2016年10月31日(月)

『フィリスのアトリエ』先行レビュー!“旅をしている”感がものすごい新たな『アトリエ』を評価

文:Go!!

 コーエーテクモゲームスから11月2日に発売されるPS4/PS Vita用ソフト『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』。旅をテーマに今までの『アトリエ』シリーズから大きく進化した本作の旅を体験しました! 序盤の流れに沿って、ファンが気になるあれやこれやをレビューします。

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』

 『アトリエ』シリーズとは、アイテムを生み出す錬金術を主軸にした人気RPGシリーズです。『フィリスのアトリエ』は、1作目の『マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~』から数えてすでに18作目になります。

 近年のシリーズでは3作ごとに世界観やキャラクターが一新されており、本作は、前作である『ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~』の世界観を受け継いだ、『不思議』シリーズの第2弾にあたります。

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』

 『フィリスのアトリエ』は“旅”をテーマにしており、これまでの『アトリエ』シリーズにはなかった広大なフィールドを“旅”することがゲームの主軸となっています。このため、基本的なゲーム展開は、過去の『アトリエ』シリーズでも類を見ないほどオーソドックスなRPGに寄った内容になっているといえるでしょう。

 プレイ感覚が大幅に変わっているので、長年『アトリエ』シリーズをプレイしてきた私も、かなり新鮮な気持ちでプレイすることができました!

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲調合システムなどは基本的に前作をベースに、より遊びやすくパワーアップしています。

物語の始まりは地下の町エルトナから

 物語は、地下にある鉱山街エルトナから始まります。これまで町を出たことがなく、外の世界にあこがれながら暮らしていた主人公のフィリスは、ある日旅の途中にこの町に立ち寄ったソフィーとプラフタと知り合い、錬金術との衝撃的な出会いを果たします。

 これをきっかけに、外の世界へのあこがれを強くしたフィリスは、外に修行に出るため、錬金術で人の役に立とうとするのです。

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲主人公のフィリス・ミストルート。本渡楓さんのボイスが雰囲気にピッタリです。

 ここからしばらくは、いわゆる小手調べ期間。チュートリアルも兼ね、約1カ月という期限の間に、さまざまなクエストをクリアする形で、エルトナの町の人たちの頼みごとを叶えていくことになります。

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲エルトナで基本のゲーム展開やアイテムの調合、採取など、一通りのことを学べます。

 エルトナの町では採取ポイントもたくさん。採取、調合、クエストなど、ゲーム進行をしっかり教えてくれるのでわかりやすいです。そして、この時点で町のマップが広い! 早くもこの世界の広大さを感じられます。

物語はクエストを中心に展開しシンプルでわかりやすく!

 ゲームはクエストを軸に展開します。連続的に発生していくメインクエストをクリアしていくことで、物語も進んでいくのです。さらにメインクエスト以外にサブクエストも大量に発生し、それらを自由な順番でクリアしていくことができます。

 外に出ればダンジョン探索や釣り、魔物退治など寄り道もたくさんあり、フリーシナリオRPG的な自由度の高さを楽しめます。そのぶん、RPG初心者には何をすればいいかわからず悩むことがあるかもしれません。そんな時はとにかくできることをやってみるようにすると、自然と道が見えてきますよ。

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲クエストはノートに詳細が記され、何かあるごとにヒントが更新されていきます。困ったらノートを確認してみるといいでしょう。

外の世界は自由! いろいろなことをやってみよう

 エルトナの町で1カ月の試練を終えると、晴れて外の世界に出て、本当の旅が始まります。ただし、最初は1年間の期限が設けられています。1年後の公認試験で正式な錬金術士になれなかったら、フィリスはエルトナへ帰らなくてはなりません。

 当面の目的は、試験が行われるライゼンベルグという町へ向かうことと、受験に必要な推薦状を3枚手に入れること。その目的さえ忘れなければ、この広大な世界を自由に行動していいのです。

 すぐさまライゼンベルグに向かってもいいし、そこらじゅうで発生するサブクエストをクリアしてもいいし、周囲は魔物だらけなので戦闘でレベルアップするのも手だし、採取と調合をくり返して調合レベルを上げるのもよさそうです。さてさて、何から手をつけていいものか?

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲とりあえず歩き回っているだけでも、続々とサブクエストが発生していきます。近場のサブクエストのクリアに必要な戦闘や調合をこなしていくのがわかりやすい進み方です。

 このいい意味での“途方に暮れる感”は、人によっては好き嫌いがあるかもしれませんが、これから何が起こるかわからないドキドキ感と、何をしてもいいんだという解放感を感じることができました。

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲とにかく自由なので、いろいろやってみることがポイント。それが新レシピ発想の近道です。

 調合のレシピについては、『ソフィーのアトリエ』と同様に“いろいろなことをする”と閃いていきます。戦闘したり、採取したり、クエストをしたり……。何かをしていれば、それにあったレシピをどんどん閃いていくので、とにかく行動を起こすことが重要です。あせらずとも、時間はたっぷりありますよ!

広大な世界の景色を眺めるだけでも楽しい!

 実際に歩き回ってみると、世界の広さは半端なスケールではありません。大まかなエリアごとにわかれてはいますが、1つ1つのフィールドはとにかく広く、普通に歩いているだけでガンガン時間が過ぎていきます。

 もちろん、ただ広いだけでなく、山あり、川あり、木々あり、橋ありと多彩な地形で、景色の違いを見ているだけで飽きません。そんな広いフィールドには、ランドマークと呼ばれる名所のような場所がいくつも点在しており、これらを散歩感覚で見て回るだけでも楽しめるのです。

 さらに、このランドマークは発見すると自動的に地図に書き込まれ、マップからいつでもファストトラベルが可能になります。探索すればするほど移動が便利になっていくので、ただフィールドを探索するのも序盤の楽しみの1つになっています。

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲ランドマークだけでなく、後述するたき火のあとへも、マップから直接移動することができます。移動は一瞬で行えますが、ゲーム中の時間はその分過ぎてしまうので注意です。
『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲全体マップの参照もできます。とにかく先に進んで、行けるランドマークを増やしていくのもありです。

 目的地となるライゼンベルグはとても遠いので、期限が気になる人はひとまず先行して行けるところまで道を通し、あとでゆっくり探索するという攻略の仕方もいいと思います。個人的には、この地図を埋める作業も旅をしている雰囲気が感じられて楽しかったです!

今度のアトリエは携帯式! たき火のあとがあればどこでもアトリエに

 大きくプレイ感覚の変わった『フィリスのアトリエ』ですが、『アトリエ』シリーズらしさもしっかり継承されています。その最たるシステムが調合です。

 本作では、アトリエそのものが携帯式になっており、フィールド上にあるたき火のあとで、テントのように広げることで使用できます。調合以外にも、ベッドで休息したり、着替えたりすることもできるのです。

 たき火のあとはいろいろな場所にありますし、一度発見すればマップに記され、直接移動も可能です。周囲の採取ポイントで材料となるアイテムを採取し、近場でテントを張って調合という、シリーズ独自のゲームサイクルもしっかり楽しめました。

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲アトリエ内部は広く、さまざまな家具を置くことができます。自分の好きな家具を自由にレイアウトする“アトリエメイク”も楽しみの1つ。置いた家具によって調合に影響がでる場合もあります。

 調合システムは、基本的に前作にあたる『ソフィーのアトリエ』を継承し、見た目でわかりやすい調合になっています。使用する触媒によってボーナスラインが発生するなど新システムも搭載され、より奥深い調合ができるようになりました。

 触媒の種類も豊富で、ラインの色と材料の色をあわせる必要があるなど、考えることは多くなっていますが、パーツを組み合わせていくパズルのような楽しさはしっかり味わうことができました。

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲アイテムごとに熟練度があり、熟練度が上がると材料のピースを反転できるなどの効果を得ることができます。何度も作る攻撃系アイテムは、熟練度を上げることも重要になりそうです。

 調合の楽しさは前作経験者にはわかりやすく、『アトリエ』シリーズをプレイしているなと感じられる瞬間でもあります。なにより、移動式アトリエで材料を集められる場所の近くで調合ができるというのも、効率重視なプレイヤーにはうれしいところです。

タイムラインに沿って行われるバトル! 強さを極めるのもまたよし

 バトルに関しては新要素もありますが、『アトリエ』シリーズの印象を強く残しているので、今まで通りの感覚でプレイできます。タイムラインの行動順に沿ってコマンドを入力していくタイプで、アシストなどおなじみのシステムも健在です。

 ただ、本作では仲間となった全員が一緒に行動するのではなく、最大で4人までを誘う形になっているので(フィリス+3人が戦闘に参加、1人は控え)、誰を連れていくかはしっかり考えないとならないかもしれません。ちなみにパーティにいない人は、大きな街の宿屋や酒場にいるようですよ。

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲つねにフィールドを旅しているので、これまでのシリーズより戦闘が増える印象です。戦闘をしっかりこなしレベルを上げることは、今まで以上に重要になります。

1年間は意外に長い! あせらずじっくり進めたい

 フィールドの広さと矢継ぎ早に起こるクエスト、そして見知らぬ地の探索で、あちこち寄り道しながらも、なんとか推薦状を2枚集めるところまで来ました。しかし、ライゼンベルグへの道はまだまだ遠そうです。

 かなり寄り道をしたつもりでしたが期限に余裕があり、意外に1年は長いなと思いました。これならじっくり遊んでも問題なさそう。それにもちろん、試験をクリアしてもそこからまだまだフィリスの旅は続くことになるのです!

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲フルスハイムの町では、ロジーさんに出会えました! 大きな町ではいろんな人に出会えるイベントやクエストが満載です。ちなみにこの町では、対岸に渡るための船がとある理由で出航できない様子。これを解決しないと、ライゼンベルグへは行けないのですが……。

 というわけで今回は序盤のみのレポートとなりましたが、その絶大なボリューム感は、しっかり味わうことができました。総合的には、やはりかなりオーソドックスなRPGに寄せられた、これまでにない感覚の『アトリエ』シリーズという印象が強いです。

 町中でイベントが進んでいったこれまでのシリーズと違い、基本的に町から次の町へと広大なフィールドを渡り進んでいくので、“旅”をしている感覚がとても強くなっています。また、その地域にあった風景とBGMもあって、この先には何があるのだろう、と思わせる旅情感を楽しむことができました。

 そうした一方で、調合や戦闘ではシリーズをしっかり受け継ぎ、『アトリエ』らしさを味わうことができます。この辺のバランスはしっかりしていると感じました。シリーズのファンだけでなく、フリーシナリオ的なRPGが好きな人にもオススメしたいです。

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』
▲個人的に仲間キャラクターの中ではイルメリアが好きです! フィリスとのライバル関係が見どころです。

 さて、今回は途中までのレビューでしたが、発売後にしっかりクリアしてからの“ネタバレあり”レビューをお届けする予定です。またこの時に、以前に行った『フィリスのアトリエ』の“12の予想”の答え合わせもします。ぜひ、楽しみにしていてくださいね!

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