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2016年11月5日(土)

春奈るなさんにインタビュー。最新曲『Windia』から『Overfly』まで『SAO』関連楽曲への想いとは?

文:電撃オンライン

 10月27日に発売されたPS4/PS Vita用ソフト『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』。本作のオープニングテーマ『Windia』を歌う歌手・春奈るなさんのインタビューをお届けします。

 このインタビューでは、10月12日に発売された春奈さんの第9弾シングル『Windia』の話に加えて、『Overfly』『Startear』『夜の虹を越えて』など、『ソードアート・オンライン』にまつわる楽曲をどのようなイメージで歌っていたのかなどをお話ししていただきました。インタビューの後半では、春奈さんの意外(?)な一面が見えてきたりもするので、ぜひご一読ください。

『SAO』作品のオープニングを歌う嬉しさとプレッシャー

――『Overfly』『Startear』『夜の虹を越えて』に続いて『SAO』シリーズの曲を歌うのは4度目となりますね。

春奈さん:『SAO』シリーズには長くかかわらせていただいていますが、オープニングテーマを歌うのは初めてだったので、本当に嬉しかったです。でも、その嬉しい気持ちと同じくらいプレッシャーも感じました。

 今回の『Windia』は、ゲームの始まりを飾る楽曲なので、オープニングから作品世界に入り込んでもらうにはどういう表現をすればいいのか、お話をいただいてからは、そのことばかりを考えて、ずっとドキドキしていました。

――歌うことは同じでも、オープニングとエンディングではやはり気持ちは違うものなのですか?

春奈さん:はい。どちらも大切なものだと思いますが、オープニングは、作品の入り口となるものですから、ゲームがスタートして一番最初に耳にした楽曲が「何か違う」と思われてしまっては、作品の世界観まで壊してしまいます。そうならないように注意しつつ、心をこめて歌わせていただきました。

『Windia』
▲こちらは、『SAO HR』のキャラクターがジャケットに描かれた“期間生産限定盤”のジャケット。

――『Windia』というタイトルにはどういう意味や想いが含まれているのでしょうか。

春奈さん:『Windia』は“風の吹く場所”という意味の造語です。楽曲から風のイメージや疾走感を感じてほしかったので、このタイトルになりました。

――確かに“物語のはじまり”を思わせる、疾走感のあるものになっていますね。春奈さんの歌としてもロックテイストの混じった新しい境地を感じさせます。

春奈さん:初めて曲を聴いた時から「すごくカッコいい!」と思っていて、早く歌いたいという気持ちでいっぱいでした。最近の私のシングルはポップな曲調のものが多かったので、最近春奈るなの曲を聴きはじめたという方は、もしかしたら驚いていただけるかもしれませんね。

――新しいタイプの曲に挑戦するにあたって、意識したことなどはありますか。

春奈さん:曲のなかで、急にファルセットになる部分があるんですが、そこで儚さ、切なさを表現したいと思いました。声を張らずに表現しなくてはならない部分なので、そこは納得がいくまでリテイクを重ねました。

『Overfly』から『Windia』まで、これまでの曲を振り返る

――少し昔の話にもなってしまいますが、これまで『SAO』シリーズの楽曲として歌ってきたそれぞれの作品について、思い出に残っていることなどあればお話しいただけますか。

春奈さん:『Overfly』は2枚目のシングルでしたが、自分のなかでの分岐点になった曲だと思います。

●春奈るな『Overfly』MV

春奈さん:私個人としてもとても思い入れがありますし、特に海外の方に愛されている曲だと感じています。初めて『SAO』にかかわらせていただいた楽曲で、直葉やリーファの気持ちを汲んで、それを込めて歌いました。

 リーファは作品の中ですごく複雑な恋心を抱いていますよね。想いが叶わない切なさやもどかしさがあるんだけど、そのことが彼女を強くしている、悲しむことも無駄じゃないんだなと思わせてくれます。自分にとっても“歌の力”に対する印象を変えてくれた曲ですね。

――そこから少し間をおいて『Startear』を歌われましたね。

春奈さん:これはシノンをイメージした曲ですが、とても共感できる内容だなと思います。

●春奈るな『Startear』MV

春奈さん:シノン……というか詩乃は、過去にとても悲しくつらい経験をしたんですが、一生懸命に前を見て進んでいる。そういう弱い部分って誰でも何か抱えているんだと思うんです。そのことを考えながら、シノンに寄り添う気持ちで歌わせていただきました。

――そして今度はゲームで『夜の虹を越えて』を担当されました。

春奈さん:この曲で、初めてキャラクターソングを歌わせていただきました。セブンの曲なのですが、自分が『SAO』という作品の一部になれたような気がして、すごく嬉しかったのをおぼえています。もともとアニメやゲームが好きで歌手になりたいと思っていたので。セブンちゃん、かわいいですよね!

●『SAO ロスト・ソング』PS3/PSVita 第5弾TV-CM

――そうした楽曲を経て、今回の『Windia』につながるわけですね。

春奈さん:そうですね。この曲はレコーディングに4日くらいかけて、大切に収録しました。プレミアという感情を持たないAIの女の子が、キリトたちに出会うことで少しずつ感情を持っていくというバックグラウンドを教えていただいて、感情のないこの子が何を考えているのか、何を背負っているのか、そういったことを反映させるようにしました。それが曲の最後にある「もう1人じゃない、君がいるから」というフレーズなどにあらわれていればと思います。

――春奈さんは歌うだけでなく作詞も手がけられていますが、詞を作るさいに気をつけていることや、こだわりはありますか。

春奈さん:あまり言葉を飾り過ぎないことですね。比喩しすぎてしまうと、自分にしかわからない、独りよがりな内容になってしまいます。作詞は小学生のころからやっていたんですが、そのうちいわゆる中二的なものになってしまって、今読み返すと意味がわからないんですよ(笑)。だから、聴いてくれている人にちゃんと伝わるものにすることを一番に考えていますね。

――作詞をする時には、何かモチーフを用意するのでしょうか?

春奈さん:私は風景をイメージして作詞を始めることが多いですね。あとは、何かキャラクターを選んで、そのキャラクターの心情を書いてみようとか。なので、まずは詞ができて、そこに曲がつくことが多いです。『YuRaYuRa』(※公式サイトから試聴できます)のような、曲が先にできていたものもないわけではありませんが。

――『Windia』に収録されている『YuRaYuRa』ですが、どのようなイメージで作詞をされたのでしょうか?

春奈さん:『YuRaYuRa』では、だいぶ小悪魔的で歪んだ恋愛感情を持つ女の子をイメージして作りました。曲中にセリフが出てくるんですが、歌詞カードにも載っていないものもあるので、ぜひ注意して聴いてもらえればと思います。ライブで一緒に盛り上がれたら嬉しい曲ですね。

――ちなみに、『Windia』が発売されてしばらく経ちますが、カラオケなどで歌われる人にアドバイスするとしたらどういったところでしょう?

春奈さん:正直、すごく難しい曲だと思います。だから、気持ちで歌ってほしいですね。うまく歌おうとかではなくて、気持ちを表現することを考えてほしいです。また、メロディが非常にきれいな曲で、私もインストゥルメンタル版をよく聴いているので、そちらもよく聴きこんでほしいですね。

幼いころから歌手になりたい夢があった

――小学校のころから作詞をしていたと伺いましたが、実際にプロとしてデビューするまでにはどのようなことがありましたか。

春奈さん:幼稚園のころから歌うことが好きでした。セーラームーンのベストアルバムを買ってもらって、そのなかの『乙女のポリシー』という曲が特に好きでした。幼いながらアニソンって、すごい力があるんだなと思いました。

 それから自然と作詞をするようになって、小学校6年生のころは作詞家になるのが夢でしたね。そのころは歌うこともそうでしたが、詞を作ることに熱中していました。中学生になってからはレッスンを受けるようになり、オーディションにも参加するようになりました。

――そのころから現在にいたるまで、あこがれている歌手や好きな曲・作品などはありますか。

春奈さん:アーティストとして尊敬しているのは宮野真守さんですね! エンターテイナーという言葉がぴったりくる方で、ライブDVDなども購入して勉強させていただいています。歌唱やダンスの技術もすばらしいんですが、とにかく客席のみなさんをひきつける力がすごくて、私もどうすればこんな風に客席のみなさんに楽しんでいただけるのかを考えながら鑑賞しています。

――春奈さんはポップソングからしっとりとした曲調のものまで幅広い作品を生み出していますが、ご自身はどういう音楽を好みますか。

春奈さん:幅広いジャンルが好きなんですが、1つあげるならロックですね。ロックと言っても洋楽などではなく、いわゆるビジュアル系と呼ばれるものです。

 歌詞やサウンドに惹かれる部分があって、高校生の時はビジュアル系を扱う音楽雑誌を読んでいたり、ライブに行ったりしていました。ちょうど中二な心が芽生えていたころでしたから(笑)。特に好きなのは、Alice NineさんやLUNA SEAさんです。そういった意味では『Windia』の曲調や、ストリングスが織り込まれている部分が、個人的な好みにもとてもマッチする曲になっています。

『ソードアート・オンライン』という作品と出会って

――初めて『ソードアート・オンライン』シリーズに触れたのは、小説でしたか。それともアニメでしたか。

春奈さん:小説ですね。『SAO』は、ゲームファンやアニメファンの夢が、ある意味においては叶うお話だと思うんです。キリトたちは望んでそうなったわけではありませんが、実際にゲームの世界に入っていきます。

 ゲームの中では楽しいことよりもつらいことが待っていたりするわけですが、キリトは楽しみを見つけ出していますよね。私もゲームやアニメが大好きなので、こういった未来が来るのかな、来たら楽しいんじゃないかなと思わせてくれる作品ですね。登場人物がそれぞれ向き合っているものがあって、読む人によってさまざまな共感ができる物語だと思います。

――好きなエピソードやキャラクターなどはいますか?

春奈さん:私はクラインが好きです。涙もろくて、仲間想いで。最初はキリトに頼っちゃっているんですが、そこから成長していく、弱さと強さを併せ持っているところが魅力だと思います。かわいい人ですよね。頼りないようでいて、自分のギルドから1人も死者を出していないところとか、実は優秀なところもありますし!

――ちなみにゲームはよく遊ばれるんですか?

春奈さん:はい。『SAO HR』も少し触らせていただきましたが、臨場感がすごくあって、ゲームの中に入り込んだ感覚を味わうことができました。アクション部分は結構激しいんですが、操作がシンプルでゲームに集中できるつくりになっていて、楽しめました。もともとRPGや格闘ゲームが好きだったので、すぐに入り込めました。

――格闘ゲーム! ちなみにどんなタイトルを遊ばれていたんですか?

春奈さん:『ディシディア ファイナルファンタジー』は300時間くらいやったと思います。あとは格闘ゲームではないですが『モンスターハンター』のようなアクションもやります。攻撃力に特化したキャラクターで戦うのが好きなんですね。「防御なんて知らない!」って(笑)。

――ゲームがお好きなんですね。

春奈さん:ゲームは大好きです! 子どものころからそれこそ『マリオ』や『ドンキーコング』のシリーズを遊んだり、『女神転生』なんかにもハマったりしました。最近は『妖怪ウォッチ3』をプレイしていましたね。

――最近ではPSVRなど、それこそ『SAO』を思わせるようなガジェットも出ていますね。

春奈さん:そうなんですよ! PSVRはすごく気になっています。いわゆる乙女ゲーもすきなんですが、VRで遊んだら、現実世界に帰ってこれなくなっちゃうかもしれません(笑)。ゲームだけでなく、ゆくゆくはライブなんかもVRで楽しめるようになったりするのかなと、楽しみにしています。

――では、『Windia』についてファンの方にメッセージをお願いできますか。

春奈さん:『Windia』は、疾走感のある楽曲になっているので、私の曲を昔から聴いてくださっている方には懐かしく、最近の曲から聴いてくださっている方には新しく感じていただけると思います。

 カップリング曲も、また違った世界観を持った楽曲が収録されていますので、この1枚でたくさんの世界を感じてもらえれば嬉しいです!

――ありがとうございます。続いて『SAO』、『SAO HR』のファンに向けてメッセージをいただけますか。

春奈さん:『SAO』ってただの小説ではないし、ただのアニメやゲームでもないと思います。人間として大切なものを教えられる作品ですよね。登場人物1人1人の感情に触れながら、いろいろな形の『SAO』を楽しんでもらえればと思います。『SAO HR』ではクラインさんをお姫様抱っこできると聞いたので、私も早くその光景を見たいです(笑)!

『Windia』
▲曲にかける想いを語ってくれた春奈さん。今後も彼女の歌声と活躍に注目です!

(C)2014 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAOII Project
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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