2016年12月12日(月)
バンダイナムコエンターテインメントより配信予定のiOS/Android用アプリ『アクセル・ワールド エンドオブバースト』。その連載特集の第2回である今回は、ゲームの原作である『アクセル・ワールド』の物語とその世界観を、いくつかのキーワードとともに振り返ります。
『アクセル・ワールド』の舞台となっているのは、《ニューロリンカー》と呼ばれる携帯端末の登場によって、仮想ネットワークが飛躍的に進歩を遂げている、2046年の東京です。その出だしは、こんな感じです。
梅郷中学校の1年生である有田春雪(アリタハルユキ)は、太っている体型と内向的な性格のために同級生からいじめられており、学内ローカルネットでスカッシュゲームのスコアを伸ばすことだけに熱中する、憂鬱(ゆううつ)な日々を送っていました。
そんなある日、ハルユキは学内一の有名人であり、美貌と気品を兼ね備えた《黒雪姫(クロユキヒメ)》と呼ばれる2年生の少女から、突然声をかけられます。
「もっと先へ――《加速》したくはないか、少年」
その問いかけに応じたハルユキは、黒雪姫との直結通信によって、彼女から《ブレイン・バースト》というプログラムを受け取ります。単なる対戦格闘ゲームだと思っていた《ブレイン・バースト》は、使用者の思考を一千倍に加速し、現実の肉体にまでも加速の影響を与えることができるという、驚くべきものでした。
こうして《ブレイン・バースト》のプレイヤー、通称《バーストリンカー》となったハルユキは、黒雪姫とともに《加速世界》での戦いに身を投じることになったのです。
▲《ブレイン・バースト》では、仮想世界に作られた対戦フィールド上で、《デュエルアバター》と呼ばれる姿になったプレイヤー同士が対決します。写真手前の銀色のデュエルアバターが、ハルユキの《シルバー・クロウ》です。 |
首の後ろ、延髄部分に装着する量子コンピュータ端末。脳と無線接続し、映像や音声などあらゆる五感をサポートできる。現実の光景にさまざまな情報を重ね合わせて表示できるほか、使用者自身がアバターの姿となって、仮想世界にフルダイブすることも可能。
ニューロリンカー専用のオンライン対戦格闘ゲーム。 2039年4月に、当時小学一年生だった100名にオンラインで配布された。 配布元の企業または個人は、現在に至るまで不明。
2046年の時点では、《ブレイン・バースト》は直結によるコピーのみでしか配布できず、インストールの成否にかかわらず、コピーは1回しか行えない。そのためコピー元の《親》とコピー先の《子》のあいだには、現実世界で互いを熟知している密接な関係が存在することになる。
《ブレイン・バースト》のプレイヤーは、《バーストリンカー》と自称している。バーストリンカーは東京23区を中心に、約1000名が存在すると推測されている。
《ブレイン・バースト》では、各バーストリンカーが固有の《デュエルアバター》の姿と能力を用いて、1対1または2対2による対戦を繰り広げます。
対戦に勝利すると手持ちのバーストポイントが増加し、敗北すると減少するのですが、バーストポイントを全損してゼロになると、《ブレイン・バースト》のプログラムが強制的にアンインストールされて、加速世界での記憶を失うことになってしまうのです。
加速世界にデビューしたハルユキは、幼なじみの親友である黛拓武(マユズミタクム)のデュエルアバター《シアン・パイル》と対戦することに。互いに秘めた感情をぶつけ合うタクムとの対決の中で、ハルユキのデュエルアバターである《シルバー・クロウ》は、加速世界で初となる《飛行》のアビリティを覚醒します。
ハルユキを加速世界に誘った黒雪姫は、現時点で最強のレベル9に到達している《純色の七王》の1人であり、7大レギオンの1つ《ネガ・ネビュラス》を率いる黒の王《ブラック・ロータス》でした。
▲黒雪姫と、彼女のデュエルアバター《ブラック・ロータス》。ブラック・ロータスは両手両足がすべて剣になっているため、強力な切断技や突き技を繰り出すことができます。 |
しかしブラック・ロータスは、七王の間で結ばれていた不可侵条約を破った反逆者であり、その後にネガ・ネビュラスが解散状態となったため、加速世界から姿を消していたのです。飛行アビリティを持つシルバー・クロウの出現と、黒の王ブラック・ロータスの復活は、加速世界で大きな注目を集めることになりました。
《ブレイン・バースト》で対戦を行うためのアバター。デュエルアバターの名前や外見は、バーストリンカー自身の深層心理にある欲求や欠落から自動的に決定されるため、一切変更することはできない。
デュエルアバターの名前は必ず《色名・固有名》という形式になっており、色名はそのデュエルアバターの特徴を決定する重要な要素である。デュエルアバターのアビリティや必殺技は、初期装備として持っているほか、レベルアップボーナスとして選択できる場合もある。
他のオンラインゲームでの《ギルド》や《チーム》に相当する、バーストリンカーの集団。レギオンマスターとなったバーストリンカーは、メンバーの勧誘やエリアの領土宣言、またメンバーの《断罪》を行うことができる。
レギオンが領土宣言したエリアは、毎週土曜日に行われる《領土戦》によって、他のレギオンが占領して領土にすることができる。
《純色の七王》が率いるレギオンは、《7大レギオン》と呼ばれており、ブラック・ロータスがレギオンマスターである《ネガ・ネビュラス》もその1つ。
現時点で《ブレイン・バースト》最強のレベル9に到達している、7人のバーストリンカーを指す。それぞれが自分のレギオンを率いている。
レベル9まではバーストポイントの消費によってレベルアップできるが、その上のレベル10には他のレベル9リンカーを倒すことでしか到達できない。ただし、レベル9同士の対決に敗れた者はバーストポイントを全損して永久退場となってしまうため、7大レギオンの間で不可侵条約が結ばれていた。
ブラック・ロータスはこの不可侵条約を破り、和平を唱える赤の王レッド・ライダーを不意打ちで倒したため、《加速世界最大の反逆者》と呼ばれている。なおその後、スカーレット・レインが二代目赤の王として、《プロミネンス》のレギオンマスターになっている。
黒の王ブラック・ロータスが率いる新生《ネガ・ネビュラス》には、ハルユキのシルバー・クロウに加えて、梅郷中に転校してきたタクムのシアン・パイルも加入することに。
二代目赤の王《スカーレット・レイン》こと、上月由仁子(コウヅキユニコ)からの依頼で、無制限中立フィールドに向かったハルユキたちは、《災禍の鎧》に精神を支配された凶戦士《クロム・ディザスター》と対決することになります。
▲《ニコ》こと上月由仁子は小学生ですが、気性の激しい女の子。 |
▲ニコのアバター《スカーレット・レイン》(写真手前)は、巨大な強化外装を装着することで、加速世界最強クラスの遠距離火力を発揮します。 |
2047年4月、2年生に進級したハルユキたちは、新入生の能美征二(ノウミセイジ)が、現実世界で《加速》を悪用していることに気づきます。能美の罠にかかったハルユキは、相手の能力を奪うという必殺技を持つ彼のデュエルアバター《ダスク・テイカー》に、飛行アビリティを奪われてしまいます。
3年生に進級した黒雪姫が修学旅行で沖縄にいる間、ハルユキは無制限中立フィールドで出会った《スカイ・レイカー》の教えを受けて、《心意》システムによる《心意技》を会得しました。
ハルユキとタクムの幼なじみである倉嶋千百合(クラシマ・チユリ)の《ライム・ベル》が持っていた意外な必殺技により、飛行アビリティを取り戻したシルバー・クロウは、沖縄から駆けつけたブラック・ロータスとともに、能美のダスク・テイカーを倒したのでした。
ハルユキたちは、能美をはじめとする加速世界で起こる異変の背後で、《加速研究会》と名乗る謎の集団が暗躍していることに気がつきます。
加速研究会との対決や、ハルユキ自身が《災禍の鎧》に寄生される事件が繰り広げられる一方で、《ネガ・ネビュラス》のもとには、《スカイ・レイカー》こと倉崎楓子(クラサキフウコ)、《アーダー・メイデン》こと四埜宮謡(シノミヤウタイ)といった、かつてのメンバーが徐々に再集結してきました。
倉崎楓子は現実世界でも黒雪姫の親友でした。《ネガ・ネビュラス》の解散後、《スカイ・レイカー》は戦いの第一線を離れて無制限中立フィールドに隠遁していましたが、ハルユキの仲介によって黒雪姫と和解し、《ネガ・ネビュラス》に復帰しました。
小学4年生の四埜宮謡も、かつての《ネガ・ネビュラス》の幹部であった《四元素(エレメンツ)》の1人。彼女のデュエルアバターである《アーダー・メイデン》は、寄生属性を浄化する能力を持っています。
そして、加速研究会にテイムされていた《神獣(レジェンド)級》エネミーの《大天使メタトロン》を解放し、彼女の加護を受けて加速研究会の本拠地に突入したハルユキは、ついに彼らの正体を知ったのです!
レベル4以上のバーストリンカーのみがダイブできる仮想世界。対戦ごとに生成と消滅を繰り返す通常の対戦フィールドとは異なり、同一世界が消滅することなく存在している。ただし《変遷》によってフィールドの属性が変化するたびに、地形やオブジェクトは修復される。
無制限中立フィールドでは時間制限もエリア制限もなく、フィールド上に存在する全てのデュエルアバターを攻撃できる。そのため無制限中立フィールドでは、集団戦も可能。その代わり、フィールドから自発的に離脱するには、特定の場所にあるポータルを通る必要がある。
無制限中立フィールドには《エネミー》と呼ばれるAIモンスターが無数に存在しており、これを倒すことで対戦以外でもバーストポイントを獲得できるほか、武器や防具などの《強化外装》がドロップされることもある。
また現実世界のランドマークにあたる場所にはダンジョンも存在しており、内部にはより強力なエネミーが存在しているものの、最深部では貴重なアイテムが入手できることも。
無制限中立フィールドに存在しているAIモンスターの総称。大半のエネミーは、遭遇したバーストリンカーに対して無差別に襲いかかってくる。一方で、エネミーをテイム(調教)して、バーストリンカーの指示に従わせることも可能。
《神獣(レジェンド)級》や《超級》といった超強力なエネミーになると、ダンジョンなど特定の場所に留まり続けて、バーストリンカーを待ち受けている。また、《大天使メタトロン》のように、人間と変わらない知性や意志を持ち、バーストリンカーと絆を結ぶエネミーも存在する。
《心意(インカーネイト)》システムとは、バーストリンカー自身の強烈なイメージや感情によって、加速世界で設定されている事象を《オーバーライド(事象の上書き)》して、通常はあり得ない現象を意図的に引き起こすこと。
心意が生み出す力には、《攻撃威力拡張》《装甲強度拡張》《移動能力拡張》《射的距離拡張》の4種類があり、個々のバーストリンカーのイメージに応じて、この中の1つ、あるいは2つを組み合わせて、自分だけの新たな《心意技》を作り出すことができる。
心意は加速世界のバランスを崩すほどの力をバーストリンカーに与えることから、王たちをはじめとする心意を会得した者たちの間では、その話題は長らく秘匿されてきた。また、心意を会得するには自身の心の傷と向き合う必要があるため、心意を使いすぎると心の闇に飲み込まれてしまう危険もあるようだ。
▲シアン・パイルの心意技《蒼刃剣(シアン・ブレード)》。タクムは赤の王であるニコの指導によって、この心意技を身につけました。 |
さて、ここまでは『アクセル・ワールド』の原作小説と、TVアニメで描かれた内容をご紹介してきました。
一方で、2016年7月に公開された劇場版『アクセル・ワールド -インフィニット・バースト-』は、TVアニメの総集編パートと完全新作パートで構成されています。その新作パートは、原作の第20巻と同時期の物語を描いた、川原礫先生書き下ろしのオリジナルストーリーとなっています。
2047年7月、ハルユキは《ネガ・ネビュラス》の仲間とともに領土戦を戦っていました。ところが加速世界を突如として漆黒の竜巻が襲い、回路が切断されてしまいます。黒い雲に覆われたエリアでは、加速世界に入ることができなくなっていたのです。
黒い雲の内部に突入して、真相を調査しようとするハルユキたちの前に、緑の王《グリーン・グランデ》が姿を現します。彼によるとこの黒い雲は、《超級》エネミーの《女神ニュクス》によるものだと告げるのです。
女神ニュクスが今回の事件を引き起こした原因とは? そして謎の少女《月折リサ》と事件との関係は? 緑の王の協力を得て、改めて黒い雲の内部に突入した《ネガ・ネビュラス》の面々が見たものとは!?
▲月折リサは、加速世界に発生した黒い雲にまつわる事件の、重要な鍵となっていて……!? |
そして『アクセル・ワールド エンドオブバースト』は、この事件の少し後から、物語が始まります。アプリでいったいどんなストーリーが展開されるのか、気になるところです。
……とこれだけですとファンの皆さんには振り返りのみになってしまうので、『アクセル・ワールド エンドオブバースト』に登場する新キャラクターをご紹介したいと思います。その名は、立花伶弥(タチバナ レミ)です。
12月7日の生放送で登場が明らかになった彼女ですが、まだまだ謎が多い存在です。そんな彼女がどんな形でハルユキたちにかかわってくるのか? そして、どんな物語が紡がれていくのか!?
第3回の記事では、そんなところに迫っていきたいと思います。お楽しみに!
※情報は、発表日現在のものです。発表後予告なしに内容が変更されることがあります。
※画面は開発中のものです。
(C) 2015 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/AWIB Project
(C) BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
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