2016年10月8日(土)
『ゼーガペインADP』花澤香菜さんにインタビュー。今、改めてカミナギ・リョーコを演じた気持ちは?
10月15日から2週間にわたって新宿ピカデリーや、作品の舞台である千葉県舞浜にあるシネマイクスピアリなど全国8館の劇場でイベント上映されるアニメ『ゼーガペインADP(以下、ADP)』。本作にカミナギ・リョーコ役として出演している声優・花澤香菜さんにインタビューを行った。
花澤さんには、『ADP』のことだけではなく、10年前に放映されたTVアニメ『ゼーガペイン』のことなども含めていろいろと語っていただいた。まもなくイベント上映が開始となる『ADP』を心待ちにしているファンは、ぜひご一読いただきたい。
――2006年にTVアニメ『ゼーガペイン』のカミナギ・リョーコ役を演じ、改めて『ゼーガペインADP』でカミナギを演じてみて、いかがでしたか?
▲花澤香菜さん。 |
花澤さん:TVアニメ版のころは私自身がカミナギと同世代の17歳で、アフレコのレギュラーとしては2回目の作品でした。しかも、こんなにしゃべる役というのは初めてだったんです。ほぼ素人の状態だったんですけど、体当たりでカミナギを演じさせてもらっていました。
3年前にパチスロの『ゼーガペイン』があって、久しぶりにカミナギを演じたんですけど、演じられるのか不安いっぱいだったんです。その時は自分で満足できなくて落ち込んでいたんですけど、先日の10周年記念イベント(7月16日に開催された10周年イベント)で『ADP』の収録前に朗読劇でカミナギを演じる機会がありました。
そのイベント用パンフレットの撮影時に、川澄さんがぽろっと「10年経ったけど、しゃべり方とか自分の中身とか、そんなに変わらないよね」とおっしゃっていて、それにハッ! とさせられたんです。
その言葉のおかげで当時に戻ろうとは思わず、自然体でやってみたらどうなるのかなと思うようになりました。その結果「これだ!」と納得できる演技になって、『ADP』のアフレコに臨めたんです。今一番しっくりくる形でカミナギを演じられたかなと思います。
――ソゴル・キョウ、カミナギ・リョーコ、ミサキ・シズノの3人について、『ADP』ではどんな様子なのかを教えてください。
花澤さん:TVアニメのカミナギは、途中でパイロットになったりしてどんどん状況が変わっていくじゃないですか。でも『ADP』のカミナギは青春部分がしっかり描かれていますから、もともと彼女がどんな女の子だったのかよくわかります。明るくて素朴で、青春時代を精一杯楽しんで生きているんだなって。
▲花澤さんが演じているカミナギ・リョーコ。 |
キョウちゃんは、TVアニメの最初のほうは水泳バカで、熱い等身大の男の子という感じでした。でも世界がループしていることを思い出してからは、抱えるものが大きくなっていきます。『ADP』のキョウちゃんはちょっと大人っぽく感じるところがあったり、結構恋愛してたんだなって思うところもあって(笑)、キョウちゃんの新しい一面を発見できたのがうれしかったです。
▲ソゴル・キョウ。 |
シズノ先輩もキョウちゃんと同じ感じですね。『ADP』ではキョウちゃんとシズノ先輩の絡みが結構描かれていて、TVアニメでのミステリアスな感じとは少し違うかな? キョウちゃんとの間で、なんと言いますか“2人だけの空間”ができあがっているようで、カミナギを演じる身としては少し悲しくなりました(笑)。
▲ミサキ・シズノ。 |
――キャストの方々と久しぶりに集合しアフレコをしてみていかがでしたか?
花澤さん:いろんな人に「何歳になったの?」って、何回も聞かれました(笑)。『ゼーガペイン』のころにお会いした人たちは、(当時17歳の)私が制服だったころの印象が強いとおっしゃるんですよ。今でも他の現場でお会いする人たちばかりなんですけど、改めて『ゼーガペイン』で集まって、「そりゃあ時は経つよね」と話していました(笑)。
――アフレコの空気はいかがでしたか?
花澤さん:久々なので、設定やしゃべり方について思い出話をしました。TVアニメをやっていた時はシリアスな展開が多くて、わからないことがあったら下田監督か浅沼さんに聞いてみようという緊張感があったんですけど、今回はみんなでリラックスしながら、和気あいあいとした感じでした。
やっぱり皆さん変わられていないですね。他の方がどう思われていたのかはわからないんですけど、皆さんの演技を見ていて「あのキャラがしゃべっているよ~」とか(笑)。とってもうれしい気持ちになりました。
――スタッフの方についても教えてください。
花澤さん:TVアニメの時は明田川仁さんが音響監督をなさっていたんですけど、当時は音響制作を担当していた濱野(高年)さんが、パチスロや『ADP』を録ってくださいました。
濱野さんもTVアニメの時から作品に関わっている方なので、他の皆さんと同じような気持ちになられていたんじゃないのかな。他にも下田監督やハタイケさん(デザインディレクターのハタイケヒロユキ氏)たちのお話を聞くと、ずっと『ゼーガペイン』のことを考えていたんだろうなって思うくらい『ADP』に熱量が込められていました。
私よりも下田監督のほうが作品に対して表現したい想いがいっぱいあるはずです。10年間変わらずに、少年のようなワクワクする気持ちをずっと持ち続けていて、それが『ADP』で表現されていると思います。
――『ADP』の脚本を最初にご覧になった時の感想は?
花澤さん:下田監督から“新しいゼーガペイン”になるとは伺っていたんです。でも前のカットも使うだけじゃなく新規カットも作って、新しいキャラクターを出して……と、どんな作品になるんだろうって、最初は予想もつきませんでした。
脚本を読んだ時、本当に新しい『ゼーガペイン』になっていて、これは渾身の作品だなって思いました。『ゼーガペイン』の設定をフルに生かしていて、同じようなシーンがあるんだけど、セリフが少し違っていたりとか。懐かしさを与えつつも、どんどん新しい物語に引きこまれていくという絶妙さに驚きました。
――コンテを事前に見せていただきましたが、コンテの1シーンだけを見ると、TV版のあのシーンだろうなと思えたりするんですけど、いくつかのシーンのコンテを続けてみるとまったく別のものになってるんですよね。
花澤さん:そうなんです。私たちも台本を読んでいるだけじゃわからないねって話していて、映像を見てわかるところがたくさんあると思います。
――新キャラクターについても伺いたいのですが、TVアニメ版でも名前だけは登場したカノウ・トオルが登場しますよね。
▲カノウ・トオル。 |
花澤さん:TVアニメ版だと、劇中でカノウ・トオルという名前は大きく扱われていたじゃないですか。でも実際には描かれていなくて、どういう人なんだろうと思っていました。
実際に見てみたら、結構なナルシストな男の子で、ああいうのがカミナギのタイプなのかなって(笑)。カノウ・トオルもカミナギの先輩という役回りだけじゃないので、彼の立ち位置も『ADP』の見どころだと思います。
ルーパに関しては、カミナギとはあまり絡まないんですけど、『ゼーガペイン』の世界観としては、AIですけどかわいらしい女の子です。もし『ADP』に続きがあるとしたら、彼女がどうなったのかが知りたいですね。
▲ルーパ。 |
――『ADP』のお気に入りのシーンやセリフは?
花澤さん:新キャラクターでコハクラ・ナツミという女の子がいるんですけど、彼女とキョウちゃんとのやり取りです。とても意味深なところもあるので、注目して見ていただきたいです。
▲キービジュアルでシズノの奥にいるのがコハクラ・ナツミ。花澤さんが意味深なところもあると言う“キョウちゃんとのやり取り”とは……? |
ミズキとは違う健康的なかわいさで、高校生のころにこういう女の子と出会ってたら憧れちゃうなって思う女の子ですね。また、主にカミナギがたくさん話すのはキョウちゃんやミズキなんですけど、キョウちゃんとの水族館のシーンはすごく懐かしい気持ちになりました。
セリフ自体はTVアニメ版から大きく変わったわけではないんですけど、新しいセリフもあったりしてカミナギとしてはとっても楽しいデートでした。10年経ってからキョウちゃんと初々しいデートができるなんて思いませんでした(笑)。
――花澤さんにとって『ゼーガペイン』とはどういう作品なのでしょうか?
花澤さん:存在が大きすぎて、ぱっと言葉が出てこないです……。アニメデビューは14歳なんですけど、その時オーディションに呼んでくださったキャスティングの方が『ゼーガペイン』のキャスティングの方と同じ方で、運のよさなのか、運命なのか、理由の付けられない何か……なんだろうなって。それと17歳の女の子を使おうとした、監督さんたちの清々しい決断ですね(笑)。
しかも(キョウ役の)浅沼さんもアニメの出演が初めてで、アニメに慣れていないもの同士で支え合えるみたいな感じにさせてもらったのも、私にとってはよかったんだと思います。あの時は本当に手探り状態で。周りの役者さんにも優しくしていただきましたし、『ゼーガペイン』がなかったら、今の私は何していたのかわからないですね……。パン屋でずっとアルバイトをしていたのかもしれません(笑)。
私にいろんな出会いをくれた作品で、その作品が皆さんにずっと愛されていて、本当に『ゼーガペイン』ってすごい作品なんだなって思います。
――先日の10周年記念イベントでは大勢のファンが参加されていましたけど、TV放送から10年経った今でも多くの方から愛されているというのが実感できますよね。
花澤さん:ここまで愛される作品に出会えたことは、本当にうれしいことだと思います。「待ってました!!」というよりは、静かに心の炎を燃やしていたような「ずっと、応援していましたよ」っていう感じがしています(笑)。
今までもファンの方々が有志で、8月31日になるたびにイベントを開催されていて、ここまで老若男女が応援してくれている作品になるなんて、当時は思いもよりませんでした。ファンの方とスタッフさんの気持ちがここまで重なるというのはなかなかありませんし、素敵なことですよね。
ただ、10周年記念イベントではそんな皆さんの前で朗読劇をやることになって、とても緊張しました。でも、本当に熱心に聞いてくださっていて。イベントでは朗読劇だけじゃなく生演奏やライブなども行われて、私自身忘れられない時間になりました。
――『ゼーガペイン』が10年間も愛され続けた理由はどこにあると思いますか?
花澤さん:10年前の作品ですが、どんなシーンがあったのか、どんなセリフを演じたのかをよく覚えているんですね。本当になんでもないようなシーンにたくさんの意味があって、いろんな人の気持がこもっているからこそ記憶に残っているんだろうなって思います。
キョウちゃんの言葉は、ひとつひとつが心に突き刺さるというか、心に響くものがとても多いです。SF的なところもあるけど、生きていく中で感じた痛みや、自分に投影できる何かがたくさん散りばめられているんだと思います。先日のイベントでは下田監督が、「(ここまで愛され続けている)理由がわかったらあと10年は戦える」っておっしゃっていましたね(笑)。
それと、『ADP』のアフレコが終わった後、皆でご飯を食べに行ったんですね。私はキャストの皆さんと食べていたんですけど、スタッフさんのテーブルが本当に盛り上がっていて(笑)。次の展開やおもちゃのこととか「こういうことをしたいよね」って話が尽きることなく続いていたのが印象深かったです。まだまだ終わらない作品だなって感じました。
――最後に、TVアニメから10年経って新しい『ゼーガペイン』が始まりますが、それを待ち続けたファンや、ここから『ゼーガペイン』に触れる方に向けて、メッセージをお願いします。
花澤さん:TVアニメでは名前だけしか登場しなかったキャラクターが登場したり、伏線が回収されていたり、さらに新たな謎が生まれたり……待ち続けてくださった方々なら、また『ゼーガペイン』の世界に引き戻される作品になっていると思います。ぜひ何度も見ていただけたらと思います。
そして、ここから『ゼーガペイン』に触れる方は本当にラッキーだと思います。『ADP』を観てからTVアニメを見ることでいろんな驚きが体験できるはずです。私たちはTVアニメ版を最後まで知っているので、その驚きが体験できなくて本当にうらやましいです。
きっと『ゼーガペイン』はまだまだ終わらない予感がしますので、『ADP』を応援していただいて、次の展開を期待していただけたらと思います。
いよいよ10月15日からイベント上映開始となる本作。入場者特典として、10月15~21日にかけてはソゴル・キョウまたはミサキ・シズノのイラストミニ色紙が、22~28日にかけてはカミナギ・リョーコまたはカノウ・トオルのイラストミニ色紙がプレゼントされる。
いずれもキャラクターデザイン・山下明彦描き下ろしとなっており、先着順でなくなり次第配布終了となる。
またイベント上映初日となる10月15日には、舞浜と新宿で浅沼晋太郎さん、花澤香菜さん、川澄綾子さん、下田正美監督による初日舞台あいさつが行われる。詳しくは、公式サイトで確認してもらいたい。
▲こちらは入場者特典(2週目)としてプレゼントされるカミナギ・リョーコのイラストミニ色紙。ソゴル・キョウたちの色紙の画像は公式サイトでチェックしよう! |
■アニメ『ゼーガペインADP』イベント上映
【公開期間】2016年10月15日~28日
【上映館】
東京……新宿ピカデリー
千葉……シネマイクスピアリ
神奈川……横浜ブルク13
埼玉……MOVIXさいたま
愛知……ミッドランドスクエアシネマ
大阪……なんばパークスシネマ
北海道……札幌シネマフロンティア
福岡……福岡中洲大洋
(C) サンライズ・プロジェクトゼーガADP
(C) サンライズ・プロジェクトゼーガ