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2016年12月5日(月)

『LET IT DIE』新英幸氏インタビュー。“基本プレイ無料”でもコアゲーマーもしっかり楽しめる作品に

文:電撃PlayStation

 アメリカ・アナハイムで開催された“PlayStation Experience 2016”にて、新情報が公開されたPS4用ソフト『LET IT DIE』。本作はガンホー・オンライン・エンターテイメントとグラスホッパー・マニファクチュアが手がける新規サバイバル・アクションゲームで、“PSX 2016”での発表直後から、北米・欧州で配信が開始された。

 日本での配信も予定されているだけに、「どういったゲームなのか?」「いつ配信されるのか?」など、気になるユーザーも多いことだろう。そこで、本作の開発のキーマンである、新英幸ディレクターにお話をうかがった!

『LET IT DIE』

『LET IT DIE』はアクションゲーム好きの人にも納得の出来に

――『リリィ・ベルガモ』(『LET IT DIE』の元となった作品)の発表からかなり期間が経ちました。まずは今のお気持ちをお聞かせください。

 発表から3年ぐらい経ちましたが、ウチが制作するタイトルとしては初めての試みが多く、その都度難しい局面がありました。そういったチャレンジをクリアできたこと自体もうれしいですし、ようやくユーザーさんに届けれられると思うと感無量です。

――会場で映像が流れたあと、ユーザーから反響などはありましたか?

 うれしかったのは「これが“Free to Play”なんだ」という声です。本作は“Free to Play”(基本プレイ無料)のタイトルですが、フルパッケージの作品に負けないくらいのコンテンツ量やクオリティを目指して作っていたので、ここを評価してもらえるのはうれしいですね。

――本作は、ガンホー・オンライン・エンターテイメントとグラスホッパー・マニファクチュアがタッグを組んでの制作となりましたが、どういった経緯で開発がスタートしたのでしょうか?

 初めてタッグで作るタイトルなので、今までグラスホッパーで作ってきたものとは違ったものを作ろうというのがキッカケです。ガンホーグループに入ったことで“Free to Play”かつオンライン、運営型のタイトルを目指して作ろうとチャレンジできたのが大きかったですね。

――オンライン要素以外にも、開発で挑戦したところはありますか?

 フルパッケージ版のアクションゲ―ムなどでは、ゲームのボリュームや予算、開発期間など、ある程度の目安があります。本作ではそういった目安をとっぱらって開発に取り組ませてもらいました。ある意味、そこが一番のチャレンジかもしれません。開発に3年もかかってしまいましたが、ユーザーのみなさんに納得してもらえるクオリティに仕上がったと思います。

――本作の一番のウリを教えてください。

 システムにも関わってくる要素ですが、本作はオンラインゲームの形をとっているものの、ストーリーモードやオンラインモードといったように分かれていません。1つのスタンドアローンのタイトルのようにプレイしてもらい、少しずつオンライン要素を遊んでいく、というデザインになっています。

――そうなると、物語や世界観と整合性をとるのが難しそうですね。

 グラスホッパーの作品は、物語や世界観を重視していたぶん、そこは悩みました。不特定多数の人が存在するオンラインゲームだと、ストーリーの広げ方が難しいので、そのあたりをどうなじませるかは苦労しましたね。

――本作はどういったユーザー層を狙って制作されたのでしょうか。

 タイトルのコンセプトを決めている時点で、グラスホッパーとガンホーが作っているのだから“コアなゲーマーに楽しんでもらえる”という点はしっかり担保しようと考えていました。ただ“Free to Play”でもあるので、幅広い人にプレイしてもらえるようなデザインにもしています。

――かなり欲張りなコンセプトですね。

 それを実現するため、アクションゲームにこだわっている人にも納得のアクション性に仕上がっています。それでいて、PS4を持っているからちょっと遊んでみようという人も気軽に楽しめて、そのまま本作のおもしろさがわかってもらえるように設計しました。

――話を聞いている限り、かなりこだわって作られているように感じます。

 私自身もそうですし、本作に関わっているメンバー全員が細かいコトへ徹底的にこだわっているというのが一貫しています。そのこだわりをいかにゲームに落とし込むかが私の仕事なので、特定の人が楽しめるという作りではなく、みんながおもしろいと思えるものを作ろうと意識しています。

――開発時の苦労話などはありますか?

 グラスホッパーのメンバーが、オンラインの運営型タイトルを運営したことがないということですね。プレイヤーとしての知識はあるものの、オンラインゲームを制作するうえで、なぜこういったシステムが必要なのか、こういうところに注意しなければならない点が頭で理解しているのですが、うまくゲームに組み込めないということがありました。

――そこは、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの影響が大きかったと。

 そうですね。“Free to Play”のオンラインゲームということで“発売してしまえばもう終わり”ではありません。ロードマップなど、先の運営も含めて考えていかなければならなかったのはやはり大変でしたね。

――本作は“ハード・バイオレンス・サバイバル”などがテーマになっていますが、何か参考にした作品などはあるのでしょうか?

 いろいろな要素がありますが、世界観に関してはグラスホッパースタッフの趣味趣向が影響していると思います。サバイバル要素については、私と森下(ガンホー・オンライン・エンターテイメント 代表取締役社長CEO、森下一喜氏)が見ていた『アイ・アム・冒険少年』というバラエティ番組です。

 その番組では“山から脱出する”というテーマでサバイバル生活をするコーナーがあったのですが、生で動物を食べちゃうところはモロに影響を受けています。生で芋虫のようなモノを食べていたのですが、絵で見るとかなり気持ち悪い。でもついつい見てしまう、というサバイバルならではのギリギリ感を重視しています。

――サバイバル系が好きならより楽しめると。

 そう思います。『アイ・アム・冒険少年』の番組製作スタッフにもぜひプレイしてもらいたいですね(笑)。

――海外での配信が先行になった理由はなんでしょう?

 いろいろな理由がありますが、私が今言えるとすれば、世界で通用するタイトルを作ろうという中で、PSXがあったのが大きいです。

――遅れてスタートするプレイヤーに向けたフォローなどはあるのでしょうか?

 もちろん先行していることで有利な部分はありますが、アクションのユーザースキルに依存するところが大きいので。最終的にはプレイヤーの腕次第になると思います。また、日本で配信する際は、様々なキャンペーン等の実施でフォローしていくつもりです。

――本作を待っている日本のユーザーに向けて一言お願いします。

 本作は新規IPで勝負、ということで死ぬ気で作っています。海外先行配信という形にはなりましたが、私自身は日本人ですし、日本の開発で作ったタイトルです。日本国内の展開についても、近々発表できることがあると思いますので、ぜひ楽しみに待っていてください!

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