2016年12月7日(水)
カプコンは、PS4/Xbox One/PC用ソフト『MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE(マーベル VS. カプコン:インフィニット)』を2017年後半に発売することを発表した。
今回は、マーベルエンターテインメント エグゼクティブプロデューサーのマイク・ジョーンズ氏と、CAPCOM U.S.A.ディレクターのマイク・エバンズ氏、CAPCOMディレクターの廣瀬紀生氏にお話をうかがった。
▲【左】廣瀬紀生氏、【中央】マイク・ジョーンズ(Mike Jones)氏、【右】マイク・エバンズ(Michael Evans)氏。 |
●『MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE』ティザートレーラー
――まず本作の特徴を教えてください。
エバンズ:『マヴカプ』はユーザーに愛されてきたシリーズ。しかし、おもしろいキャラクターたちや世界観が用意されているのに、今までストーリーを語られることはありませんでした。そこで本作ではストーリー性も重視したゲームデザインになっています。
――マーベル作品とカプコン作品の世界観がどう融合されるのかが気になるところです。
エバンズ:2つの作品は別世界と考えているので、その2つの世界がどう融合していくのかはストーリーのポイントです。格闘対戦ゲームとしては、シリーズを重ねていくことで敷居が上がってしまったので、システムを簡略化しています。プレイヤーのみなさんには好きなキャラを選択して、シングルプレイやストーリーも楽しんでもらいたいですね。
ジョーンズ:マーベル・スタジオ側からしても、そこは重要なポイントです。映画やテレビシリーズの作品は誰でも楽しめる内容になっています。その延長線上として、本作で作品やキャラクターに興味を持った人たちでも、おもしろいストーリーを楽しめるようなコンテンツを用意しています。
●『MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE』ゲームプレイトレーラー
――前作の“3on3”から“2on2”になったのはどういった経緯があったのでしょうか?
廣瀬:“俺とお前”といったような共闘感を押し出したかったというのがあります。チームメンバーを増やす案もありましたが、前述のシンプルさも踏まえてこの形に落ち着きました。
とはいえ、ただシンプルにしただけでは物足りないので“インフィニティ・ストーン”によって、キャラクターの長所を伸ばしたり短所を補ったりという、新たな戦略性が生まれています。そしてこのゲームのおもしろさのコアになっていると思います。
エバンズ:“インフィニット”という名称にはいろいろな意味があって、インフィニティ・ストーンがあるというのが一つの意味合い。もう一つは進化システムから生まれる無限の可能性というのがあります。
――ほかの対戦格闘ゲームからのインスピレーションは受けていますか?
エバンズ:インスピレーション自体はすべての格闘ゲームから受けています。開発スタッフが対戦格闘ゲームのファンですから。
廣瀬:ただ“2on2”はシリーズの歴史と考えているので、そこは強調しておきたいところです。
――PVを見ると交代システムが変わっているようですが。
廣瀬:交代はいつでもどこでもできるようになっています。PVではコンボ用に使っていますが、メインとパートナーを交代しているだけなので、コンボ延長だけではなく、従来のようにピンチのときなど、好きなタイミングで使うこともできます。
――これまでにあったアシストには何か変更点はありますか?
廣瀬:いつでも交代が可能になったことから、攻撃中に交代することでこれまでとは違ったアシストが可能になっています。
例えば、メインのリュウが波動拳を使った瞬間に交代すると、パートナーが飛び道具と同時に攻撃をしかけられる、といった感じです。必殺技と交代を組み合わせるなど、いろいろなアシストができるようになっています。無限の可能性をもったシステムになっています。
――これまでのプレイヤーにとってはとても楽しみなシステムだと思います。ただ、コマンド入力などを考えると初心者が使いこなすのは難しいような気がします。
廣瀬:この変更にともない、既存のシステムも大幅に見直しました。例えば特定のタイミングで特定のコマンドを入力するなど、複雑な操作はなるべくなくして、幅広いプレイヤーに楽しんでもらえるようにデザインしています。
――過去作には“インフィニティ・ジェム”というシステムがありましたが、名称を変更したのは何か理由があるのでしょうか?
エバンズ:MARVELの最新ワードに合わせたものとなっています。
廣瀬:『アベンジャーズ』の物語において重要な要素であるインフィニティ・ストーンを、マーベルとカプコンのキャラクター関係なく使用できます。原作と同様、インフィニティ・ストーンは6個あり、キャラクター選択後にどれを使うかを選ぶ流れになります。
――効果は前述のインフィニティ・ジェムのような内容になっているのでしょうか?
廣瀬:より効果が強調されたものになります。また種類によっては通常の行動にプラスアルファできるモノもありますし、特殊な空間を生成する逆転要素も備えています。
もちろんこれまでと同様に、移動力と高めるタイムストーンを移動速度の遅いキャラクターに使って弱点を補う、逆に素早いキャラに使って長所をさらに伸ばすといった使い方も可能です。インフィニティ・ストーンはタッグを構成するための需要なパーツになっています。
エバンズ:大事なのはゲームを通じたプレイヤー自身のアイデンティティだと考えています。同じキャラクターを使ってもインフィニティ・ストーンの選択により、自分のキャラクターにさらなる個性を持たせることができます。
また、対戦格闘ゲームではキャラクターの使用率に差が出てしまうことがあり、そうなると自分の好きなキャラクターが使いにくくなってしまう環境になってしまいます。しかし、本作ではインフィニティ・ストーンのユニークな効果により、どのキャラクターでも強化できるので、そういった環境にはなりにくいと考えています。
――インフィニティ・ストーンの使用条件や制限などはあるのでしょうか?
エバンズ:絶賛調整中なので続報をお待ちください。ただ、既存の対戦格闘ゲームのルールを破るシステムになると思います。
――本作では、マーベル・ヒーローたちが共有する世界観“マーベル・シネマティック・ユニバース”の枠組みはあまり考えないほうがいいのでしょうか?
ジョーンズ:このゲームは100%オリジナルなので、その世界観はあまり意識していません。ただ、作品そのものはコミックや映画、アニメからインスピレーションを得ています。
――前作では、マーベルのキャラクターはコミックがベースになっていました。今ではマーベル・シネマティック・ユニバースの人気も高くなっていますが、本作のキャラクターはコミックと映画のどちらがベースになっているのでしょうか?
ジョーンズ:明確にどちら、とは言いきれませんが、前作以降にもいろいろキャラクターが生まれ、どのキャラクターも人気があることは理解しています。昨今の人気とシリーズの歴史と踏まえつつ、ストーリーモードの展開や対戦格闘ゲームのバランスをとっています。
また、マーベル・ヒーローには新しいキャラクター、歴史のあるキャラクター、個人個人に好きなキャラクターがいるので、キャラクターの選定には悩みましたが、大勢のスタッフで何度も話し合い、最高のキャスティングができたと思います。
――ライセンスの関係から前作から削除されたキャラクターがいるというウワサがありますが、真相はどうなんでしょう?
ジョーンズ:今日は発表されたキャラクター以外の事について何も言えません。今言えるのはシリーズの歴史はみんなが大事にしているということです。
――インフィニティ・ストーンにからむキャラクターは物語でも重要な役割になっているのでしょうか?
廣瀬:前作がリリースされたタイミングでは『アベンジャーズ』の映画はありませんでした。しかし、今はマーベル・シネマティック・ユニバースにも深みが生まれ、設定などに興味があるプレイヤーも多いので、本作を企画した段階でストーリーモードの充実は必要不可欠だと思っていました。
そこで、早い段階でマーベル・スタジオとカプコンでシナリオを構成し、本作オリジナルの物語を考えています。物語を見れば、この世界がなぜ融合されるのか、インフィニティ・ストーンがどう関わってくるのかもわかってくると思います。
――開発のなかで過去作の有名プレイヤーが参加したことはありましたか?
エバンズ:来年の発売に向けて作っている段階なので、現在はカプコンのなかで調整しています。それでも、本作はハードコア勢だけではなくカジュアルさも重要なので、今後は両方の立場からの意見を聞きたいと考えています。
廣瀬:いつでもどこでも交代というのは上手い人が使うと攻撃にからめた交代が可能で、カジュアルなプレイヤーは従来の交代が体感できます。また、バトルとしての奥深さ、手触り感も意識しています。カプコンにも格闘ゲームの熟練プレイヤーがいるので、その人たちと日々開発を行っています。
――少し気の早い話ですが“Capcom Cup(カプコンカップ)”の予定はありますか?
エバンズ:まだ話せませんが、ぜひ楽しみにしていただけたらと。
――昔のカプコンのゲームをプレイしていたユーザーから見ると、アイアンマンがPVで大きい武器を持ってくれたことは、ゲームのオリジナリティをすごく大切にしているように見えました。
エバンズ:そうですね。カプコンらしさは大事にしています。
廣瀬:最初のころ、アイアンマンは今回も胸からビームだしてもいいですよね? みたいな話もありました(笑)。
――これまでのシリーズでは驚くようなキャラクター選定がありましたが、本作でもサプライズは予定しているのでしょうか?
廣瀬:本シリーズはお祭り感も大事だとは思います。だからといってキャラクター性能がかけ離れてはいけないので、そのあたりも設定と性能を考えて選定しています。
――前作からグラフィックのクオリティも上がっていますが、絵作りで苦労されたことはありますか?
廣瀬:現在進行形でしています(笑)。ただし、初期段階から今求められているグラフィックとは何かを相談しながら制作していますので、今の形が最高の体験をできるものだと確信しています。
――次の情報はいつぐらいになりますか?
ジョーンズ:来年!
廣瀬:もう目の前ですよ(笑)。来年の可能性は非常に高いですね(笑)。
――子供向けのディスクヒーローズなど、マーベル・スタジオの作品はユーザーを楽しませるための間口は広いイメージがあります。
ジョーンズ:その通りです。マーベル・スタジオにはファンを楽しませるというビジョンがあり、そのビジョンを理解したうえで協力していくスタンスがあります。ゲームの内容自体はそれぞれの開発チームのビジョンに任せていますが、ストーリーやビジュアルは監修しています。
廣瀬:お互いに意思疎通のキャッチボールができる、いい関係で来ていると思います。
――ありがとうございました。