聲の形』

 『聲の形』は、監督を山田尚子さん(『けいおん!』、『たまこラブストーリー』など)が、脚本を吉田玲子さん(『ガールズ&パンツァー』など)が、キャラクターデザインを西屋太志さん(『氷菓』、『Free!』など)が担当する、大今良時さん原作の劇場アニメ。

 舞台あいさつには入野自由さん(石田将也役)、早見沙織さん(西宮硝子役)、金子有希さん(植野直花役)、石川由依さん(佐原みよこ役)、潘めぐみさん(川井みき役)豊永利行さん(真柴智役)、松岡茉優さん(石田将也“小学生”役)らキャスト陣と山田尚子監督が登壇。

 それぞれが初日を迎えた想いを一言ずつ観客へ伝えた、和やかな雰囲気の舞台あいさつとなりました。

『聲の形』

ひと言あいさつ

入野:こんなにたくさんの方にお越しいただいてうれしいです、ありがとうございます。この作品は、重いテーマを扱っていますが、核の部分は繋がりたいのに繋がれない、伝えたいのに伝えられない、そんな人とのディスコミュニケーションの部分を描いています。

早見:初日に観に来てくださってありがとうございます。この作品は個性的なキャラクターがたくさんいるけれど、みんなでひとつの人間というような気がしています。きっと誰もが共感できる作品になっていると思います。

松岡:小学生の将也を演じました。始めは(将也は)いじめっ子で目を塞ぎたくなるようなこともあって、なんでこんなことをするんだろう、と思っていたんですが、山田監督が将也を「純粋無垢なヒーロー」とおっしゃいました。

 ちょっと見方を変えてみると、ようやく少し理解ができて将也という少年に愛をもって演じることができました。今では全員が愛すべきキャラクターです。

役どころについて

早見:聴覚障害をもっている女の子なので、最初はどうやったらいいんだろうと思ったのですが、アフレコの前に山田監督と(音響監督の)鶴岡さんとお話する機会がありました。

 その時、硝子は「伝えたいのに伝えられない、もがいて、必死に生きているふつうの女の子」ということを聞いてから、作りこまずに演じることができました。

 硝子は人間味にあふれていて、絵の細かい部分で硝子のかわいらしい一面が描かれているので、ぜひ注目してください。

入野:山田監督に高校生の将也は、“大きな小動物がおびえている感じ”という例えをもらったのでそれをよりどころにして演じました。

松岡:私は「ハンバーグって感じでお願いします!」と言われました。(笑)。私がこの舞台挨拶にいるのは、監督の熱烈なオファーですよね!? 名だたる声優さんの中に私のような新人俳優が……そこは強めにお願いします(笑)!

山田監督:松岡さんが出演されているドラマが好きで夢中になっていたんです。その時の松岡さんの役と、小学生将也がどこかつながる思いがしたので、ダメ元でオファーさせてもらいました!

 本作で特にこだわったのは、“聞こえ”だけではない物質としての音。振動として体に伝わる音、というものも大切にした、彼の生きている世界まで悩まないように将也を包む世界の美しさを、丁寧に作りたいと思いました。

観客へメッセージ

入野:この作品の魅力は、正直にまっすぐな感情を描いているところです。皆さんに純粋に感じ取っていただけたらうれしいです。

早見:初日に観に来てくださってありがとうございます。“こえ”にならない“こえ”がいっぱいつまっていて、開けたくなかったひきだし、思い出すのも忘れていた子供の頃のひきだしがこじ開けられる作品です。それでも開けることを厭わずにまっすぐ観ていただければと思います。

山田監督:昨日、主題歌を担当してくださったaikoさんがライブでこの曲を初披露するということで、お会いしてお話したのですが、原作への愛情がすごい熱量で伝わってきました。

 aikoさんあふれちゃってました(笑)この歌にはその想いがすごく詰まっていると思います。まっすぐな心を描いた、(心を)むきだしにして作った作品です。愛情を持ってスタッフ皆で一生懸命つくりました。どうか皆さんの明日に繋がる希望になりますようにと、願っています。ありがとうございました。

■『映画 聲の形』作品情報
【キャスト】(敬称略)
・入野自由(石田将也)
・早見沙織(西宮硝子)
・悠木碧(西宮結絃)
・小野賢章(永束友宏)
・金子有希(植野直花)
・石川由依(佐原みよこ)
・潘めぐみ(川井みき)
・豊永利行(真柴智)
・松岡茉優(石田将也“小学生”)

【スタッフ】(敬称略)
・原作:『聲の形』大今良時
・監督:山田尚子
・脚本:吉田玲子
・キャラクターデザイン:西屋太志
・美術監督:篠原睦雄
・色彩設計:石田奈央美
・設定:秋竹斉一
・撮影監督:髙尾一也
・音響監督:鶴岡陽太
・音楽:牛尾憲輔
・主題歌:aiko『恋をしたのは』
・音楽制作:ポニーキャニオン
・アニメーション制作:京都アニメーション
・製作:映画聲の形製作委員会
・配給:松竹

(C)大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

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