2016年12月1日(木)
ソニー・ミュージックエンタテインメントより12月8日に発売予定のPS VR用コンテンツ、『anywhereVR』の体験会の様子をお届けします。
『anywhereVR』は、360度広がるVR空間のなかでスマートフォンやタブレットを操作できるコンテンツです。海岸や星空の下など、リラックスできる空間で、スマートデバイスの画面を表示させ、いつも通りの操作を楽しむことができます。
本体験会では、『anywhereVR』を実際に使用して、大自然の中でスマホ操作を楽しむことができました。
PS VRを装着して『anywhereVR』を起動すると、美しい海岸の風景が表示されます。最初は目の前に広がる大自然に驚きますが、心地よいさざ波の音を聴きながら景色を見ていると、心が落ち着いていきます。
映像にはまったく“カクつき”がなく、実際にその場所にいるようなリアリティを感じられます。また、人影が一切入りこまないので、誰にも邪魔されず、ゆっくりと美しい景色を楽しみ、リラックスできるのも魅力的です。
しかし、いくら絶景とはいえ、ずっと眺めているだけではどうしても手持ちぶたさになるというもの。そこで登場するのがスマートフォン。本コンテンツではPS VRとスマホの連動が可能とのことなので、さっそくその機能を体験させていただきました!
連動機能を起動させると、VR画面の中にスマホの操作画面が出現。表示された画面は、位置やサイズ、透過率を設定できます。風景を楽しみたい時は画面を透過させたり、読書を楽しみたい時はサイズを大きくしたりと、自分好みにカスタマイズできました。
▲映像は複数用意されており、外国の別荘のような暖炉や……。 |
▲水族館のような風景などでスマホの操作を楽しめます。 |
スマホの操作は、PS VRを被っているため目隠し状態で行うことになりますが、VR内に表示されるスマホの画面にタッチしている場所が表示されるので、思った以上にスムーズに操作できました。
▲VR画面にスマホのディスプレイが表示されます。 |
▲スマホを操作してブラウザなどの観覧が可能です。 |
▲コントローラでディスプレイの位置やサイズを調整。VR内でもガイドが表示されるので調整しやすくなっています。 |
また、本コンテンツには、『マインスイーパー』に似たゲームと“釣り”の、2種類のミニゲームが搭載されていました。
マインスイーパーはやさしめの難易度なので、映像やスマホ操作の合間に気軽に楽しむことができます。釣りでは、実際にのんびりと釣りをしている気分になれましたね。
▲富士山を眺めながら釣りをプレイ。 |
▲シンプルなミニゲームも、きれいな景色を眺めながらだとより楽しめますね。 |
▲釣った魚の詳細も表示されます。 |
やっていること自体は普段と同様のスマホ操作なのですが、美しい風景や波音などの環境音がプラスされることで、とてもリラックスした気持ちになることができました。本コンテンツは基本プレイ無料ですので、癒しを求めている人、日々の生活に疲れている人などに、ぜひともオススメしたいです!
体験会では『anywhereVR』の開発を担当しているソニー・ミュージックエンタテインメントの原口竜也さんと阿部達矢さんにお話を伺うことができました。ここからは、その内容をご紹介します。
▲阿部達矢さん(左)と、原口竜也さん(右)。 |
――まずは本コンテンツのコンセプトなどをお聞かせいただけますか。
阿部達矢さん(以下、敬称略):いわゆるVRタイトルというと、ドキドキハラハラ系のものが多いと思うのですが、『anywhereVR』はリラックスして遊んでいただけるタイトルになっています。
内容としては映像がメインのコンテンツなのですが、映像系のコンテンツというものは、見ていて10分ぐらい経過すると飽きてしまったり、手持ちぶたさになったりしてしまいますよね。そこを新しい形で解決したいと考え、本タイトルの開発に取り組みました。
――映像が非常にきれいですね。
阿部:ありがとうございます。360度の映像を楽しめる他、足もとを見ていただくとわかりますが、カメラも全部消しています。映像自体にも力を入れているので非常に美しいですし、スティッチングの境目も一目ではわからないレベルで処理しています。
また、ユーザー様によりリラックスしていただくために、基本的に人が写っていない映像となっています。
現在は、基本プレイ無料で、映像をダウンロードできるという販売方法を予定しています。ローンチ時にダウンロードできるものをあわせると、全部で22本映像が入っている形になります。プレイ中はR1ボタンで、簡単に映像を切り替えることもできますよ。
――映像の切り替わりがとても自然だと感じました。
阿部:はい。映像はすべてコンテンツ内に入っているので、切り替わりも自然になっています。“リラックス”をタイトルのベースにしているので、映像がカクついたり、読み込みが入ったりするとリラックスしていただけないと考え、すべて内蔵にしています。
――たしかに“リラックス”を強く意識された映像だと感じました。
阿部:はい。ですがそれだけですと、他社のVRコンテンツと比較して“映像がキレイ”というだけになってしまいますので、“風景を見ているだけだと、どうしても手持ちぶたさになってしまう”ということを解決できないかということで、キャストアプリ機能を導入しました。
本機能を使うと、スマートフォンの画面がそのままVR画面に表示されます。もちろんスマホの操作も可能なので、電子書籍やネットサーフィンなどを楽しめます。
――スマホを認識させるためにアプリとも連動させているということでしょうか?
阿部:専用のキャストアプリがGoogleストアで販売され、こちらを無料でダウンロードできるようになっています。アプリもソフトも基本的には無料ですので、誰でも楽しめます。
――VRで風景を楽しみつつ、スマホの普段使いができるということですね。
阿部:はい。ディスプレイはサイズや透過率を変えることができるので、電子書籍の小さな文字もしっかりと読めるようになっています。スマホでの表示に適したアプリであれば、上下のスワイプだけでゆったりと読書を楽しめます。
――スマホを操作できるということは、メールチェックなどをすることも可能ということでしょうか?
阿部:もちろん可能です。メールの利用だけでなく、ウェブサイトでネットサーフィンも楽しめます。
Motion JPEGで画像を送っているので音を送ることはできませんが、スマホ本体からは音を出せるので、通信環境がよいところであれば、『YouTube』でミュージックビデオなどを楽しむこともできますよ。
なお、スマホの画面をVR空間に映し出しているというものなので、極端な話、スマホに入っているアプリケーションをVR画面に投影することもできます。しかし、通信速度の影響を大きく受けるので、動画やゲームアプリの起動はオススメできません。
――その他に可能なことはありますか?
阿部:その他の機能としては、複数のガジェットを同時に起動できます。映像を見ながら携帯端末をキャストできることに加え、さらにミニゲームが2本入っていますので、スマホの操作にも飽きたという時には、そちらを楽しむことができます。
ゲームはパッドを使った操作となっていて、『マインスイーパー』のようなゲームと釣りゲームの2本となっています。こちらの2本は基本無料です。
――多彩なことが可能になっていますね。
阿部:それ以外にも、Twitterのアカウントを登録すれば、最新ツイートのラインを見ることもできます。また、ガジェットとして時計の表示も可能です。
本コンテンツは、“ながら遊び”が1つのコンセプトとなっています。映像を見ているだけだと飽きてしまうので、自分のネットを映したり、ゲームをしたり、Twitterを見たりと幅広くいろいろなことができるようになっています。
――ちなみに、本コンテンツはどのような仕組みで動作しているのでしょう?
阿部:本コンテンツは、Wi-Fiネットワークを通してスマホと同期させています。
――ちなみに対応OSはどのようになっていますか?
阿部:Androidのみとなっています。現状、接続できるのは1台で、同時接続はできません。ただし、Androidであればスマホのみならず、タブレット端末にも対応させることができます。
――タブレット端末の場合、VR画面内でのウィンドウのサイズはどうなりますか?
阿部:画面はこちらで拡張しているので、先ほどご説明したとおり、サイズを自分で変えることができます。
――映像にお話を戻しますが、風景は何カ所くらい撮影されたのでしょう?
阿部:26カ所くらいですね。場所としては沖縄、北海道、山梨などで撮影しました。
――今後、映像が追加される予定はありますか?
阿部:現在お見せしている映像は夏に撮影したものなのですが、秋には紅葉を撮影しました。
原口竜也さん(以下、敬称略):今後は雪など、リラックス効果の高い映像を撮影したいと考えています。春には桜などを撮りたいですね。
――音楽なのですが、USBやハードディスクに入っているものを利用できるのでしょうか?
阿部:現在はできないです。楽曲は専用のものを作成して、販売する予定です。
――PS Storeなどで購入した音楽を使用できるなど、各種サービスと連動できたら楽しそうですね。
原口:将来的にはそういった取り組みも行っていきたいと考えています。
阿部:プラットフォームとして、いろいろとできるタイトルだとは思っているので、ソニーミュージックならではの動きが取れればいいなと思っています。
――今後の展開としては、どのような追加要素などを考えていますか?
原口:まずは映像を追加していきたいですね。本コンテンツは、日本以外の各国にも展開していきたいと考えているので、日本以外の映像の配信も考えています。
それと、スマホの映像をキャストできるので、将来的にはストリーミングライブ映像のようなところで楽しみながら、スマホを使用してみんなで語り合うといったことができるようにしたいと考えています。
阿部:ソニーミュージックらしいといいますか、音楽や『アニプレックス』のアニメとの連動など、いろいろな展開を考えています。
原口:聖地巡礼のような形で、アニメの舞台にVRで行けるようになるなど、いろいろな可能性を実現できたらいいですね。
――ユーザーの皆様にはどのよう本コンテンツを楽しんでいただきたいですか?
原口:現在登場しているVRのタイトルは激しいものが多いので、そういったものに疲れた時には本作で癒しを感じていただけれますとうれしいですね。しばらく癒されたらまたアクション性の高いVRへといった形で楽しんでいただければと思います。
阿部:ハラハラドキドキではなく、ゆっくりと楽しんでいただくVRという位置づけでサービスを提供していきますので、よろしくお願いいたします。
※スマートフォン、タブレット(Android5.0)が必要です。
※専用キャストアプリ(無料)をインストールしてご利用ください。
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