2016年11月22日(火)
『勿忘草』シリーズ最新作で近藤勇を演じる井上和彦さんに独占インタビュー
CDシリーズ『新撰組暁風録 勿忘草』の第八巻で、隊士をまとめる近藤勇を演じる井上和彦さんに、作品に関することやデビュー時の思い出などについて語っていただきました。
――以前演じられたときと、登場人物やお話に違いはありましたか?
試衛館時代から新撰組に入っていくまでのお話ということで、以前演じたときよりも近藤の気持ちが少し若い感じがしました。主人公と触れ合う場面では、もしかしたらちょっと初々しいかもしれません。
――作中で蜜を垂らすようなシーンもありましたね。
すごいこと考えるなって思いました(笑)。普通はやらないですよね。ベタベタになっちゃって、あとが大変そうです。こういうのがみんなは聴きたいのかなって思いながら演じました(笑)。
――剣術にはげむ若者がクローズアップされる本シリーズですが、夢中になっていることを教えてください。
よくウインドサーフィンに行くのですが、2~3年前からスタンドアップパドルサーフィンもやるようになりました。スタンドアップパドルサーフィンは、サーフボードの上に立ってパドルを持ってこぐのですが、波に乗ったり沖合を散歩したり釣りをしてみたり。
こいだらこいだだけ遠くに行けるんですよ。初めてやったときはおもしろさがわからなかったのですが、どんどんハマってしまいました。最近はローカル的なレースにも出たりしています。全然成績はよくないのですが、ファンレースのような感じでみんなでワイワイ楽しんでいます。
ウインドサーフィンは風を読んだり理論があったりして、けっこう難しいんです。そこがおもしろいところでもあるんですけど(笑)。逆にスタンドアップパドルサーフィン……サップ(SUP)は、ボードの上に乗ってこいだらこいだ分だけ楽しめるんです。
――どちらかというとサップのほうが、初心者でも楽しめそうですか?
そうですね。サップの方が始めたその日のうちに慣れると思います。僕の場合、風が吹いていたらウインドサーフィンで、風がなければサップにしています。海に行ったら必ずどちらかをやって遊んで帰るぐらいハマっています。とくにサップは誰でもできるぐらい簡単なので、いろんな人と遊べるコミュニケーションツールみたいな感じになりますよ。
――女性にもオススメかもしれませんね。
女性はボードの上で、ヨガをやったりピラティスをやったりする人が多いみたいです。海に行くとけっこうたくさんの人がいるのでオススメです。
――「暁風録」は「過去」をテーマにした物語ですが、ご自身のデビュー時の思い出をお願いします!
デビューして43年になりますが(笑)、当時先輩たちにすごいかわいがっていただきました。僕はお芝居の経験がなかったので、かなり下手だったんですよ。そしたら「芝居をやらなきゃダメだよ」と、先輩が舞台のお仕事を紹介してくれたんです。それからは舞台のお仕事をやりながら声の仕事をしました。最近はデビューしたときから上手な人が多いので、今だったら僕は声優になれないと思います。
――なかでも、とくに印象に残っていることはありますか?
その話を始めると6時間ぐらいかかりますよ(笑)。そもそも最初は声優になろうと思っていたわけではなく、対人恐怖症になってしまったことがきっかけだったんです。
なんとか治したいと思って入ったところが、テレビタレントセンターというタレントを養成する学校でした。そこでお芝居のことを学べば、人と相対することも怖くなくなるんじゃないかという考えで入ったんですよ。
そしたら、そこで演技の指導をしてくださっていた永井一郎さんからプロダクションに誘われまして。そのときは目標が何もなかったので、流れされるままに声のお仕事をやるようになりました(笑)。最初はどうやればいいのかわからなかったのですが、とにかく一生懸命やろうという思いだけは強かったです。
それから続けていくうちに、どんどんおもしろくなっていきました。何がおもしろいのかわからないままやり出したけど、いざやってみると自分の思うようには全然いかなくて……。こうやりたいと思ってもうまく出来ない自分が悔しくて、なんとか上達したいと考えるようになり、それからはとにかくがむしゃらに打ち込みました。考えてみたらそれって、サップと同じですね(笑)。
――対人恐怖症もその頃には治りましたか?
事務所に入った時点では、もうなくなっていました(笑)。自分の出来なさ加減が悔しくて、一生懸命取り組むようになったらいつの間にか大丈夫でしたね。僕の場合学生時代は平気だったのですが、社会に出たら対人恐怖症になってしまったんです。でもそんな自分がイヤで、なんとかしたいと思って行動しました。
――変われたということは、その道が正解だったのかもしれませんね。
ですかねぇ……。こんなに長期間、声の仕事をやらせていただいて有り難いです。いまでもずっと自分のお芝居、演技を捜しているんですよ。もっといろいろ出来るんじゃないかと考えだしたらきりがなくて(笑)。歳とともに役どころも変わって来ますし、いろいろな役をやりたいとも思います。常に進化していきたいですね。
――究極の質問です。もしご自身が新撰組に入隊したら、どのような役割を希望しますか?
試衛館ではヒロインがご飯を作ってくれると思いますが、僕もそういったことがやりたいです。ペーパーですが一応調理師免許を持っているので、みんなが元気になるご飯を作って食べさせてあげたいですね。多分剣術とかは全然ダメなので(笑)。
――真剣で戦うのは命がけですしね。
ですよね。高校のときに授業で剣道をやりましたが、頭や手に竹刀が当たっただけでかなり痛かったですし……。それに昔お芝居で立ち回りをやったときに、刀を合わせる部分で誤って手に当たっちゃったこともあって。
本番だったので当たっていないように見せないといけなかったのですが、あれはものすごく痛かった!! 涙が出そうなぐらいでした……。ちょっと当たっただけでも相当の痛みがあるのに、真剣だったら大変なことになりそうです。だから僕は剣ではなく包丁を持って、新撰組のみんなの役に立ちたいと思います(笑)。
――読者のみなさまへメッセージをお願いします。
今回の収録は、ダミーヘッドにできる限り近づいて演じました。佳境のキスをする場面で、ダミーヘッドの鼻の部分にぶつかってしまうぐらい近づいています(笑)。がんばりましたので、何回も繰り返し聴いて、いろいろ楽しんでいただけたらうれしいです。
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『新撰組暁風録 勿忘草』過去の記事はこちら
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