News

2016年10月21日(金)

『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』の“これまで”と“これから”を2人のキーマンに直撃!

文:カワカミ雁々

 セガゲームスがサービス展開するスマートフォン用アプリ『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~(以下、アンジュ)』の開発者にインタビューを行いました。

『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』

 9月26日に大型アップデートが実施され、新章“世界ノ敵”編がスタートした『アンジュ』。7月~9月にかけて放送されていたTVアニメの彩城天音(声優:田村ゆかり)や蒼月紗夜(声優:寿 美菜子)といったメインキャラクターたちを中心とした新シナリオもスタートしています。

 そこで『アンジュ』の開発に深くかかわる、運営ディレクターのセガゲームス 柿本公正氏と、第2風紀委員たちや主人公の天音などのキャラクターデザインをしたメインイラストレーターのササギコウシ氏にインタビューを行いました。本作の“これまで”と“これから”について伺いましたので、ぜひご覧ください。(※インタビュー中は敬称略)

『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』
▲柿本公正氏
『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』
▲ササギコウシ氏

アニメの放送、そして大型アップデートへの反響

――9月26日に大型バージョンアップが行われ、新たに彩城天音を中心にしたストーリーが始まった『アンジュ』ですが、このアップデートについてユーザーの反響はいかがでしたか?

柿本:アニメ以前のキャラクターが好きだった層からの反発などもなく、非常にスムーズに移行できたかなと思っています。いわば“アニメの続き”として皆さんに受け入れてもらえたかな、と。

 TVアニメの放送が始まる前から、アプリ内に紗夜をはじめとしたアニメのメインヒロインたちを先行登場させたりして、存在を浸透させていったことも功を奏したのではないかと思っています。

『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』

――今回のアップデートにおいて、やはりアニメの存在は大きかったのでしょうか?

柿本:はい。弊社はKADOKAWAさんと共同原作者という立場でアニメ製作にも携わってきました。 私たちとしてはすでにアプリを楽しんでくださっている方、アニメから興味を持っていただいた方、そしてそのどちらも知らない方のいずれにも楽しんでもらえる作品にしたいと思っていましたので、アニメのことは非常に意識していました。

 今回ストアアイコンも、新主人公となる天音に変えたんですが、実は、アイコンを美海以外のキャラクターに変えたのはこれが初めてだったんです。どんな評価を受けるかとても緊張しましたが、いままでプレイしてくれていたみなさまにも好評いただくことができ、新規の方には、アイコンが変わって雰囲気の変わったアンジュを楽しんでいただけているのではないかと思っています。

――ユーザーから好意的に受け止めてもらえたというわけですね。

柿本:アニメをきっかけに始めてくださった新規の皆さんはもちろんなのですが、しばらくアンジュから離れていた方の復帰も多く見られてうれしいですね。遊んでくれる方が増えて、盛り上がっているなと感じます。

――アニメに続いてアプリでも重要な役割を果たす彩城天音ですが、彼女のデザインについて意識したことや制作過程でのエピソードなどがあればお話しください。

ササギ:アニメの中心となったプログレスの5人は、色もはっきりしていてわかりやすいキャラクターたちだったので、天音は、あえて落ち着いたデザインにすることを考えました。誰ともかぶらず、あまり前に出すぎず、でも親近感を感じる存在になるよう意識しました。目だけは鮮やかにしたんですが、それ以外はくせっ毛の部分にちょっと自分の好みを出したくらいで。あ、胸は少しだけ大きめにしました。そうしたら、アニメでは結構ムチムチなキャラになっていましたね(笑)。

――結構ナイスバディですよね(笑)。

ササギ:最初、天音はもうちょっと繊細なキャラクターだったんです。それが、設定が進んでいく中で、明るくて元気だけどコミュニケーションが下手、そんな子に変わっていきました。制服のスカートが白いのもプログレスとαドライバーの違いというだけでなく、どの色にも染まってしまう危うさ、みたいなものをイメージしていて。でも、いつの間にかすごく明るい子になっていて。でも、それがあのチームには合っていてよかったですね。

――落ち着いたデザインと言われましたが、そのなかで特に力を入れた部分などはありますか。

ササギ:髪型というか、頭ですね。他のキャラクターたちのサポート役にまわる、という立ち位置から、目立ちすぎないようになど考えました。実は、最初に描いたらの遥(“第2風紀委員”編の主人公)に似てしまって……そこから髪型のパターンをたくさん作って検討しました。

『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』
▲東条遥
『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』
▲彩城天音

ササギ:あと、僕はキャラクターを作る時に“頭にワンポイント置く”ということを意識しているんです。他の世界のに比べ、青の世界のキャラクターは個性が出にくいと感じていたので、色々考え今の髪型に至りました。アニメを観た方の感想で「頭に角砂糖が付いてるみたい」というのを見て、実は本当にちょっと角砂糖をイメージした小物だったので、ちゃんと伝わったなとうれしく思いました。

――あれは角砂糖をイメージしていたんですね……! なぜ角砂糖なのでしょうか?

ササギ:コーヒーに砂糖を入れて苦さを中和するような存在をイメージしているんです。

テーマは“成長”。旧キャラクターも今後ばっちりフィーチャー!

――アニメの要素が加わったことで、これまで登場していたプログレスたちはどうなるのか気になっているのですが、どのような展開を考えられているのでしょうか?

ササギ:私たちのもとにも「主人公が遥じゃなくなって寂しい」という意見は届いていて、それはそれでうれしく感じました。

柿本:実はオープニングムービーの最後のほうに、一瞬だけ遥の後姿が出ているんですよ。

ササギ:そうなんです。ちょっと大物感がある描かれ方なので、遥の活躍にも期待してほしいなと思います。

柿本:もちろん、これまでの『アンジュ』に登場していたプログレスたちも、今後しっかりフォローしていきます。風紀委員のメンバーもそうですし、レボ部の子たちも同様ですね。

――アップデート後には眼鏡をかけたテオが出てきましたね。

『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』

ササギ:もともと彼女を好きでいてくれた方たちには、あまり変わりすぎない方がいいのかな、と思い、ちょっとだけ成長を見せる、という形を選びました。第2風紀委員編に登場していたキャラクター達がどう変わるか、それはこれから考えていきたいと思っています。

柿本:彼女たちもまた、ウロボロスとの戦いから1年がたって成長しています。テオも進級して、ああやって地味な事務仕事を手伝うようになったりしているわけですね。そういった新しい姿をお見せしていきたいと思っています。

――なるほど、成長した彼女たちが見られると。

柿本:はい。1年が経ち、成長した先輩たちの背中を見て成長していくという感じでしょうか。でも、プログレスを成長させるのはやはりαドライバーなんですよね。つまり皆さんなんです。これまでアプリに出ていたプログレスだけでなく、アニメのヒロインたちもαドライバーである皆さんの手によって成長していくことになると思います。今回、プログレスになった天音も同様に皆さんに成長させていただきたいと思っています。

『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』

――アニメのヒロインたちは闇堕ちした仲間と戦って一皮むけた気がしますが、さらに成長すると。

柿本:いや、私はヒロインたちはまだ成長しきっていないと思っているんですよ。

――えっ!?

柿本:あれは、あくまでわだかまりが解けたことでマイナスが0になっただけで、まだまだスタートラインに立っただけなんじゃないかなと。彼女たちは、これからαドライバーさんたちの手によって成長していくんですよ。本当の成長はアプリ版の『アンジュ』で! という気持ちでいます。

『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』

――プログレスの成長をテーマにするということは、新しいプログレスの登場よりも既存プログレスの掘り下げがメインになるのでしょうか。

柿本:そうですね。アニメ版のヒロインたちを含めたプログレスたちのストーリーを中心に据えていくつもりです。天音がなぜプログレスになってしまったのか、本当の彼女の持つ能力はなんなのか、などもしっかり描いていきたいですね。また、その方針はシナリオだけでなく、キャラクター強化のシステムなどについても同様で、αドライバーさんと5人のアニメキャラクターたちが天音の成長を支えていく、というのが今回のアップデートの軸になっているかなと思っています。

――システムでも“可能性解放”のようにさらに成長を促す機能が入りましたが、システムやUIについて、普段から意識したものや、これから変えていこうと思うものはあるのでしょうか?

柿本:システムでは、既存のお客様が遊びやすくなるように、というのは意識しています。“可能性解放”は、今ある『アンジュ』の世界を大切に育てていき、いつまでも自分のお気に入りのキャラクターたちを伸ばしていくためのものです。これは継続的に続けていくものですね。むやみに新キャラを投入するということではありません。

 基本的には、エクシーズバトルが根底にあるというところは変えない方向です。ただ、今あるレイドのシステムが派生していく、ということはあるかもしれません。

――今回、第2風紀委員編から1年後という設定になっていますが、ゲーム内時間が経つというのはめずらしいのではないでしょうか?

柿本:そうかもしれません。でも、終わらない話はつまらないんじゃないかと思うんです。キャラクターについても、1年が経ち、みんなを引っ張っていく子、これから伸びていくであろう子、そういう子たちを描くことで『アンジュ』にも深みが出てきたように感じています。αドライバーの皆さんにもキャラクターたちが成長していると感じてほしいんです。どういた形になるかはわかりませんが、みんなが少しずつ進んでいく姿を描いていきたいと思っています。

“第2風紀委員”のアイデアはどこから来たのか?

――今後の展開についてお話を伺ったところで、少し昔を振り返ってみたいのですが、そもそも遥たちの“第2風紀委員”というアイデアはどういうところから始まったのでしょうか。

ササギ:最初はまず“青蘭学園を守る存在にしたい”と考えていたんです。でも“風紀委員”にしてしまうと強い存在になってしまうなと思って、“第2風紀委員”という守りたい気持ちはありつつも弱い側の立場に置くようにしました。αドライバーとからむことにより、弱いところから強くなっていく、成長していくところを描きたいと思ったんです。

――確かに風紀委員と言ってしまうと取り締まる側、権力側というイメージがあります。第2風紀委員というのは絶妙なバランスですね。ササギさんはキャラクターデザインだけでなく、企画段階から携わられているんですか?

ササギ:自分がメインとして携わった初めてのタイトルでもあったのでいろいろやってみたいと模索しました。実は、東条遥や東条悠の名前も、自分がつけたんです。

――根幹の部分から携わられているんですね。ところで遥と悠はなぜ、同じ「はるか」という名前になったのでしょうか。

ササギ:遥と悠いう名前自体は、漢字だけが決定していて読みがなかったんです。それがいつの間にか、みんなが“悠”を「はるか」と呼ぶようになり、いつの間にか「はるか」が浸透していったんです。それなら“遥”も「はるか」と読めるので、妹も「はるか」にしようという感じで決まりました。

――仮の名前から自然と決まったんですね。以前、自分の好みを反映したキャラと自分自身を反映したキャラがいる、というお話をされていたことがあると思うのですが、天音はどうだったのでしょうか?

柿本:天音は、携わった皆が色々な主張をしてかなりもまれたキャラクターですね。ある意味、みんなの夢をかなえたキャラクターです。

ササギ:天音のくせっ毛とかはとても好きな感じなので、自分の好みが反映されています。

柿本:実は、天音を主人公にする、というのはアニメが始まる一年ほど前からあった構想なんです。アプリでは、“成長”をテーマとして、成長させたいと思うキャラクター、成長してうれしいキャラクター、そして、周りとかかわることで、成長ができるキャラクターというふうに突き詰めた末に天音というキャラクターが生まれました。アニメとシナジーしながら、さらに進んでいく、『アンジュ』はそんな作品だと思っています。

――ササギさんは『アンジュ』で多くのプログレスを描かれていますが、特に印象に残っているプログレスはいますか?

ササギ:遥やキヌエといった本当に中心となるキャラクターはもちろんなんですが、それ以外ではユーフィリアですね。

 ユーフィリアはちょっと特殊なんですよ。ユーフィリアは声優さんもオーディションで選びましたし、アプリではなく、TCGの方に出す、ということで作成した初めてのキャラクターなんです。特に水着姿の彼女を描いた時は、水着を小さくしたり大きくしたり、また胸のサイズなど、かなり細かな調整をしたことを覚えています(笑)。

『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』

柿本:ユーフィリアはまだどのようにゲームに出していくか実は決まりきっていないんです。アプリでは、セニアとの関係というものがあるので、そのあたりも描いていきたいと思っていますので、彼女がどう成長していくのか期待いただければ。

――アニメではササギさんご自身がデザインされたキャラクターが動くことになったわけですが、それを観た時の感想は?

ササギ:自分のキャラクターを他の方が描くというのは初めての経験で、感動しましたね。もちろん、とてもうれしかったです。『アンジュ』というコンテンツの制作に携われたことはすごい幸運だったんだなと。

 あとは、イラストの場合はカッコよく見せるためにあえて不自然な描き方をする時があるんですが、その部分がアニメではしっかり不自然じゃなく、カッコいいままリアルになっているんですよ。これはスゴイなと、勉強になりました。うれしかったの一言に尽きますね。

『アンジュ』のファンへメッセージ

――では最後に『アンジュ』のファンへメッセージをいただけますか。

柿本:『アンジュ』では“世界ノ敵”編がスタートしました。天音たちが『アンジュ』に来てからの話は、アニメの企画段階から温めていたものなので、ようやくお見せすることができました。すでにこのストーリーの終着点までシナリオはできているので、ご期待いただければと思います。セガのアプリの中でも、かかわっている人間がキャラクターを本当に愛しているタイトルだと自負しています。今いるキャラクターたちをずっと大切にしていこう、という気持ちではどのタイトルにも負けていないと思っています。

 ゲーム内で1年という時間がたって、キャラクターが変化するというのは珍しいことですが、今後も皆さんが好きなプログレスと一緒に楽しめる“愛”のあるゲームにしていきますので、応援よろしくお願いします。

ササギ:これまで『アンジュ』をプレイしてきてくださった方はもちろん、新たに始めてくださった方にも感謝の気持ちでいっぱいです。既存のプログレスも、アニメ版のキャラクターたちも元気よく動かしていくので、今後ともよろしくお願いします。僕もせいいっぱい頑張ります!

(C)KADOKAWA・SEGA/アンジュ・ヴィエルジュ・フィルムパートナーズ

データ

関連サイト