2016年12月6日(火)

『バイオハザード7』の新たに公開されたPVや体験版のポイントを川田&神田プロデューサーに直撃!

文:電撃PlayStation

 2017年1月26日発売予定のPS4/Xbox One/PC用ソフト『バイオハザード7 レジデント イービル』の最新PV&体験版が、アメリカで開催された“PlayStation Experience 2016”に合わせて公開になった。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 この記事では、現地で行われた『バイオハザード7』プロデューサーの川田将央氏と神田剛氏へのインタビューを掲載。PVや体験版をはじめ、ゲーム全体に関する気になるポイントを直撃した。

『バイオハザード7 レジデント イービル』
▲川田将央氏(左)と神田剛氏(右)。

本編を遊んだ時の面白さというものを最大限に引き出すための体験版

──公開されたPVの反響はいかがですか?

川田:PVもありますけど体験版の反響がすごいですね。

──体験版のほうはもうだいぶ攻略されてる印象ですね。

川田:そうですね。びっくりしてます(笑)。

──でもまだファンの皆さんはまだまだ秘密を探しているところですよね? 人形の指をどうするかとか……。

川田:それなんですが、実はもうその謎を解いてしまった人がいるみたいで驚いています。正直一週間くらいは攻略されないだろうなと思ってたんですが、まさか一日で全部攻略されてしまうとは……。衝撃を受けています。うちのディレクターの中西も「ありえへん」と言ってました(笑)。 相当難しいものだったはずですが、恐るべしって感じです。みんなが難しすぎるって言って、本編はこんなに難しくないから大丈夫だよって言おうとしていたんですが、それをいうことすらなく解かれてしまいました(笑)。

──逆に本編でそれくらいの難易度を求めてる方がいるかもしれませんね。

川田:本編はストーリーの流れを楽しんでいただきつつ、シチュエーションを体験してもらうことになると思いますので、また違った面白さになると思います。体験版だと「今回幽霊が敵なの?」みたいな質問が出るくらい、我々スタッフが本編とは違ったニュアンスでゲームを構成したりもしましたので、体験版というとちょっと誤解を招くかもしれませんね。

──どうして本編とは少し違うような体験版を作ったんですか?

川田:本編を遊んだ時の面白さというものを最大限に引っ張るために、本編とは違うアプローチで『バイオハザード7』というものをイメージし、あえて制作したというのが正しい言い方ですかね。今回のテーマは“恐怖”なので、それを伝えるために今回配信版を作りたいと我々は考えてました。

 初期のころは戦闘で推していくんではなく恐怖を見せたいというアプローチで制作していたのですが、今のタイミングになると、より“バイオハザードらしさ”というところをアピールする必要があると思っています。そういう意味でのアップデートを今回続けていくことにして、今回で最後のアップデートになりますが、ちゃんと“バイオハザードらしいゲームになっている”というところをうまくアプローチしたいなと考えてます。

──ということは最後に戦闘を持ってくるのは予定通りだった?

神田:そうですね。体験版自体ローンチで配信してからTGSで1回、このタイミングで1回、計2回のアップデートがありましたが、「こういう風なやり方もあるんだ」というユーザーさんの声もありました。最終的にそう受け止めてくれたかなというところで、ちょっと安心感はありますね。最初は“指の件”などもあって不満も少しあったみたいなんですが(笑)。ここにきてエンディングも追加されて、今回で最終形態の体験版として楽しんでいただけてるんじゃないかなと思います。

──体験版を制作するうえでVRは意識されてましたか?

川田:今回大変だったのは本編と配信版、そしてVRも対応しますという風に並行作業がすごいいっぱいあったんです。今回作り方として、割と最初のほうにピークを持ってきたので、当初からスタッフは皆忙しかったと思います。最初に頑張って徐々に落とす予定だったのが並行作業が増えたおかげでどんどん忙しくなるという(笑)。スタッフにとってはたまったものではないわけですが、おかげさまでいろいろなアプローチが取れまして、お客さんにとってもプラスになる対応が出来たんじゃないかなと思っています。

──VRを体験版にも対応させてきたのには驚きました。対応すると決めたのはどの段階だったんでしょうか?

川田:やっぱりこの今のタイミングでは当然マスターのほうも終わってますし、対応しない手はないと考えていましたので、そこは最初からVRに対応しますよというところはうたうつもりでした。配信版でまずVRを持ってる方はそこでいろいろと試してもらって、自分に合ってるかどうかを見極めてもらって製品版に臨むというのが理想的かなと考えています。

──今回のアップデートの名前『Midnight Version』の由来は何ですか?

神田:チームのほうでも“トワイライト”と“ミッドナイト”は“ビギニングアワー”というもともとの体験版のタイトルがありきで、アップデートしていく際に時間軸に関する名前というのがアイディアとして固まっていました。もちろん他のアイディアはないかという話もしていたんですが、それに落ち着いたという感じです。

川田:それと今回割とシンプルなネーミングが多いんですね。“ランタン”とか“キッチン”とか。それだけだったら「なんのこっちゃ」という感じですが、そういうシンプルだけれどいろいろ想像できるようなイメージで名前を付けてました。そういった意味でも“ミッドナイト”というシンプルでわかりやすい名前になっているんじゃないかなと思っています。

──今は体験版という位置づけですが、それが本編のつながりが気になっています。今回公開されたPVを見ると、主人公が妻を探しに行くのかな? というような部分が冒頭にある一方で、体験版に出てくる人たちはテレビクルーとして登場しますよね。これはたぶん違うのかなって思ってるユーザーさんいると思うのですが、このタイミングではっきりと違うって言えるものなのでしょうか?

川田:これはどっちのほうが面白いのかな(笑)。

神田:どうでしょうね。違うと言えば違うけれど、体験版の話も時系列として一つの事件です。もちろんそこから本編につながると言ってしまうとすごい強い連携を思い起こさせてしまうのもどうかなというのもあります。

川田:世界観は特別なものだと思っていただければいいと思います。配信版に出てくるモールデッドも非常に強いと思いますけど、本編のほうはもう少しゲームしやすいように調整されてますし。

神田:とはいえやっぱり全くの別物ではないです。

川田:そうですね。なので体験版も含めて遊んでいただいたほうが得なことも多いと思います。世界観を理解するためにも、謎も全部クリアするとなにかもらえるらしいみたいな。まさか謎全部ばれちゃうとはなあ(笑)。

神田:この後謎の公開も含めてPRネタとして使っていこうと思ってたんですけどね。そんな淡い期待は打ち砕かれました(笑)。

川田:朝飯食ってくるあいだに全部解かれました。みたいな感じです(笑)。

──どなたが一番早く解かれたんでしょうね

神田:アメリカ人の二人の兄弟の方が中心になって解かれたと聞いてます。あるサイトにみんなで協力して解こうみたいなものがありまして、そこで最後の5つ目の謎を解いたコメントのところには疲れたってありました(笑)。

川田:ネットの力があれば人類に不可能なことはないんじゃないかと思いますね(笑)。

──今回のPVではこれまでになかった水の中だったり爆発してるシーンだったりがありました。あれは屋敷ではないと思いますが、また違った場所に行くことがあるんでしょうか?

川田:そこはちょっと答えにくいんですけど、屋敷だけではないというシチュエーションがあるんだということは分かっていただけると思います。

──つまり本編に登場するシーンだということですね。

川田:本編に登場するシーンです。

神田:ベイカー家はプランテーションが広いですから、そこで別の何かがこうっていうのももしかしたらということもあるかもしれない。

川田:ゲームで出てくるところはむしろ狭いんですが、いろいろと想いをはせていただければと思います。

──ちなみにお二人が思う今回のPVの見どころというのはどこですか?

神田:やっぱりなぜ主人公のイーサンがそこにたどり着くのかという部分の理由というのがトレーラーにはしっかり含まれていて、女性が「アイ ラブ イーサン」というセリフも言ってます。そういう意味ではドラマ性が入っていて、単に怖いだけじゃないぞというところを今回のトレーラーでしっかり打ち出せたらなとは思っています。

川田:もしかしたらラブロマンスかもしれませんからね(笑)。

──『バイオハザード』シリーズをプレイしていなくても話についていけますでしょうか?

川田:もちろんです。今回は過去作を知らない人でもしがらみを引っ張ってきてはいないので、みなさん同じような形で楽しんでいただけると思っています。

──いわゆる再始動とまで言えるでしょうか?

神田:少し違いますね。

川田:世界観と時代設定自体は引っ張ってきていますので、厳密にはそういう形ではないですが、表向きに出てくる情報というのは基本的に新規のものばかりですので、新しくゲームを始めた方でも違和感なくプレイしてもらえるんじゃないかなと思います。

──今まで『バイオハザード』をプレイしてきてくれた方にむけての深さもあるわけですね?

川田:そうですね。クリアするころにはそういうものを少し感じてもらえるんじゃないかなと思っています。

神田:ゲーム中のアイテムだったり、出てくる情報だったりも『バイオハザード』の世界観の中で『7』は存在しているのがわかるものが出てきます。そういうところでシリーズとの連動や、イメージをしてもらえるエッセンスはしっかり入ってます。

川田:やっぱりクランクを回すところなんかはバイオだなって思ってもらえるポイントだと思いますね。

──今回新たなPVや体験版が出てきましたが、日米での反応の差を何か感じたりしましたか?

川田:そこはあまり感じなかったですね。テリトリーや市場が違うので反応も違うんじゃないかなといつも思うのですが、『バイオハザード』に関していうと日本もアメリカも欧州もそんなに反応は変わらない気がしていますね。

──体験版の内容について、ユーザー的に感染状態に陥るのはいったい何が起きたんだろうと気になるところだと思うんですが、あれはいったい何なんですか?

川田:これに関しては言わないほうがいい気がしますね。

神田:まあモールデッドに関係してますよね。

──戦闘の部分について、R2で振るのと、R2L2で振るので構え方が違いますが、これは弱攻撃と強攻撃という認識で大丈夫でしょうか?

川田:あんまり意識してなかったですけどそういう感じなんですかね?

神田:正直あんまり考えてなかったですね(笑)。

──なんとなく両手のほうが手ごたえがある気がしています。

神田:たぶんそんなに差はなかったと思うんですが、適当なことは言えないですね(笑)。

川田:アクション要素もしっかり考えて作ってるってことですね。サバイバルホラーとしていろいろなシチュエーションの設定がありますよということです(笑)。

──体験版のエンディングに関しては全部明らかにされている感じですか?

川田:調べたかぎり大体そうかなと思います。脱出した人もちらほら出てきていますし、体験版としての役割は保てたのではないかと思います。

“RE ENGINE”はフルHD&60フレームの安定した映像が描きだせる

──本作では新エンジン“RE ENGINE”が使われていますが、どのような特徴がありますか?

神田:色々ありますね。本作の開発と同時に新エンジンの開発も進めてきましたが、最初に開発の効率性というものがあります。そこは実際エンジンの性能の部分で、より効率的にクオリティの高いものを作り出すというところ。もうひとつはフォトリアルの部分で、より実写に近いものをというところがあります。

 また、このエンジンを使うことによって、フルHDの60フレームがとても安定して出せているというところです。ほかにここまで安定してるエンジンはないと弊社のエンジニアが言い切れるくらい安定してるものではありますので、そこは今回の新エンジンの成果だと感じていますね。

──エンジン開発の中でHDRやVRといった今年のキーワードとなるものは意識しましたか?

川田:4Kとかもありますしそうですよね。

神田:最終的に4Kなどのグラフィックの精度の高いものというのは、結果的に弊社のエンジン開発スタッフと話をしていると、アートスタッフがすごいこだわりを持ってディティールまでいろんなアセットを作っています。結果としてそれがいい形になりました。普通ここまでやりこまないですからね。最終的に4Kなどのグラフィック精度の高いものを出すときに、非常によくできてるものが出せるというものになっています。

川田:PS4に関して言えば、ProやVRと非常に相性のいい作りになっていると思います。

──やはりサバイバルホラーはVRに非常にあってるものだと思っています。いつの段階でVRの対応を決めましたか?

川田:だいぶ前からですね。確か『KITCHEN』の開発後だったでしょうか。それ以前からVRの研究はしていまして、『KITHCEN』でホラーとの相性がいいのは確信が持つことができまして、そこからフル対応しようという話になりました。良かったのは、SIEさんが凄く協力してくれましたし、うちのスタッフも凄くこだわってVR対応を行うことができたので、なかなか他社さんだと二の足を踏むようなところも含めてフル対応が実現できたんじゃないかなと思っています。

──VRの酔い対策について、E3版と比べて今はかなり良くなっているとお聞きしましたが、本編までにさらに酔いを避けるための調整を行いますか?

川田:基本的には今入れてるものがフィックスですが、たぶんみなさんまだ細かいところまでは触れていないと思いますので、自分に合うカスタマイズを行ってもらいたいと思います。やはり長時間連続して遊ばないほうがいいと思いますね。特に今までVRというものにあまり触れてない方というのは慎重にプレイしていただいたほうがいいと思います。もちろん最初から全然酔いませんよという方もいらっしゃると思いますので、そういう方にはガンガン遊んでいただきたいなと思います。

──今はまだストーリーとか明確な情報が出てないなと思うんですが、発売までにまだ情報を用意していたりするんでしょうか?

川田:発売までにはもう少しディティールが感じられるようなものをご用意したいと思っていますので、まだまだ注目してほしいと思っています。

──今回も“PSX 2016”でタイトルとして盛り上がったと思いますが、これを見てもっと早くアンバサダー登録をしておけばよかったと思うユーザーさんも出てくるとは思ういます。これから登録しても優先して新情報をもらえたりとか、アンバサダーならではの体験ってご用意としてはあるのでしょうか?

川田:そうですね。

神田:ローンチに近づくにつれて、素材とか情報をそのままお出しするということはしないですが、例えばミーティングの場を持ったりですとか、追加の体験会をやるとかそういう話はもちろんありますので、そういう意味ではしっかりとアンバサダーの方にはお声掛けをして、興味のある方はぜひ登録してもらえるような仕組みを考えています。

──アンバサダーミーティングに関しては発売後もやる予定はありますか?

川田:やりたいと思ってます。

神田:『バイオハザード7』にとどまらずシリーズ全体を通してのアンバサダーになります。

──RE ENGINEはこの後のゲームでも使うようになりますか?

川田:汎用性というものは最初から考えて作ってます。我々が今後作るタイトルでRE ENGINE搭載というのは増えてくると思います。

──それでは発売を楽しみにしているユーザーに向けて一言お願いします。

川田:今回の『バイオハザード7』は“恐怖”に大きく舵を切ったタイトルになりますが、それだけではなくてゲームの基本的なエンタメ要素は備えています。一度始めるとなかなかやめどきが見つからないようなゲームになってるんじゃないかなと思っていますので、恐怖だけに怯えて買うのを躊躇するのではなくて、今回の新しいチャレンジをぜひ見てもらえればと思います。

神田:我々カプコンと開発チームのクリエイティビティやチャレンジが詰まった作品になっています。もちろんシリーズのファンにも触っていただきたいですし、年明けに恐怖や刺激が足りないなと思った新規のユーザーさんにも手に取ってプレイしていただけたらなと思っています。

川田:2017年1月26日なので少し先ですけどね(笑)。

神田:そうですね(笑)。あと1ヵ月とちょっと、我々も発売まではプレイヤーさんの楽しみを奪わない程度にプロモーションしていきますので、ぜひよろしくお願いします。

──ありがとうございました。

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